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Radeon HD 6900
  • AMD
  • 発表日:2010/12/15
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MSI製のHD 6970搭載カード「R6970 Lightning」,「Twin Frozr III」クーラー搭載のフラグシップモデルをいろいろ試す
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印刷2011/05/26 00:00

レビュー

Radeon HD 6970搭載のMSI製フラッグシップグラフィックスカードを試す

MSI R6970 Lightning

Text by 米田 聡


R6970 Lightning
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン Tel 03-5817-3389
実勢価格:3万9000〜4万2000円前後(※2011年5月25日現在)
Radeon HD 6900
 MSIのLightningシリーズは,同社製グラフィックスカードで最上位に位置づけられるブランドだ。メーカーレベルのクロックアップ設定が施されているだけでなく,さらなるオーバークロック設定に堪えられるような基板設計やクーラーの搭載など,いろいろ余裕を持った設計になっているのが大きな特徴となっている。
 そんなLightningシリーズで,GPUに「Radeon HD 6970」(以下,HD 6970)を採用し,「Twin Frozr III」クーラーを搭載する「R6970 Lightning」をMSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンから借り受ける機会が得られたので,今回はカードの仕様やパフォーマンスを見ていきたいと思う。


実測310mmのカード長はPCケースを選ぶ

電源回路に注目のオリジナル基板を採用


Radeon HD 6900
R6970 Lightningは,HD 6970リファレンスカードと比べて一回り大きい印象だ
Radeon HD 6900
R6790の背面。基板の横幅がブラケット部よりも長く,はみ出しているのがわかる
 さっそくR6970 Lightningの外観から見ていこう。
 R6970 Lightning単体かつ,クーラーが付いている前面から見ると分かりにくいかもしれないが,HD 6970リファレンスカードと並べてみれば一目瞭然で,R6970 Lightningがかなり大きいことが分かるだろう。また,背面から見ればよりハッキリと分かるかと思うが,横幅――マザーボードの拡張スロットに差したときの垂直方向――が拡張スロットのブラケットより長くなっている。

 R6970 Lightningの横幅は,PCI Expressインタフェース部を除いた実測値で117mmとなっており,HD 6970リファレンスカードより27mm長くなっている。そのうえ,補助電源コネクタは,マザーボードに差したとき垂直方向を向くように取り付けられているため,実使用時はカードの横幅以上に幅を取るのだ。

基板よりも長い大型クーラー。カード長はクーラー込みで310mmと長い
Radeon HD 6900
 ちなみにカード長は実測約310mm(※突起部除く)。基板自体の長さは同280mmで,HD 6970リファレンスカードの同273mmから7mm長いだけなのだが,Twin Frozr IIIクーラーがカード後方に向かって30mmせり出しているため,300mm超えとなってしまっている。横幅だけでなく,カード長の観点からも,かなりPCケースを選ぶものとなってしまっているので,この点は注意が必要だろう。

8ピンのPCI Express補助電源コネクタを2つ備え,6ピン×1+8ピン×1仕様となるHD 6970リファレンスカードより75W多く電源供給が可能。6ピンコネクタを8ピンに変換するケーブルが2つ付属するので,6ピンコネクタだけの電源ユニットでも使えないことはない
Radeon HD 6900 Radeon HD 6900

 Twin Frozr IIIの話が出たので続けると,本クーラーは,2基のファンを搭載するデザインを初代Twin Frozrから引き続きつつも,搭載ファンが「プロペラブレードファン」に変更されたことで,サイズが80mm角相当から90mm角相当に大型化し,冷却性能も向上しているという。

 GPUクーラーの取り外しは保証外の行為であり,取り外した時点で保証を受けられなくなるが,今回はレビューということで取り外してみよう。
 外観だけでもヒートパイプを採用したクーラーだというのは見て取れるTwin Frozr IIIだが,取り外してみると,GPUとクーラーの接触面から大型のフィンに向かって,5mm径のヒートパイプが合計5本伸びていると分かる。3本はPCI Expressインタフェース側,2本はその逆側を回るようになっているのも特徴といえそうだ。

 また,電源部やメモリチップが大型のヒートスプレッダで覆われているのも目を引くところである。形状からすると,スタビライザーも兼ねているのだろう。

Radeon HD 6900
クーラーを取り外したところ。Twin Frozr IIIクーラーのヒートパイプやヒートシンク形状が分かると共に,ヒートスプレッダで覆われた基板部も印象的だ
Radeon HD 6900
R6970 Lightningが搭載しているTwin Frozr IIIクーラー。5本のヒートパイプは,GPUダイと触れる部分から,ヒートシンクの横を這うように引き出されている

Radeon HD 6900
ヒートスプレッダを取り外すと基板が現れる
Radeon HD 6900
カード背面に配置されているLED。使われているフェーズ数によって発色が変動する仕様だ
 ヒートスプレッダを取り外すとまず目に飛び込んでくるのは,部品がずらっと並んだ電源部だ。
 電源部は18フェーズの回路構成が採用され,負荷に応じて使用するフェーズ数を動的に変える仕様になっていると,MSIはその作り込みをアピールしている。

 ただ,実際に数を数えてみると,メインの電源回路は14+3フェーズ。おそらく14フェーズがGPU用,3フェーズがメモリチップ用で,残る1フェーズは別の場所でほかのコンポーネント用に使われているということなのだろう。
 実際,基板の背面には,使われているフェーズ数に応じて光るLEDインジケータが14個並んでいたので,動的に制御されるのはGPU用の14フェーズという理解でよさそうだ。

Radeon HD 6900
電源回路部を見る限り,17フェーズのように見えるが,MSIでは18フェーズとしている
Radeon HD 6900
VRMコントローラはuPI Semiconductors製「uP6218AM」。MSI製品ではよく採用されている

 なお,搭載されるR6970 Lightningの動作クロックは,コアが940MHz,メモリが5500MHz相当(実クロックが1375MHz)。HD 6970リファレンスカードと比べ,コアクロックのみ60MHz引き上げられた計算になる。
 搭載するメモリチップはHynix Semiconductor製「H5GQ2H24MFR-R0C」(GDDR5)の6Gbps品。動作に500MHzの余裕があることになる。

R6970 Lightningが搭載するHD 6970 GPUとGDDR5メモリチップ。メモリチップは2Gbit品なので,8枚で容量2GBとなる
Radeon HD 6900 Radeon HD 6900

背面に4つある「NEC TOKIN」と記されたICチップのような部品がNECトーキン製デカップリングデバイスだ
Radeon HD 6900
 ところで,電源回路部の写真を紹介したときに気づいた人もいるかと思うが,R6970 Lightningは,MSI独自の品質基準「Military Class II」に準拠し,固体ポリマー電解コンデンサ(Hi-c CAP:Highly Conductive Capacitor)やSFC(Super Ferrite Choke),アルミ固体電解コンデンサ(Solid Capacitor)を採用している。
 またこれらに加え,「0D108」と刻印されたNECトーキン製のデカップリングデバイス「プロードライザ」をカード背面に4基搭載しているのも,R6970 Lightningの大きな特徴だ。
 プロードライザは,広周波数帯域において高いノイズ吸収性を発揮し,安定した電流供給ができるとされるもの。一般的なデカップリングデバイスに比べ,低くフラットなインピーダンス特性を持ち,設置面積を取らないのがメリットとされている。

基板背面に備えられているBIOS切り換えスイッチ。向かって左がSilence設定,中央がPerformance設定となっている
Radeon HD 6900
 もう1つ,R6970 Lightningの基板背面をよく見てみると,CrossFireXインタフェースの横にスライド式スイッチを備えていることに気づくだろう。このスイッチは,HD 6970リファレンスカードが備えているBIOSの切り替えを独自にカスタマイズした機構。「Performance」と「Silence」とが選択でき,同社のオーバークロックツール「Afterburner」で設定できる動作クロックや電圧設定の幅が変わる仕様となっている。設定を切り替えて使えるわけではなく,あくまで設定できるクロック幅が変わるだけという点に注意したい。PerformanceとSilence設定のそれぞれで選択できる動作クロックや電圧設定の範囲は以下のとおりだ。

●Performance設定時
  • コア電圧:800〜1350mV(標準は1174mV)
  • コアクロック:470〜1695MHz(標準は940MHz)
  • メモリクロック:2740〜7160MHz相当(標準は1375MHz)

●Silence設定時
  • コア電圧:Performance設定時と同じ
  • コアクロック:470〜1200MHz
  • メモリクロック:2740〜5500MHz相当

外部出力インタフェースはDual-Link DVI-I×1,Single-Link DVI-I×1,Mini DisplayPort×2,HDMI×1とリファレンスどおり
Radeon HD 6900
 Silenceという名称からファンの回転数制御も変わるのでは? と思い,「3DMark 11」を実行させつつ,ファンの回転数の変化を追ってみたが,設定とファンの回転数制御との間に関連性はなく,どちらも同じ動作音になった。また,R6970 Lightningは,基板上に,搭載コンポーネント各部の電圧をテスターでチェックできるよう,テスター接続端子「V-Check Point」が用意されているのだが,それを利用して測定してみても,設定による違いはなし。あくまでも,クロック設定の上限値のみが変わるという考えでよさそうだ。
 なお,BIOSの切り替えスイッチは,基板の裏から見て左がSilence,中央がPerformanceとなっている。何も書かれていない右も選べるが,ここを選ぶとPCが起動しなくなってしまったので,この設定は選ばないようにしよう。

 オーバークロックの話は後ほど行うが,一般的な環境でPerformance設定の上限値にすることはまず不可能といっても過言ではない。つまり,BIOSの設定はどちらを選んでも問題ないというわけだ。Performance設定は,ガス冷など,エクストリームなオーバークロッカー向けという理解で問題なさそうである。


気になるOC耐性を検証

コア電圧の変更なしで1GHz駆動を達成


 カードを一通り概観したところで,R6970 Lightningのテストを行ってみたい。テスト環境はのとおりで,テスト開始時期の都合上,グラフィックスドライバは「Catalyst 11.4」となる。また,テストシステムはバラック状態に置いてあることも,あらかじめお断りしておきたい。


 R6790 Lightningで注目したいのは,リファレンスよりコアクロックが40MHz高い状態から,常用を想定したとき,どの程度までクロックを引き上げられるのか,だ。
独自オーバークロックツール「Afterburner」。本稿では,最新版となる2.1.0を用いた
Radeon HD 6900
 今回は,MSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 2.1.0)を用いて,まずコアクロックの引き上げを行い,そこからさらにメモリクロックも引き上げていくという方法でオーバークロックを試みる。テストにあたっては,まず「3DMark 11」の「Performance」「Extreme」両プリセットが安定して動作するのを確認。その後,4Gamerのベンチマークレギュレーション 10.2から,「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)と「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2)を,1680×1050・1920×1200・2560×1440ドット,「標準設定/低負荷設定」「高負荷設定」にて実行する。3DMark 11の2パターンに加え,STALKER CoPとBFBC2の6パターン,合計8パターンのテストが問題なく完走した時点で,「安定動作」したと判断することにした次第だ。

 というわけで,結果を述べていこう。まず,コアクロックだけなら,コア電圧の変更なしに1GHzで安定動作した。

 では,コア電圧を引き上げるとどうかだが,Twin Frozr IIIを組み合わせた空冷を行う限り,コア電圧とオーバークロックマージンはあまり連動しない。コア電圧は,カードの定格だと1.174Vのところ,1.25Vまで引き上げてみたが,それでもコアクロックは1025MHzまでしか上がらなかった。コア電圧&クロックとも,これより高い設定を行うと,安定動作しなくなる。
 しかも,この「1.25V+1025MHz」時は,ファン回転数設定を80%に固定しないと,STALKER CoPが完走しなかった。80%というファン回転数はさすがにうるさく,常用するのは相当厳しい印象だ。

Radeon HD 6900
 続いてはメモリクロックである。6Gbps品のメモリチップを搭載しているので,メモリクロックは6000MHz相当(実クロック1500MHz)まで上げられるマージンが用意されていることになるが,実際に試した限り,6000MHz相当での安定動作は無理。今回試した個体では,5960MHz(実クロック1490MHz)が上限だった。

 面白いのは,コアクロックが1000MHzを少しでも超えると,メモリクロックの上限値ががくっと下がること。具体的に述べると,5600MHz相当(実クロック1400MHz)以下に落とさないと,STALKER CoPが完走しなくなった。
 HD 6970においてGPUとメモリのクロックは非同期なので,両者に直接的な関係はないはずだ。カードやGPU側の動作限界に近づくと,メモリのリード/ライトタイミングに影響が出て,上限が低くなるということなのかもしれない。

 以上の結果からするに,今回の個体における空冷時の安定動作限界は,コアクロック1000MHz,メモリクロック5960MHz相当と見るべきだろう。

※注意
GPUのオーバークロックは,GPUやグラフィックスカードメーカーの保証外となる行為です。最悪の場合,グラフィックスカードの“寿命”を著しく縮めたり,壊してしまったりする危険がありますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。本稿を参考にしてオーバークロックを試みた結果,何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者および4Gamer編集部も一切の責任を負いません。

 テストは,R6970 Lightningをコアクロック1000MHzかつメモリクロック5960MHz相当(実クロック1490MHz)にオーバークロックした状態,R6970 Lightningの定格(コアクロック940MHz)状態,リファレンスモデルのHD 6970(コアクロック880MHz)といった3項目で行ったが,グラフ内のスペース上の問題で,それぞれ順にR6970(1000MHz),R6970(940MHz),HD 6970(880MHz)と記載している点をお断りしておきたい。

 新顔のGPUを搭載するというわけではないので,それぞれのスコアに対する個別の評価は割愛するが,基本的には,いずれのテストもコアクロックに応じてスコアが素直に伸びている結果だ。STALKER CoPの「SunShafts」における高負荷設定だけはR6970 Lightningの定格とHD 6970とで差がほとんどないが,これはメモリ負荷が極端に大きためと思われる。

Radeon HD 6900
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 グラフ8は,PCの起動後30分放置した時点を「アイドル時」として,アプリケーションを実行したとき,最も消費電力の高かった時点ともども,ログの取得が可能なワットチェッカ「Watts up? PRO」で計測した結果となる。アイドル時は自動的に動作クロックが下がるため,テスト対象の3項目に違いはないが,動作クロックを引き上げると,相応に消費電力は上がるのが見て取れるだろう。

Radeon HD 6900


リファレンス比で20℃低い冷却力の高さ

ファンの騒音も気にならないレベル


Radeon HD 6900
 最後に,Twin Frozr IIIクーラーの冷却能力と動作音をチェックしておこう。ここでは,カードの定格クロックで動作するR6970 Lightningと,HD 6970リファレンスカードで,クーラーの冷却能力を比較してみたい。
 テストは,室温22℃の環境で3DMark 11のExtremeを30分実行し,その間のGPUの温度とファン回転数の変化をAfterburnerのログで記録すると言う方法で行った。

 結果は下に記したグラフ9のとおり。GPU温度は,R6970 Lightningがピーク温度が64℃となっているのに対し,HD 6970リファレンスカードでは80℃以上となっている。さらに,温度の推移に注目して見ると,R6970 Lightningがおおむね一定であるのに対して,HD 6970リファレンスカードでは右肩上がりの傾向である。

Radeon HD 6900

 ピーク時のファン回転数設定は,R6970 Lightningが48%,HD 6970リファレンスカードが37%。ただし,最大回転数が異なるため,当然,実際の回転数は異なる。パルスセンサー読みなので,信頼度はあまり高くないとお断りしつつ続けると,回転数は前者が最大1950rpmなのに対し,後者は最大2100rpmといった具合だった。

 では,実際のところどの程度の動作音なのか。カードから約25cm離れた場所にマイクを設置して,ファンの動作音を録音してみたので,ぜひ聞き比べてみてほしい。
 アイドル時の騒音レベルにはあまり差がないものの,高負荷時にR6970 Lightningのほうが静かなのは明らかだろう。

R6970 Lightningの動作音
音声ファイルを再生する

アイドル時(0〜14秒)は非常に静か。高負荷時(15〜30秒)は風切り音がやや大きくなるが,低い周波数の音なのでPCケース内に入れればあまり気にならないだろう


HD 6970リファレンスカードの動作音
音声ファイルを再生する

こちらもアイドル時(0〜14秒)は静かだが,高負荷時(15〜30秒)になると高音が混ざり,騒音レベル自体もR6970 Lightningより高くなる



標準よりも上を目指せる仕様

性能重視のHD 6970カードとしてはアリ


R6970 Lightningの製品ボックス
Radeon HD 6900
 R6970 Lightningの実勢価格は3万9000〜4万2000円程度(※2011年5月25日現在)。リファレンスクロックを採用したHD 6970カードだと3万〜3万6000円程度(※同)なので,搭載されている“物量”を踏まえるに,極端な割高感はない印象である。
 空冷での常用を大前提とする場合には,そもそもカードの定格クロックがリファレンスと比べて劇的に高いわけではないとか,オーバークロックマージンもそれほどあるわけではないとか,その割にカードが大きすぎるとかいったマイナスポイントも確かにある。しかし,信頼性の高い部品がふんだんに使われ,かつ,動作音も静かというのは,ハイエンドのグラフィックスカードを長く使いたい場合に大きなメリットとなる部分だ。

 夏に向けて,安心して使えるハイエンドグラフィックスカードを探しているなら,選択肢に入れるべき製品だといえる。

R6970 Lightningの製品情報ページ


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