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「トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション」はシリーズの入り口にうってつけの1本だ[プレイレポ]
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印刷2026/10/12 18:00

プレイレポート

「トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション」はシリーズの入り口にうってつけの1本だ[プレイレポ]

 2011年にリリースされたストラテジーゲーム「Total War: SHOGUN 2」のコンプリートエディションが,ついに2026年10月14日に発売される。本作は,これまでに配信されたDLCをすべて収録し,グラフィックスや各種設定を改良したうえで,収録内容をすべて日本語化したバージョンだ。

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 戦国時代の日本を舞台にしたゲームなのに,本作を日本語で,しかもDLCまで含めて遊ぶには結構な手間がかかっていた。

 というのも,かつて国内で販売されていた日本語版は海外版とは別の製品で,あとから配信されたDLCは入れられないままだった。
 では海外版をと思っても,日本のストアでは長らく扱われておらず,手に入れたところで日本語には対応していなかった。

 結局,日本語で遊ぶには有志による翻訳を待つほかなかった。そんな悩ましい状態が,10年以上も続いていたのだ。

 それでも筆者は,本作をシリーズ屈指の1本だと思っている。それはなぜか? 本稿では,コンプリートエディションで何が変わったのかをまとめたうえで,そのあたりを紹介してみたい。


そもそも「Total War: SHOGUN 2」とは?


 コンプリートエディションのベースとなる「Total War: SHOGUN 2」は,イギリスのCreative Assemblyが開発し,2011年にセガから発売されたPC向けのストラテジーゲームだ。

 16世紀半ばの日本が舞台ということで,本作ではプレイヤーが氏族のひとつを率い,京を押さえて天下を取ることを目指していく。

 ゲームは2つのパートで構成されている。 日本地図を模した戦略マップで領地を整え,兵を召集し,軍を動かすターン制の戦略パートと,敵とぶつかると始まるリアルタイムの合戦パートだ。この2層構造が,シリーズに共通する基本形である。

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 Creative Assemblyといえば,トータルウォーシリーズを一貫して手がけてきたスタジオとしておなじみ。シリーズの出発点は,2000年の第1作「Shogun: Total War」が描いた戦国時代の日本である。
 その後,中世ヨーロッパや古代ローマ,ナポレオン戦争の時代へと舞台を移し,7作目にあたる本作で11年ぶりに日本へ戻ってきたというわけだ。

 直前の「Empire: Total War」「Napoleon: Total War」が広大な地域と大量の勢力を抱えていたのに対し,本作はあらためて日本一国に絞っているのが特徴だ。
 日本列島というちょうどいいサイズ感の舞台。そして,勢力の数も抑えた結果,一つ一つの氏族の個性が際立っている。
 筆者がシリーズ屈指と考えるのは,潔く煩雑さを削ぎ落としストラテジーの面白さをよりシンプルな形で構築した,割り切りの良さがあったからだ。

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コンプリートエディションで変わったこと


 変更点は大きく4つある。
 1つめはフルローカライズだ。ゲーム中に助言をくれるナレーションが日本語音声になり,ゲーム内の百科事典も日本語で読める。

 兵たちの掛け声はもともと日本語なので従来どおり。部隊を走らせたときの「倍の速さで〜!」には当時こそ「そこは,駆け足〜! じゃないのか?」と,戸惑ったものだが変わらずそのまま使われているのがちょっとうれしい。

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 2つめは収録内容で,2本の大型拡張を含む配信済みのDLCがすべて入っている。
 「Rise of the Samurai」は12世紀の源平合戦を,「Fall of the Samurai」は幕末を描く。とくに後者は,アームストロング砲やガトリング銃が戦場に並び,沖の軍艦が陸の部隊へと砲撃を浴びせてくるほど様変わりしていて,独立した1本として扱う人も多い。

 一向一揆や大友家,服部家などの追加勢力とユニットパックも含め,ボリュームは3本ぶんに迫るほどだ。

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 3つめは,プレイアブルの氏族の追加だ。旧版の基本キャンペーンで選べたのは武田,島津,織田,上杉など9家だけだったが,今回は今川,浅井,波多野といった中小の家でも天下取りに参戦できる。

 大型拡張のキャンペーンも含めると追加はおよそ50家となり,地方の小さな家から天下を狙う遊び方が,ようやくできるようになったのだ。

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 4つめはグラフィックスの強化と遊びやすさの改善だ。アンチエイリアスの設定にはNVIDIA DLSS Super Resolution,AMD FSR 3.1,Intel XeSSが並び,GPUのメーカーを問わずアップスケーリングを使える。

 フルスクリーンウィンドウとUIスケールの調整にも対応したので,攻略情報を横に開きながら遊んでも画面が暗転しないし,高解像度のディスプレイでUIだけが小さく取り残されることもない。地味にありがたい。

 また,旧版では1本にまとまっていたキャンペーン難度と戦闘難度も,ゲーム開始時に別々に設定できるようになった。後述する「天下分け目」の厳しさを調整するスライダーも,同画面内に追加された形だ。

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陣を組み,相手の出方を読む合戦。ただリアルなだけではない“考える面白さ”


 ここからは,あらためて本作の面白さを紹介していこう。なかでも推したいのが合戦だ。自動解決に任せることもできるが,それではもったいない。

 戦国ものの映画で筆者がいちばん興奮するのは,斬り合いが始まる少し手前,両軍が陣を組んでじりじりと間合いを詰めていく場面だ。「ショーグン2」では,その陣立てを自分でやれるのが醍醐味といえる。

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 合戦は部隊の配置から始まる。陣形は,あらかじめ用意されたものから選ぶことも,一から自分で組むこともできる。面白いのは断然,後者だ。
 たとえば前列に弓兵,その後ろに槍足軽を置き,騎馬は脇に控えさせる。弓で敵を削り,迫ってきたら槍を前へ出し,敵の弓兵の守りが手薄になったところへ騎馬を回り込ませる算段だ。

 部隊を個別に動かすのはさすがに手間だが,あらかじめ複数の隊をグループ化しておけば,足の速さが違う兵科が混じっていても陣形を崩さずに前進してくれる。そうやって,自分で考えた形がそのまま戦場を進んでいくのは,それだけで気持ちがいい。

 両軍が近づけば,いよいよ駆け引きの始まりだ。敵の騎馬が大きく回り込んできたら,槍足軽を両翼へ広げて迎え撃つ。相手が動かないなら,こちらの騎馬でちょっかいを出してみる。釣られて突っ込んできたところを,待ち構えていた槍衾で受け止めるわけだ。

 こちらの手に相手が応じ,その応じ方にまたこちらが応じる。軍師になった気分を味わえるのは,まさにこの時間だろう。

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 こうした駆け引きの末に敵の陣へ穴が開けば,そこから先は早い。本作の兵は最後の一人まで戦うわけではなく,側面を突かれたり大将を失ったりして士気が尽きた部隊から我先にと逃げ出す。
 隣が逃げれば周りも浮き足立つので,開いた穴を起点に,敵の戦線全体が一気に崩れていくのだ。

 実際の戦でも,全滅するまで戦い続ける軍はまずない。本作の合戦が生々しく感じられるのは,この仕組みがあるからだろう。しかも敵を一人残らず倒す必要がないので,合戦がだらだらと長引かず,テンポよく決着がつく。

 数で押し切るより,どこを突けば敵が崩れるかを考えたほうが早く勝てるというわけだ。陣を組んで駆け引きをすることに意味が生まれるのも,この仕組みのおかげといえるだろう。

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 そして,トータルウォーシリーズの真骨頂といえるのが,戦場を埋め尽くす兵の数だ。兵数はオプションで変えられ,最大にすると槍足軽なら1部隊で200人。1つの軍は20部隊まで抱えられるので,両軍が正面からぶつかれば,数千人が同じ戦場に並ぶ計算になる。

 しかも,その一人一人がモデルとアニメーションを持ち,目の前の敵と実際に斬り合っている。引いた視点から戦場を見渡せば,数千の兵が陣形を保って丘を越え,前線で激突する様が見て取れる。規則正しい隊列が敵とぶつかり,無秩序な乱戦へと変わっていくその瞬間に,なんとも言えないカタルシスを覚えてしまう。

 逆にカメラを地面すれすれまで寄せれば,刀を打ち合う音が間近に聞こえ,血しぶきが画面を汚す。まるで自分が戦場の真ん中に立っているような気分だ。

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 こうなると勝ち負けなんてどうでもよくなる瞬間さえある。押し合う前線を,ただ眺めているだけで楽しい。戦国の合戦をこれほど間近で味わえるゲームは貴重なんじゃないだろうか。

 とはいえ,実際に指揮を執っているあいだは必死で,見とれている余裕などない。そこでありがたいのが,合戦をリプレイとして保存できる機能だ。
 騎馬が前線の隙間を抜けて奥の弓兵を刈り取っていった場面も,あとから好きな角度で何度でも見返せる。あの采配は神がかっていたと,悦に浸る時間がこれまた楽しいのだ。


京へと歩を進める戦略パート。天下分け目の難度を選べるように


 合戦から視点を日本地図の上へ戻して,次はターン制の戦略パートである「キャンペーン」について触れていこう。

 本作のキャンペーンには勝利条件の異なる短期と長期,徹底支配があり,短期なら京と指定された国を含む25の領国を確保すれば勝ち。長期ならそれが40の領国となり,徹底支配になると60の領国を確保しなければならない。

 当然ながら氏族ごとに特性や得意な兵科が異なる。どの家でも天下は狙えるので好きな家を選べばいいが,難しさは初期領地の位置で大きく変わり,四方を囲まれた家は序盤から休む暇がない。

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 戦略マップで主にやることは,施設の建築,技の習得,兵の雇用の3つだ。細かな数字の管理に追われることもなく,歴史ストラテジーの経験があれば2〜3ターンで要領を掴めるはずだ。

 キャンペーンでも主役はあくまで合戦で,戦略マップはその準備の場と考えればいい。忍者を敵地に送り込んで武将を暗殺したり,敵の軍を足止めしたりと,合戦の前に勝負を決めにいく手もある。

 そしてキャンペーンの中盤に待っているのが,本作でもっとも有名な仕掛け「天下分け目」だ。勢力を一定以上に大きくするか,京を制圧したタイミングで同盟相手も含めた周囲の家がほぼ一斉に敵に回る。

 発動の目安は領国20か国前後で,順調に版図を広げてきたところへ全方位から攻め込まれるため,ここで心が折れる人も多い。

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 この仕様は,発売当初から賛否が分かれていて,終盤が消化試合にならず最後まで緊張が続くと評価する声がある一方,積み上げてきた外交が無駄になるのは理不尽だという不満も根強い。

 旧版でこれを和らげるにはMODを入れるしかなかったが,コンプリートエディションではキャンペーンの開始画面に「分裂した国」というスライダーが加わっているので,天下分け目の難度を緩めたり,無効にしたりできるようになった。

 あの総攻撃を正面から受けたい人はそのまま遊べばいいし,一度折れた人は緩めて始めればいい。どちらの言い分にも理があるだけに,選べるようにしたのはうまい落としどころだと思う。


シリーズを遊んでいない人にも勧めたい一本


 2011年のゲームなので,ユニットの動きやAIの判断には古さを感じるところもある。それでも本作の名前がいまも挙がり続けるのは,陣を組み,相手の出方を読んで応じるというトータルウォーの遊びが,戦国時代の合戦のイメージときれいに重なっているからだろう。

 コンプリートエディションなら,その遊びをフルローカライズで,しかも源平から戦国,幕末まで,好きな時代で好きな氏族で楽しめる。天下分け目の厳しさは自分で決められるし,合戦が手に余れば自動解決に任せてもいい。

 歴史ストラテジーはひととおり触ってきたけれど,トータルウォーだけはなんとなく通り過ぎてきた。そういう人にとって,これ以上ない入り口になってくれるだろう。

  • 関連タイトル:

    トータルウォー:ショーグン2 コンプリートエディション

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