［TGS 2013］「龍が如く 維新！」では遙とのスローライフやバトルダンジョンまで楽しめる。名越監督や桜庭ななみさんも登場した公開番組の模様をレポート

　2013年9月19日，東京ゲームショウ2013のセガブース内セガスタジオで，「龍が如く 維新！」（PlayStation 4/PlayStation 3）の公開番組が行われた。同作の総合監督である名越稔洋氏とプロデューサーの横山昌義氏，そしてお龍（おりょう）役を演じる女優の桜庭ななみさんが，作品にかける熱い思いを披露した。
　その模様はニコニコ生放送でも配信されたが，本稿では写真を交えつつ，同番組の模様をレポートしていこう。

セガブース内「龍が如く 維新！」エリアの様子。坂本龍馬像と，キャスト勢揃いの巨大ディスプレイが迎えてくれる

総合監督である名越稔洋氏（左）とプロデューサーの横山昌義氏（右）

「龍が如く」をさらにステップアップさせるためのチャレンジ

　番組の開始と共に名越氏と横山氏が登壇すると，まずは物語を紹介するストーリートレイラーが披露された。トレイラーの内容に関してはこちらの記事（関連記事）を参照のこと。
　「龍が如く 維新！」は，「龍が如く」シリーズの最新作であり，歴史スピンオフ作品としては第2弾となる。シリーズ本編では現代の繁華街などがゲームの舞台となっていたが，本作では激動の幕末が描かれる。「龍が如く」シリーズのキャラクター達が，坂本龍馬や近藤 勇，土方歳三といった幕末の英傑となって活躍するという趣向なのだ。


　名越氏は「我々は，たくさんの都市を舞台にした本格的なドラマを作りたいと考えていましたが，全国の大都市を舞台にした『龍が如く5』は，一つの到達点だと思うんです。今回は，そこからさらにステップアップするために，新しい挑戦をしたいなと思いました。『龍が如く 見参！』という時代劇スピンオフを出した際には，もう一度やってほしいというお声もありました。再びスピンオフを手がけることで，我々の成長を感じてもらえるのではないかと思います。今の日本に暮らしているゲームユーザーの方に，何か感じてもらえるものにしたいと願いながら作りました」と，作品に込めた思いを熱く語った。

「龍が如く 維新！」は幕末の京の街が舞台

　脚本を担当している横山氏は「普段は“街”や“世界観”など色々なものからキャラクターを生み出しますが，今回は発想法が違っていて，“坂本龍馬を描く”というところからスタートしています。“桐生一馬というパーソナリティの坂本龍馬がいたら，歴史はこう動いたに違いない”という部分を，思いっきりストレートに描きたいという思いがありました。男達の友情や魂がこもった脚本ができたんじゃないかと思います」と，物語のポイントを解説した。

　実際の制作作業に関しては，「どちらかというと歴史が苦手」な名越氏と，その逆の横山氏が両輪になって進めているという。「歴史を変えてしまうのではなく，事実と事実の合間を埋める」（横山氏）ようなストーリーが展開していくとのことなので，歴史ファンも興味深く遊べそうだ。

これまでにない，新たな“おりょう”像を作り上げる

　続いて，おりょうを演じる女優の桜庭ななみさんがステージに登場した。おりょうといえば，史実における坂本龍馬の妻だ。「龍が如く 維新！」でもヒロインであり，龍馬が定宿とする船宿「寺田屋」の女中として登場し，物語に深く関わる存在として描かれるようだ。

横山氏（左）と，おりょうを演じる女優の桜庭ななみさん（右）

「龍が如く 維新！」のヒロインであるおりょう

　横山氏は「おりょうは色々なドラマや小説で描かれていますが，僕らはそのとおりのおりょうを作るつもりはありませんでした。そして，桐生一馬/坂本龍馬の傍らにいるおりょうを作ろうとする際に浮かんできたのが桜庭さんでした。制作には苦労もありましたが，素晴らしい“オリジナルのおりょう”を作ることができました」と，桜庭さんのおりょうに太鼓判を押した。
　桜庭さんは「私の周囲にも『龍が如く』シリーズのファンがいるので，役が決まったときは思わず自慢してしまったくらいに喜びました。今回，おりょうを演じることができて嬉しいです」と喜びを語っていた。


　ちなみに，横山氏の言う“苦労”とは，桜庭さんが（おりょうが使う）京都弁をしゃべれないことだったという。そのため，「京都弁を耳で聞いて覚えてもらう」（横山氏）ところからのスタートだったそうだ。とはいえ，方言だけが正しくても活きた演技にはならないため，セリフの収録にはかなりの時間がかかったという。

刀と銃を駆使した爽快バトルと「バトルダンジョン」

　おりょう談義に花が咲いたあとは，ゲームシステムや見どころに関する情報が紹介された。
　「龍が如く」といえば激しいバトルがウリの一つだが，「龍が如く 維新！」では，刀と銃を駆使した幕末らしい戦いが展開されるという。
　本作における戦闘スタイルは，一撃必殺の太刀を振るう「一刀の型」，リボルバー式の短銃を撃つ「短銃の型」，己の拳で敵を叩きのめす「格闘の型」，刀と銃を同時に使う「乱舞の型」の4種類が用意されているという。

「龍が如く 維新！」では，刀や銃，拳などさまざまなスタイルで戦うことができるという

　街中での戦いとは別に「バトルダンジョン」というコンテンツも用意されている。仲間にした新選組隊士がカード形式で表現され，カードによってさまざまな特殊効果を得られるという一風変わったルールとなっており，多数の敵を相手に思う存分暴れられるという。ダンジョンを攻略することでレアアイテムを入手したり武器を強化できたりと，やり込み系ゲーマーには楽しみな内容となりそうだ。

少女・遙とのスローライフが楽しめる「アナザーライフ」

　名越氏が「個人的にオススメ」というのが「アナザーライフ」だ。別宅で「遙」という少女と共にスローライフを楽しめるというコンテンツで，野菜の栽培や料理，行商，さらにはペットの飼育までできるという。生活の中で能力がアップしたり，料理で得られた素材が別の局面で役立ったりと，ほかのモードと有機的に連動したものになっているそうだ。

　また，「龍が如く」といえば実在店舗とのコラボレーションも魅力だが，なんと本作でも，「どんきほーて（ドン・キホーテ）」や「はなまるうどん」など，おなじみのお店が幕末風にアレンジされて登場する。


　お楽しみ要素も多数用意されているようで，ステージで公開された動画では，踊りやのど自慢，大砲から放たれる砲弾を居合い斬りする幕末風バッティングセンター（？）などが確認できた。中でも気になったのが舞妓とのジャンケン勝負。いわゆる野球拳かどうかは不明だが，ジャンケンに勝つと「信念」「お龍」「海援隊」など，龍馬の心中を表す（？）らしい文字がグラグラと揺れた向こうから，色っぽい舞妓が姿を現すという演出があった。


　PS Vitaとのクロスプレイに関しても情報が公開された。先述した「バトルダンジョン」や「アナザーライフ」といったコンテンツが，PS Vita上でも楽しめるようになるとのことだ。
　横山氏は「今回は“成長”というものにこだわっていて，RPG色が強く，長く深く遊べる内容になっていると思いますので，今後の情報にも期待していてください」と自信を見せた。


　最後に桜庭さん，横山氏，名越氏が，それぞれファンへのメッセージを語り，イベントを締めくくった。

　「ゲームの中の私である“おりょう”に会いに来てほしいと思います。おりょうは本当に芯が強くて心優しい素敵な女性です。ぜひゲームを楽しみにしていてください」（桜庭さん）

　「色々なものをお見せしたいですが，伝えきれないので，（会場の）シアターを見に来てください。今回はスピンオフとはいえ『龍が如く』が好きな人のための“最高の一本”を作ろうと思っています。ぜひ続報にもご期待ください」（横山氏）

　「今作はシリーズ8作目で，企画段階から含めると10年くらいシリーズを手がけていることになり，個人的にも非常に感慨深いものがあります。来年の2月22日にPS4版とPS3版が同時に発売されますが，買っていただけるならどちらでも嬉しいです」（名越氏）

　「龍が如く 維新！」のトレイラーは，セガブース内のシアターで上映されている。幕末と「龍が如く」の組み合わせに興味がある人は，ぜひチェックしてみよう。

龍馬像の横でポーズを取る桜庭さん

「龍が如く 維新！」エリアには，着物姿の艶やかな女性も

「龍が如く 維新！」公式サイト