本作は「グウェント ウィッチャーカードゲーム」(PC / PS4 / Xbox One)のシングルプレイ専用モードとしてリリースされる予定だったものだが,開発が進んでいくうちにボリュームが大きくなり,このたびスタンドアローンのゲームとして発売されることになった。「グウェント」はもともと「ウィッチャー3 ワイルドハント」(PC / PS4 / Xbox One)内のミニゲームだったことを考えると,異例の出世だ。
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そういう経緯から,当然,本作は「ウィッチャー」シリーズファン向けのタイトル……なのだが,恥ずかしながら筆者は「ウィッチャー」シリーズをプレイしたことがない。「シリという,なんかドキッとする名前の女性キャラが出てくるRPG」くらいの知識しかないのだ。
正直,「なんて仕事を振るんだ,4Gamer……!」と頭を抱えたが,ふと,「『ウィッチャー』シリーズをプレイしたことがない……意外とまだ,そういう人,いるんじゃないか? いや,いてくれ!」と思い,あえてシリーズ未経験者の視点からプレイレポートをお送りしてみることにした。果たして「奪われし玉座:ウィッチャーテイルズ」はシリーズ未経験者でもイケるのか。それとも,それはさすがに無謀な試みなのか……。
「それならカードで勝負よ!」
本作の物語は,鎧を着込んで前線で指揮を執るタイプの女王・メーヴが久々に領地に帰還したところから始まる。留守を任せていた息子の統治っぷりがイマイチだったようで,領地はモンスターやら盗賊団やらに荒らされまくり。メーヴは「我が息子には,まだ国を統べる力はない」と,宝塚の人みたいなかっこいいボイスで嘆く(CV:朴 璐美)。
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メーヴの声に惚れつつ,道なりに進んでいると,唐突にカードバトルが勃発。基本的に,何かあったらカードバトルで解決して進めていく。
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カードを出す“場”は敵味方それぞれ2列ずつ。カードバトルと聞くと,手持ちのカードを次々と出していき,それらを戦わせてライフがなくなったほうが負け……というイメージが強いが,本作は,お互いの出したカードの数字を元に優勢・劣勢を「戦力値」として数値化し,その合計値を競う点数制となっている。しかもラウンド制で,3ラウンド中,2ラウンドを制した側が勝ちとなる(なかには,1ラウンドのみで勝敗が決まるショートバトルも存在する)。
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カードも,1ターンごとにドローするのではなく,最初に配られた手札のみで戦う。双方,出せるカードが尽きた時点でこちらが優勢であれば,そのラウンドは勝利となる。相手の出方と,カードを出す順番が重要になってくるというわけだ。
3ラウンド制ということは,逆に言えば「1ラウンドは負けてもいい」ので,早い段階で「このラウンドはマズいな」と感じたら,カードを消費せずに次のラウンドに持ち込むのもアリだ。
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カードごとに,けっこう特殊な動作をするため,初見でいきなりすべてを理解するのは難しいが,序盤の進行はチュートリアルを兼ねているので,カードバトル中に「次はこれをこうしましょう」と詳しい指示が入る。それに従っていれば,とりあえず全然ワケが分からなくなるということはないだろう。
また,カードバトルは,特殊なルールでの戦いになることもある。
例えば,突然の落石で「女王,危ない!」というシーンでは,手持ちのカードで「巨岩」を攻撃して,女王に届くまでに破壊するという特殊なルールでカードバトルが行われる。
正直,「落石は逃げようよ……」という気がしなくもないが,ワンパターンになりがちなカードバトルにおいて,こういう変化球があるのは面白い。
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カードバトルだけではない,しっかりとした「RPG」としての下地
カードバトルものというと,ひたすらカードバトルだけを繰り返すようなイメージがあるが,本作の場合,しっかりと“RPG”としても作り込まれている。見下ろし型画面でフィールドを走り回って資材やお金を入手したり,村や町の人と話してクエストをこなしたりと,あくまで「RPGの戦闘がすべてカードバトルに置き換わった」印象だ。
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本作では,ゴールド・木材・兵士という3種のリソースがある。例えば,道を塞いでいる大木をどかさないと先へ進めないという場面では,「お金で解決するか,ケチッて兵で解決するか」といった選択肢が発生。単純に「さあ,どっち!」というわけでもなく,解決方法によって得られる木材の量が変化したりもするので,なかなか考えさせられる。
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ゴールドや木材に関しては,これらを使って施設の強化ができるので,いくらあっても足りない状態だ。
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序盤で,フィールド上を走るメーヴの速度が遅いので,「ダッシュはないのか,ダッシュは!」と思いつつ走っていると,施設メニューの中に「メーヴの移動速度アップ」を見つけ,「グワー,ここに入れてくるかー!」と悶えたり。速くはしたいが,優先順位を考えると悩ましい……。
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選択肢は,イベントでカードバトルを終えた後などにも出現する。前述の「ゴールドと兵士,どちらを使うか」程度の選択ではなく,けっこう重い内容のものもあり,「一国の王たる者」として決断を迫られる。
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女王の選択を必要とするイベントは,その場で解決するものもあるが,忘れた頃に以前の決定が影響を及ぼすこともある。それが良い結果なら「ふう,あれは正解だったな……」と胸をなでおろせるのだが,思いもよらぬ不幸を引き寄せる結果になると,兵士の数にけっこうな被害が出ることもあり,「ぐっ,しまった! すまぬ,兵よ……!」と指揮官ならではの苦悩も。
落石の後,少し進むとチュートリアルが終了。さあ,ここからは自分だけで勝ち進まなければならない。
しかし,ここまでがけっこう余裕だったので,正直,楽観視していた。「基本ルールはだいたい覚えたし,まあ中盤くらいまではサクサクといけるんじゃないかな!」と思っていたら,チュートリアル終了後,初のバトルで連敗を喫する。
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「え……? チュートリアルの指示がなかったら,自分,こんな弱いん……?」と急に自信をなくしてしまったが,マップを見てみると,行ける場所はいろいろとある。つまり,本来進むべきルートを外れ,たまたま強い敵に挑んでしまったのでは……? ううん,きっとそう,と思い込むことにして,マップで確認できる「メインクエスト」のマークを目指す。
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道中の周囲を探索して,コツコツと資材やゴールドをゲット。牛がいたので,牧場の柵の中にも拾える資材ないかな〜と思って足を踏み入れると……。
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まさかの,牛とのカードバトル勃発。牧場でも油断できないとは……! クッ,我が領地は荒れすぎである!
しかし,牛にケンカを売られる女王って……と思っていたら,どうやら善良な牛の中に1頭だけ発狂した牛が混ざっているようで,コイツだけをうまく倒す必要があるらしい。
「フッ……所詮は牛であろう? 一国の王たる者,相手が何者であろうと,売られたケンカは買う! 牛(Cow)だけにな……!」と勝手に頭の中でメーヴのセリフを作り,ボイスを脳内再生しつつ,いざ勝負。さっきの負けまくった敵は数が多かったが,今回は1体倒せばいいだけだし,なんとかなるだろう。
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女王,牛に負ける──!
「我が息子は,まだ王の器ではないようだな」とか言っていたのに,自分は牛に負けているとあっては,この国の先行きは暗い。
「余興はこれまでだ! 本気でいかせてもらうぞ!」と勝手にメーヴのセリフを作って(以下略)。
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ダメ! 牛,強い! 何なの,この牛!
敗因としては,特定の牛にダメージを与え続けなければならないので,従来の点数制での戦い方は通じないことが挙げられる。
さらに,この発狂した牛は毎ターン,周囲の健康な牛に攻撃をしてしまう。この健康牛の体力がスゴく少なくて,1頭でも倒されたら敗北という,地味にキツい条件なのだ。
筆者のメーヴ女王は「まさか牛を相手にデッキの練り直し……? バカな!」と脳内で宝塚風にオーバーアクションの演技をしていたが,このバトルは「パズル」に分類されるタイプで手札は固定らしい。つまり,こちらのデッキが悪いとかではなく,工夫次第で絶対勝てるはずなのだ。
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というわけでいろいろと試していると,「ライリア軍の弩弓兵」は同じ列にあるカードの枚数によってダメージアップすること,そして「連隊付鼓手」のアビリティを使えば,「リヴィア軍の長槍兵」がズラッと出てくることが分かった。つまり,これで同列にカードを増やせば,けっこうな大ダメージが与えられる。
さらに,「レイナード」でアビリティの使用を回復すれば,1ターン内に2回攻撃もできて……。
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5回目で,ようやく勝利。牛相手のカードバトルはモウこりごりである……。
掟破りの大胆システム,“勝ったことにして次に行っちゃう!”
牛程度に苦戦しているようでは先が思いやられるところだが,このほかにも変則バトルは多い。
列に並んだカードの左から右へ逃走する男が逃げ切ってしまう前に倒すバトルや,敵味方の列関係なしにウロウロしまくる盗賊団の男を強カードで囲んでダメージを与えるバトルなど,バラエティ豊かすぎる勝利条件のカードバトルが目白押しだ。
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純粋にカードバトルとして歯応えがあるので,なかなか勝てないことも多く,そんな戦いに何度も挑戦するのはツラいものだ。筆者のように,牛で苦戦するほどのカードバトル音痴もいるはずだ(いてほしい)。
そこで本作には,そんな人たちへの救済措置として,“あらゆるバトルをスキップできる”という機能がある。これは普通のRPGで言うなら「ザコ戦とすべてのボス戦を勝ったことにして先へ進める」ことと同じ意味を持つ。ずいぶんと大胆なシステムだが,とにかく物語を楽しみたい人には大変ありがたい。
ストーリーを進めることで手に入るレアカードもあるので,いろいろと手駒が揃った状態で濃いカードバトルをしたい人にもいいかもしれない。
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さて,「ウィッチャー」シリーズ未経験者でも楽しめるのか……という無謀にも思えるこの試みだったが,「案外,知らなくてもいける」という感想だ。
もちろん経験者であるほうがより楽しめるのは間違いないが,ゲームの基本がカードバトルであり,またストーリーの主軸がファンタジーRPGの世界観で起こる政治劇なので,話についていけないということもない。
また,施設の「食堂」では,女王と家臣の会話などもあるのだが,これがまた,キャラの掘り下げを兼ねた,ちょっといい話になっていたりするのだ。
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この人物はなぜ女王に忠義を尽くしているのか……といった背景が語られたりするので,良質なファンタジー小説をボイス付きで読み進めているような感覚がある。まだそんなに長時間遊んだわけではないのに,凛々しいメーヴ女王や,その忠臣・レイナードというキャラクターに愛着がわき始めている。
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最初のエリアマップの終着点であるライリア王都に辿り着くと,「我が息子には,まだ国を統べる力はない」と言われていた例の息子と再会するのだが,そこから物語は大きく動き始める。筆者ですら,ググッと話に引き込まれてしまったので,この記事を読んで少しでも興味がわいたら,ぜひプレイしてみてほしい。
「すべての戦いをカードバトルで行う本格的なRPG」というだけでも新鮮だと思うが,そのバトルをすべてスルーしてもOKという懐の深さ。とりあえず筆者は,セーブデータを分けて,「カードバトル全無視で話をグイグイ進めちゃおっかな」という悪魔の誘惑と戦っているところである。















































