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  • 価格:8580円(税込)
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「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]
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印刷2026/10/09 09:00

インタビュー

「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 S-GAMEは中国・北京に世界各国の報道陣を招き,10月29日に発売する「Phantom Blade Zero」(PC / PS5)の試遊会を開いた。6時間の試遊を終えたあと,同社の創設者でゲームディレクターを務めるSoulframeことLiang Qiwei氏と,サウンドプロデューサーのBo Caisheng氏が,日本メディアの合同インタビューに応じた。

SoulframeことLiang Qiwei氏(左)と,サウンドプロデューサーのBo Caisheng氏(右)
画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 本作は,中国の武侠にスチームパンクの機械や身体改造を掛け合わせた,S-GAMEが「カンフーパンク」と呼ぶ様式のアクションRPGだ。組織でもっとも恐れられた剣客だった主人公のソウルは,濡れ衣を着せられて義兄弟に胸を貫かれ,人工の心臓で命をつないだものの,残された時間は66日。試遊では第1章を通しで遊んだあと,ゲーム後半から切り出したボス戦2つにも挑んだ。

 これまでのトレイラーで繰り返し見せてきたのは,高速の剣戟だった。ところが実際に遊んでみると,地図を広げて脇道に入り,サイドクエストを拾いながら進む時間も長い。日本メディアの質問も,まずそのずれに集まった。

雨に濡れた石畳の通りを,剣客が進む
画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

──今日の試遊では,さまざまなタイプのボスがいて,それぞれがかなりユニークな遊びになっていて驚きました。ボスは30種類ほどいると聞いていますが,統一感はどのように出しているのでしょうか。

SoulframeことLiang Qiwei氏:(以下,S)
 実は30体よりも多いんです。武器はメインが30本,サブが20本あまりあって,そのすべてがボスを倒すと手に入ります。武器の数だけボスがいるわけですから,少なくとも50体はいますし,実際にはもっと多いかもしれません。

S-GAMEの創設者でゲームディレクターを務めるSoulframeことLiang Qiwei氏
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 統一感は,カンフーパンクという作風から来ています。今日遊んでいただいたとおり,大柄な敵も小柄な敵もいますし,盾を持つ敵も馬に乗る敵もいます。ただ,どれも中国の伝統的な武侠を出発点にして,そこに私たち独自の新しい要素を加えている。その筋が1本通っているんです。

 そのうえで,攻略の仕方や体格で差をつけています。皆さんがまだ遊んでいない後半に進むほど,バリエーションはどんどん増えていきますよ。

画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

──2年前のSummer Game Festで試遊したときは,倒した敵が復活し,フィールドの雑魚も強く,ボスはさらに強いという,シビアなゲーム性でした。今回はまったく違う方向性に感じましたが,なぜ変えたのでしょう。

S:
 これまで私たちが見せてきたのは,デモにしてもトレイラーにしても,戦闘ばかりでした。素晴らしい戦闘を体験してほしかったからです。そのせいで,ひたすら斬り進むハックアンドスラッシュや,昔ながらのアクションゲームのように見えていたかもしれません。

 ですが本作は,ピラミッドのような構造をしています。土台にあるのはRPGで,強い物語性と,しっかりしたマップの探索,充実したサブストーリーがある。その中間に,入り組んだマップやレベルデザインがあって,頂点にようやく高速の戦闘が来るんです。

湖のほとりに広がる集落
画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 つまりジャンルを融合したゲームで,既存のどの作品とも似ていません。いくつかの有名作の精髄を吸収して有機的に組み合わせた,まったく新しい形だと考えています。戦闘はトレイラーで見せやすく,刺激的に映るので前に出してきましたが,あれは氷山の一角にすぎません。水面下の部分は,今日遊んでみて驚いてもらえたと思います。

──一度倒した敵は復活しませんね。以前は復活していたと思いますが,その狙いを教えてください。

S:
 理由は2つあります。1つは,ゲーム内のすべてを価値あるものにしたいから。同じ内容を繰り返し体験させたくないんです。もう1つは,物語を進めることや,この世界そのものに集中してほしいからです。

 戦闘は,新しい相手と初めて顔を合わせるときがいちばん驚きがありますよね。敵を復活させる設計は多くのゲームが採用していて,素材を繰り返し集めるためだったり,何かを稼ぐためだったり。でも私たちは,本作のボリュームと品質にかなりの自信を持っている。だからプレイヤーには,いつも新しいものを体験してもらいたいんです。

画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

──ということは,武器を強化したければ,まだ行ったことのない場所へ行くしかないわけですね。

S:
 そうです。それこそ,私たちがしてほしいことなんですよ。より強い数値が欲しくなったら,すでに探索した場所を何度もなぞるのではなく,マップをもっと隅々まで探索してほしい。これは設計上の選択です。裏を返せば,マップ上の資源は有限だということでもあります。


──本作は注目されていて,発売されれば,アクションゲームがあまり得意ではない一般のプレイヤーもたくさん遊ぶと思います。ゲームには「入陣者」というやさしいモードが用意されていますが,どこがどの程度やさしくなっているのか,詳しく教えてください。

S:
 面白い質問ですね。やさしい入陣者と,難しい「逆天者」の違いは,主に数値ではありません。数値も多少は変えていますが,想像するほど大きくはない。大きく変えているのは,AIの攻撃性と,プレイヤーの行動にAIがどれだけ反応するかです。

画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 入陣者の敵は,型を見せて構えてみせる武侠映画のような動きをします。プレイヤーの周りを回りはしますが,攻め気はそれほど強くありませんし,構えも崩しやすい。

 ここはかなり調整を重ねました。一般のプレイヤーが楽にクリアできて,しかも退屈しないようにするためです。一太刀で敵を倒せてしまうようでは,やさしくはなってもつまらない。敵と複雑なやりとりをして,打ち合いが成立して,格好いい技が決まる。State of Playでもお話ししたように,誰もが自分をカンフーマスターだと感じられるようにする。それが設計の考え方で,面白さを保ったまま,いろいろな手段を組み合わせて難しさを削りました。

 たとえば処刑のモーションは何種類もあって,どれも派手ですし,複数の敵に囲まれたときには,まとめて倒す格好いい動きも出ます。コンボもつなぎやすくしてあって,コンボのあとに処刑が2つ3つ続くこともあります。技巧性は下げていますが,見せる要素は残しているんです。簡単なボタン操作で,武侠映画を1本見ているような感覚になる。それが入陣者の特徴です。

赤い提灯が吊るされた広場での戦い
画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

──いちばん難しい「66日」モードでは,敵がプレイヤーの動きやプレイスタイルを学習すると聞きました。どのように実装しているのでしょうか。

S:
 まず1点,訂正させてください。逆天者と66日の難度は同じです。66日には制限が1つ加わっていて,死ねるのは66回までなんです。AIはどちらも最上位のもので,そこに違いはありません。

 このAIは,相手が人間で,対人戦をしているとしたらどう動くかを想定して作りました。フェイントでこちらの技を誘い出したり,コンボを途中で止めて,プレイヤーが何かを出すのを待ってから,その動きに応じて次の手を打ったりもする。生きた人間と戦っているように感じさせるのが,設計の考え方です。

巨大な敵が大剣を振り下ろす
画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 PvEのアクションゲームでいちばん起きやすいのは,高難度がただの数値の底上げになってしまうことです。それでは上級者にとって何かが足りません。対戦ゲームや格闘ゲームのように,毎回まったく違う勝負になるということがないんです。

 ですから,人間が操作しているような感覚を少しだけ取り入れたかった。そう作れたというつもりはありません。やりすぎると,今度は反対側に振り切れてしまいます。理屈のうえではコンピュータはこちらの入力を全部読めますから,絶対に勝てない技を出すAIだって作れる。

 でもそれは別の極端です。いまは理想に近いところに抑えていて,何か違うと感じてもらう程度にしています。その下では,かなり複雑な判断の仕組みが動いていますが,入力を読むことは実際にはしていません。

──66日モードを1日で,つまり1度も死なずにクリアすることは可能ですか。開発チームで達成した人はいるのでしょうか。

S:
 いまのところ,1度も死なずにクリアできた人はチームにいません。先ほどお話ししたAIの変化があるからです。ボスを熟知している人が相手でも,難しいボスほど対応の仕方を変えてくる。慣れや丸暗記で,全部のボスをノーダメージで倒すことはできないんです。敵のAIは,ビヘイビアツリーで組んでいますから。

画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

──それでも,ものすごく上手なプレイヤーなら可能でしょうか。

S:
 可能性はあります。いずれ必ず,やってのけるプレイヤーが出てくると思いますよ。

──試遊ではボスとの戦いがすごく楽しかったです。何度も死にましたけど,人が遊んでいるのを見ても格好いい。公開された動画にもありましたが,アクションはモーションキャプチャで付けていますよね。ボスのアクションのアイデアはどこから来るのでしょうか。やりたいアクションが先にあってボスの姿を決めるのか,それとも先にボスのデザインを決めて,それが生きるアクションを考えるのか。

S:
 とてもいい質問です。先ほど見ていただいた,IGNによるドニー・イェン(Donnie Yen)さんのインタビューでも私が話しましたが,本作はアクションの量が非常に多いので,従来のやり方では作れません。

 従来なら,このボスにはこの技とこの技とこの技があって,それぞれこういう動きで……と全部設計してから,現場で撮影します。私たちはそうしていないんです。かといって,武術チームに全部任せて設計してもらっているわけでもありません。

 私たちのやり方はちょっと変わっています。私が大まかに,というより曖昧に指定するんです。たとえば,このボスは酒を飲む。飲んで力を溜める技があるはずで,飲んだあとは剣が飛び回る。剣が飛び回るから,回避や遠距離攻撃が出てくるだろうし,投げ技もあるかもしれない。私が出すのは,それくらい曖昧な要求です。

画像ギャラリー No.011のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 その枠の中で,現場のモーションキャプチャの武術俳優と武術指導が,戦ったらこうなるだろうという動きをいろいろ作ってくれます。それができたら,私たちがデータを見て,ゲームの手触りに合うものを抜き出し,彼らがさらに細かく詰める。ですからこの工程は,AからBへ一直線に進むのではありません。A1,B1,A2,B2,A3,B3と行き来しながら,曖昧なところから少しずつ明確になっていくんです。

──その酒を飲むボスは,花のついた帽子をかぶっていました。あの見た目はどうやって決めたのですか。

S:
 キャラクターの造形に,中国の伝統的な儺面(なめん)の意匠を合わせています。あのボスは酒で正気を失っているので,その文化的な出典と,物語上の設定,性格,それに戦い方を全部組み合わせて造形を決めました。先ほどのA1,B1でいえば,見た目はC1にあたります。A1,B1,C1,A2,B2……と進んでいくわけです。

木造の家が立ち並ぶ集落の通り
画像ギャラリー No.021のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

 1つ付け加えさせてください。ドニー・イェンさんから,香港とハリウッドのアクション映画で,撮り方がどう違うかを教えてもらったことがあります。

 ハリウッドでは,カット割りを全部決めておかなければなりません。絵コンテを描き,場合によっては仮の映像で動きを事前に組む「プレビズ」まで作って,撮影現場ではそれを再現する。厳格な工業的な流れを守るのが,ハリウッドのやり方です。

 香港のカンフー映画は違います。撮る前にあるのは,この場面でこの2人が戦う,だいたい5分くらいで,最後はこっちが勝つ,といった簡単な指示だけ。あとは武術の分かる2人が,現場でフリースタイルで打ち合いを始めるんです。何本も違う立ち回りを撮るうちに,これは見栄えがいい,このカットがいいと分かってきて,やがてこの流れでいこうと決まる。

 私たちはこの香港スタイルに深く影響を受けました。こうして撮ると,速くて自然で,柔軟なものができる。その後,「マトリックス」などでハリウッドも香港の武術指導を取り入れ,いまでは半分を事前に設計し,半分を現場で詰めることが多くなっています。私たちもゲーム作りでその精神を学んで,少しずつ前へ進めているところですね。

大刀を手に,敵の待つ堂の前へ進む
画像ギャラリー No.012のサムネイル画像 / 「Phantom Blade Zero」はハイスピードアクションをRPGの土台に載せた“ピラミッド構造”[インタビュー]

──酒を飲むボスは,酒を飲んでいる間はガードが固くなりますが,斧で崩せました。こうした弱点が印象的だったのですが,試行錯誤すると見つかる弱点やギミックは,ボス全体に用意されているのでしょうか。それとも特別なボスだけですか。

S:
 多くの敵に,比較的早く倒せる弱点を用意しています。ただ,その程度には差があって,はっきり分かるものもあれば,分かりにくいものもあります。

 いちばん典型的なのは,State of Playで見せた盾持ちの敵のような,強い仕掛けです。あの敵は,相性のいい武器で戦わないとまったく歯が立ちません。刀であの盾を攻めるのは非常に難しい。でも拳套(けんとう)のような,盾に強い硬い武器を選べば簡単に勝てます。私たちはこれを「強機制」と呼んでいます。

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 とはいえ大半の敵は,そこまで強い仕掛けではありません。ある武器を使うと少し楽になるけれど,別の武器でも勝てます。こちらは「弱機制」と呼んでいて,一定の傾向がある,という程度です。

 それから,物語に結び付いた仕掛けもあります。物語をある程度理解していると,この人物とあの人物には何か因縁がありそうだと分かる。そこで試しにゆかりのある武器を持ち出してみると,やっぱりボスが一言しゃべったりするんです。これは隠しておいた驚きなので,ぜひ見つけてほしいですね。

──敵が強いと感じたら,強化するだけでなく,いろいろ試して何が効きそうかを考えてほしい,ということですね。

S:
 そうです。本作は結局のところ,RPGの構造をしています。ビルドの考え方があって,アクセサリーが何種類もあり,アクセサリーと武器の組み合わせで1つのビルドができる。そういう循環があるんです。

 ボスに勝てないとき,いちばんやるべきなのは,腕を磨いて反応を速くすることではありません。正直にいうと,私自身も年齢とともに,もう腕を磨くのについていけなくなっていまして。でも,あくまでRPGなんです。そのボスに相性のいい得物を使ったり,アクセサリーと組み合わせてビルドを組んだりする。本作には,武器のレベルを手軽に戻して,それを別の武器に振り直せる仕組みもあります。そういう試行錯誤こそ,いちばんやってほしいことなんです。持ち替えただけで,難度がガクッと下がることもよくありますよ。

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──今日の試遊では,メインストーリーに関わらないボスがかなり強く感じられました。サブストーリーのボスの強さは,どのように考えているのですか。

S:
 本作には重要な隠しボスがいくつかいます。そうしたボスは,純粋な力でメインのボスより強いというわけではありません。ただ,それぞれに特徴があって,それをつかむまでは難しく感じるかもしれないです。つかんでしまえば,ぐっと楽になりますよ。

 メインストーリーのボスは全員が必ず戦うので,難度を平均的に考えています。一方,サブの挑戦的なボスは,難度の起伏を大きめにしているんです。

 サブのボスは,全体の中でかなり大きな割合を占めています。これもRPGらしさの1つですね。本作のサブストーリーはとても重要で,物語や世界観に関わりますし,メインストーリーの結末にまで影響します。ですから,ぜひいろいろ探索して,サブのボスの魅力を掘り起こしてほしいと思います。

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──プレイする前は,中国風の音楽をイメージしていました。実際,中国風の曲ももちろんありますが,ときどきかなり現代的な,むしろメタルロックのような曲も流れます。なぜこうしたスタイルを採用したのでしょうか。

Bo Caisheng氏:
 厳密にいえば,本作はカンフーパンクですが,武侠ゲームです。30年前,40年前の武侠映画では,劇伴にその時代の最先端の音楽が使われていました。技術の制約があるなかで,作曲家の方々は,中国の伝統と当時の電子音楽をできるかぎり先鋭的に融合しようとしていたんです。私はその姿勢に学んで,その伝統を受け継ぎました。

サウンドプロデューサーのBo Caisheng氏
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 それに,本作のカンフーパンクにしても,武侠映画や武侠文化全体にしても,カンフーはずっと進化し続けています。音楽もその歩みに追いつかなければいけません。

 もう1つ,このシリーズをご存じなら,前身は「Rainblood」というインディーゲームでした。私がプロデューサーのSと一緒にあのゲームを作り始めたとき,音楽は必ず新しいものにすると決めたんです。ですから本作は,私がこの18年間,新しい中国風の音楽を探ってきた,その集大成といえます。

 今回は,琵琶や二胡といった中国の伝統楽器の,国内トップクラスの奏者と一緒に,どうすれば聴いた感じをいちばん違うものにできるかを探りました。いまの映像音楽やゲーム音楽には,決まった解き方,標準的な答えができ始めています。私はそれを突破したかった。みんながこう書くなら,あえて逆をいって,自分はそう書かない。それでどんな効果が出るかを見てみたかったんです。私個人のこだわりと,武侠文化が長く受け継いできた音の伝統が,本作の音楽を作り上げました。

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──倒したボスから手に入る武器には,振るとエフェクトがとても美しく,見ていて格好いいものが多くありました。カンフーパンクという文脈と,こうしたファンタジー的なエフェクトは,どう結び付いているのでしょうか。

S:
 結び付きはたくさんありますよ。カンフーパンクは,カンフーに幻想的な要素を加えたもの。その要素は,本作の世界観では機関,武学,奇術の3つからなっています。機関は機械仕掛けのもの,武学はもちろん武術のこと,奇術はどちらかというと玄学的な,つかみどころのない神秘的なものです。

 たとえば獅子舞のボスは,伝統的な獅子舞の武術に機械を組み合わせていて,火を吐くし,チェーンソーも持っている。現実の世界や,かつての武侠映画を超えた不思議な効果がいろいろありますが,どれも本作の世界観という1つの枠の中でまとまっているんです。

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──武侠の中でも,刀や槍だけで戦う硬派なものから,空を飛び回るようなファンタジーまで幅がありますが,その間ということでしょうか。

S:
 そうです。いちばん硬派なのは,刀剣で写実的に戦うものです。一方で仙侠という,飛び回ったり,仙人や神になったりする奔放なジャンルもある。私たちはその間に自分たちの位置を見つけました。ちょうど真ん中というわけではなく,私たちならではの位置ですね。本作の世界に神も鬼もいませんが,私たち独自の幻想的な要素があるんです。

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──ファストトラベルの鈴に近づくと,紐が出てきますね。紐が見えると安心できますし,場所もとても分かりやすいです。遊びやすさの面で,こだわった点や気を付けた点を教えてください。

S:
 中国には特殊な事情があります。もともとモバイルゲーム大国で,「黒神話:悟空」をきっかけに,家庭用ゲーム機やPCのゲームを遊ぶ人が一気に増えました。ですから,古くからのハードコアなゲーマーにはおなじみのことでも,大勢の中国のプレイヤーにとっては,なじみのない概念なんです。

 最初の出発点は,この新しい市場の人たちに快適に遊んでもらうことでした。ところが遊びやすさに取り組んでみると,世界中のプレイヤーが同じものを求めていると分かったんです。私たちが好きだった昔のハードコアなゲームを,よい導線やよいデザインで分かりやすくして,そういうゲームに触れたことのないいまのプレイヤーに届ける。それが,私たちのやりたいことの1つです。

 そのため,導線にもアートの工夫を加えています。UIで導くのではなく,できるだけ絵で見せたい。たとえば糸です。糸は本作のとても重要な導線であり,同時にこのIPの視覚的なシンボルでもあります。人が運命に縛られ,糸に絡め取られていることを表していて,後半まで遊ぶと,さらに多くの意味が見えてくるかもしれません。道案内の役割と芸術的な表現を両立させて,中国だけでなく世界中の新しいライトなプレイヤーにも,派手な戦闘やアクションを体験してほしいと考えています。

光の中で赤い糸が舞う
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──今日の試遊でも,探索にとても力が入っていると分かりました。小さな集落もありましたが,製品版にはもっと大きな町や村はあるのでしょうか。あるとしたら,そこではどんな遊びができますか。

S:
 後半の物語のネタバレになるので,あまり言うべきではないのですが,少しだけ。NPCが集まる小規模な場所はありますが,オープンワールドのゲームのような,大勢の人がいる大都市はありません。本作は危険に満ちた世界を探索するゲームですが,ソウルライクのゲームよりは,生きた人のいる場所が多めです。ソウルライクがこちらにあって,大きな都市のあるオープンワールドがあちらにあるとすれば,その中間のどこかに位置しています。

──ありがとうございました。

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