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GPUによるディープラーニングに注力するNVIDIA。その最新事情が披露された「GTC Japan 2015」基調講演レポート
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印刷2015/09/25 17:16

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GPUによるディープラーニングに注力するNVIDIA。その最新事情が披露された「GTC Japan 2015」基調講演レポート

Quadro & Tesla
 去る2015年9月18日,NVIDIAは,東京・虎ノ門ヒルズにて,GPUコンピューティングをテーマにした開発者向けイベント「GPU Technology Conference Japan 2015」(以下,GTCJ 2015)を開催した。毎年恒例のイベントだが,2015年のテーマは「ディープラーニング」(深層学習)だ。ゲームとはあまり縁がないのだが,GPUの有力な応用事例として注目が集まっている話題だ。
 そこで本稿では,GTCJ 2015で披露されたディープラーニングに対するNVIDIAの取り組みを簡単にまとめてみたい。


ディープラーニングへの取り組みをアピールしたNVIDIA


 2015年3月に米国サンノゼで行われた「GPU Technology Conference 2015」(以下,GTC 2015)では,NVIDIAの社長兼CEOであるJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏が,基調講演で同社によるディープラーニングへの取り組みを説明したことがあった(関連記事)。GPUの有力な応用事例としてディープラーニングが急浮上しているのは確かで,NVIDIAにとっては,グラフィックスとHPCに続く,第3のGPU市場というわけだ。
 GTCJ 2015もまた,基調講演から技術セッションまでディープラーニング一色という内容で,NVIDIAの本気具合が窺える。

Marc Hamilton氏(Vice President,Solutions Architecture and Engineering,NVIDIA)
 そんなGTCJ 2015の基調講演を務めたのは,米NVIDIAでHPC部門を統括する副社長,Marc Hamilton(マーク・ハミルトン)氏だ。
 Hamilton氏が語ったテーマは大きく分けて以下の4点である。いずれも目新しい話題はなかったが,それぞれのテーマでゲストが登壇して,利点や技術をアピールする形式で進められた。

  • GPU仮想化ソリューション「NVIDIA GRID」による「HPCの可視化」
  • ディープラーニング
  • 車載コンピューティング
  • HPC分野におけるGPUの将来

「NVIDIA GRID」の話題で,ゲストとして登壇した青木尊之教授(左写真,東京工業大学学術国債情報センター副センター長)は,同校のスーパーコンピューター「TSUBAME 2.5」におけるNVIDIA GRID K2を使ったVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の活用例を紹介した
Quadro & Tesla

 とくに時間が割かれたテーマは,やはりディープラーニングだ。NVIDIAは,同社製GPUを用いたディープラーニング向けライブラリ「cuDNN」や,ミドルウェアの「DIGITS」を配布しており,今回の基調講演では,DIGITSを使ったリアルタイムデモが披露された。
 また,cuDNNは今後さらに開発を進めて,「Recurrent Neural Network」(以下,RNN)のサポートが計画されていることも明らかにされた。RNNとは,ニューラルネットワークモデルの1つで,時間の経過によってデータが変化していく「時系列データ」の学習に対する応用が可能とされているものだ。

Quadro & Tesla
Google検索でヒットした車の写真(上)を学習して車種を見分けるという,DIGITSによるリアルタイムデモが披露された。デモ機には「Tesla K40」が2基搭載されており,学習中のGPU負荷が表示されている(左下)。学習後には,学習した画像のほとんどがスポーツカーであると正しく判断していた(右下)
Quadro & Tesla Quadro & Tesla

DRIVE PXを掲げるDanny Shapiro氏(Director,Automotive Business Unit,NVIDIA)
Quadro & Tesla
 続いて,車載コンピューティングの話題を解説したのは,NVIDIAでオートモーティブ部門を統括するDanny Shapiro(ダニー・シャピロ)氏である。
 NVIDIAでは,自動運転車の実現に向けた取り組みとして,ディープラーニングを活用するソリューションを提案しており,同社製SoC(System-on-a-Chip)である「Tegra X1」×2を採用した自動車用コンピュータシステムの開発キット「DRIVE PX」を,自動車メーカーや研究機関向けに提供中だ。
 Shapiro氏によると,ディープラーニングによって,周囲を走る車の種類や環境などを認識することが可能になり,状況に応じた自動運転が実現できるという。

写真は,2015年1月の2015 International CESで披露された自動運転デモの様子。車載カメラで捉えた映像から,周囲の車種を認識している。この時点では,まだ学習が十分ではないのか,認識精度はそれほど高いものではなかったが,2015年3月のGTC 2015では,より高い精度で車種を見分けていた
Quadro & Tesla

 さらにShapiro氏は,GPUを自動車の設計に応用する例も紹介した。講演で披露されたのは,ホンダで利用されている衝突シミュレーションの様子で,実車による衝突実験と,パッと見では見分けが付かないほど精密な衝突シミュレーションがGPUで実現できているそうだ。このデモには,正直驚かされた。「GPUによって,コンピュータ上で自動車の設計が行えるようになりつつある」とShapiro氏が主張するのも頷ける。

2枚のスライドともに,左側が実車による衝突実験で,右側がGPUを使った構造計算によるシミュレーションによる再現だ。実車と区別できないほど,正確に衝突をシミュレーションできている
Quadro & Tesla
Quadro & Tesla

 基調講演の締めくくりには,NVIDIA GPUのロードマップも簡単に紹介された。といっても,内容は3月のGTC 2015からまったく変わっておらず,2016年に「Pascal」,2017〜2018年頃に「Volta」が出る予定となっている。

披露されたGPUロードマップ。とくに目新しい情報はない
Quadro & Tesla

 Hamilton氏は,2016年に登場するPascalは,HPCやディープラーニング用途での性能を,さらに向上させられる設計になっていると強調する。その理由として,氏が挙げたのが,Pascalには倍精度浮動小数点演算ユニットが組み込まれるという点だ。NVIDIA GPUに倍精度浮動小数点演算ユニットが組み込まれるのはKepler世代の「GK110」シリーズ――GeForceでいうなら「GeForce GTX TITAN」シリーズ――以来であり,これは大きなトピックだろう。
 さらに,メモリ帯域幅を劇的に拡大させる3Dメモリの採用や,GPU間の高速インターリンク技術「NVLink」なども,ディープラーニングの性能を向上させる鍵になる技術であると,Hamilton氏はアピールしていた。

Pascalで導入される大きな特徴。倍精度演算対応,メモリ帯域幅の拡大のほか,NVLinkなどが挙げられている
Quadro & Tesla

 そしてPascalの先に見えるのが「Volta」だ。最後のゲストとして登壇した,IBMの日本法人である日本アイ・ビー・エム(以下,IBM)の朝海 孝氏は,NVIDIAとIBMが共同開発を進めているVoltaの応用事例を簡単に紹介した。
 米国が進めるスーパーコンピュータ開発プロジェクト「CORAL」がVoltaを採用するというのは,2014年12月に報じたとおり。CORALで開発されるシステムの1つであるオークリッジ国立研究所の「Summit」は,VoltaとIBM製のCPUである「Power 9」プロセッサの組み合わせによって,ピーク性能で300PFLOPSの演算性能を持つシステムを2017年に実現するとのことだ。

登壇した日本IBMの朝海 孝氏(ハイエンドシステム事業部理事,日本アイ・ビー・エム)は,CORALプロジェクトで構築される「Summit」と「Sierra」という2つのシステムを紹介した。どちらもVoltaとPower 9で構築される予定。ちなみに,Summitの予算は400億円程度とのこと
Quadro & Tesla

 PascalやVoltaに関する新情報が皆無だったのは残念だが,Pascalが倍精度浮動小数点演算ユニットを組み込んで2016年に登場するという情報を,再確認できたのは,収穫といえば収穫かもしれない。


NVIDIAとPreferred Networksがディープラーニングで提携


Preferred Networks代表取締役社長兼CEOの西川 徹氏(左)と,NVIDIA日本代表の大崎真孝氏(右)
 今回のGTCJ2015に合わせて,ディープラーニングのビジネス活用を目指すベンチャー企業のPreferred Networksと,NVIDIAの提携が発表されている。基調講演後に行われた報道関係者向け説明会でも,NVIDIAの日本代表兼米国本社副社長の大崎真孝氏と,Preferred Networks代表取締役社長の西川 徹氏により,両社の提携に関する説明が行われた。
 ちなみに,Preferred Networksは,Preferred Infrastructuresという企業からスピンアウトした企業で,「Chainer」というディープラーニングのフレームワークをオープンソースとして公開している。このChainerが,時系列データの学習をサポートできるフレームワークとして注目を集めているということだ。

 自社開発によるcuDNNとDIGITS,そして今回の提携によるChainerなど,わずか1年ほどで,NVIDIAは,GPUによるディープラーニングの開発環境を整えつつある。同社が,GPUの新たな応用分野として,ディープラーニングに相当に力を入れていることが明確に表れているわけだ。
 実際,GPUのデータ並列アーキテクチャとニューラルネットワークは,比較的相性がいい。ディープラーニングのプラットフォームとしてGPUが使われるのは,その意味でも自然なことだろう。

 ただ,NVIDIAが期待するように,ディープラーニングが幅広い分野に浸透した頃には,GPUに代わって,ディープラーニングに特化した専用ハードウェア,たとえば「ニューラルネットワークプロセッサ」のようなものが,登場してこないとも限らない。もし,そうなると,ディープラーニングに向けたNVIDIAの投資は,結果として無駄になる恐れもあると,筆者は見ている。答えが出るのは,何年も先になるだろうが。

 いずれにしても,PascalにVoltaといった2016年以降のGPUにおいても,ディープラーニングがトピックとして語られていくことは間違いなさそうだ。GPUの未来に注目している人は,ディープラーニングの動向にも気を配っておくと,いいのではないだろうか。

GTC Japan 2015 公式Webサイト

NVIDIA 公式Webサイト


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