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NVIDIA,159ドルのエントリーミドルクラスGPU「GeForce GTX 950」発表。同時発表された「GeForce Experience」のアップデートも要注目だ
NVIDIAは,GTX 950の発表に合わせ,「GeForce Experience」(以下,GFE)への新機能追加もアナウンスしているので,今回はそれらをまとめてお伝えしたい。
第2世代Maxwell「GM206」のカットダウン版を搭載するGTX 950
GTX 950の話をする前に,GeForce GTX 750シリーズについて振り返っておこう。「GeForce GTX 750」(以下,GTX 750)と「GeForce GTX 750 Ti」(以下,GTX 750 Ti)の2モデル展開となった同シリーズは,「GM107」という,第1世代Maxwellアーキテクチャに基づく最初で最後のコアを搭載するGPUだった。
現在のところ,Feature Level 12_0&12_1をサポートできるGeForceは第2世代Maxwellアーキテクチャベースのものに限られることから,DirectX 12に対応したWindows 10のリリースに前後して,エントリーミドルクラス市場向けGPUの刷新があることは容易に想像できたのだが,まさにそれがGTX 950だというわけである。
では何が違うのかだが,GTX 950は,GTX 960から演算ユニットたる「Maxwell Streaming Multiprocessor」(以下,SMM)が2基削減されたものである。
Maxwellアーキテクチャでは,「CUDA Core」と呼ばれるシェーダプロセッサ32基が,スケジューラやロード/ストアユニット,「Special Function Unit」とセットになったパーティションとなり,さらにそれが4基まとまってSMMを構成している。さらに,SMMは4基がセットになって,ラスタライザたる「Raster Engine」と組み合わされ,1つのミニGPUクラスタ「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)となる。
GM206ではこのGPCを2基搭載するのだが,GTX 950の場合,GPCあたりのSMM数が1基ずつ少ない――片方のGPCだけが2基少ない可能性もあるが,そこは情報公開されていないので分からない――というイメージでいい。そのため,SMM数でいえば6基,CUDA Core数でいうと768基というのが,GTX 950の規模となる。GTX 960比では75%,GTX 750 Ti比では120%,GTX 750比では150%と書くと,立ち位置をイメージしやすいだろうか。
SMMあたり8基搭載されるテクスチャユニットは,SMMの削減に伴って順当に減り,GTX 960の64基からGTX 950では48基となった。一方,GPCの数は変わっていないため,GPCあたり16基のROPユニットに変更はない。メモリインタフェースも128bit GDDR5のままだ。
そのほか主なスペックは表にまとめたので,参考にしてもらえればと思う。
4Gamerでは発表に合わせ,GTX 950のテストを行っている。興味のある人は,レビュー記事も合わせてチェックしてもらえれば幸いだ。
「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する
MOBAに対してGeForce Experienceで遅延を自動低減
以上,GTX 950は,この時期に市場投入されるGPUとして,極めて妥当な存在といえ,悪く言えば驚きも新鮮さもなかったりするのだが,それを補うため……かどうか,冒頭でも紹介したとおり,NVIDIAはGFEに対して2つのアップデートを行うと発表している。
Walker氏によると,ユーザーの操作が画面上に反映されるまでの遅延が,GTX 650では80msあるという。これは,下に示したスライドにもあるとおり,ゲームプログラムがフレームを生成してから画面に描画されるまでの間に,Direct Xのパイプラインで最大3フレームの遅延が生じるためである。
ただ,この遅延は,プリレンダフレーム(Pre-rendered frames)――NVIDIAコントロールパネル上の表記だと「レンダリング前最大フレーム数」になっている――数を減らすことによって削減できる。簡単にいうと,設定変更によって,ゲームプレイ時の描画遅延を低減できるのだ。
いままでは,NVIDIAコントロールパネル上から,エンドユーザー側で個別に設定する必要があったこの設定を,GFEの最適化ボタンから自動的に行えるようにした,というのが,今回の発表の要点である。
レンダリング前最大フレーム数を減らすと,副作用で,ゲームタイトルによっては描画がガクガクになってしまうことも起こるのだが,GFEによる自動設定では,NVIDIAのラボで事前検証されたデータを基に,GTX 950というGPUの性能に合わせて「どこまで減らすか」が自動設定されるため,そうした副作用が出にくいという安心感がある。
GFEはもともとマニアのためのものではなく,「グラフィックス設定とかよく分からない」という大多数のゲーマーのためのものなので,その人達に対して遅延低減のメリットがもたらされるというのは歓迎すべきだろう。
なお,ここまでの説明から,対象となるGPUがGTX 950に限定されているように思うかもしれないが,もともとNVIDIAコントロールパネルから誰でも変更できる設定項目である以上,特定のGPUのみが対象というのは考えにくい。たとえばハイエンドGPUを組み合わせたときには,GTX 950の利用時よりもさらにレンダリング前最大フレーム数を減らせるはずだ。その点を聞いてみたところ,Walker氏は,技術的にはGTX 950以外のGPUにも対応できることを認めつつ,「当面はGTX 950における最適化を優先する」と述べていた。
ひとまずは複数のMOBAタイトルとGTX 950用の特典的に訴求され,追って将来的に,ほかのGPUやゲームジャンルにも広がっていくことになるのだろう。
なおこちらは,GTX 950のリリースと合わせてGFEに実装される予定だ。
ストリーミングを使ったゲームの共有や録画をGeForce Experienceでサポート
Twitchでの配信を一度でも行ったことがある人なら,Twitch配信には数秒から数十秒のタイムラグがあるのを知っていると思うが,Streamを使えば,その問題を回避し,特定の1名に対してほぼリアルタイムでゲームを配信可能になる。ShareメニューからURL付きのメールを友人に送ると,受け取った友人は,そのURLを開くことで,プレイ中のゲームをほぼリアルタイムで見ることができるようになるのだ。
しかも,話はそれで終わりではない。「Trine 3: The Artifacts of Power」などのような,1つのゲーム画面を複数のプレイヤーで共有しながら遊べるマルチプレイタイトルであれば,Stream機能で配信を受けている側が,「2P」としてゲームに参加できる。さらに,1人プレイのゲームタイトルでも,Streamで配信を受けている側が,Streamで配信している人に代わって,ゲームをプレイすることができるのだ。
友人とCo-opあるいは対戦で遊んだり,あるいはクリアするのが難しいシーンを,ゲームの上手い友人にクリアしてもらったりということが,Streamから簡単に行えるようになるというわけである。
残念ながら,ShareやStreamは,GTX 950と同時リリースにはならない。9月に予定されているGFEのアップデートで実装される予定とのことだ。どちらも非常に興味深い機能であるだけに,早期にリリースされることを期待したい。
LORD of VERMILION ARENAとの共同キャンペーンも
なおNVIDIAは,GTX 950のリリースに合わせて,GTX 950以上のGPUを搭載するグラフィックスカードおよびゲームPCと,スクウェア・エニックス製MOBA「「LORD of VERMILION ARENA」(以下,LoVA)のコラボレーションキャンペーンを開始することも発表している。
キャンペーンでは,LoVAデザインの製品ボックスを採用したグラフィックスカードと,LoVA推奨のゲームPCに,NVIDIAオリジナルアイテムと,LoVA内で利用できるゲーム内通貨や消費系アイテムをもらえるクーポンコードが付属する予定だそうだ。
今後,GeForce搭載グラフィックスカードやゲームPCの購入を検討しているLoVAプレイヤーは,NVIDIAのパートナーである各社からの発表をチェックしてほしい。
NVIDIAのGeForce製品情報ページ
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