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「鉄拳7FR」世界大会「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016」レポート。世界9か国,32名の頂点に立ったのは韓国のSaint選手
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印刷2016/12/14 19:53

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「鉄拳7FR」世界大会「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016」レポート。世界9か国,32名の頂点に立ったのは韓国のSaint選手

 2016年12月10日,アーケード用3D対戦格闘ゲーム「鉄拳7 FATED RETRIBUTION」の世界大会「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016〜GRAND FINAL」が,東京の竹芝ニューピアホールにて開催された。

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 本大会には,世界各地で行われた予選を勝ち上がった32名の選手が集結。リーグ戦形式の予選と,ダブルエリミネーション方式の決勝トーナメントによって,その頂点が争われた。なお,代表選手の内訳は以下のとおりだ。

  • 日本枠:13名(日本13名)
  • EVO2016代表枠:2名(韓国2名)
  • 韓国枠:8名(韓国8名)
  • 北米枠:3名(アメリカ3名)
  • 欧州枠:3名(イタリア・イギリス・ポーランド各1名)
  • アジア枠:3名(インドネシア・マレーシア・フィリピン各1名)

 白熱した試合が続出した大会の模様は,ニコニコ生放送Twitch(英語配信)によるストリーミング配信も行われた。本稿では,その会場の模様をレポートする。

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「鉄拳7 FATED RETRIBUTION」公式サイト



予選リーグ 32名→16名


 予選リーグでは,32名の選手を8ブロックに分けての戦いが行われた。
 各ブロックの1位の選手は決勝トーナメントのWinner's Bracketへ,2位の選手はLoser's Bracketへと進出することとなる。いずれのブロックもハイレベルな戦いが行われていたが,中でも注目を集めたのはGブロック。前大会の優勝者であるノビ選手をはじめ,ノビ選手に匹敵する実力を持つ弦選手,韓国のトッププレイヤーであるLowHigh選手,そしてイタリア代表ではあるが,かつては関西地方を代表するプレイヤーであったTissuemon選手という4名の強豪が集まり,「数々の大会で結果を出し続けてきたノビ選手でも,今回ばかりは予選突破が危ういのでは?」と思わせるような「死のブロック」となっていたのだ。

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この日の実況・解説を務めた鉄拳開発チームの原田勝弘氏(写真左)とナカツ氏(中央)。そしてゲームライターのハメコ。氏(右)
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強豪ひしめくGブロックを制して1位通過を決めたのはノビ選手。前大会同様「死のリーグ」での戦いとなったが,そこをきっちりと勝ち上がったのはさすがとしか言いようがない。2位通過は韓国のLowHigh選手。優勝候補の一人だった弦選手はここで敗退となった
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女子部門や学生部門からの出場枠も用意されていた本大会。写真は大阪予選・女子部門代表のゆうゆう選手(シャオユウ)が鳳凰の構えで登場したシーンだ
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2016年11月13日に「CYCLOPS OSAKA athlete gaming」とプロ契約し,日本で2人目の女性プロ格闘ゲーマーとなったたぬかな選手と,それを見守る女性プレイヤー達
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欧州予選UK大会優勝者のKaneandtrench選手(吉光)は,なんとパッドプレイヤー。スタッフが試合のたびに,パッドを筐体につなげる作業を行っていた
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アジア予選フィリピン大会優勝者のAK選手(ポール)は非常に若いプレイヤーのため,父親が大会に同伴。息子の試合を固唾を飲んで見守る姿が印象的だった


予選通過者16名による決勝トーナメント 


 くじ引きで決めた順番に従い,選手達がトーナメントのどの位置に入るかを選んでいった結果,決勝トーナメントの組み合わせは以下のようになった。

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 優勝候補だったknee選手が1回戦で,ノビ選手が2回戦でそれぞれ敗れるなどの波乱に満ちた決勝トーナメント。この激しい戦いを勝ち抜いてベスト4まで進出したのは,Winner's BracketのRushCash選手(韓国代表:ポール)と,CHANEL選手(韓国代表:アリサ)の2名。そしてLoser's Bracketは,カロ歯令選手(日本代表:一美)とSaint選手(韓国代表:ジャック7)の2名となった。

写真左から,RushCash選手,CHANEL選手,カロ歯令選手,Saint選手
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試合前,火花を散らし合うカロ歯令選手とSaint選手
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 ベスト4の戦いを制して決勝戦まで駒を進めたのは,どちらも韓国の代表であるCHANEL選手とSaint選手。CHANEL選手は韓国最強のアリサ使いで,いわゆる人間性能の高さを盾にした守備力の高さが持ち味だ。また,要所でハイセンスな技の選択を見せて相手にペースを握らせないのも特徴の1つ。今大会では,決勝トーナメント2回戦で優勝候補のノビ選手を倒している。

ノビ選手を倒した瞬間のCHANEL選手
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 一方のSaint選手は,「鉄拳TAG TOURNAMENT2」(以下,TAG2)の時代から韓国最強の座をKnee選手と争ってきたプレイヤー。攻防のバランスが非常に優れているのが特徴で,1つ1つの技の強みを最大まで引き出すゲームメイクに定評がある。今大会では決勝トーナメント1回戦でノビ選手に敗れ,Loser's Bracketに落ちたものの,そこからチクリン選手,AK選手を倒し,さらにはノビ選手へのリベンジを達成してここまで這い上がってきた。

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 CHANEL選手はWinner's Bracketから,Saint選手はLoser's Bracketからの勝ち上がりなのでCHANEL選手は3試合を先取すれば優勝。一方のSaint選手は3試合先取した時点でラウンドリセットとなり,さらに3試合(都合6試合)を先取しなければ優勝できないという状況である。

決勝戦の選手の呼び出しは,三島一美の声を担当している原 由美さんと,豪鬼の声を担当している武虎さんが務めた。聞き覚えのある声での迫力ある呼び出しに,会場にはどよめきが
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 そして幕を開けた決勝戦。お互いに中距離戦が得意なキャラクターということもあって,試合は距離を取っての体力の削り合いに。ここではキャラクターのリーチで勝るSaint選手に優位に立ち,CHANEL選手は終始攻めあぐねているという状態だった。相手を寄せ付けない戦い方でSaint選手があっさりと3連勝してラウンドをリセットし,さらに2連勝を果たすと,なんと5連勝で優勝に王手をかける。
 「このままあっさりと決着してしまうのか?」という空気が会場全体に流れたが,相手の攻めに少しづつ対応してきたCHANEL選手がここから意地を見せ,怒涛の反撃を開始。2試合を取り返して,お互いに優勝へと王手がかかった状態となった。

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 最終試合は2-2のフルカウントでファイナルラウンドへ。「優勝賞金300万円のかかったラウンド」の緊張感は凄まじく,試合開始から30秒が経ってもお互いの体力がほとんど削れていないという展開。しかし,痺れを切らして上段攻撃のリニアナックルで突っ込んだCHANEL選手に対して,Saint選手がしゃがみからの反撃を決めると,そこから一気に流れを掴んでCHANEL選手をK.O.。「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016 GRAND FINAL」優勝の栄冠は,見事Saint選手の頭上に輝いた。

感極まり,目に熱いものが流れていたSaint選手。その涙をCHANEL選手が拭いてあげるという微笑ましい光景も見られた
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決勝トーナメント1回戦で優勝候補のKnee選手を倒して金星を挙げた韓国のRushCash選手。3位となった同選手には賞金50万円が贈られた
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決勝戦では,後がない状況から素晴らしい粘りを見せるも惜しくも2位となったCHANEL選手。同選手には賞金150万円が贈られた
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「会場を一番盛り上げたプレイヤー」に贈られるフィールズ 特別賞には,華のあるプレイで会場を沸かせたフィリピン代表のAK選手が選ばれた。同選手には,20万円ぶんの旅行券が贈呈された
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「もっとも鉄拳愛に溢れたプレイヤー」に贈られる山佐 特別賞には,東京予選女子部門代表のクラウディオ使い,やまと選手が選ばれた。同選手には20万円ぶんの旅行券が贈呈された
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優勝したSaint選手には,賞金300万円のほかトロフィーとデジタルアイテム(限定称号,プレイヤー情報パネルなど),そしてチャンピオンリングが贈られた
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サプライズゲストである小島瑠璃子さんから,チャンピオンリングを贈呈されるSaint選手

 大会終了後には,最新情報の発表が行われ,2017年春に発売予定のコンシューマ版「鉄拳7」に,クマ&パンダが参戦することが明らかにされた。さらに,コンシューマ版の新要素「オンライントーナメント」モードの解説も行われ,会場の鉄拳ファン達から注目を集めていた。
 なお,これらの新情報は12月12日に掲載した記事に詳しいので,まだチェックしていない人はぜひ目を通しておこう。また,コンシューマ版の正式な発売日については,2017年1月のイベントのどこかで必ず発表するとのことだった。

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本大会の前日に配信が開始したLINE「鉄拳 ミニキャラスタンプ」のお披露目も行われた。まだ日本だけでの配信だが,要望が多ければ海外での配信も考えているそうだ
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自分としても劇的な展開だった――優勝 Saint選手ミニインタビュー


 かくして幕を閉じた本大会。上位入賞を独占したのは韓国の選手達だったが,日本と韓国,そして他地域との実力差はほとんど無く,今後の国際大会でも熱い戦いが見られることは間違いないだろう。最後に,表彰式後に行ったSaint選手へのインタビューで本稿を締めくくりたい。
 家庭用ゲーム機版の発売が来春に迫り,ますます加熱する鉄拳シーン。今後の展開からも,目が離せなくなりそうだ。

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4Gamer:
 優勝おめでとうございます。まず,今の気持ちを聞かせてください。

Saint選手:
 ありがとうございます。今日はとにかく疲れました……。自分のすべてを出し切ったという感じです。あとは,優勝できたことはもちろん嬉しいのですが,それを周りの友だちが自分のことのように喜んでくれたことが,何よりも嬉しいですね。 

4Gamer:
 決勝戦ではCHANEL選手相手に5連勝してから2連敗し,最終試合までもつれ込む接戦となりました。あの時はいったいどんな気持ちだったのでしょうか。

Saint選手:
 疲れと緊張で,もう何も考えられないような状態でしたね。言葉では言い表せない状態というか……。

4Gamer:
 今までもさまざまな大会で優勝を収めているSaint選手ですが,今大会での優勝は特別なものとなったように見えました。

Saint選手:
 そうですね。決勝トーナメントの1回戦でいきなりノビ選手に負けてLoser's Bracketに落ちてしまい,そこからの勝ち上がったので,自分としても劇的な展開だったと思います。優勝できたときは感極まってしまいました。

優勝を決めた瞬間のSaint選手。喜びを爆発させていた
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4Gamer:
 今大会にあたって,なにか特別な作戦を準備するようなことはあったのでしょうか。

Saint選手:
 ノビ選手と対戦するときには,ジャックのスーパーノヴァ(しゃがみ状態からの下〜中段攻撃の連続技)を使って,相手の反撃ミスを誘うのを狙っていました。

※1発目の下段攻撃をガードしてドラグノフが立ち途中攻撃で反撃しようとすると,ジャック側が2発目の派生を出したときに限り空振りし,派生の2発目がドラグノフにヒットして空中コンボを決められる。

4Gamer:
 ノビ選手は最初は戸惑っていましたが,1発目を下段さばきするなどの対応を見せ,とてもハイレベルな攻防だと感じました。ところで,Saint選手といえば「TAG2」時代はボブとガンリュウのプレイヤーとして知られていました。今大会にボブではなく,ジャック7で参加したのはなぜなのでしょうか?

Saint選手:
 実はボブで出るかどうかで,かなり悩みました。でも,ボブはリリースされてからまだ短く,「鉄拳7」シリーズではジャック7を使っていた時間のほうが長かった。だから,今回はジャック7で出場することにしたんです。

4Gamer:
 では,もし今後ガンリュウが登場したとしたら,彼を使いますか? 現時点では追加キャラクターに彼の名前は挙がっていませんけども。

Saint選手:
 もちろんです。ガンリュウが使えるようになったら,自分は2倍強くなりますよ(笑)。

4Gamer:
 それは楽しみです(笑)。では,最後に応援してくれたファンに向けてメッセージをお願いできますか。

Saint選手:
 今大会で優勝できて本当に嬉しいです。応援してくれた友人,そして観客の皆さんに感謝します。これからもこういった大会に参加していきたいので,そのときも今回のように活躍できるよう頑張りたいと思います。 

4Gamer:
 ありがとうございました!

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