［TGS2023］合計23基のUSBポートを全部使っても安定動作。GALLERIAの配信者向けPCを徹底解説したトークショーをレポート

GALLERIAブース。比較的涼しく過ごしやすかった

　東京ゲームショウ2023の2日めとなる2023年9月22日，サードウェーブの「GALLERIA」ブースでは，動画配信者向けPCにまつわるトークショーが開かれた。「動画配信の話題が多いのかな」と思っていたら，USB関連など話が膨らんでいき，自作PC好きのゲストたちが延々としゃべるというイベントとなっていた。
　本稿では，GALLERIAの配信者向けPC「GALLERIA ZA9C-R4x 動画配信向けモデル 」（以下，ZA9C-R4x）と「GALLERIA ZA7C-R47 動画配信向けモデル 」（以下，ZA7C-R47）の話を中心にトークショーの様子をお伝えする。

　トークセッションには，「原口ニキ」ことASRockの原口有司氏と，NVIDIAでマーケティングを担当するPeter Chen氏が登壇した。自作PCに詳しい人であればおなじみの面々かもしれないが，そうでない人向けに説明するとPCにやたら詳しいおにいさんたちである。

ASRock 原口有司氏

NVIDIA Peter Chen氏

　ZA9C-R4xとZA7C-R47は，2023年6月に発売となった配信者向けPCだ（関連記事）。スペックシートを見ると1か所おかしい部分があることに気付く。なんとUSBポートを合計で23基も備えているのだ。

ZA9C-R4xとZA7C-R47のスペック。入出力ポートに注目してほしい

　これは，ASRockの配信者向けマザーボード「Z790 Live Mixer」を採用することで実現しており，一般的なPCと比べてはるかに多くのUSB機器を接続できる。

PCケースはほかのGALLERIA製PCと共通だ

マザーボードの映像出力端子には「使用不可」のシールが貼られている。諸君らも経験があるのではないだろうか。友人からPCの性能が低いと相談を受けて確認したら，グラフィックスボードの映像出力端子を使用していなかったというケースを

マザーボードのI/OパネルやPCケースのフロントパネルに加えて，拡張カード用ブラケットも使って数多くのUSBポートを実装している。23基あるか数えてみよう！

GALLERIAでは，重量が1kgを超えるグラフィックスカードを搭載するPCにおいて，リジッドカードサポートでしっかりと固定する方式を採用する。運搬することもある動画配信用PCにとっても，ありがたい機能だ

マザーボードの拡張スロットは空きがある。最近ではさまざまな製品がUSB接続を利用するので，拡張スロットを使うのはPCI Express接続型のビデオキャプチャカードや，M.2ストレージくらいだろうか。拡張カードでさらにUSBポートを増やしてもいいかもしれない

USBは便利だけど実は面倒が多い

　キーボードとマウスだけでなく，カメラやマイク，ビデオキャプチャユニット，オーディオミキサーなど，配信をするには必要な機材が多い。より快適に配信をしようとすると，「Stream Deck」のようなキーパッドやフットペダルなどさらに機器が増えていく。その多くがUSB接続に対応しており，とりあえずPCとつなげば動作するように思えるのだが，実はそうもいかない。

　接続するUSB機器が増えるほど，その信号を処理するPCに負荷がかかり，トラブルが発生しやすくなるほか，品質が低い機器をつなぐとそれだけでシステム全体が不安定になるケースもある。ある機器を接続したら，ほかの機器と信号が干渉してうまく動作しなかったが，つなぐUSBポートを変えたら安定したという経験のある人も多いはずだ。

　筆者が遭遇したUSB機器のトラブルも紹介したい。ゲームをプレイしていたら，ゲームパッドの接続が勝手に解除されたとする。ゲームパッド本体に原因があるケースもあるが，そうではない場合，接続に使うケーブルやポートを変えてみる，ワイヤードからワイヤレスに変更することで問題が解決することも多い。それでも改善しない場合は，プレイしているゲーム側の問題という可能性もある。トークショーでもさまざまなトラブル事例が語られていた。

　ZA9C-R4xとZA7C-R47が採用するZ790 Live Mixerは，そういったUSB周りの面倒事が起きにくい工夫を盛り込んだマザーボードなのである。
　Z790 Live Mixerには，高速なポーリングレートで通信するゲーマー向けキーボードやマウスを接続するためのUSBポート「
Lightning Gaming Ports」を備える。加えて，ヘッドセットなどのサウンドデバイス用に安定した5V電源を供給する「Ultra USB Power」も搭載しているのもポイントだ。こうした専用ポートを使うことでも安定した動作を維持しやすくなるわけだ。

　また，ZA9C-R4xとZA7C-R47の開発では，さまざまなUSB機器をそれぞれのポートに接続して動作をチェックするという「地獄のような検証」（原口氏）をしたという。すべてのポートに機器を接続しても安定して動作することを確認したそうだ。おそらく，それぞれのポートに対して接続するケーブル長を変えたり，高負荷をかけたりといった検証も行っていると思われるので，気の遠くなるような時間をかけのだろう。

　ZA9C-R4xとZA7C-R47は，ミドルハイからハイエンド市場向けのモデルで価格も相応だが，搭載するパーツのスペックやこうした検証の背景を踏まえると安く感じる面もある。個人的にはZA7C-R47に好印象を抱いた。バランスの良いスペックを備えていることもあるが，税込29万9979円という価格は，企業での購入も意識した値付けだ。
　ここ数年で，オンラインでの会議やセミナーも当たり前になってきたが，まだまだ映像や音声のトラブルに遭遇する。読者にも覚えがあるのではないだろうか。あるはずだ。こうした配信向けPCの導入が進むことで，高品質のオンライン会議が普及することを心の底から願っている。

　今回行われたトークショーは，冒頭でも触れたように，PCの紹介に留まらず，PCに詳しいゲストが話しまくるものとなっている。技術的な部分に踏み込んだ話も多く，のちのち役に立ちそうだ。配信のアーカイブで約1時間30分と，一般的なトークショーと比べてかなり長めなのだが，PCの回りの掃除でもしながら聞いてみてほしい。

GALLERIA公式Webサイト

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