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[TGS 2013]「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」の疑問に小島監督が答える。Q&Aセッションで見えてきた新世代のMGSが目指すもの
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印刷2013/09/21 02:13

インタビュー

[TGS 2013]「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」の疑問に小島監督が答える。Q&Aセッションで見えてきた新世代のMGSが目指すもの

KONAMI 小島プロダクションの小島秀夫監督。ちなみに着用している「Grand Theft Auto V」のTシャツは,Rockstar Gamesのスタッフからプレゼントされたものとのこと
画像集#001のサムネイル/[TGS 2013]「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」の疑問に小島監督が答える。Q&Aセッションで見えてきた新世代のMGSが目指すもの
 2013年9月20日,KONAMIは東京ゲームショウ2013にて,小島プロダクションが開発中のステルスアクション「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」(以下,MGSV。PS4 / PS3 / Xbox One / Xbox 360)に関するゲームメディア合同のQ&Aセッションを実施した。
 このセッションは,同タイトルの開発を手がける小島秀夫監督(以下,小島監督)が,メディアからのさまざまな質問に直接答えるというもの。現場での質疑の流れをほぼそのまま踏襲しているので,若干話が前後したりもしているが,以下にその模様をお伝えしよう。


MGSVではゲームデザインを排除している(小島監督)


――本日はよろしくお願いします。まずはTGS 2013初日に公開された,MGSVのプロローグ部分にあたる「GROUND ZEROES」について教えてください。オープニングでは臨場感を出したり,ゲームのヒントを与えたりといった効果を狙う1ショットの演出を使っているとのことですが,MGSV本編も同様なのでしょうか?

小島秀夫監督:
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 本編中のカットシーンはプレイからそのまま1カメでつながり,カットシーンが終わると,またプレイのカメラに戻ります。カットシーンは演出上カット割りしているケースもありますが,ほとんど1カメです。これは1カメに徹底することで,プレイヤーから見るカメラを1つにするためです。けっこうきついですね。

――あえてそこに挑戦していると……。

小島秀夫監督:
 そんな大したもんじゃないですけどね(笑)。でもやってみるとしんどい。

――それは新世代のゲームとしての没入感へのこだわりですか?

小島秀夫監督:
 新世代と言うよりもオープンワールドだからですね。あのオープニングでは,カメラがずっとロードもなく進んでいくというのが,ある意味でオープンワールドの最初の没入感として生きてきます。

――(小島監督の)Twitterでは,「敵のAIが進化して,そのすべてを披露するのが大変」という発言がありましたけれど。

小島秀夫監督:
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 FPSに代表されるリニアなゲーム(編注:一本道のゲーム)は,お化け屋敷のように「レールのここを踏むと敵が出てくる」というポイントがあります。しかし,MGSVの場合はレールがないので,建物などに入る場合,正面だけでなく裏側からも行けますよね。ですから,敵には(進化した)AIが必要になります。
 また,敵の動きはAIに依存しますから,1回発見されてしまうと,プレイヤーは思ったようなカッコいいプレイができなくなります。まあ,まだそこまで高度なAIにはなっていないんですけれども(笑)。

――でも,それは従来のMGSシリーズにはなかった要素ですよね?

小島秀夫監督:
 それがそうでもないんです。たとえば,MGS4はリニアでしたが,スナイパーを攻略するときに,正面から行くだけでなく階段を回って後ろから行くこともできましたよね。MGSVでは,もっと自由度が高くなったわけです。同じシチュエーションであっても,「右から行ってみよう」とか「今度は左から行ってみよう」といった自由があります。

――MGSV本編は1984年,GROUND ZEROESは1975年が舞台ということですが,銃器や兵器など,時代を感じさせるアイテムは登場しますか?

小島秀夫監督:
 もちろん,銃器や兵器は時代考証に沿ったものが登場します。ただ事情により,当時のそのものズバリというわけではなく,MGSVオリジナルのデザインになっています。

――MGSVはオープンワールドと言うことで,いろんなことができますよね。その一方で,任天堂の宮本 茂さんは「ゲームが好きな人は自分で工夫するから,ゲームをどんどん進めてくれる。しかしそうでない人は,工夫をしないのでゲームを難しく感じる」というところが悩みだと言うような発言をされています。

小島秀夫監督:
 たしかに,宮本さんの言うことはそのとおりですが,実はどちらかと言うと,MGSVではゲームデザインを排除しているんです。オープンワールドなので,サバイバルゲームをやっているときのように,プレイヤーはどうすればいいかということを直感的に考え,その結論として行動するようなゲーム作りをしています。
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 ですから,結構シンプルなんですよ。「あるところに人がいる」というから探しに行き,その人を見つけたら救出し,ヘリを呼んで帰ってくる。それだけの話です。したがってゲームデザイン的な,「こういうときはこうしなさい」という部分はなるべくないようにしています。リアルな軍事基地では,通常,車にキーは挿しっぱなしですから,プレイヤーが運転しようと思えばできるけれども,「車に乗って移動しなさい」という指示はしない。そこはプレイヤーが考えて行動するわけです。

――たとえば,少し高いところから飛び降りたら怪我をするとか。

小島秀夫監督:
 そういうことです。ゲームデザイン的にはどこかに線引きがあって,「ここより上から飛び降りると死ぬけれど,それより下ならセーフ」みたいなことがありますが,それはナシにしましょうと。
 とは言え,360度全方位を敵に囲まれている状態では,必ず誰かに見つかります。ですから見つかったときは「ハイスピード」(敵に発見されたときに発動するスローモーション)になり,その間に倒せば,見つかったことをキャンセルできる
 また,リアルにないものはなるべくゲームに入れたくないので,目標などのタグ付けもしたくなかったんですが……,あると便利ですよね。

――なるほど。

小島秀夫監督:
 よく引き合いに出される「Grand Theft Auto」シリーズ(以下,GTA)などと違うのは,MGSVではミッション制を採用していますから,基本的に敵地に潜入し,何かを破壊したり誰かを救出したり,あるいは諜報活動したりと,目的がある程度同じ方向を向いています

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 その中で,どういうルートを取り,そういう行動を取るかをリアルに考えてプレイすると,それがゲームに反映されるわけです。最後には敵地から脱出しないと死んでしまいますから,ヘリを呼ぶわけですが,それを敵地のど真ん中でやると,ヘリを落とされてしまう。安全に帰りたいなら,誰もいない安全なところまで走ったり,車に乗ったりして移動したりしてから,ヘリを呼ぶわけです。
 ある人はすぐに救出成功して脱出できるかもしれませんが,別の人は何度やってもうまくいかないかもしれません。そういった自由度を,MGSVでは追求していこうとしています。

――実は以前,そういった自由度の高いゲームを作っている開発者にインタビューしたとき,「調整すべき要素が多すぎて頭がおかしくなりそうになる」というような旨の発言があったのですが,小島監督はどうですか?

小島秀夫監督:
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 確かに,おかしくなりそうなほど開発は大変です。ただ,今回のGROUND ZEROESに関しては,そうやって苦労して実現した自由度があまり伝わらなかったのか,「今までのMGSと同じじゃないか」と言う反応が多かったんですよね。
 むしろ僕は,「こんなのMGSじゃない」と言われるのが怖かったんですよ。と言うのは,本編はそのくらい広大で自由度が高いからです。天候も時間も変わりますから,馬で移動して目的地に着く頃には,夜になっていることもあります。それをいきなりやると「MGSじゃない! GTAか!」となるので,最初は小さい島の中で展開するGROUND ZEROESで,(MGSVに)慣れてもらいましょうという意図があります。

――それで,GROUND ZEROESと本編を分けたわけですか。

小島秀夫監督:
 はい。ただ,本編を見せると「GTAか!」と言われ,GROUND ZEROESを見せると「今までと変わらない」と言われてしまう。なかなか難しいところですね。


9月21日に,ファンが涙するアホミッションが公開?


――ずっとお話を聞いていると,MGSVは潜入シミュレーションの要素が濃いように思うのですが,寝食などの敵兵の生活などは表現されますか?

小島秀夫監督:
 そこはいつも,何かしらタイムテーブルを入れようと考えるのですが,最終的にはあまり(細かく)表現しても仕方ないと思い直して,最低限に留めています。MGSVでは,自由度の高い中で敵地に潜入し,いかに行動して帰ってくるかを自慢するゲームということを優先しています。それでも,敵が生活しているっぽく見せるようにはしていますけれどね。

――GROUND ZEROESのデモプレイでは,スネークがジャンプしたことに衝撃を覚えました。

小島秀夫監督:
 これまでのMGSシリーズでは,ジャンプが入るとゲームバランスが崩壊する側面があったのですが,さすがにあれだけ屈強なヒーローが,ちょっとの段差のために迂回しなければならない,というのも変な話です。今回オープンワールドとするにあたって,ある程度の高さまでならどこでも行けるようにと,ジャンプを入れました。

――少し特殊だったMGSの操作感を,ある意味,一般的なFPSに近づけたと。

小島秀夫監督:
 MGSVの場合はリアルタイム潜入シミュレーターなので,実際のプレイフィールは結構違いますけれどね。そこはプレゼンだけでは伝わらないでしょう。

――ゲームのリプレイ性についてはどうなっているのでしょう?

小島秀夫監督:
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 たとえば,TGS 2013初日にお見せしたのは「MISSION GROUND ZEROES」というメインミッションですが,同じ地形を使ったパラレルなミッションも,お遊びのような感じで用意しています。TGS 2013の3日目(9月21日)には,MGSファンが涙するアホミッションもお見せします
 また,メインミッション自体にも,RPGでいうところの「お使いクエスト」のようなものが用意されています。そこには,違うルートや行動でクリアするという選択がありますし,あるいは「ノーキル・ノーアラート」で行ってみましょう,というようなチャレンジもあります。
 それはソーシャル要素として,プレイヤー間のランキングと,プレイヤー自身の基地にも反映されます。そういう意味で,何度でも遊べるようにしています。これはオープンワールドだから実現できるわけです。

――なるほど。

小島秀夫監督:
 また,そうやってメインミッションとパラレルミッションをどんどんクリアしていくと,テレビシリーズのドラマのように,話がつながっていきます。プレイヤーの行動によっては,(プレイヤー自身が)見ている部分と見ていない部分が生じますが,それが伏線となり,プレイヤー自身がバラバラの情報を集めていく中で,大きなストーリーが見えるわけです。

――マップはどんな構成になっているんでしょうか?

小島秀夫監督:
 マップは基本的に敵地ですから,自分以外は敵か捕虜だと思ってください。アフガニスタンの場合,村があって基地があって……,ただの川もあるわけです。一般的なオープンワールドゲームでは,そこで(ミッションには)何の関係もないオッサンが釣りをしたりしていますが,MGSVではそういうことはありません。目標を達成して次のミッションを受けるには,1度ヘリで脱出する必要があります。

――GROUND ZEROESのボリュームはどのくらいになるのでしょう?

小島秀夫監督:
 ボリュームは結構ありますけれど,マップ自体は本編と比較すると小さいですよ。本編はメチャクチャでかい。オフィスの壁に作ったマップに,シールを貼っていくんですけれど,いくら貼っても全然終わらない(笑)。

――MGSVのシステムに慣れさせる意味で,GROUND ZEROESだけを先行配信するような施策はお考えでしょうか。

小島秀夫監督:
 今のところはないです。ただGROUND ZEROESは,今までのMGSに慣れている人にはぜひやってほしいですね。逆にGTAなどに慣れている人は,いきなり本編から始めても大丈夫だと思います。

――念のために確認しておきますが,マップの作りきれない部分をDLCで配信したり,あるいは後日アップデートで追加したりということはないですよね。

小島秀夫監督:
 それは考えていません。きちんと作り終えたうえで本編をリリースします。そのあとで,DLCを配信していく計画ならありますけれど。

――ゲーム中に登場する動物の種類はどうでしょう? 今のところ,映像では牛とニワトリが確認できたのですが。

小島秀夫監督:
 本編には結構出ますよ。飼い犬やネズミ,鳥にコヨーテ,スカンク,野うさぎなどがいます。MGS3みたいに捕まえて食べたりは……まあ基地があるんで,なんとなく分かりますよね? ともあれ,その土地に紐づく動物が登場します。


当初は「!」マークも止めようと思った(小島監督)


――(ゲーム中に登場する)ハイテク機器「アイドロイド」についても教えてください。

小島秀夫監督:
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 なるべくユーザーインタフェースを画面上に出したくないと考え,ひとつ階層を持たせるために用意したシステムで,何か押すとヒュっと出てきます。リアルタイムなので,出したからといって時間は止まりません。
 ゲーム中では,マップやマーキング,ヘリの呼び出しがなどがすべてアイドロイドに集約されます。まあ,今のスマートフォンみたいなものですね。ただし,アイドロイドを見ながらは走れません。それをやると,「盗撮しただろ!」と恐喝に遭う(笑)。
編注:スマートフォンを見ながら歩いていた人が,スマートフォンのカメラで「盗撮しただろう」と因縁をつけられ,恐喝されたという事件が最近報道された。それを受けたジョーク。

――そんな時事ネタは(笑)。

小島秀夫監督:
 ともあれ,画面上に常時情報が出ていると言うことはありません。タグ付けは別ですけれどね。
 そう言えば今回,当初は「!」マークも止めようと思ったんですよ。性能の高いゲーム機ですから,見つかったかどうか表情のような曖昧なもので判断させようと。だって,見つかったかどうか分からないほうが,曖昧で怖いわけじゃないですか。しかし,スタッフから「銃も高いしやることも多いし,これではちょっと……」とボロカスに言われてしまったので,今では付けています。オフモードも考えていますけれど

――マップにランドマークのようなものはありますか?

小島秀夫監督:
 作っています。実はアフガニスタン自体,あまりランドマークがなく,どこを走っているか分からなくなるので……。そこがゲームっぽかったりもするんのですが,いちおうランドマークはあります。

――今までのMGSシリーズには,敵兵にバカバカしいところがあって……。

小島秀夫監督:
 ああ,エロ本とか?

――はい。今回もそういった表現はありますか。

小島秀夫監督:
 今回,テーマが「報復」なので避けているんですが,意図せずに出てしまう馬鹿っぽいAIはあります。ただ,段ボールは出したいですね。あれはどのタイトルも真似しないので(笑)。
 基本的には,現実にサバイバルゲームをやっているときに,「そんなことしないだろう」と思うようなことは,なるべく止めようとしています。「平凡パンチ」を置いたら敵が引っかかるというのは,面白いですけどね。ほかに作るものが多いので,リソースの捻出も大変ですし。

――今回,対応プラットフォームが多いですね。

小島秀夫監督:
 今回はPCベースで開発しています。そのためマルチプラットフォーム,マルチジェネレーション,マルチデバイスを実現できました。

――その中でも,次世代機では非常にやれることが増えたと思うのですが。

小島秀夫監督:
こちらは,2013年3月の「Game Developers Conference 2013」で披露された,FOX ENGINEに関するセッションでのスライド。該当記事はこちらに
画像集#008のサムネイル/[TGS 2013]「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」の疑問に小島監督が答える。Q&Aセッションで見えてきた新世代のMGSが目指すもの
 そもそもMGSVは,現行機で開発していました。そのため,グラフィックスの出来がよくなかったので,「FOX ENGINE」を作ったわけです。そういう意味では,次世代機に特化した他社のゲームのほうが,グラフィックス的なクオリティは高いです。
 具体的には,現行機版では(フレームレートが)30fpsまでですけれど,次世代機版は60fpsですし,テクスチャの解像度も高く,ライトの数も多いです。したがって,印象は同じかもしれませんが,次世代機版のほうがかなり綺麗です。

 一方で,ゲーム的には現行機版も次世代機版も,ほぼ同じです。ただし,マルチデバイス対応を含めて,次世代機にしかない機能やサービスを使っている部分はありますので,次世代機版のほうがミッションの奥行きが出ます
 そのため,次世代機版のほうがいいんじゃないかと僕は思うのですが,今回のTGSを見るとどうなんでしょうねえ……。一般メディアで特集されているのは乙女ゲームとスマホアプリじゃないですか。ちょっとヤバイ感じがしてきましたよね。

――たしかに,一般報道は偏りがちかもしれませんね。

小島秀夫監督:
 ゲームメディアの皆さんは分かってくださると思うのですが,僕がやりたいのはその奥にあるものなんですよね。そのために「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」も作りました。そしてMGSVでは,次世代機もSNSもタブレットもつながる。最終的には,その先にあるものを売りとしているわけです。

――それでは逆に,盛り込もうとして泣く泣くそぎ落としたものがあれば教えてください。

小島秀夫監督:
 それは日々,毎日あります。また,そういう話はよく聞かれるのですが,削ってなくなった部分の話をしても仕方がないじゃないですか。仮に例を挙げると,「それ面白いじゃないか。何で削ったんだ」という話になったりもしますし(笑)。
 ……うーん,実は基地に関して,今,普通じゃないことをやろうとしています。今後発表がなければ,うまくいかなかったと思ってください。

――分かりました。楽しみにしています。

小島秀夫監督:
 でも,その前にPS4やXbox Oneが売れてくれないと,僕らはどうしようもありませんよ。

――確かにそうですね。それでは最後の質問になりますが,GROUND ZEROESのデモプレイでは,オセロットの日本語ボイスのヒントとして,「シャーロックとカンバーバッチ」を挙げていましたよね。そうなると必然的に三上 哲さんになるわけですが,起用の理由を教えてください。

小島秀夫監督:
 それはカッコいいからですよ。僕はシャーロック大好きですから。
 まあ,いろんな演技をしていただくなかで,三上さんのちょっと若い感じがいい。英語版ボイスのトロイさんは,すごく男前の声で,実は少し声を潰して演じているんですね。そのテイストに合わせて,三上さんに演じてもらったときに,「これで女性ファン来る!」と(笑)。

――オセロットは深みのある役どころだと思っていたので,若めの声は意外でした。

小島秀夫監督:
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 オセロットは毎回,ボイスを変えているんですよね。また,あまり言うとネタバレになってしまいますが,今回のオセロットの役どころはニュートラルなんですよ。それで三上さんにお願いしたという経緯があります。
 また実は今回,アクターさんが全員海外の方なんで,リップシンクも英語がベースになっています。今,ゲームはそこまでリアルに表現するところまで来ているんですよ。そうなると当然,日本語ボイスがアフレコになりますし,それはスネーク役の大塚明夫さんも例外ではありません。
 そこで,まだ日本語ボイスが完成していない段階でE3 2013を迎えたのですが,現地では「日本語はないのか」と非難されました。ところが今,こうして日本語ボイスを出したら,「英語版だけでいい。ずっと英語で聞いてきたから,違和感がある」と。もう付き合いきれません(笑)。

――そう言えば,GROUND ZEROESのデモプレイでは,MGS1のセリフが多く出てきたように思うのですが,あれは今回だけの仕様ですか?

小島秀夫監督:
 いいところに気付きましたね。まあ,そのうち分かりますよ。

――なるほど。今後のアナウンスに期待しています。ありがとうございました。

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