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印刷2019/12/03 15:01

イベント

VR脱出ゲーム「Last Labyrinth」のスペシャルファンミーティングをレポート。開発スタッフがプレイヤーからのさまざまな疑問・質問に回答

 あまたは2019年12月1日,東京・サウンドインスタジオで「『Last Labyrinth』SPECIALファンミーティング」を開催した。
 本イベントは,同社がリリースしたVR脱出アドベンチャー「Last Labyrinth」PC / PS4)の“Kickstarter バッカーミッション”達成の特典として行われたもの。会場では,本作のテーマ曲のライブ演奏と開発スタッフによるトークセッションが行われた。

イベントの冒頭では,ステファニー・ヨーステンさんが生演奏をバックに「Last Labyrinth」のテーマ曲を披露した
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「Last Labyrinth」公式サイト



テーマ曲「Last Labyrinth」やサウンドについて


 トークセッションでは,「Last Labyrinth」の開発スタッフが来場者から事前に募集した質問に回答。音楽やサウンドにまつわるパートには,本作のプロデューサー/ディレクターの高橋宏典氏,謎の少女・カティアのボイスを演じたステファニー・ヨーステンさん,作曲家の菊田裕樹氏,サウンドデザイナーの花岡拓也氏が登壇した。

左から,高橋宏典氏,ステファニー・ヨーステンさん,菊田裕樹氏,花岡拓也氏
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 最初の質問は,菊田氏が本作のテーマ曲を作曲・編曲することになった経緯を知りたいというもの。高橋氏によると,自身が菊田氏のファンで,とくにPlayStation用ソフト「双界儀」の楽曲が好きだったことから,Twitterのダイレクトメールを使ってオファーしたとのこと。また菊田氏は,突然のオファーに驚いたとしつつ,「礼儀正しい文面の中に,情熱のようなものが込められていて,人となりが何となく分かる。それが面白い」と話していた。

 テーマ曲の制作で苦労した点を問われた菊田氏は,「最初の打ち合わせで,どんなゲームなのかを聞いている最中にメロディが降りてきた。それはたぶん,高橋監督の中に世界ができていたから」と回答。それを受けて高橋氏が「その打ち合わせの翌週には,すでにラフ曲のサウンドファイルが送られてきて驚いた」と返すと,菊田氏はさらに「データにする時間が必要だっただけで,楽曲自体は打ち合わせの最中に出来上がっていた」と続けた。菊田氏によると,そうやって話を聞くだけでも楽曲が作れるように努力をしているとのことで,「逆に,苦労して作る曲は自分の中で何かが間違っているので,あまりよくならない。本当にいい曲は,フワッと降りてきて,コレだ! と感じる」と語った。

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 テーマ曲の第一印象を問われた高橋氏は,「テーマ曲を作ってほしいこと,ボーカルを入れたいこと以外のリクエストはしていなかったのに,映像と合わせてみると染み通っていくようなイメージで不思議とハマッて,すごいと思った」と回答。
 またステファニーさんが「メロディーに,違う国の文化を感じた。すごく雰囲気のある曲で,『Last Labyrinth』に合っていると思った」とコメントすると,菊田氏は「それが一番嬉しい感想。今までにないゲーム独特の世界で,本来なら高橋監督の頭の中にしかないんだけれど,僕がそれを読み取って音楽にしてみせる。僕にはそういう力があると思ってください」と話していた。
 花岡氏は,「神秘や透明感といった,言葉にしてしまうと月並みですが,バックボーンにいろんな要素が広がっていると感じた」「最初のバージョンはキラキラした音色だったんですが,それを聴いたときに奥深さや圧倒される感じを覚えた」と感想を述べていた。

 「Last Labyrinth」のテーマ曲の歌詞は,ゲーム中のカティアの言葉と同様,架空の言語で書かれている。それを歌うのは難しくなかったかという質問に,ステファニーさんは「難しかった」と即答し,「歌詞の意味を理解して,気持ちを込めて収録しました」と続けた。
 また高橋氏は,架空の言語を歌詞にしたいと菊田氏に告げたとき,どうやって楽曲に乗せるのかと指摘されたエピソードや,発音を確認したら異国語らしさが足りなかったため,ステファニーさんといろいろ試したエピソードを披露。菊田氏も「普通の言語ならどんな感情が込められているのか分かるけれど,謎の言語ではそれが分からない。謎の感情が詰まっているものを,どうやって楽曲に乗せるのかについては大変だった」と語っていた。
 ちなみに歌詞の内容については,作詞した高橋氏によると「ゲームに関連してはいるが,謎のままで」とのこと。

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 ゲーム中ではさまざまな死のギミックが発動するのだが,その効果音をどのように作っているのかという質問には,花岡氏がギミックのメカニズムを「こういう材質なら,こう動くから,こういう音が鳴るはず」と細かく分解していき,サウンドライブラリや実際に録音した音源を組み合わせて作っていったと回答。中には,掃除機など身近な家電の音や,嫌な感じを出すために歯科用ドリルの音を加工したケースもあるそうだ。

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 さらに会場では,「Last Labyrinth」のテーマ曲が主要なダウンロードサービスやストリーミングサービスで配信されたこと,またコミックマーケット97の菊田氏のブースにて,ジャズアレンジバージョンを頒布することがアナウンスされた。


謎解きや死のギミックについて


 謎解きや死のギミックに関するパートには,高橋氏とステファニーさんに加え,リードエンバイロメントアーティストの草場美智子氏,レベルデザイナーの雨森氏パク氏が登壇。

左3人めから,草場美智子氏,雨森氏,パク氏
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 謎解きを誰が考えたのかという質問には,雨森氏が「皆で考えるけれども,最初のアイデア出しはレベルデザイナーが中心」とし,そのアイデアを採用するか否かは高橋氏の判断だったと明かした。
 また開発初期,とある謎解きで高橋氏から「簡単そうに見えて,思わず引っかかってしまうような謎」というオーダーが出たそうで,そのときはかなり苦労したという。一方,パク氏は,二次元で考えて面白そうだと思ったネタでも,実際にVRで作ってみるとつまらないことが多く,大変だったと語った。
 背景を作る草場氏は,レベルデザイナーがどうしても謎やパズルを優先してしまい,どんな部屋なのかあまり考えていないため,各部屋のイメージを掴むのが大変だったと話していた。

 ゲーム中,プレイヤーとカティアは謎解きに失敗すると残酷な死を迎えることになるが,その死に方を考えたのは誰かという質問には,高橋氏が「アイデアは皆が出した」と回答。その中でも率先してアイデアを出していたという雨森氏は,「臨死体験は普通できない。自分が酷い死を迎えるとして,どういう死に方をしてみたいかを考えた」「自分自身,そんなに酷い人間ではないので,カティアを酷い目に遭わせたかったわけではない」と話していた。
 ちなみに雨森氏自身はギロチンがお気に入りとのこと。当初は切り離された首が転がって,首のない自分の胴体を見るという演出を考えていたが,事情により実現しなかったそうだ。
 なおステファニーさんは死を迎えるカティアのボイスも演じているが,収録時に死に方を説明する雨森氏が「すごく楽しそうだった」ことを明かしていた。

雨森氏は会場で死に方について語るときも,実に活き活きとしていた
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 謎やパズルと死に方はどちらを先に考えるかという質問には,高橋氏が「パズルを先に考えて,別途考えた死に方を組み合わせる部屋もあったし,死に方から逆算した部屋もあった」と回答すると,パク氏と雨森氏も「別の部屋で見合わせた死に方がもったいなかったので,それに合わせてパズルを作った部屋もあった」と同意。また草場氏は,「死に方から決めてもらえるほうが,背景を作るのが楽だった」と話していた。

 「Last Labyrinth」はホラーなのかという質問には,高橋氏が「ホラーじゃない」としつつ,「最近はホラーでもいいんじゃないかと思っている」と本音を吐露。続けて「もともとは7つの道具を使うカティアと一緒に館から脱出するゲームを作ろうと考えていた。いろんな経緯があって死の要素が加わった」「実際にプレイすると,怖い部分はあるけれどもホラーとは違うと思う人も多いのでは」と説明すると,ステファニーさんが「ホラーが苦手な人向けのホラー?」とフォローしていた。

会場には,初期の開発資料なども展示されていた
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 印象に残っている死に方を問われたステファニーさんは,「蛇が出てくる部屋は,笑える死に方だったのでよかった」と回答。なおゲーム終盤に登場する嫌な死に方も印象に残っているが,話すとネタバレになってしまうそうだ。
 またパク氏イチ押しは,「恋人の部屋」でカティアの死を目の前でずっと見続けることになる死に方とのこと。
 雨森氏はギロチンが一番としつつ,カティアがアイアンメイデンに閉じ込められたあと,プレイヤーのもとに刃物の付いた電車の模型が迫ってきて刺されるという死に方もお気に入りだという。刃物の角度や深度,プレイヤーが身をよじってもかわせない場所などさまざまな点にこだわったそうだ。
 草場氏は,やはりギロチンと虫による死に方を挙げ,とくに後者について「VRならではのゾッとする感じがあった」と話していた。

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 自分が担当したギミックや死に方の見どころを問われたパク氏は,ロープの部屋を挙げ,3人がかりで2週間近くかけてデバッグしたにも関わらず問題が発生して大変だったが,そのぶんいい仕上がりになったと回答。
 雨森氏は,部屋については上記のとおりだとし,ゲーム全編を通してカティアの動きや仕草を楽しんでほしいと語った。とくにカティアが自発的に行動しているときのボイスはランダムだそうで,ぜひさまざまなバリエーションを確認してほしいとのことだ。
 草場氏は,各部屋の床の染みなどの意味深な部分を挙げ,とくに部屋の隅をよく見ると赤黒くなっているところなどもチェックしてほしいと語った。


カティアとファントムについて


 カティアともう1人の謎の人物・ファントムについてのパートには,高橋氏とステファニーさん,キャラクターアーティストの田中達麻氏,3Dアーティストのキミア・タバリ氏,リードアニメーターの福山敦子氏,テクニカルアーティストのアレクシス・ジャスミン・ブロードヘッド氏が登壇。

左から,田中達麻氏,キミア・タバリ氏,福山敦子氏,アレクシス・ジャスミン・ブロードヘッド氏
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 カティアがどうやって生まれたかという質問には,高橋氏が当初は自身と田中氏の2人でプロジェクトを進めていたと説明。2016年の東京ゲームショウに本作のプロトタイプを出展するにあたり,社内でカティアのキャラクターデザインを決めたところ,「VRにおける存在感を重視するので,2Dよりも3Dで考えたほうが実在感が出る」と,田中氏が2Dに起こすことなく3Dモデルを作り始めたそうだ。

 その3Dモデルは緑色の髪で白い服という特徴こそあったものの,田中氏いわく月並みなデザインだったが,それをVRでチェックした高橋氏が,ピンク色のブーツを履かせたいと言いだしたという。高橋氏によると「ピンクのブーツと緑の髪の組み合わせは,チーム内で大不評だった」とのことで,バランスを取るために手首にリボンを巻いたりしているうち,ほかではあまり見ないデザインになっていったのだとか。

カティアの初期3Dモデル。キャラクターデザインは同じだが,製品版の3Dモデルはリファインされている
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 それではファントムはどのように生まれたのかという質問には,タバリ氏が館に似合う謎めいた人物を意識した回答。とくにVRでの見え方は,通常の3Dゲームの見え方と少し違うので,デザインの調整が大変だったという。また,自身はホラーが大好きだそうで,もしホラーゲームに登場するキャラクターだったら,まったく別のデザインになったかもしれないとも話していた。

 架空の言語で演技をするのは難しくなかったかという質問には,ステファニーさんが「歌と一緒で難しい」と回答すると,すかさず高橋氏が「ステファニーさんは,一度脚本を読んでから実際に言葉として口に出すまでが早く,すごいと思った」とフォロー。
 またステファニーさんは,「普通の言葉よりも酷い目に遭っているときのテンションを出すのがとくに大変だった」とも話していた。
 なお,タバリ氏はステファニーさんのボイスをずっと「素敵だ」と思っていたそうだが,その大半がカティアが酷い目に遭っているときのものだと知ったとき,愕然としたというエピソードを披露した。

 カティアを可愛らしく見せるための工夫を問われた福山氏は,「完全に自分の好み」と回答。またステファニーさんは,二度めのボイス収録時に半年前よりカティアが可愛くなっているよう感じたそうだが,その理由の1つとして「以前のカティアは手をパーの形にしていることが多かったのだが,それをグーにしたこと」を挙げていた。
 また,福山氏はボイスが入った当初,カティアが少ししゃべりすぎるのではないかと感じたという。しかし慣れてくるうち,ボイスがないシーンに違和感を覚えるようになり,「ここにボイスを入れましょう」と提案するようになったそうだ。

 カティアが死ぬときのアニメーションを作っていて辛くなかったかという質問には,福山氏が「カティアにこんなことをさせるなんて酷い! と思っていた」と回答。
 また,ファントムとカティアのシーンを担当したというブロードヘッド氏は,「大きな身体のファントムが,小さなカティアに酷いことをするなんて!」という思いと,「きちんと作らないとプレイヤーに申し訳ない」という思いの板挟みになりながら作業を進めていたそうだ。とくに「運命の輪の部屋」でカティアとファントムが出会うシーンは苦労したという。

 ファントムが怪我をしているように見える動きをするのは何か理由があるのかという質問には,ネタバレになるので詳しくは言えないとタバリ氏。「自分の身体をうまく使いこなせていない」という雰囲気を作るためで,不気味さを出したかったそうだ。

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 カティアやファントムの演技で注目してほしい部分を教えてほしい,という質問には,まずブロードヘッド氏が,カティアとプレイヤーが「どうぶつしょうぎ」で勝負している隣で,ファントムが銃を握っているシーンを挙げた。このシーンにおけるファントムの指の動きには,彼のイライラしている気持ちが表現されているという。また銃を撃ったあとのちょっとした仕草も見てほしいとのこと。
 またタバリ氏は,上記のようなファントムの身体の動きを挙げていた。

 福山氏は,死に方もこだわって作ったので見てほしいとしつつ,「世界の部屋」でプレイヤーがソファーをポイントするとカティアが見せる仕草に注目してほしいと語った。
 田中氏は,カティアが嫌がるかのように首を振る仕草を挙げ,「分かる方は少ないかもしれませんが,『ICO』のアニメーションを手がけた福山がこれを『Last Labyrinth』に入れたとき,コレだ! と思った」と話していた。また死のギミックのパートで挙がった虫は田中氏が担当したとのことで,こちらもぜひ見てほしいそうだ。
 そしてステファニーさんは,初めてファントムに遭遇したシーンを挙げ,「動きが遅くて,とても怖かった。どんな死に方よりも,あのシーンが一番怖い」とし,「いろいろあってカティアと2人になったときに彼女の優しさを感じた」と語った。

 イベントの最後には,高橋氏が来場者に改めて感謝を述べるとともに,「まだまだ始まったばかりのゲームですので,ぜひ周囲の方にも勧めてください」と締めくくった。

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高橋氏とステファニーさん,菊田氏へのメディア合同インタビュー


 イベント終了後に,高橋氏とステファニーさん,菊田氏に対するメディア合同のインタビューが行われた。以下にその模様をお伝えしよう。

──イベントの率直な感想を教えてください。

高橋宏典氏(以下,高橋氏):
 「Last Labyrinth」ファンの皆さんは温かい人達だなと。

ステファニー・ヨーステンさん(以下,ステファニーさん):
 皆さん,かなりプレイしていて,ゲームの話をしてもきちんと反応してくださって嬉しかったです。

菊田裕樹氏(以下,菊田氏):
 ゲームとプレイヤーの距離が近いと感じました。それって,結構昔っぽいんです。今はネットで情報が出回っているから,便利な反面,距離は離れていってるんですよね。こうやって顔を合わせて話せるのはいいなと思いました。

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──来場者からさまざまな質問が寄せられ,また開発スタッフがそれに答えていましたが,その中で印象深いものはありましたか。

高橋氏:
 皆さんがカティアやファントムに対して,予想以上に愛着を持ってくださっていると感じました。我々としてはそのつもりで作っているのですが,実際にゲームを世に出してみるまで,どうなるか分かりません。思っていた以上に愛着を持っていただけて嬉しいです。

ステファニーさん:
 スタッフの皆さんも細かいところまで説明してくださって,愛が込められているなと。一生懸命作っていることがすごく伝わってきました。

菊田氏:
 僕は,もっと血も涙もないような酷い死に方がバンバン出てくるようなゲームだと想像していたんです。しかし実際はそうでもなかったので,どうなのかなと思っていたんですが,ファンの皆さんの反応を見ていると,とても愛情を持って接してくださっていることが分かったので,血も涙もないようなことをしなくて正解だったんだなと思いました。

高橋氏:
 実は菊田さんには世界観だけ説明して,ゲームの内容はあまり詳しく話していなかったんです。実際に菊田さんの曲の影響で,「Last Labyrinth」の世界観やゲームの内容がより明確になった部分もあるんです。

──2016年にプロトタイプを出展したり,Kickstarterで資金を集めたりしていましたが,プレイヤーの反響で印象に残っているものはありますか。

高橋氏:
 2016年の時点では,プロトタイプで皆さんの反応をうかがってみようという狙いがありました。非常に大きな反響をいただいて,すごく後押しになりました。
 またKickstarterに関してですが,私達はこれまでデベロッパとして活動しており,自分達でパブリッシングを手がけるのは初めてだったので,クラウドファンディングという形で国内のみならず海外からも支援していただけたのは大きな励みになりました。

ステファニーさん:
 VRでしかできない体験という反応が多かったように思います。とくに,言葉が通じなくともカティアとコミュニケーションができている感覚が強いという感想はすごく嬉しかったです。

菊田氏:
 僕は最初の打ち合わせでプロトタイプをいきなりプレイさせられて,いきなり死んだんですけれど,そのとき世界とプレイヤーの距離が縮まりにくいと感じたんです。僕の曲は,結果的にその距離感を縮める手助けになったんじゃないかと。VRは新しい表現だし,馴染みのない要素も多いので,カティアというキャラクターにプレイヤーがスッと感情移入できるよう土壌を作り上げることが,僕の重要な仕事だったと思っています。印象的かどうかではなく,自然に入っていける曲が必要だったんです。

高橋氏:
 いやいや,印象的な曲という感想が大半を占めていますよ(笑)。ただ菊田さんがおっしゃったようなことは最初から意図しており,ゲーム中でもテーマ曲がラジオから流れてきたり,カティアがメロディをハミングしたりと,シチュエーション間の接着剤として,いい案配に機能したと捉えています。

菊田氏:
 その意味では,ボーカルが入ったことも良かったですね。膨らませ方に力があったし,よく分からない感情が渦巻いている感じを出せました。

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──「どうぶつしょうぎ」をゲーム中に登場させた経緯を教えてください。

高橋氏:
  身も蓋もない話ですが,僕が入れたいと思ったことがきっかけです。対戦をするという重要なシチュエーションで,シンプルだけど奥深く,勝負に使える何かを探したときに「どうぶつしょうぎ」の名前が挙がり,作者である北尾まどか先生とも間接的なつながりがあったので使わせていただきました。
 「どうぶつしょうぎ」は,駒を動かして相手の王を取れば勝ちということを何となく知っていれば,プレイ中にルールを把握できるので,あの対戦シーンにはピッタリだろうと考えたんです。

──ゲームの世界観やストーリーを明確に表現していないゲームなので,SNSではプレイヤーがいろいろ考察していますが,それを見てどう感じますか。

高橋氏:
 ニヤニヤしています(笑)。もちろん我々は意味を込めて作っていますが,エンディングを見てどう感じるかは,プレイヤーの皆さんそれぞれで違っていていいと考えています。我々が考える意味や設定はありますが,それよりしっくりくる考察があれば「それ,いただきます」くらいでいいんじゃないかと(笑)。

──もしもゲーム中のキャラクターになるとしたら,プレイヤーとカティア,ファントムの誰になってみたいですか。

高橋氏:
 どれも嫌だな(笑)。強いて選ぶならプレイヤーですかね。頑張れば自分の判断で脱出できるわけですから。

ステファニーさん:
 カティアと答えたいところですが……ファントムも嫌だし……。やっぱりプレイヤーですかね。プレイヤーは受け入れるしかない立場ですから。

菊田氏:
 僕はむしろカティアですね。彼女はとてもいい女の子ですけれど,僕は嫌なカティアになってみたい。平気で嘘をついたり。

高橋氏:
 プレイヤーの指示を無視するカティアですね。

菊田氏:
 よく見ると服の色が違ったりしてね。

高橋氏:
 偽ウルトラマンならぬ偽カティア(笑)。

ステファニーさん:
 そんなカティアがいたら,プレイするのが嫌になっちゃう(笑)。

菊田氏:
 逆に人気が出るかもしれませんよ。冷たく笑うカティアとか(笑)。

──今後,引き続き体験会を開催する予定はあるのでしょうか。

高橋氏:
 2019年内は1〜2回,一般の皆さんに体験できる機会を設けます。それで体験会は一区切りにしようかなと。その代わりに体験版の配信を開始します。Steam版の体験版はすでに配信が始まっていますが,ほかのプラットフォームでも順次配信を予定しています。
 またVR機器を扱っている全国のツクモさんでは,店員さんに「Last Labyrinth」を遊びたい旨を告げると,体験できます。

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