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「Catalyst 10.10」公開。HD 6800シリーズ対応と最適化,“HDMIスケーリング問題”公式対応などが実現される
デスクトップPC向けでは,Windows 7&Vista用で,22日発表のRadeon HD 6800シリーズをサポートしたのが大きな特徴。ノートPC向けは,「PowerXpress周りでバグが見つかった」という理由で2010年9月版が公開されなかったため,2か月ぶりの新版ということになる。
すぐに入手したい人は,下に示したAMDへの直リンクからどうぞ。AMDのドライバ配布方法は少々複雑なので,「どれを落としたらいいか分からない」という人は,4Gamerの最新ドライバリンクページを利用してもらえれば幸いだ。
→32bit版Windows 7&Vista用Catalyst 10.10
→64bitWindows 7&Vista用Catalyst 10.10
→Windows XP用Catalyst 10.10
→32bit版Windows 7&Vista用Catalyst Mobility 10.10
→64bit版Windows 7&Vista用Catalyst Mobility 10.10
→4Gamer最新ドライバリンクページ
Display DriverのバージョンはWindows 7&Vista用が8.782,Windows XP用が8.78。Catalyst 10.9だと同8.771だったので,Windows&Vista用では0.011の引き上げということになるが,「新世代GPUに対応した」という事実以外にも,“2010年10月号”には,Radeon HD 6800シリーズへの対応に関連したいくつかの新要素や変更点が見られる。
10月23日の記事でお伝えしているとおり,APPは以前,「ATI Stream」と呼ばれていたもの。ゲームにおけるOpenCLの利用状況を鑑みるに,ゲーマーは従来どおりのCatalystスイートを入手すれば問題ないが――だからこそ「Gamers First」を掲げるAMDは,OpenCL対応ドライバを分けたのだろう――,APP仕様のドライバが同時公開されるようになったことは,憶えておいても損はないと思われる。
Morphological Anti-Aliasingの概要は10月22日の記事を参照してほしいが,簡単にいえば,DirectComputeベースのポストプロセッシングを応用した,新しいアンチエイリアシング技術。無保証であることを覚悟のうえで試してみたいという人は,下のリンクから飛んでみてほしい。
→32/64bit版Windows 7&Vista用Catalyst 10.10a Hotfix
さらに,Windows XP環境でRadeon HD 6870&6850のサポートをサポートするドライバも,「Catalyst 10.10b Hotfix」として下記リンク先で公開されているので,併せて紹介しておきたい。冒頭で述べたように,Windows XP用のCatalyst 10.10公式版だとRadeon HD 6800はサポートされないので,どうしてもWindows XP環境で新世代GPUを使いたい場合は,無保証を覚悟のうえで,こちらを導入することになるだろう。
→Windows XP用Catalyst 10.10b Hotfix
このほか,Catalyst 10.10の新要素や最適化情報,バグ修正内容は以下のとおり。バグ修正はWindows 7環境に集中しているが,このなかでも,「ATI Catalyst 10.9a Hotfix」で対応が図られ,HDMI接続ディスプレイを使っているユーザーの注目を集めた“HDMIのスケーリング設定が保持されない”という問題の修正が,公式最新版で行われたことは,日本でも恩恵に与れる人が多そうということで,とくに取り上げておきたいポイントといえる。
なお,CrossFireX(以下,CFX)周りは,北米時間10月13日に公開された「ATI Catalyst 10.9a Application Profile」の内容と同じようだ。
というわけで,Radeon HD 6800シリーズをさっそく手に入れたという人以外にも,対応製品のユーザーに広く勧められるアップデートになっているとまとめていいだろう。ドライバの更新作業は自己責任になるものの,導入する価値のある最新版だと思われる。
※2010年10月26日13:40追記
読者からの情報提供により,Windows XP用Catalyst 10.10b Hotfix版ドライバの存在を確認できたため,本文を一部アップデートしました。
●Catalyst 10.10の新要素
・Catalyst Accelerated Parallel Processing(APP) Technology Editionの導入
- ユーザーはこれまで同様,OpenCLドライバも含め,ドライバコンポーネントを単体で入手可能ともされているが,10月25日11:00時点で,OpenCLドライバの単体公開は確認できていない)
- 対応OSはWindows 7で,対応GPUはATI Raedeon HD 5000シリーズのみ
- 度数分布図ベースのダイナミックコントラスト設定をCatalyst Control Centerに追加
- Blu-ray 3D再生および3D立体視ゲームに対応。Blu-ray 3Dの再生には,対応ディスプレイと対応メガネが必要で,対応GPUはRadeon HD 6800シリーズとなる。3D立体視ゲームはDynamic Digital Depth(DDD)あるいはiZ3D製の3D立体視化ソフトウェア(≒ドライバ)と対応ディスプレイ&メガネが必要で,対応GPUはRadeon HD 6800およびATI Radeon HD 5800シリーズとなっている
●Catalyst 10.10でCatalyst Application Profilesに追加されたタイトル
- 「Medal of Honor」のマルチプレイモード(DirectX 11・10・9)
- 「Darksiders」(DirectX 9,※「performance and CrossFire Anti-Aliasing update」とあるので,パフォーマンス面の改善と,アンチエイリアシング適用時にあった問題を改善するものと思われる)
- 「NBA 2K11」(DirectX 9)
- 「Stone Giant」デモ(DirectX 11・10)
- 「Sid Meier's Civilization V」(DirectX 11・10,※「tweak CrossFire update」とあるので,プロファイルの更新が行われたのではないかと思われる)
- 「Tom Clancy's H.A.W.X. 2」(DirectX 11・10)
- 「Formula 1」(DirectX 11・10,※タイミング的に「F1 2010」のことと見てまず間違いないが,断言まではできない)
- 「World of Warcraft」(DirectX 11)
●Catalyst 10.10におけるパフォーマンス向上
・Aliens vs. PredatorのDirectX 11ベンチマーク
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に最大6%
- ATI Radeon HD 5700シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に最大5%
- ATI Radeon HD 5600シリーズで最大5%
- ATI Radeon HD 5500シリーズで最大5%
- ATI Radeon HD 5400シリーズで最大4%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に,アンチエイリアシングを有効化した状態で最大6%
- ATI Radeon HD 5700シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に,アンチエイリアシングを有効化した状態で最大5%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカード構成時に,アンチエイリアシングを有効化した状態で最大9%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカード構成時に最大7%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に最大7%
- ATI Radeon HD 5700シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に最大8%
- ATI Radeon HD 5600シリーズで,DirectX 11&10モードにおいて最大5%
- ATI Radeon HD 5500シリーズで,DirectX 11&10モードにおいて最大5%
- ATI Radeon HD 5400シリーズで,DirectX 11&10モードにおいて最大4%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカード構成時に最大7%
- ATI Radeon HD 5600シリーズで最大9%
- ATI Radeon HD 5500シリーズで最大10%
- ATI Radeon HD 5800シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に,アンチエイリアシングを有効化した状態で最大9%
- ATI Radeon HD 5700シリーズのシングルカードおよびCFX構成時に,アンチエイリアシングを有効化した状態で最大8%
●Catalyst 10.10で解決した問題(Windows 7・Vista・XP)
- グラフィックスカードに搭載されるメモリチップの仕様をCatalyst Control Centerが正しくレポートしない問題
●Catalyst 10.10で解決した問題(Windows 7)
- CFX構成時に,「Just Cause 2」を実行し,ゲーム側から解像度設定を変更すると,(デスクトップ解像度も)その解像度で固定される問題(※ということだと思われる。原文は「Screen no longer becomes static after changing resolution in“Just Cause 2”with CrossFire enabled under Multi-GPU configuration)
- マルチGPU環境で,ゲームなどのDirect3Dアプリケーションをフルスクリーンモードで実行したとき,セカンダリGPUのコアクロックやメモリクロックが規定値にまで上がらない問題
- DisplayPort−アナログRGB変換ドングル経由でCRTディスプレイと接続したとき,ディスプレイでサポートされる最大解像度の選択肢が正しく表示されない問題
- ATI Radeon HD 5870によるCFX構成時に,「Need for Speed: Shift」で,シングルカード構成時よりもフレームレートが低下する問題
- CFX構成時に,「Call of Duty: Modern Warfare 2」でティアリングが発生する問題
- ディスプレイとHDMI接続しているとき,OS側のディスプレイオプションから解像度を1776×1000ドットに変更すると,デフォルトのリフレッシュレートが30Hzになる問題
- デスクトップ解像度2560×1600ドットの環境で「WinDVD」からBlu-ray Discの再生を行うと,フレームドロップが発生する問題
- HDMIのオーバースキャン&アンダースキャン設定が,システムの再起動時に保持されない問題
- HDMIサウンドドライバの更新にあたって,すでにセットアップされているドライバをいったんアンインストールしておかないとブルースクリーンになる問題
- 垂直リフレッシュレート120Hz対応ディスプレイと接続した状態でBlu-ray形式のビデオを再生すると,デスクトップの表示がおかしくなる問題
●Catalyst 10.10で解決した問題(Windows Vista)
- 720p(60Hz),1080p(60Hz),1080i(30Hz)をベースにカスタマイズした画面出力設定を行うと,(ドライバが)特定のDVI接続ディスプレイを見失う問題
- ディスプレイを左右どちらかに90°回転させた状態で,解像度を1080i(30Hz)に設定すると,画面に何も表示されなくなる問題
●Catalyst 10.10で解決した問題(Windows XP)
- リリースノートに記載なし
●Catalyst 10.10a Hotfixの概要
- 「Morphorogical Anti-Aliasing」の新規対応
- Radeon HD 6870&6850に向けたパフォーマンスの最適化。対象タイトルは「Aliens vs. Predator」「StarCraft II: Wings of Liberty」「Prey」「Enemy Territory: Quake Wars」「Heaven Benchmark 2.0」
●Catalyst Mobility 10.10の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Intel製チップセットを搭載し,Switchable Graphicsを採用したノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
- 関連タイトル:
AMD Software
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