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MSI「GS73VR 6RF Stealth Pro」レビュー。薄型筐体にGTX 1060搭載のノートPC,その性能と発熱をチェックする
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印刷2016/10/31 22:05

レビュー

薄型筐体にGTX 1060搭載のノートPC,その性能と発熱をチェックする

GS73VR 6RF Stealth Pro
(GS73VR 6RF-002JP)

Text by 米田 聡


GS73VR 6RF Stealth Pro(GS73VR 6RF-002JP)
メーカー:MSI
問い合わせ先:supportjp@msi.com
実勢価格:24万円前後(税込,※2016年10月31日現在)
G Series
 「デスクトップ版GPUとほぼ同等」のスペックを持つとされるノートPC向けGeForce GTX 10シリーズが発表となりしばらく経ったが,MSIは,新世代GPUの採用に積極的なメーカーの一社だ。

 今回4Gamerでは,そんなMSIのゲーマー向け製品ブランド「G Series」に属する「GeForce GTX 1060」(以下,GTX 1060)搭載ノートPC「GS73VR 6RF Stealth Pro」(GS73VR 6RF-002JP,以下 GS73VR 6RF)を,同社の日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンから入手できた。製品名にまで「VR」が入り,VR(Virtual Reality,仮想現実)を強く意識したモデルの,ゲーマー向けノートPCとしての使い勝手を,今回も例によってねちねちと検証してみよう。


VR Readyを謳う薄型ノートは入力周りが充実


 最初に基本的なことを確認しておくと,GS73VR 6RFは,17.3インチワイド液晶ディスプレイを搭載し,筐体の厚さは20mm以下という,MSI製のゲーマー向け薄型ノートPCシリーズであるGS7x Stealthシリーズの最新機種だ(関連記事)。

GS73VR 6RF
G Series

 国内ラインナップは表1のとおり3製品。メインメモリ容量と,システムドライブであるNVM Express(PCI Express 3.0 x4)接続型SSDの容量が異なっている。今回入手したのは冒頭で紹介したとおり「002JP」モデルなので,メインメモリはPC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2,ストレージ容量は128GBということになる。
 ちなみに入手した個体でデバイスマネージャから確認したところ,搭載するSSDはSamsung Electronics製の「SM951」(MZVPV128HDGM)だった。


 GS73VR 6RFの実測サイズは,410(W)×286(D)×14〜20(H)mm。17.3インチ液晶パネルを採用するだけにフットプリントは大きく,天板を閉じた状態は「大きな薄っぺらい板」といった佇まいである。 なお,薄さを重視した結果として,光学ドライブは内蔵していない。

前面:手前側の厚さは14mmしかない(上)。右側に並ぶLEDインジケーターは,左から電源,ストレージ,Num Lock,Caps Lock,Bluetooth,無線LAN,バッテリーの状態を示す(下)
G Series
G Series

背面:後ろ側にインタフェース類はなく,排気用のスリットが大部分を占めている
G Series

左側面:インタフェース類が並ぶ。左から有線LAN端子,SDカードスロット,USB 3.0 Type-A×3,3.5mmミニピンのヘッドフォン出力(光デジタル出力兼用)とマイク入力となっている
G Series

右側面:中央付近にインタフェース類が固まって配置されていた。左からUSB 2.0 Type-A,Thunderbolt 3(USB Type-C),HDMI 2.0出力,mini DisplayPort 1.4出力,電源入力という並びだ
G Series

 本体はブラック塗装のアルミニウム合金製ボディとなっており,キーボード(ユニット)と一体化したトップサーフェス部はヘアライン加工済み。天板はつや消しブラックで,左右中央,天板部を開けたときの上寄りに,MSIロゴとG Seriesロゴマークが並んでいる。
 トップサーフェス部分は手指の指紋汚れがやや目立ちやすいものの,物としての質感は上々だ。

なかなか質感が良い製品だが,ヘアライン仕上げのキーボード面に指紋が残りやすいのが気になるところか
G Series G Series

 重量は実測で2.42kgと,17.3インチ級のノートPCとしては軽いほうだが,ACアダプターも持ち運ぶとなると,3kgを軽く超える。少なくとも日本においては,「必要なときに持ち出せるデスクノート」的な重量感だと認識するのが正解だろう。

付属の専用ACアダプター。サイズは155(W)×76(D)×31(H)mmなので巨大というわけではないが,重量は実測で694gもあり,2.42kgの本体と合わせれば,3kgを超えてしまう
G Series G Series

 GS73VR 6RFで注目すべき点の1つが,搭載する液晶パネルだ。
 17.3インチサイズで解像度1920×1080ドット,ノングレアタイプという仕様は珍しくないが,冒頭でも紹介したとおり,最大垂直リフレッシュレート120Hzに対応しているのがポイントとなっている。ちなみに,海外向けモデルの場合,120Hz対応液晶ディスプレイはオプション扱いなのだが,国内で販売される3製品は,すべて120Hz対応である。
 液晶パネルの駆動方式は公開されていないが,斜めから見たときの輝度変化が大きいので,TN型という理解でまず間違いない。MSIによれば中間調(Gray-to-gray)の応答速度は5ms,色域はNTSCカバー率94%なので,圧倒的に高速とか高色域ということはなく,よくある高性能TNパネルということになるだろうか。ただ,ゲーマー向けノートPCでも採用事例の増えつつあるNVIDIAのディスプレイ同期技術「G-SYNC」には対応していない。

角度を変えると輝度の変化が大きいことからして,パネルはTN型だろう
G Series G Series G Series

 EIZOが公開している「Motion Blur Checker(Beta)」を使い,120Hz表示で4Gamerロゴを1ドット単位で横スクロールさせ,その様子をソニー製コンパクトデジタルカメラ「DSC-RX100 M4」から960fps撮影し,パネルの挙動をチェックした結果が,下のムービーである。
 TN液晶パネルを使う単体ディスプレイでは,応答速度1msを謳う製品も珍しくないので,それに比べれば幾分もっさりしているものの,120Hzという垂直リフレッシュレートにパネルが追随できていることは分かると思う。ゲームの表示遅延を低減するという意味でも,120Hz対応のパネルを採用していることには意味があると言える。


液晶ディスプレイの設定ツールであるMSI True Color。設定プロファイルをゲームに関連付けて切り替えることが可能だ
G Series
 液晶パネル関連では,表示周りの設定項目が相応に充実しているのも,GS73VR 6RFの特徴の1つである。たとえば,プリインストールされている「MSI True Color」というツールを使うと,ディスプレイの輝度やコントラスト,色温度などの設定をプロファイルとして保存したうえで,ゲームと関連付けて自動で切り替えるといったことが可能だ。

カラーLEDバックライトを搭載するSteelSeries製キーボード。キーストロークは2mm程度のよくあるノートPC用キーボードだが,パンタグラフタイプなので,キーの沈み込みは安定している
G Series
 MSIのゲーマー向けノートPCでは定番ともいえるSteelSeries製キーボードにも,若干のアップデートがあった。見た目での変化は,キーキャップの透明素材が改良されたのか,LEDの色が鮮やかになった程度であるが,それ以上に重要なのは,GS73VR 6RFが同時押しをサポートすることだ。
 下に示したスクリーンショットは,Microsoftが公開しているWebアプリ「Keyboard Ghosting Demonstration」で同時押し対応をチェックしたものだが,組み合わせを問わず,6キーの同時押しに対応したのである。少なくとも筆者がテストした限り,従来のMSI製ゲーマー向けノートPCで同時押しへの配慮はなかったので,これは大変な進歩と言えるだろう。

Keyboard Ghosting Demonstrationでチェックしている様子。スクリーンショット取得のために[Print Screen]キーを押す必要があるため,スクリーンショット上は5キーしか有効になっていないが,その点はご了承を

 しかし,キー配列は相変わらず残念だ。「英語配列のキーボードに対応したトップサーフェスを使い回して,そこに無理矢理日本語配列を押し込んだ結果」なので,やむを得ないといえばそれまでなのだが,合計5か所でキーとキーが密接しており,非常にミスタイプしやすいのである。販売価格が軽く20万円を超えるノートPCでこれというのは,かなりがっかりさせられる。

キーの間に隙間がないのは,[Space]キーの左右と(左),[¥]キーと[Back Space]キー,[Enter]キーと[ ]]キー,右[Shift]キーと[\]キー(右)の5か所。かなりきつい
G Series G Series

 プリインストールの統合設定ソフト「SteelSeries Engine 3」で,カラーLEDバックライトの発光色や発光パターン,さらにマクロなどのカスタマイズができるという点は,前世代のMSI製ノートPCと変わっていない。

SteelSeries Engine 3でバックライトの色や発光パターンをカスタマイズ可能。キーボードのイメージが英語配列なのは残念だ
G Series

MSIは積極的に謳っていないが,製品ボックスにはSteelSeries製のゲーマー向けワイヤードマウス「Rival 300」(旧称:Rival Optical Mouse)が付属していた。実測105×70mmという大型タッチパッド(右)をゲーム用途で使うことはまずないだけに,オモチャではない,ちゃんとしたマウスが付属するのは悪くない
G Series G Series


薄い筐体に凝集された本体内部を見る


GS73VR 6RFの底面には,ネジ孔を塞ぐように分解禁止の警告シールが貼られている。ユーザーによるカスタマイズはできない製品だ
G Series
 GS73VR 6RFの内部もチェックしてみよう。GS73VR 6RFは,底面パネルの封印を破った時点でメーカー保証が失効するため,ユーザーによる分解やハードウェアのカスタマイズは事実上できないということになる。自作PC市場で実績あるMSIのノートPCが購入後のカスタマイズに非対応という残念な状況は,依然として続いているわけだ。
 今回の分解は,あくまでも試用機の内部構造を確認するために行うものであり,くれぐれも真似をしないようご注意を。

底面パネルを開けた状態。基板とバッテリーが大部分を占めているほか,3基の冷却ファンが目立つ
G Series

底面吸気,側面奥側&横側2方向排気という仕様は,従来のCooler Boost冷却システムと変わっていない
G Series
 さて,気になる冷却システムだが,GS73VR 6RFでは,MSI独自の冷却システム「Cooler Boost Trinity」を採用している。MSIは発表時点で,2基のファンがあるほうにCPU,1基のファンがあるほうにGPUがあるという説明を行っていたのだが,基板を見る限りその説明は誤りで,本体を机上に置いたときの正面向かって左側,ファンが2基あるほうにGPUで,反対側がCPUという理解でいいだろう。
 ヒートパイプは3本あり,それがGPUとCPUの熱を放熱フィン部へ送り,本体奥と左右から排気するという仕様だ。

MSIは製品発表会で,ファン2基に近いほうにCPUがあるという紹介を行っていたのだが(左),GPUとCPUのTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力),そして基板デザインを見る限り(右),これは説明が逆ということでまず間違いない
G Series G Series

正面から見て左奥側に2基,右奥側に1基のファンを装備している
G Series G Series

 GS73VR 6RFは内蔵スピーカーも特徴の1つとなっている。具体的には,1chあたり2基のステレオスピーカー,そしてサブウーファも搭載しているのだ。
 ただ,スピーカーが多いからといって,音がいいかというと微妙なところ。そもそもサブウーファが正面向かって左側にあり,しかもそのサブウーファが重低域以外に低域も再生してしまうため,音が左に寄って聞こえるという,致命的な問題を抱えている。「薄型ノートPCにしては低音が出ている」のは間違いないが,左に寄った音を聞きながらゲームをプレイしたいとはとても思えない。MSIは本当にこれでいいと思っているのだろうか?

GS73VR 6RFは底面に,片側2基のステレオスピーカーとサブウーファを備える
G Series G Series

 GS73VR 6RFのサウンド機能は,これまでのMSI製ゲーマー向けノートPCとあまり変わっていないようで,ESS Technology製の高性能オーディオDACを搭載している。
 また,プリインストールされたNahimic製のオーディオプロセッサソフトウェアが,新バージョンの「Nahimic Audio Enhancer 2」となり,従来からあるソフトウェアによるバーチャルサラウンド機能や,マイク入力時のオートゲインコントロールに加えて,サウンド設定プロファイルをゲーム用に4つとマルチメディア用(一般用)に3つ保存して任意に切り替える機能や,マイクの音声を聞き取りやすくするイコライザー機能が追加となっている。前述のとおりスピーカーがあんな感じなので,基本的にはヘッドフォンやヘッドセットを接続したときに使える新機能ということになるだろう。

MSI製PCではおなじみ「Nahimic Audio Enhancer」は,バージョン2となり,いくつかの新機能が加わった
G Series

 内蔵するバッテリーパックはかなり大型で,容量は5700mAh,64.98Whのバッテリーを内蔵していた。MSIはバッテリー駆動時間を公表していないのだが,ゲーマー向けノートPCとしては,バッテリーによる駆動もある程度は考えられているようだ。
 ほかに底面側から確認できるのは,無線LANのモジュール程度か。詳細に調べるためには基板を外す必要がありそうだが,今回はそこまでしていない。底面側からはSSDやメインメモリにもアクセスできないので,保証が無効になることを承知でフタを開けたとしても,ユーザーが交換するのは難しいということは分かるだろう。

容量5700mAhという,大型のバッテリーを内蔵するバッテリーパック(左)。無線LANモジュールは,Rivet Networksの「Killer Wireless-AC1535」を搭載していた(右)
G Series G Series


3つの「Shift」モードで動作クロック設定を切り替え


CPUとGPUの動作を切り替えるShiftモードは,Dragon Centerで変更できるだけでなく,[Fn]+[F7]キーの同時押しでも直接切り替えられる
G Series
 MSIのゲーマー向けノートPCは,プリインストールされている設定ソフト「Dragon Center」(旧称:Dragon Gaming Center)で簡単に,かつメーカー保証の範囲内で動作クロック設定を切り換えられる機能「Shift」を備えている。GS73VR 6RFも同様で,性能が高い順に「Turbo」「Sport」「Comfort」「ECO」という4つのShiftモードを持っている。
 このうち,Turboは新設されるモードということなのだが,残念ながら筆者がテストした時点のDragon Centerでは,まだ実装されていなかった。そのため今回は,Sport,Comfort,ECOの3モードでテストしている。

Dragon Centerの「モバイルセンター」(左)では,ペアリングしたスマートフォン上のアプリから,Shiftモードを含めた動作の変更をリモートで行える(右)
G Series G Series

 GS73VR 6RFでは,SportとComfortモードはACアダプターから電力を供給している状態でしか設定できないようになっていた。バッテリー駆動時はECOモードのみとなる。
 各モードがどのような設定になっているのかは,具体的な情報がないので,実機をテストして調べるしかなさそうだ。

 というわけで,GS73VR 6RFの性能を,Sport,Comfort,ECOの3モードそれぞれで計測していくとしよう。
 今回は比較対象として,デスクトップPC版の「GTX 1060 Founders Edition」を用意した。そのほかテスト対象となるデスクトップ機のスペックは表2にまとめたとおりで,GS73VR 6RFともども,グラフィックスドライバはテスト開始時点の最新版である「GeForce 372.70 Driver」で統一した。


 なお,今回のテストにあたっては,「Core i7-6700K」の動作クロックを,GS73VR 6RFが搭載するCore i7-6700HQと同じ定格2.6GHz,最大3.5GHzに下げた。一方,GTX 1060 Founders Editionの動作クロックは定格であるベース1506MHz,ブースト1708MHzのままとしたので,デスクトップ版GTX 1060より定格クロックの低いGS73VR 6RF側と比較すれば,何らかの違いが出るものと考えている。

 テストにあたっては,4Gamerベンチマークレギュレーション18.0の全タイトルに加えて,「3DMark」のDirectX 12対応ベンチマークテストである「Time Spy」を追加している。また,VR対応を謳っている製品なので,Valveの「SteamVR Performance Test」も実行してみることにした。
 テスト解像度は,液晶パネル側のネイティブ仕様となる1920×1080ドットと,16:9アスペクトでその一段下になる1600×900ドットの2パターンに絞っている。


デスクトップ版のGTX 1060に比べて,おおよそ9割弱の性能


 まずは,3DMark(version 2.1.2973)の結果から,ざっくりとGS73VR 6RFの性能を概観してみよう。グラフ1にFire Strike,Fire Strike Extreme,Fire Strike Ultraの総合スコアを,グラフ2に同じくGraphics score,グラフ3にPhysics scoreをまとめてみた。

 ここで注目すべきは,グラフ2のGraphics scoreだ。GS73VR 6RFのGPUを最も高いクロックで動作させているとみられるSportモードのスコアを見てみると,GTX 1060 Founders Edition(※グラフ中ではGTX 1060 FEと表記,以下同)と比べて,85〜87%の範囲に収まっている。
 NVIDIAの公式なアナウンスによると,ノートPC向けのGTX 1060の最大ブーストクロックは1670MHz。一方,今回のテスト環境で確認したところ,デスクトップ版GTX 1060の最大ブーストクロックは1708MHzだったので,その違いは2%強にすぎない。ところが実際のGraphics scoreでは,それ以上に大きなスコア差がついているわけだ。
 GS73VR 6RFにおけるGPUクロックの推移については,後段で詳しく説明するが,最も高性能なSportモードでは,最大1800MHz台まで動作クロックが上がっていたので,放熱の制限でブーストクロックが抑えられているわけではないことは,あらかじめ述べておきたい。

 いずれにしても,このスコアを見る限り,たとえSportモードでも,GS73VR 6RFがGTX 1060 Founders Editionと対等に勝負するのは難しそうだ。


 3つのグラフを見比べてみると,Comfortモードのスコアも,なかなか興味深い。ComfortモードのGraphics scoreは,Sportモードのそれに比べて2〜3%ほど低いのだが,Physics scoreは,逆にSportモードをわずかに上回る結果となったのだ。
 ComfortモードはGPUクロックがSportモードより低めになるのだが,それによってGPUからの発熱が減るため,CPU側の動作クロックが高めに推移している可能性があると見ている。

 これらのスコアを見る限り,GS73VR 6RFは,SportおよびComfortモードならフルHD解像度で,多くのゲームタイトルを快適にプレイすることができそうだ。
 一方,Sport,Comfortに比べて,ECOモードは半分以下の性能に抑えられてしまう。バッテリー駆動を前提としたECOモードでは,1600×900ドットでもゲームを快適にプレイするのは難しいだろう。

 次にグラフ4は3DMarkのTime Spyにおける総合スコアをまとめたものだ。傾向としては,Fire Strikeと大差はなく,DirectX 12対応のゲームタイトルも,快適にプレイできそうである。


 では,実際のゲームによるテスト結果はどうなるだろう。
 グラフ5,6は,「Far Cry Primal」の結果をまとめたものだが,こちらもなかなか興味深い結果となった。
 Sportモードのスコアを見ると,負荷の低い「ノーマル」プリセットの1600×900ドット時であっても,GTX 1060 Founders Edition比で55%のフレームレートしか出ていないのだ。だが,ノーマルプリセットの1920×1080ドットでは67%,「最高」プリセットの1600×900ドットでは75%,そして最も高負荷となる最高プリセットの1920×1080ドットでは約82%と,スコア差を詰めてきている。
 つまり,負荷が高くなるほど,GTX 1060 Founders Editionと近いスコアになるわけだ。これはGPUクロック比だけでは説明しづらい結果であり,熱とGPUクロックの制御が関係しているのではないかと考えている。

 絶対的なスコアで見ると,SportとComfortは,解像度を問わず,レギュレーションで合格ラインとする平均60fpsをクリアできている。一方のECOモードは最低ラインである平均40fpsにも届いていないので,ECOモードでゲームをプレイするというのは考えないほうがよさそうだ。


 次に「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)のスコアをまとめたものがグラフ7,8となる。
 ARKではFar Cry Primalほど極端なスコア差はついていないが,それでも似たような傾向は見えている。負荷の低い「Low」プリセットの場合,Sportモードのスコアは,GTX 1060 Founders Edition比で1600×900ドット時に約79%,1920×1080ドット時には約90%となった。一方,負荷の高い「High」プリセットだと,1600×900ドットでは約99%,1920×1080ドット時には約89%にまで迫っている。ややばらつきはあるものの,高負荷のほうがGTX 1060 Founders Editionに近いスコアを出せる傾向に変わりはない。

 絶対的なスコアで見ると,Highプリセットの1920×1080ドットではSport,Comfortのどちらも,快適にプレイできる目安となる平均55fpsを上回れなかった。1920×1080ドットでプレイするのなら,もう少しグラフィックス設定を落とさざるをえないわけだ。


 続いては,「Tom Clancy's The Division」(以下,The Division)の結果をまとめたグラフ9,10を見てみよう。
 負荷が高い設定であるほど,GS73VR 6RFのスコアがGTX 1060 Founders Editionに近づく傾向は,The Divisionでも変わらない。ただ,比較対象となるデスクトップPCとSportおよびComfortモードのスコア差は,ARK以上に縮まっている。
 負荷が低い「中」プリセットで,Sportモードのスコアは,GTX 1060 Fouders Edition比で約83〜84%,負荷が高い「ウルトラ」プリセットではどちらの解像度でも,ともに約87%となった。

 絶対的な話をすると,レギュレーションで最低ラインの平均60fpsは,中プリセットで難なくクリア。ウルトラプリセットでは1600×900ドット時のSportモードだけがクリアしている。


 「Fallout 4」は,ここまでのタイトルとはやや傾向が違うスコアが出ている(グラフ11,12)。
 Sportモードのスコアを見ると,負荷の低い「中」プリセットでGTX 1060 Founders Edition比約71%のところ,負荷の高い「ウルトラ」プリセットでも69〜70%程度と,負荷によるスコア差がほとんど生じていないのである。
 絶対的なスコアで見ると,Fallout 4ではSportモード,Comfortモードともに,すべての設定と解像度で,レギュレーションが最低ラインと規定する平均60fpsをクリアできている。最新世代のミドルクラス市場向けGPUらしいスコアだとまとめられるだろう。


 グラフ13,14は「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルドベンチ)のスコアをまとめたものだ。

 ここまで注目してきた,SportモードとGTX 1060 Founders Editionのスコア差は,「標準品質(ノートPC)」時に52〜53%程度,「最高品質」の1600×900ドット時に約64%,1920×1080ドット時に約73%となっている。高負荷になるほどスコア差が縮まる点はほかのタイトルと変わらないが,そもそも大差がついているという観点からすると,スコア傾向はFar Cry Primalに近い。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
G Series
G Series

 ゲームタイトルでは最後のテストとなる「Project CARS」の結果をまとめたものがグラフ15,16だ。
 ここまで注目してきた,SportモードとGTX 1060 Founders Editionの差だが,「初期設定」では59〜61%程度,「高負荷設定」では65〜67%程度と,ここでも描画負荷の高いほうがスコア差が縮まるという結果になった。

 レギュレーションで規定する,Project CARSにおける合格ラインは平均60fpsだが,SportおよびComfortの両モードはいずれもすべてのテスト条件でクリアしてきた。


 ベンチマークテストの結果を俯瞰すると,高負荷の設定ではフレームレートが60fpsを下回ることも多く,120Hz対応の液晶パネルを採用するほどのグラフィックス性能があるのかという疑問も湧いてくるかもしれない。ただ,低負荷の設定では60fpsを大きく超えることも少なくないので,液晶パネルの性能を生かしたいなら,表示品質を下げて設定するのが適当ではないだろうか。

 最後に,Steam VR Performance Testの結果をスクリーンショットで並べておこう。結果は当然というか,SportおよびComfortは余裕で「VRレディ」の判定となったが,ECOモードは「VR使用不可」だった。

※クリックすると全体を表示します
G Series
Sportモードの判定結果
G Series
Comfortモードの判定結果
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ECOモードの判定結果
G Series
GTX 1060 Founders Editionの判定結果


筐体温度はやや高めだが,騒音は意外に低い


 ベンチマークテストに続いては,テスト中の消費電力と発熱状況を確認してみよう。
 消費電力のテストでは,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用い,システム全体のスコアを取得する。OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したときに,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時とした。
 なお,GS73VR 6RFはバッテリーの取り外しができない。そのため,100%満充電状態でテストを実行しているものの,計測ではバッテリーに対する充放電の影響が排除できていない可能性はあるので,この点はご了承を。

 というわけで,消費電力の測定結果がグラフ17となる。タイトルによってかなりのバラ付きがあるものの,Sportモードでも160Wを超えることはなかった。付属のACアダプターは180Wの仕様なので,十分な余裕がある。より高性能なTurboモードを用意するのは,電源の余裕によるところが大きいのかもしれない。
 なお,SportモードとComfortモードのスコア差は少ないが,Comfortモードのほうが低い消費電力で動作していることも分かる。ECOモードはさすがに消費電力も低く,最大でも約78Wに収まった。


 単体GPUを積んだ薄型ノートPCでは,筐体の発熱も気になるところ。そこで今回は,FFXIV蒼天のイシュガルドベンチをループモードで連続実行した状態で,キーボード面とACアダプターの温度をチノー製サーモグラフ「TP-U0260ET」で計測してみた。
 測定はECOモード,Comfortモード,Sportモードの順で行い,それぞれベンチマーク開始から15分後と30分後に,サーモグラム(=温度分布画像)のスクリーンショットを記録した。なお,サーモグラムは左右反転して出力される仕様であるため,サムネイルでは左右を反転し,実態に即したものとしている。画像下側にある熱を持った部分がキーボードで,その左にある小さな熱源がACアダプターだ。キーボードの上側には開いた状態の液晶ディスプレイがあるのだが,あまり熱を発していないようで,サーモグラムでは見えない。
 なお,測定時の室温は26℃だった。

 まずはECOモードからだが,ここで筐体温度が40℃を超えることはなかった。最も温度が高いのは,キーボード面の中央よりやや左寄りのあたりで,GPUやCPUがある部分ではない。温度が上昇する面積が広いことからして,キーボード面に広く熱が拡散しいるようだ。
 いずれにしても室温26℃で40℃を超えないのだから,まずまず優秀。ゲームなど,負荷のかかる処理をしていないときは,積極的に選択しておきたい動作モードと言えるだろう。

ECOモードで15分経過時(上),および30分経過時(下)の温度分布
G Series
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 続いてComfortモードだが,下に掲載したスクリーンショットを見ると分かるが,15分後より30分後のほうがわずかながら温度が下がっている。これは,ECOモードのテスト後,5分ほど休んでからComfortモードのテストを行った影響だろう。
 開始15分後には,キーボード中央よりやや奥のあたりで43.7℃を記録しており,危険というほどではないものの,はっきりと熱さを感じる。だが30分後には,冷却機構が効果を発揮したのか,筐体温度はやや低下した。

Comfortモードで15分経過時(上),および30分経過時(下)の温度分布
G Series
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 最後はSportモードの計測結果だ。冷却システムが効果を発揮しているのか,温度は42℃台で安定していた。最も熱くなったのはキーボード中央付近で,やはりキーボード面に熱を拡散させているらしいことが見て取れる。

Sportモードで15分経過時(上),および30分経過時(下)の温度分布
G Series
G Series

 これらの結果からも分かるように,手で触るキーボード面の温度がやや高めになるのが,少し気になる点といったところか。42℃という温度は,低温やけどのリスクはないものの,夏場だと触っているのが不快になる程度の温度ではある。

 では,このときのGPU温度はどうなっていたのだろうか。筐体表面温度を測定中に,常駐させた「GPU-Z」(version 1.77)でGPU温度のログを取り,30分間の温度推移を計測した結果がグラフ18だ。
 これを見ると,3モードのすべてでGPU温度を基準に制御する仕様になっていることがはっきりと分かる。ECOモードでは60℃強,Comfortモードでは80℃前半,Sportモードでは90℃弱になるよう冷却システムを制御しているようだ。
 連続実行でもひたすら熱くなり続けるわけではなく,しきい値以内に収まるように制御されていることも分かるだろう。

※グラフ画像をクリックすると,横に引き伸ばした拡大版を表示します
G Series

 一方で,少々不思議な結果になったのが,GPU-Zが記録したGPU動作クロックの推移である(グラフ19)。ECO,Comfort,Sportモードのいずれも,GPUクロックに大きな違いがないのだ。
 ベンチマークの結果を見る限り,ECOモードは相当にGPUの動作クロックを落としているはずだが,GPU-Zのログではピークや平均にその影響がほとんど見られない。あるいは,GPU-ZがノートPC向けGTX 1060に,正しく対応できていない可能性も否定できない気もする。
 いずれにしても,GS73VR 6RFではGPU温度の制御はうまくできていると言える。

グラフが重なりすぎていたため,見やすくするためにECOモードの色を薄くしている。※グラフ画像をクリックすると,横に引き伸ばした拡大版を表示します
G Series

 意外だったのはファンの音がそれほど気にならなかった点だ。もちろん,小径ファンにありがちな甲高い音はするのだが,想像していたほどうるさく感じなかった。
 実際に動作時の音を録音しているので聞いてみてほしい。録音にはコルグ製のポータブルレコーダー「MR-2」を使い,ディスプレイ面から30cmのところに三脚に取り付けたマイクを設置して,サーモグラムを撮影するタイミングで録音も同時に行った。

SOUND PLAYER:このブラウザは未対応です。PCをご利用ください。
※再生できない場合は,以下からWaveファイルをダウンロードのうえ,手元のメディアプレイヤーで再生してみてください。
ECOモードでベンチを実行して15分経過時
ECOモードでベンチを実行して30分経過時
Comfortモードでベンチを実行して15分経過時
Comfortモードでベンチを実行して30分経過時
Sportモードでベンチを実行して15分経過時
Sportモードでベンチを実行して30分経過時

 予想よりも騒音が低い理由だが,サーモグラムで分かるように,GS73VR 6RFでは面積が広い筐体を活かして,キーボード面からもある程度は熱を拡散しているので,その効果によるものかもしれない。

 最後に,バッテリー駆動時間についても,軽く触れておこうと思う。
 満充電の状態から,ECOモードに設定してバッテリーで動作させ,FFXIV蒼天のイシュガルドベンチをループモードで回し続けたところ,5242秒(=約1時間27分)でバッテリー残量が5%を切り,自動的にスリープした。つまり,バッテリーでも軽いゲームなら,1時間30分弱はプレイできそうである。
 1時間30分が,実用的にゲームをプレイできる時間というべきかは微妙だが,緊急避難的にECOモードに切り替えて,バッテリーでゲームをプレイする程度なら対応できるのではないだろうか。


GTX 1060搭載で,確実に性能を上げてきたゲーマー向けノートPC。しかし明らかな弱点は残る


G Series
 以上,長々とGS73VR 6RFを見てきたが,GS70シリーズの後継となる最新機種としては順当な性能向上を実現した製品といえる。GTX 1060の採用によってグラフィックス性能が上がったことに加えて,垂直リフレッシュレート120Hz対応の液晶ディスプレイや6キー同時押しに対応したキーボードの搭載などにより,総合点は確実に向上している。
 それだけに,明らかなコスト削減結果としての残念なキー配列,そしてスピーカーで音を聞く気がなくなる左寄りサウンドが放置されたのはとても残念だが,全体としては,イマドキの薄型筐体を採用し,しかも「VR Ready」なノートPCとして,十分な魅力は持っていると思う。

 なお,デスクトップPC向けのGTX 1060 Founders Editionに比べて70〜80%程度の性能というのは,NVIDIAのアピールする「デスクトップ版GPUとほぼ同等」には及ばないわけだが,それは薄型筐体によって放熱面での制約が厳しいという,GS73VR 6RFならではの限界もあるのかもしれない。

GS73VR 6RF-002JP 製品情報ページ

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