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Access Accepted第376回:サーバー障害を起こした「SimCity」
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印刷2013/03/11 12:00

業界動向

Access Accepted第376回:サーバー障害を起こした「SimCity」


 最近のPC専用ゲームは,そのほとんどがオンラインの常時接続を要求する“オンラインオンリー”のタイトルだ。待望のシリーズ最新作「SimCity」もその一つだが,現在,サーバー障害で批判の的にさらされている。今週は,この現在進行中の出来事について触れてみたい。


ローンチに失敗した「SimCity」


 アメリカでは2013年3月5日,日本では3月7日にリリースされたElectronic Artsの都市建設シミュレーション「SimCity」は,前作「シムシティ ソサエティーズ」から6年,ナンバリングタイトルである「SimCity 4」からは実に10年ぶりとなるシリーズ最新作であり,発売前から多くのファンの期待を集めていた。ところが,欧米での発売直後からサーバーへのアクセスができなかったり,セーブデータが失われたりといった,オンライン関係のさまざまな問題が発生し,期待していたファンの怒りを買うことになってしまった。
 Amazon.comの製品レビューMetacriticのファンレビューなどは,批判的な意見で溢れ,前評判からはとても想像できないような低いポイントが付けられている。

βテストの段階では,「マップが狭い」という意見以外,さしたる文句も出ず,製品の圧倒的な魅力とグラフィックスの見事さに感嘆するばかりだったSimCity。しかし,「サーバーへのアクセス過多」が原因で,歴史に残るローンチ失敗になってしまったようだ
Access Accepted第376回:サーバー障害を起こした「SimCity」

 SimCityは,シリーズ初となるオンラインモードを実装しており,友人やほかのプレイヤーと一緒に都市作りを楽しむことができるという特徴を持っている。工業や娯楽などに特化した各プレイヤーの都市が連携することで起きる,人や物資の移動,経済変動,そして環境変化などを正確にシミュレートし,これまでになかったようなレベルでのリアリティが実現することを目指して開発されたのだ。
 使用されている独自開発のゲームエンジン「GlassBox」は,例えば,自分の都市では得られない資源を,隣の都市に融通してもらい,その代わりに余剰電力を売るといった,ソーシャルなプレイを可能にしており,プレイヤー同士の協力が地域発展につながる,良く練り込まれたアイデアが多数盛り込まれている。

 こうしたゲームプレイを実現するため,オンライン周辺の安定性は必須であったはずだが,今回はそこにトラブルが集中してしまったわけだ。サーバーのアクセスが必須であることから,ゲームを始めることさえ困難になり,フォーラムの書き込みなどを読むと,やっとつながっても,短時間で接続が切れてしまい,せっかく作った都市に二度と戻れないということも起きている。
 SimCityでは,セーブデータがサーバー側に記録される仕様になっており,そもそもオフラインプレイは用意されていない。そのため,ソーシャル要素に興味がなく,その地域を一人で発展させようというプレイヤーであってもゲームを始められないという,ゲームのローンチとしては致命的ともいえる状況に至っている。

予約購入してSimCityを待ち望んでいたファンにとって,今回のサーバー障害は精神的にも大きなダメージとなったようだ。ヨーロッパを中心に多くのサーバーの拡充が進んでいるとのことで,在住地にこだわらず,空いているサーバーを選んだほうが良いようだ
 予約本数のデータを持っていたはずのElectronic Artsが,なぜ今回のアクセス過多を予想できなかったのかということが気になる人も多いようだが,それに対してMaxisのシニアプロデューサー,キップ・カツァレリス(Kip Katsarelis)氏は,「ファンがゲームを終了させることなく長く遊び続け,アクセスがオーバーラップしたことが,今回の問題の原因の一つである」と述べている。どう語ろうが,煎じ詰めれば,見積もりが甘かったと言うことだ。

 今回のトラブルに,2012年5月にリリースされたBlizzard Entertainment「Diablo III」を重ね合わせて見る人もいるはずだ。Diablo IIIも,鳴り物入りでスタートしたものの,サーバーのトラブルで数々な問題が発生し,公式フォーラムなどには批判の声が集中した。かなりの騒ぎだったので,悪名高い「Error 37」は,プレイヤーでなくとも耳にしたことがあるだろう。

 3月8日に掲載した記事でもお伝えしたように,Electronic Artsは公式フォーラムにおいてアナウンスを出し,SimCity向けサーバーを増やすことで,アクセス超過による問題の多くが解決できると発表している。すでに週末にかけて各リージョン向けのサーバーが拡充されており,現時点では割とスムーズにプレイできるのは確か。北米だけでなく日本やオーストラリア,ヨーロッパでも次々にローンチされたために先週末は相当なアクセスがあったはずだが,ここは乗り切ったという印象だ。

アットホームなメーカーとして知られるMaxis。そのリーダーだったウィル・ライト氏は退社したが,ベテラン開発者が多く残っており,SimCityのクリエイティブディレクターを務めたオーシャン・クィグリー(Ocean Quingley)氏もその一人


裏目に出た海賊版対策


 今回の問題の源流をたどれば,海賊版問題に行き着くだろう。海賊版に悩むPCゲームメーカーでは,DRM(Digital Rights Management/デジタル知的財産管理)と呼ばれる不正コピー防止措置を,試行錯誤しながら続けており,現在はオンライン認証やプレイ中の常時接続が一般的になっている。しかし,行きすぎたDRMにうんざりする欧米のゲーマーは少なくなく,2008年にリリースされたElectronic Artsの「SPORE」は当初,限られた台数のPCに限られた回数しかインストールできないといったDRMを採用していたものの,プレイヤーの反感を買ったことから,最終的にはDRMフリー版の発売に踏み切らざるを得なかった。

 もともとSimCityは,一人でじっくり楽しむという雰囲気の強いゲームだ。適当なところでセーブし,何か間違いがあればセーブした時点に戻ってやり直すというプレイも普通に行われるが,今回はDRMのためにオンライン接続が前提となっており,シングルプレイは用意されていない。したがってサーバーダウンによる影響は甚大である,裏を返せば,もしシングルプレイモードが用意されていれば,あるいはローカルにセーブデータを保存できれば,これほどの騒ぎにはならなかったのではないかという気もする。

 前述のように,SimCityのマルチプレイはシミュレーションゲームとして非常に革新的で,「どれも同じようなプレイ感覚」と批判されることも多い都市建設シムジャンルにあって,「遊びたい」という圧倒的なオーラを発揮する作品に仕上がっている。それだけに,サーバー問題でおあずけを食ったファンの失望は大きく,結果,批判がSNSや販売サイトのレビューに集まることになった。その評価は意図して削らない限り消えることなくデータとして残り,SimCityブランドが受けたダメージは小さくない。

公式ツイートでは「ファンの信頼を回復するためにも,オフラインモードを搭載できるかどうか検討する」という書き込みが確認できる

 ローンチ直後に問題を起こしたDiablo IIIは,順に問題を片付け,ファンの声に耳を傾け,アップデートを繰り返すことで,現在は予約ぶんを含めて1200万本を超える大ヒット作になっている。Electronic ArtsとMaxisには今後,この出来事を奇貨として奮起してほしい。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

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