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三菱電機製ディスプレイ「RDT235WX」レビュー。画質と速度の両立を図るWXシリーズの新型は何が変わったのか
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印刷2013/10/05 00:00

レビュー

WXシリーズの最新モデルは何が変わったか

三菱電機 RDT235WX(BK)

Text by 米田 聡


RDT235WX(BK)
メーカー:三菱電機
問い合わせ先:ディスプレイお客様相談窓口 TEL 0120-71-3322(平日9:00〜12:00,13:00〜17:00)
実勢価格:3万7000〜4万500円程度(※2013年10月5日現在)
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 三菱電機のPC用ディスプレイ「Diamondcrysta Wide」で「マルチメディアモデル」と位置づけられるWXシリーズは,必ずしもゲーマー向けモデルとは位置づけられていないものの,応答速度の良好なIPSパネル搭載モデルとして,以前からゲーマーの間で一定の人気を得ている。

 そんなWXシリーズの新モデル「RDT235WX(BK)」「RDT235WX-S(BK)」が,2013年5月に発売となった。23インチワイド,解像度1920×1080ドットでIPS方式の液晶パネルを採用するのは両製品共通で,RDT235WX(BK)はパネル表面がノングレア(非光沢),RDT235WX-S(BK)はグレア(光沢)加工されているのが唯一の違いとなる。
 ディスプレイ内部の処理遅延を低減させる「スルーモード」を有効にし,遅延時間を0.1フレームにまで短縮させても,中間調(Gray-to-Gray)の応答速度をオーバードライブによって短くできるというのがWXシリーズのウリだが,最新世代ではいったい何が新しくなったのか。発売からやや時間が経ってしまったが,今回4GamerではノングレアモデルとなるRDT235WX(BK)(以下,RDT235WX)を入手できたので,テストしていきたいと思う。


従来モデルを踏襲するスタンド周りは

3段階の高さ調整とチルトに対応


基本的には2ピース構成という理解でOKだが,本体とスタンドは取り外せる。些細な点だが,組み立てや持ち運びに便利な取っ手が用意されていて,組み立てや設置はしやすい
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 まずはハードウェアとしてのデザインや使い勝手を見ていこう。
 製品ボックスから取り出したRDT235WXは,一見すると本体と台座の2ピース構造に見えるが,実のところ,スタンド部は別パーツになっていて,あらかじめ本体に取り付けた状態で梱包されているだけだ。つまり,実際には3ピース構造である。

 こういう構造になっているのは,100×100mmのVESAマウント経由でディスプレイアームに取り付けるとき,スタンドが出っ張らないようにする配慮……というのもあるだろうが,第一義的には,高さ調整のためとなる。この仕様はRDT235WXの1世代前モデルにあたる「RDT234WX(BK)」「RDT234WX-S(BK)」(以下,RDT234WX)と共通だが(関連記事),ディスプレイ本体側に,15mm間隔で高さを調整するための穴が設けられており,スタンド部のネジ留め位置を変えることによって,高さを調整できるのだ。

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高さ調節機構に寄ったところ。標準では最も高い位置になる設定になっているので,高さは最大で30mm下げられることになる
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組み上げた状態。スタンド込みでも重量は約4.5kgと軽いのだが,スタンドは金属製で,十分な安定感がある

 こういう仕様なので,使いながら細かく高さを変えるというわけにはいかないが,変えられないよりはずっといい。もっとも,RDT235WXは初期状態でも台座を含めた全高は390mm程度と低めなので,「もう少し高くできるほうがいい」という人はいそうだが。

3段階の高さを比較。左が一番高く,右が一番低い状態だ。一番高い状態でも全高は約390mmで,画面サイズのわりに背は低い
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 このスタンド部にはチルト(前後の傾き)機能があり,−5〜+20度の範囲で無段階に設定できる。本体の全高からしても,どちらかというと,見下ろし気味に使うことが想定されているのだろう。
 なお,形状から想像できると思うが,スタンド部にスイーベル(左右回転)機構は用意されていない。

ディスプレイの角度調整は,チルトのみに対応する。写真は左が−5度,右がプラス20度に設定したところ
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正面から画面を見たところ(左)と,斜めから見たところ(右)。表面がノングレア加工されていることもあって,傾けると段々と白っぽく見えるようになるが,IPSパネルということもあり,視認性は非常に高い
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流行のベゼルレス風デザイン

「フラットサーフェスデザイン」を採用


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あたかもベゼルがないかのようなデザインになっているRDT235WX。液晶パネルの外側に非表示部分がありはするのだが,すっきりした見た目なのは確かだ
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やや気になったのは,額縁がないデザインの影響か,液晶パネル表面に貼られた樹脂製のノングレアシートが,向かって右上部分で少し浮き上がっていたこと。個体の問題なのか,それとも熱による収縮を想定し,余裕を持たせた設計になっているのかは分からないが,耐久性に若干の不安は感じる
 RDT235WXの外観を特徴付けているのが,本体の上と左右でベゼル(bezel,額縁)がなくなったかのようなデザインだ。三菱電機はこれを「フラットサーフェスデザイン」と呼んでいるが,たしかに本体全体は平らな印象を受ける。
 画面にデスクトップを表示させてみると,その薄い額縁と液晶パネルとの間に,実測約12mmの非表示領域が隠れているので,液晶ディスプレイの大きさいっぱいに画面が表示されるわけではない。ただそれでも,ベゼルの存在感がなくなった結果として,すっきりした見た目になっているのは確かだ。

 すっきりした見た目といえば,本体下部に並んだOSDメニュー用の操作系が,RDT234WXの物理ボタンから,「照光式タッチオンキー」と名付けられたタッチセンサーになった点も触れておく必要があるだろう。
 本体前面下部,「MITSUBISHI」ロゴの下には,ヘッドフォン出力用の3.5mmミニピン端子と,タッチセンサー式の電源スイッチが用意されているが,その間もタッチセンサーになっていて,指先で触れるとバックライトが光り,4個のスイッチからなる操作系が目に見えるようになるのである。
 ちょっとしたギミックだが,ここも,すっきりとした平らなイメージの演出に一役買っていると述べていいだろう。

普段は消灯しているため見えないが(左),指先で触れると,タッチセンサー式スイッチ群がバックライトによって浮かび上がる(右)。無操作状態が一定時間続くとまた消灯する仕様だ
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付属の赤外線リモコン。メニュー操作に加えて超解像の調節,映像モード(DV MODE)や入力の切り替えといった機能には専用ボタンがある
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 もっとも,RDT235WXで,タッチセンサー群を使うことはまずないだろう。WXシリーズ,というか三菱電機製ディスプレイ製品伝統の赤外線式リモコンが付属しており,こちらを使ったほうが操作はラクだからだ。

 各機能の詳細は後述するが,リモコンには入力切り替えや超解像の強度の調節,「DV MODE」と呼ばれる映像モードの切り替えや,「スルーモード」の有効化無効化といった,使用頻度が高いと思われる機能の専用ボタンが並んでいる。
 これまで一度も三菱電機製ディスプレイを使ったことがないという場合は,特殊な用語も含め,マニュアルを一度読んで操作方法を学ぶ必要があると思われるが,シリーズを通じてほぼ共通のレイアウトなので,過去に三菱電機製ディスプレイを使ったことがあるなら,とくに違和感なく操作できるだろう。

映像入力系の一覧写真。DVI入力の左には3.5mmミニピン端子の音声入力が,D入力用の横には,RCAプラグのアナログ音声入力が装備されている
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 PCだけでなく据え置き型ゲーム機まで接続する前提に立つと重要な入力インタフェースは,本体背面に下向き,もしくは横向きで,本体正面から見たときの左側半分に用意されている。
 下向きで用意されているのは2chステレオ(3.5mmステレオミニピン)入力,Dual-Link DVI-D入力,アナログRGV(D-Sub 15ピン)の3系統。横向きではHDMI入力,HDMI/MHL排他入力,D入力に,2chステレオ(RCAピン×2)入力の4系統で,2つめのHDMI入力がMHLにも対応したのを除けば,RDT234WXシリーズと同じだ。

付属のMHLケーブル。全長は実測約0.7mと短いので,MHL接続するスマートフォンはディスプレイの近くに置いての運用となるだろう
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 RDT235WXのMHL(Mobile High-definition Link)はバージョン1.2準拠。MHL対応のスマートフォンを接続すると,モバイル端末側の映像を出力できるようになっており,これには「スマホビュー機能」という名が与えられている。
 スマホビュー機能では,全画面,もしくはPinP(Picture-in-Picture,親画面にスマートフォンの画面を重ねて表示),PoutP(Picture-out-Picture,親画面とスマートフォンの画面を重ねずに並べて表示)が可能で,PinP時とPoutP時は“窓”のサイズを調整することもできる。
 実際問題として「スマートフォンやタブレットのゲーム画面をディスプレイに出力したいか」という疑問はあるのだが,まあ,三菱電機としてもゲーム画面ではなく,ビデオなどの映像出力を前提としているのだろう。標準でMHL(USB Micro-B)−HDMIケーブルが付属しているため,別途入手したりすることなく,簡単にMHL接続を利用できるのはいい。

「Xperia A SO-04E」のホームスクリーンを子画面としてPinP表示させた例。子画面はディスプレイ上の4隅に,3段階の大きさで表示させられる。なお,Xperia A SO-04Eでは,縦画面表示は行えなかったが,別途試した「GALAXY Note II SC-02E」だと縦画面表示が可能だったことは付記しておきたい(※縦画面も4隅に置ける)
(C)2010 - 2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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 なお,三菱電機製ディスプレイのマルチメディアモデル伝統として用意される,「品質はともかく,音を聞きたい」人向けの2chステレオスピーカーはRDT235WXにも用意されている。HDMIもしくはアナログミニピンケーブル経由で入力したサウンドを,2W+2Wという仕様のスピーカーから出力可能だ。
 その音は端的に述べて低音不足であるものの,ディスプレイ内蔵スピーカーとして見れば,音質はかなりよいほうだとも言える。オーディオ的な品質を求めなければ,十分使えるレベルと言えるのではなかろうか。
 また,前述のとおりヘッドフォン出力も用意されているので,とりあえず音を鳴らしておきたいという場合には重宝するだろう。


「ギガクリア・エンジンII」や「オーバードライブ」「スルーモード」は従来と変わらず


RDT235WXのOSDメニュー。ギガクリア・エンジンIIの設定などはここから行える。詳細は後ほど
 WXシリーズはRDT233WXで高画質化機能「ギガクリア・エンジンII」を採用し,三菱電機が「新・超解像技術」と呼ぶ超解像技術――エッジ強調のような単純なものではなく,表示されている画像をリアルタイムで解析し,ノイズや肌の色変化,白飛び,黒つぶれなど,生じうる不自然さを抑えながら解像感を向上させられるものだとされている――を利用できるようにしてきた。
 たとえば,現行世代のゲーム機だと,ほとんどの場合,3Dグラフィックスの解像度は1280×720ドット程度なので,1920×1080ドットパネルを採用したRDT235WXに表示させる場合は“引き延ばす”処理が必要になるわけだが,主にこういったケースに効果がある機能だという理解でいいだろう。そんなギガクリア・エンジンIIは,RDT235WXでも変わらず採用されている。

スルーモードはリモコンからオン/オフを切り替え可能
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 また,IPS方式の液晶パネルが持つ「中間調の応答速度が遅い」(≒明るい色と暗い色の中間階調画素の階調を変化させるのに要する時間が長めになり,結果,「変化する前」の画素が残像として残ることがある)という問題に,液晶画素を駆動させるドライバーに対して電圧を一時的に高くかけるオーバードライブ回路で対策するというWXシリーズの特徴も,RDT235WXでは健在だ。
 これまたシリーズ伝統の「オーバードライブチェンジャー」機能により,応答速度は「切」「モード1」「モード2」の3択でカスタマイズできるが,最も短いモード2選択時は,RDT234WXシリーズで最も応答速度の短い3D立体視対応モデル「RDT234WX-3D(BK)」と同じ3.2msを実現できている。これは,RDT234WX-3D(BK)以外のRDT234WXシリーズ比で0.3ms短く,三菱電機製のIPS液晶ディスプレイで最短タイのスペックとなる。

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 そして,なにより重要なことは,RDT234WXから引き続きRDT235WXでも,これらギガクリア・エンジンIIとオーバードライブ回路が,「スルーモード」と併用できることだ。
 スルーモードというのは一般に,ディスプレイへ入力された映像信号を液晶パネルへ出力するときの時間を短縮すべく,映像エンジン上の余計な回路を無効化する(≒信号的にバイパスする)機能で,有効化すると,高画質化機能やオーバードライブ機能は利用できなくなってしまうのが一般的だ。それに対し,RDT235WXであれば,どちらも犠牲にすることなくスルーモードを利用できるというわけである。

 RDT235WXで画質を調整するには,これらのプリセットを選んだうえで,個々の項目を設定していくのだが,この項目が実に豊富だ。超解像処理の設定やシャープネス,3Dノイズリダクション,さらに色あいやオーバードライブなど,たくさんの項目が並ぶ。三菱製ディスプレイでは珍しくない要素なのだが,初めて見た人は,項目の多さに面食らうかもしれない。
 また,「スルーモードでどの機能が無効化されるのか」が一覧で確認できたりはしない。この点は,三菱電機製ディスプレイの伝統的な不親切さといえるが,そろそろなんとかならないものだろうか。

RDT235WXのOSDメニュー。「映像モード」というメニュー以下に「静止画」「動画」「動画(自動)」が用意され(※MHL接続時は「モバイル」も追加される),その下にプリセットが並ぶ構成だ。「動画」の下には「テレビ」「ゲーム」「シネマ」「ネット」というプリセットが並ぶ
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 ちなみに,スルーモード有効時に無効化される設定項目は以下のとおりだ。内部的に自動で切り替えられる関係でメニューには用意されていないが,3次元I/P変換機能(※インタレース映像をプログレッシブ映像に変換する機能)も,スルーモード有効時には機能しないとされている。

  • 「サイズ位置」以下の「画面サイズ」(画面をリサイズする設定)
  • 「画像」メニューの「3次元N/R」(3次元ノイズリダクション設定)
  • 「2画面」メニューの全機能

 もっとも,以上の項目は,PCやゲーム機との接続時にはほとんど関係ない。あえていえば,アナログのインタレース出力しかできないような,非常に古いゲーム機を接続したときに,3次元I/P変換がかからないため,画面がインタレース表示になるとか,ゲームの全画面表示時に2画面表示の子画面で調べ物をしようと思ったらスルーモードを無効化しておかねならないとか,制限らしい制限はその程度だろう。

 なお,ここで「画面サイズ」についての若干の補足を加えておくと,「サイズ位置」メニューにある本機能は,指定した倍率で画面を拡大したり,アスペクト比4:3で入力された映像を全画面表示したりするときの選択項目である。三菱電機によれば,こうした拡大(もしくは縮小)処理はギガクリア・エンジンIIより前のステージで行われる(ため,スルーモード有効時にはバイパスされる)という。
 「720pの入力を超解像処理して全画面表示する」などといった,アスペクト比固定の拡大処理は,ここで言う「画面サイズ」とは別の工程となるため,スルーモード有効時にも機能してくれるわけだ。


■実際の効果を確認してみる

 というわけでここからは,「スルーモードが有効な状態でも機能する映像関連の機能」の実際を確認してみよう。まずは超解像処理だ。
 処理の強度を決める「超解像レベル」は,「0」(オフ)から「100」までの11段階で設定でき,「ゲーム」だと,初期値は30に設定されていた。
 その効果を確かめるため,「Crysis 3」における「CAMPAIGN」モードの開始直後冒頭シーンを1280×720ドット(以下,720p)で出力して全画面表示し,超解像レベルを変えながら写真を撮ってみたのが下の3枚だ。左から超解像レベル「0」「30」「100」となっている。

 ギガクリア・エンジンIIにおける超解像処理は,映像を解析して輪郭部を検出するだけでなく,低解像度の映像を拡大したときに生じるぼやけた部分も推定して,補正を加えることで解像感を増しているという。単にシャープネスを引き上げるのではないため,不自然な輪郭強調にはならないあたりに特徴があるとのことだが,下に示した写真で見ると,確かに,補正効果を強調するような処理にはなっていないことが分かる。同時に,細部の鮮明さが,超解像レベルの引き上げによって上がっていくのも分かるだろう。
 超解像処理された映像に好みの差はあると思われるだけに,万人向けとまでは言わないが,現行世代の据え置き型ゲーム機など,720p以下の解像度で表示されるゲームの映像を出力するときは,超解像レベルを弄ってみると面白そうだ。

左から順に超解像レベル0,30,100の例。サムネイルでは一部を抜き出しているが,これだけでも細部の見栄えに違いが生じていると分かるだろう。詳細はぜひ拡大してチェックしてみてほしい。なお,ここで示しているのはカメラで撮影したものであり,色の出方は考慮していない。あくまでも解像感のみを見比べてもらえればと思う
(C)2011 Electronic Arts Inc. Trademarks belong to their respective owners. All rights reserved.
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 ところで,最近のゲーマー向けディスプレイには,「暗い場面を明るくして敵を見やすくする」と称する機能を備えた製品が増えている。ゲーマー向けに特化したディスプレイではないということもあり,RDT235WXに「一発で輝度やコントラストをゲーム向けに変更する」といった機能は用意されてないが,スルーモードが有効でも機能する機能として,スルーモードが有効なときにも利用できる選択項目「CRO」「Dコントラスト」「ブラックレベル」が用意されている。

OSDメニューの「ゲーム」を一部クローズアップ。CROやDコントラストを調整できる
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 「Contrast Ratio Optimizer」の略称となるCROは,映像の明るさに応じてバックライト輝度を動的に調整し,高コントラストの映像を実現するという機能だ。一方のDコントラストは「ダイナミックコントラスト」の略で,暗い画面を表示するときにコントラスト比を自動調整して,暗部の階調表現を向上させることで,暗がりを明るく浮き立たせる効果があるという。これらも前出のOSDメニューから調整可能だ。

 これらの機能はそれぞれ,OSDメニューから強度を変更できる。そこで,これらを調整することで,ゲーム中の暗がりが見えやすくならないかと試してみたが,結論から先に述べると,効果があったのは黒レベルを変えるブラックレベル設定のみだった。
 CROは強度を上げると暗部を沈み込ませる効果があるようだが、ゲームで「暗がりにいる敵を見やすくする」目的だと逆効果で,むしろ見えにくくなってしまう。一方,Dコントラストは暗がりの階調をはっきりさせる効果があり、ゲームにおいても敵を見やすくする効果が期待できるはずなのだが,実際に試してみると,暗いところの絵の階調が破綻しないように処理されるため,やはり,暗がりが見えやすくなったりはしないのである。あくまでもビデオ再生向けの機能ということなのだろう。

 というわけでブラックレベルだが,ここは実例を見てもらったほうが早そうだ。下に掲載した写真は,ブラックレベルの設定を,「ゲーム」モード時の初期値である「50」と,最大値の「100」に引き上げた状態とで,Crysis 3の画面を撮影したものだ。暗部の表示がだいぶ見やすくなっているのが見て取れると思う。
 とはいえ,画面全体が白っぽくなるので,色の再現性は悪くなる。ゲームによって向き不向きがあるのは否めないところだ。ゲームを起動するたびにいちいちブラックレベルを調整して,終わったら元に戻すというのはなかなか面倒なので,あまり実用的とは言えないかもしれない。

画面をカメラで撮影したものなので,あくまでも相対比較となる点に注意してほしいが,左がデフォルト値となるブラックレベル50の状態で,右が最大となる100の状態(※いずれもサムネイルでは一部にクローズアップしている)。暗い部分の視認性が100設定だとずいぶんと向上している
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 対策としては,RDT235WXには「ゲーム」以外のプリセットが用意されているので,こちらにコントラスト比を調整した「暗部持ち上げたプリセット」を用意するというものが考えられる。汎用のゲーム用プリセットとの間で切り替えるようにすれば,いちいちOSDメニューから設定せずに済むので,まずまず現実的ではなかろうか。


IPSパネル搭載モデルとして,応答速度は良好

遅延レベルも高速なTNパネルに迫る


 以上を踏まえつつ,応答速度と表示遅延をチェックしていきたい。
 本稿の序盤でも触れたとおり,RDT235WXが搭載するIPSパネルの中間調応答速度は,オーバードライブによる最短の状態で3.2msとされている。同1〜2msという,最速クラスのTNパネルより若干劣る程度ということになるが,実際はどうだろうか。

 テストにはMMGames製のテストツール「液晶応答速度&低解像度チェック」(Version 1.30,以降LCDBench)を利用。LCDBenchの「動画のなめらかさ」テストを実行して,移動する円と十字を,カシオ製のハイスピードカメラ「HIGH SPEED EXILIM EX-FH100」(以下,EX-FH100)から240fps設定で録画したビデオデータで比較するという,4Gamerのディスプレイレビューではお馴染みのものを行うことにしている。
 LCDBench側の「解像度」は1920×1080ドット,「色数」は8,応答速度は1msに設定した。

 その結果が下のムービーである。ここでは映像モードを「ゲーム」とし,「オーバードライブチェンジャー」の設定を「オフ」「モード1」「モード2」と切り替えたムービーを合計1分程度にまとめている。スルーモードは当然有効だが,「オフ」と「モード1」では,円の移動に伴う残像感が多少減ったように見えると思う。一方,「モード1」と「モード2」の間に,違いはほとんどないようだ。


 ……と書くと,「RDT235WXはオーバードライブを有効にしても残像感が減らないのか?」と思うかもしれないが,そういうわけではない。むしろ逆で,RDT235WXはオーバードライブが無効な状態でも残像感が少ないため,その違いを認識しにくいのである。
 このムービーだけで「中間調応答速度3.2msのスペックを満たしている」かは断言できないものの,1msで移動する円に残像感があまりないということからも,IPSパネル搭載ディスプレイとして,応答速度が良好であるとは判断してよいように思う。

画面右上に表示されるミニOSDで,内部遅延時間の値を確認できる。三菱電機によれば,「『絶対にその値は上回らない』という,相当にコンサバな値を,設定ごとに表示するようにしてある」とのこと
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 続いては表示遅延だ。
 WXシリーズでは,リモコンの[画面表示]ボタンを押すことで,「現在のディスプレイ状態」を表示できるようになっているのだが,RDT235WXでは,従来モデルに引き続き,ここで現時点の表示遅延がどの程度になっているかを確認できる。三菱電機はこの数字がマーケティング的なものではなく,きちんとした計測に基づいたものだと胸を張っているが,だからといってレビューでその数字を鵜呑みにするわけにもいかない。今回も,4Gamerのディスプレイレビューでお馴染みの比較用リファレンス機であるBenQ製品「XL2410T」と並べて比較してみよう。

 ここでテストに使うアプリケーションは「LCD Delay Checker」(Version 1.4)。Gefen製のDVIスプリッタ「1:2 DVI DL Splitter」(型番:EXT-DVI-142DL)を使い,RDT235WXと比較対象機のXL2410Tに同じ映像を表示。それをEX-FH100の240fps設定でムービー撮影して比較するという流れだ。
 XL2410T側は,最も表示遅延が短くなる設定――画像モードを「FPS」,スルーモードと同じ機能を持つ「インスタントモード」を「オン」――に指定してある。対するRDT235WXでは,リモコンからスルーモードを「切」にした状態と「入」にした状態を用いた。

 下に示したムービーがその結果で,2台並んだディスプレイは左がRDT235WX,右がXL2410T。再生開始後約1分はスルーモードを「切」,次の約1分は「入」にしているが,スルーモードの設定による違いはないと断言してよさそうだ。いずれもXL2410Tに対して0.5フレーム以下の遅れが生じているが,「0.5フレームの遅れで済んでいる」とも言えるだろう。


 では,画面のスケーリング処理が入る720p映像(のフルスクリーン表示)ではどうだろう? 要するに,現行世代の据え置き型ゲーム機を想定したテストとなるが,下に示したムービーを見る限り,遅延状況に1920×1080ドット入力時のとの違いはないようだ。
 前述のとおり,アスペクト比固定での超解像処理であれば,スルーモードでもバイパスされないというのが三菱電機の主張だが,この結果はそれを裏付けるものとなる。



性能面で従来製品からの変わり映えはしないが

ゲーマー向けとして総合点は高い


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 視野角に優れるIPS液晶を採用し超解像機能を備えるという,一見するとビデオ再生系に振った製品に見えるが,IPSパネルを搭載する液晶ディスプレイとしては屈指の低残像感と低遅延を実現している。OSDメニューが煩雑すぎて今ひとつ分かりにくかったり,コントラスト設定周りの面倒くささはあるものの,性能や機能は「ゲームに使うためのディスプレイ」として,大変満足できるものだ。

 ……と,RDT235WXの総評をまとめてみたが,実のところこの結論は,RDT234WXの評価記事からほとんど変わっていない(関連記事)。たしかに中間応答速度は若干短くなったが,液晶ディスプレイの基本スペックは従来モデルとほぼ同一なので,変わりようがないのである。
 そのため,厳しく採点するなら,RDT235WXは,WXシリーズとしての「新しさ」を欠いている。RDT234WX-3D(BK)から立体視機能を省いて,見た目を“今っぽく”変えてきただけといえばそれまでだ。3万7000〜4万500円程度(※2013年10月5日現在)という実勢価格も,まだこなれていない印象が拭えない。

 その意味でRDT235WXは,「RDT234WX-3D(BK)をベースとしたマイナーチェンジモデル」以上でも以下でもないのだが,そもそもRDT234WX-3D(BK)の完成度が高かったので,IPSパネルにこだわってゲーム用の液晶ディスプレイを探しているなら今回もアリだろう。RDT235WXは,そういう製品だ。

RDT235WX 製品情報ページ

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