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「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた
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印刷2019/09/19 00:00

インタビュー

「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた

Adam Kozak氏(左,Senior Manager, GPU Product Marketing,AMD)
Ritche Corpus氏(右,Senior Director,Worldwide Content&SW Alliances Radeon Technologies Group,AMD)
画像(002)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた
 東京ゲームショウ2019の期間中,4Gamerでは,AMDでGPUのマーケティングを担当しているAdam Kozak氏と,Radeon Technologies Groupで「Radeon Software」やゲーム開発者との協業を担当しているRitche Corpus氏にインタビューを行う機会を得た。

 多くの人は,Ryzen Desktop 3000(以下,Ryzen 3000)シリーズや,最新のGPUアーキテクチャである「Navi」の今後についてを聞きたいだろうが,未発表製品についての話はさすがにない。
 しかし,Radeon Softwareの注目機能である「Radeon Anti-Lag」(以下,Anti-Lag)やゲーム開発者向けサポート,最新のGPUアーキテクチャである「Navi」の将来に関する話を聞けたので,その概要をレポートしよう。


Anti-Lagは60〜90fps程度のゲームで効果が高い


4Gamer:
 Radeon SoftwareのAnti-Lagは,実に興味深い機能ですが,なぜこの機能をドライバソフトウェアで実装しようと考えたのでしょうか。

Ritche Corpus氏:(以下,Corpus氏)
 私共にとって,ドライバソフト上に実装するのが一番やりやすかったからです。ゲームで活用するという点でも,ドライバソフトにあるのが都合がいいからですね。描画前フレームの設定についても,ドライバソフトの中で行っていますし,ほかのさまざまな最適化機能も同様です。
 加えて,Anti-Lag自体の修正やアップデートをすることを考えても,ドライバソフトの中が一番やりやすかったのです。

4Gamer:
 そもそも,なぜAnti-Lagを実装しようと考えたのでしょうか。

Corpus氏:
画像(003)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた
 私たちが直面していた課題の1つが入力遅延でした。キーボードやマウスを入力してから,それが画面に反映されるまで2フレームくらいはかかってしまいますね。
 問題は,CPUのワークロードから発生しているわけです。描画するフレームを設定してGPUに渡すだけでも1フレーム分はかかってしまいますので,1度のワークロードあたり,2フレーム分の遅延が発生してしまうわけです。入力遅延は,CPUとGPUが同じタイミングで処理をこなしている限りは発生しないのですが,CPU側で処理が溜まってしまうと遅延が生じます。
 そこでGPU側からCPUの処理をモニタしておき,描画に必要な情報を速く渡せるようにして,入力遅延を減らすというのが開発の目的でした。

 発売から年月が経過したゲームの性能を向上しようとしても,限界がありました。でも,入力遅延をドライバソフトで改善できれば,体感的に速くなったように感じられますからね。

4Gamer:
 Anti-Lagは,効果が出やすいゲームとあまり効果がないゲームがあります。また,Naviよりもやや古い世代のGPUのほうが,効果が出やすいという評価もあります。どういう条件が揃うと,Anti-Lagの効果が出やすくなるのでしょうか

Corpus氏:
 たしかに,古いゲームのほうが効果が出やすいこともあります。しかし,昔のゲームは時間あたりに描画するフレーム数が非常に多いため,Anti-Lagの効果が出にくいです。昔のゲームは,200fpsもの高フレームレートで表示することを考慮していませんでしたからね。
 一方,60〜90fps程度のゲームであれば,Anti-Lagが効きやすいです。GPUがボトルネックになるゲームのほうが,Anti-Lagの効果は出やすいですね。

AMDが発表したAnti-Lagの効果。単位はms(ミリ秒)なので,最大60fpsの場合,1フレーム分は16.7msになるので,おおよそ1フレーム程度は遅延を短縮できるということになる
画像(004)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた

4Gamer:
 Anti-Lagは,DirectX 12タイトルに対応しませんが,AMDからゲーム開発者に対して,「このように作ればDirectX 12タイトルでラグが出にくいよ」といったアドバイスや技術サポートを提供しているのでしょうか。

Corpus氏:
 AMDは,デベロッパに無料でプロファイリングツールを提供しています。これを使えば,どこにボトルネックが発生しているのかをリアルタイムで確認できます。DirectX 12の「Asynchronous Compute」(非同期演算)機能をうまく使うことでもボトルネックを減らすことができますので,それを見つけるのに役立つツールですね。

4Gamer:
 「Unreal Engine」のEpic Gamesや「Unity」のUnity Technologiesと共同で,ラグの出にくいグラフィックスエンジンの開発に取り組んでいたりもするのでしょうか。

Corpus氏:
 そのとおりです。私たちはEpic GamesやUnityと,DirectX 12やVulkanでのゲーム開発に役立つグラフィックスエンジンを作るために協力しています。性能向上やラグの低減につながるマルチスレッドCPUの活用とか,Asynchronous Computeを最大限に活用できるものです。
 ですので,AMDが紹介したり,バンドルしたりしている多くのゲームは,DirectX 12のAsynchronous Computeを活用したものになっています。今では多くのゲームがDirectX 12やVulkanを使っているのは,そういう理由があります。


ゲーム開発者への技術サポートも強化

日本にもサポート担当エンジニアを配置


4Gamer:
 最近では,Ubisoft Entertainmentのタイトルをはじめとして,以前よりもAMDプラットフォームに最適化したゲームが増えてきたように感じています。AMDは,ここ数年,従来よりもゲーム開発者へのサポートを強化しているのでしょうか。

Corpus氏:
 DirectX 12やVulkanに関して,私共は開発者の方々にサポートを提供しています。性能やリアリティの追求において,これらが役立つと開発者の皆さんも感じていらっしゃるようです。
 加えて,AMDの技術は,競合の製品でも活用できるという点がもう1つのアピールポイントです。AMDベースの他のプラットフォーム(※編注:PlayStation 4シリーズやXbox Oneシリーズのこと)でもAMDの技術は使えることも好評を得ている理由です。据え置き型ゲーム機でも,モバイルでも,クラウドでもです。

4Gamer:
 競合の開発者向けサポートでは,開発者からの依頼を受けてエンジニアを派遣したり,性能の出ないコードを代わりに最適化したりしてると聞きます。AMDも,同じようなサポートをしているのでしょうか。

Corpus氏:
 やっていますよ。ゲーム開発者が問題を抱えて,ツールが必要だったりソフトウェアの最適化がうまくいかないという場合には,エンジニアによるサポートを行っています。メールや電話だけでなく,実際に現場へ赴いてのサポートも提供しています。
 AMDは,オープンプラットフォームの取り組みを支援していますので,エコシステム全体で開発者はサポートを受けることができます。私共の技術だけではないということです。競合はプロプライエタリなソフトウェアだけになっていますから,自前のエンジニアだけでしかサポートできない面はあるでしょう。

4Gamer:
 日本のゲーム開発者は,AMDプラットフォーム向けの最適化までは,まだ十分に取り組めていないように思えます。日本でのデベロッパサポートを改善する計画はありますか。

Corpus氏:
 もちろんです。日本は私共にとっても,ゲームが開発される地域として重要ですから。たとえば,最近ではカプコン様と協力して「RE ENGINE」の最適化や仕様の実現に取り組みました。その結果を,「Resident Evil 2」(国内では「バイオハザード RE:2」)や「デビル メイ クライ 5」に見ることができます。
 これらは,私共から日本のゲーム開発者に向けたサポート強化活動の始まりと言えるでしょう。私共の関与を示す分かりやすい例としては,日本にエンジニアを2人置いて,ゲーム開発者をサポートしています。


なぜRadeon RX 5700シリーズは売れているのか


4Gamer:
 Kozakさんにもお聞きします。Radeon RX 5700(以下,RX 5700)シリーズは,世界的に売上げが好調だと聞いています。単純にベンチマーク性能だけを見るならば,「Radeon VII」や競合のGPUのほうが優れている面もあるのに,なぜ,RX 5700シリーズは好調なのでしょうか。

Adam Kozak氏:(以下,Kozak氏)
画像(005)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた
 RX 5700は,競合の「GeForce RTX 2060 SUPER」や「GeForce RTX 2070 SUPER」と比べても優れています。「Radeon Image Sharpening」やAnti-Lag,「FidelityFX」のサポートや,7nm製造プロセスの採用,PCI Express(以下,PCIe) 4.0への対応など,仕様面でもユニークな要素をたくさん持っています。価格対スペック比も良好で,1440p(解像度2560×1440ドット)をターゲットにしたGPUとしてはベストです。それが成功の理由だと思っています。

4Gamer:
 今後,Naviアーキテクチャは,ウルトラハイエンドの方向に広げていくのでしょうか。それともエントリークラスを重視していくのでしょうか。ゲーマーとしては,より高性能なNaviが出てくるのかが気になるところですが。

Kozak氏
 近々,新しい製品を発表する予定ですので,そのときまで楽しみにしておいてください(笑)。

4Gamer:
 それは年内?

Kozak氏:
 言えません(笑)。

4Gamer:
 Naviアーキテクチャで,High Bandwidth Memory(以下,HBM)をサポートする予定はありますか。さらなる性能向上が期待できますし,とくに将来,リアルタイムレイトレーシングをサポートしようという場合に,広帯域幅のメモリは効果が期待できそうなのですが。

Kozak氏:
 現時点で具体的なコメントはできませんが,私共が作ったアーキテクチャは,ほかの技術,私共のだけではなくパートナー企業の技術とも組み合わせて使いやすいようになっています。なので,可能性としては,ないこともないとしか言えません(笑)。
 (Naviの)いろいろなバリエーションも考えており,製造上,そういった柔軟性を持つことはメリットだと考えています。CPUやGPU,メディアエンジンであろうが,いろいろなものと組み合わせることができるのです。

4Gamer:
 最近,AMDのディスクリートGPUラインナップは,ノートPC向けが弱いと感じています。それがNaviになるか否かは別として,ノートPC向けGPUラインナップは,今後拡充していくのでしょうか。それとも,ノートPC向けのディスクリートGPUはあまり力を入れなくなっていくのでしょうか。

Kozak氏:
 AMDにとって,ノートPC向けGPUはまだ伸び代があると思っています。Naviにおいても高い性能を出せていますので,これからの発表を楽しみに待っていただければと思います。

4Gamer:
 NVIDIAは,「我が社が示すTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は,グラフィックスカード全体の消費電力を示すが,AMDのTDPは,GPU単体の消費電力を示しているので,トータルではGeForceのほうが消費電力が低い」と主張しています(関連記事)。これについてAMDからのコメントはありますか。

NVIDIAのTDPは,AMDの指標で言うTGP(Total Graphics Power)であるから,TDP同士で比較するのはフェアではない,というのがNVIDIAの主張である
画像(009)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた

Kozak氏:
 いえいえ,私たちのTDPもグラフィックスカード全体の消費電力を示していますよ。GPUとグラフィックスメモリも含めてです。トータルの消費電力が分からないと,必要な電源ユニットの仕様も分からないと,PCを設計できませんからね。
 私共が公開している情報は,実際にゲームをプレイしたときの数値と非常に近いものです。しかしNVIDIAのほうは,けっこう違いがありますね。


Ryzenはゲーマーだけでなくクリエイターにも支持されている


4Gamer:
 CPUの話もお聞きします。Ryzen 3000シリーズは,日本市場においても,自作PC市場やホワイトボックスPC市場で非常に高い人気があります。Ryzenが好調な理由はどこにあると,AMDは分析しているのでしょうか。

Kozak氏:
 やはり機能が充実しているからです。7nmプロセスでCPUコアの数も以前より多く,PCIe 4.0にも対応している。(CPUコアの)性能も以前より優れています。
 それが手に届きやすい価格で提供されるというのは,ここしばらくなかったことだと思います。高性能なCPUはすごく高いという状況が,ずっと続いていた。他社もいずれ追従してくるでしょうけれども,現時点で他からは得られないものがすべて1つのCPUパッケージに入っている。(好評なのは)その結果でしょう。

Cinebench R20での性能検証を示したスライド
画像(007)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた

4Gamer:
 世界的に見ると,Ryzenはどのようなユーザー層に強く支持されているのでしょうか。やはりゲーマーですか?

Kozak氏:
 私が所属するゲーマー向けのマーケティングチームとしては,ゲーマーにとても強く支持されていると感じています。前世代と比べて,性能が大きく違うというのが理由の1つなのでしょう。
 それに加えて,コンテンツクリエイターの人が,CPUコア数の多いRyzen Threadripperを評価しています。ゲーマーは非常に大きな市場ですが,最近では他の分野でも使われていますね。

4Gamer:
画像(006)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた
 私たちのベンチマークテストでは,いくつかのゲーム,たとえば「Fortnite」で,「Ryzen 9 3900X」が「Ryzen 7 3700X」にわずかに劣る結果が出ました。私たちはその理由を,2つのCCDが1つのメモリコントローラを共有しているため,メモリ帯域幅が足らないのではないかと考えています。AMDでは,このような事例を把握していますか?

Kozak氏:
 興味深い質問ですね。Fortniteの場合,プレイするごとに毎回状況が必ず変わりますので,何が性能に影響を与えるのか事前には分かりにくい面があります。プレイヤーの数が分かりやすい例ですが,刻々と影響を与える要素が変わるので,毎回繰り返せるループを作りにくいですよね。
 通常であれば,Ryzen 9 3900Xのほうが動作クロックやキャッシュメモリ容量も多いので一番速いと思いますが,結果の詳細を分析してみないと,なぜそのようなスコアが出たのかは分かりません。

Corpus氏:
 バトルロイヤルゲームは,ベンチマークテストに用いても毎回スコアにばらつきが出てしまいます。プレイヤーが60人の状況と90人の状況では大きく変わるものですよね。

4Gamer:
 Ryzen 2000シリーズとX570チップセット搭載マザーボードを組み合わせた環境で,PCIe 4.0の動作を確認したという報告が上がっています。AMDとして,Ryzen 2000シリーズでPCIe 4.0をサポートする考えはありますか。

Kozak氏:
 ありません。Ryzen 2000シリーズは,PCIe 3.0に最適化するように設計し,テストしていますからね。ハッキングのような形で(PCIe 4.0を)利用することも不可能ではないのでしょうが,真にPCIe 4.0に対応するのは,Ryzen 3000とX570チップセットが必要です。

4Gamer:
 Ryzen APUは,Zen 2ではなくZen+アーキテクチャを採用していますが,Model Numberは同じ3000番台です。正直に言えば,これはユーザーに誤解を招くと考えています。同じアーキテクチャは同じナンバーにできないのでしょうか

Ryzen 3000シリーズAPUは,Zen 2ではなく前世代のZen+アーキテクチャを採用する
画像(008)「Radeon Anti-Lag」のポイントや「Navi」の将来について,訪日中のAMDメンバーに聞いてみた

Kozak氏:
 私も,Radeon側でブランディングを担当していますので分かりますが,この問題は解を見つけるのが簡単ではないのですね。Ryzen APUの場合,リリースのタイミングにおける「モデルイヤー」で見ると,そうなってしまったということです。
 Ryzen APUでは,Zenアーキテクチャで2000番台を使ってしまっていましたので,Zen+のAPUを出すときに3000番台を使わなくてはならなかったのですね。適当な数字がなくなると,次の数字を使おうかという話になります。

 そうは言いましても,なるべく区別が付きやすいように,とくにテクニカルな仕様を気にする方に向けて,ナンバーの最後に「G」を付けたりしています。ブランディングはどちらにしても難しいですね。

AMD公式Webサイト


4Gamerの東京ゲームショウ2019特設サイト

  • 関連タイトル:

    Radeon RX 5000

  • 関連タイトル:

    Ryzen(Zen 2)

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