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「第4回パンヤジャパンカップ」&新種目「第1回PJCスピーダー」の優勝者が決定
パンヤジャパンカップ(以下,PJC)は,パンヤのプレイヤーが,オンラインおよびオフラインで腕を競い合う全国大会で,2004年から継続的に開催されている。オンラインゲームの大会としては,歴史のあるイベントだ。
今回行われた第4回パンヤジャパンカップには,過去最多の参加者がエントリー。オンラインで行われた予選大会を通過した12名と,シード枠の2名を加えた計14名が,オフラインの決勝戦に進出したという形である。
決勝戦は,パンヤの“大会モード”で行われる。まず14名参加の“決勝大会”が行われ,上位4名が“決勝ファイナル”に進出。そこで優勝者が決定するという流れだ。
なお,この大会では前回のPJCと同じく,パンヤの国際ルールが採用され,“サイレントウィンド”や“忘却の花”といったアイテムは使用できない。また,参加者が使用するアカウントは,普段使用しているものではなく,運営側が用意した“マスターA”ランクの専用アカウントである。つまり,プレイヤーの純粋な実力で競い合う環境が整えられているのだ。
選手達はまず,司会を務めたGMの夏みかん氏およびカフェ氏,そして声優のイソッチこと磯村知美さんに呼び込まれる形でステージ上に姿を見せ,意気込みを語った。
会場となったクラブeXは,円形のステージが会場中央に設置され,それを客席が取り囲むという独特の形状。事前の抽選で選ばれた300名の観戦者の視線が各方向から注がれることもあり,大会前に緊張を強いられることになるのでは……? とも思ったのだが,選手達は自分で選んだテーマ曲に合わせ,リラックスした様子で入場。司会陣とのやりとりを含め,この舞台で戦うことを楽しんでいる様子だった。
その後,選手達は会場2階に設置された個室でPCの前に着席。プレイの様子は,ステージ上に吊るされたモニターに映し出され,これを見ながら司会陣が解説を加えていくというスタイルだった。一般の客席から距離がある分,選手達にとって自身のプレイに集中しやすい環境となっていたかもしれない。
「第4回 PJC」は,常連選手が決勝ファイナルへ進出
決勝大会で選ばれたコースは,「WestWiz」(ウェストウィズ)。難度を示す★の数は一つだが,その分,選手の実力がストレートに反映されるコースとして知られている。
選手達は,実際に試合が始まってからも頻繁にチャットで雑談をしたり,ステージ上のモニターに自分のプレイが映し出されると観客に向けてチャットでアピールしたりと,リラックスしながら楽しんでいた模様。しかもその一方で,イーグルやホールインワンなどを当たり前のように繰り出しているのだから,彼らの強心臓ぶりには恐れ入る。
試合展開を見ながら,司会陣による解説が加えられていたこともあり,パンヤに触れたことのある人ならば,いかに高度な攻防が繰り広げられているかは,会場内のほとんどの人に伝わったのではないだろうか。
さて,そんな1試合目の結果は,Sound2006選手とがん太選手が−35の同一スコアを記録。獲得PPにより,Sound2006選手が1位となった(その差はわずか14PP)。2位以下は,がん太選手,幸せ者選手,アンセスタ選手と続き,この4名により決勝ファイナルが行われることとなった。
夏みかん氏によると,今回の出場者ならば,誰もが−35前後のスコアを出せるだけの実力を持っているのだそうだ。そしてここで勝敗を分けるのは,オフラインイベントでも臆することなく普段の実力を発揮できるか否かにかかっているという。実際,決勝ファイナルに進出した4名のうち,アンセスタ選手以外の3名は,過去のPJCで好成績を残してきた猛者である。彼らはほかの選手より,大会慣れという意味でアドバンテージを持っていたのかもしれない。
そんな中,初出場ながら並み居る強豪達を押さえて勝ち残ったアンセスタ選手には拍手を贈りたい。
スピード+正確さが求められる新種目「PJCスピーダー」
今回の決勝大会出場者は7名。スピーダーだからなのか,選手紹介時に各選手皆がダッシュで入退場していたのが印象的だった。
決勝大会のコースは,「Shining Sand」(シャイニングサンド)。砂漠をモチーフとしたコースで,飛距離を一気に伸ばすためのブースターが随所に設けられているのが特徴だ。
通常ルールであれば,高スコアを出すためにブースターを活用したり,砂地にボールを落とさないように細心の注意を払ったりするわけだが,スピーダーはちょっと違う。試合が始まるやいなや,これまでのパンヤの常識をことごとく覆すプレイスタイルの数々に,観戦者の視線は釘付けとなった。
とにかく,各選手のコースを回るペースがスピーディなのだ。まず,頭上からの視点を使わないなど,ショット前の思考時間がほとんどゼロである。また,ショット後にカメラがボールを追う時間を短縮するためにオーバードライブはあまり使わず,しかもキャディすら付けない。アプローチショットでは,パッティング時にキャラクターモーションが出ないような位置に落とす。そしてとくに驚いたのは,バンカーやサンド,ウォーターハザードですら,場合によってはショートカット目的のために“敢えて狙う”のである。こうしたテクニックを駆使するためには,コースを熟知しておく必要もあるのだ。
キャラクターのスペックも特徴的で,例えばコントロールなどは眼中にない。ショット時のゲージを速くするため,極端にパワーに振っている人がほとんどで,ステータスがパワーに偏っており,使いにくいことで知られているスパイクハンマーのクラブセットを使っている人もいたほどである。
試合開始から5分を経過した時点で,上位陣はすでに7ホールへ突入。その後も11分前後で15ホールに入るなど,1ホールあたり1分未満という驚くべきハイペースで進行。
そんな中,GMのみつば氏が,15ホールで熟考の末にホールインワンを決めて会場内の笑いを誘ったりもしたが,最終的にはマジカルこはっき選手が14分前後というタイムで優勝。見事に旅行券10万円分を獲得した。
通常ルールのPJCでは,パワーゲージを狙いどおりのところで止めたり,コマンド入力ができたりするまで,何度となくショットをやり直す選手が多い。慎重を期すあまり,タイムアップしてしまう選手もいるほどだ。そのため,見ているだけでも緊張してしまい,思わず手に汗が滲んでしまうほどなのだが,スピーダーは,スパスパ打ってくれるお陰でとても爽快であった。
決勝ファイナルはトリッキーな「Silvia Cannon」
決勝ファイナルで使用されるコースは事前に公開されておらず,来場者のアンケート投票によって決められた。その結果選ばれたのは,「Silvia Cannon」(シルビアキャノン)である。海上の軍艦の上に作られた,パンヤの中でも随一のトリッキーなコースだ。
このコースは,極端な高低差がある地形に加え,時折発射される大砲により風向きが一気に変わるため,プレイヤーのリズムが狂わされてしまうのがとくに厄介なのだ。そのため過去の大会では,意図的に候補から外されていたほどである。余談だが投票の2位は,こちらもトリッキーさで知られる「Wind Hill」(ウィンドヒル)であった。
4名の選手は,Silvia Cannonがあまり得意ではないとのことで,コースの発表から約10分間の慌しい練習時間が設けられたあとで,試合開始となった。
これぐらいのレベルの選手になると,ホールによってはチップインやホールインワンが半ば当たり前になってくるのだが,それを実現するには画面を最大まで拡大した上で,ショット時のパワーや角度,そして風向きなどを綿密に計算しなければならない。だがSilvia Cannonでは,計算している最中はおろか,ショット直前に大砲で風向きが変わってしまうこともある。
これには各選手共にかなり苦労しているようで,狙うべき球筋のために風向きが変わるのを待つなど,時間が長引きがち。過去の試合で,タイムアップによる苦い経験を持つSound2006選手などは,かなりのプレッシャーがあったのではないだろうか。
そのため,選手達はスコア面で厳しい展開となった。パンヤショットに失敗してO.B.になるなどして,ボギーやトリプルボギーといったスコアもちらほら見受けられた。また,たとえパンヤショットに成功してもO.B.になってしまうなど,悔しい思いをした選手もいた。
そういった混戦が続く中,序盤はSound2006とがん太選手が横並びで首位。その後はがん太選手が頭一つリードし,他選手が追う形となった。がん太選手は以前も語っていたように,とにかく自分のペースで早く進み,ほかの選手へプレッシャーを与える作戦に出たのかもしれない。
結局がん太選手が逃げ切る形で18ホールが終了。がん太選手は-24というスコアで(これはPJC2005と同じ),PJC2007グランプリに続き見事優勝を果たし,賞金50万円を獲得した。
PJCは年内あと2回。幅広い層のプレイヤーが参加できるイベントも予定
実際,選手達は過度の緊張でガチガチ……といったこともなく,のびのびとプレイをしていたようである。
また,来場者全員が着席してゆったりと観戦できたり,今夏導入予定の「シーズン4」韓国版をプレイできたり,来場者特典が用意されていたりと,ゴールデンウィークのまっただ中にわざわざ足を運んでくれる人達を,少しでも満足させようという意図が見えた。このあたりは,人数制限が設けられていなかったこともあり,凄まじいまでの盛況ぶりとなった1年前のPJCから格段に進歩した点といえるだろう。
また,残念ながら抽選に漏れてしまったり,距離の問題で東京まで来られない人でも楽しめるよう,当日の模様をストリーミング配信したり,勝者予想のダービーといったコンテンツを用意していたりと,オンラインでも楽しめるような仕掛けが用意されていたのも印象的だ。
なお,今後のPJCは,8〜9月頃に次のオフラインイベント,そして年末に2008年のグランプリ決定戦を行う予定があるそうだ。それに向けて,レディースやシニア/ジュニアといった,単に高スコアを競うだけでなく,幅広い層のプレイヤーが参加できるイベントも検討しているらしい。さらに,全国各地でのネットカフェ展開についても,“全国大会の予選”以外の,ユニークな内容のものを予定しているとのこと。
現在のPJCは,決勝大会への進出者の顔ぶれがある程度固定されつつある。そんなトッププレイヤー達がしのぎを削り合う様は,観戦するだけでも楽しいものだ。しかし一方,あまりにレベルが高すぎて,初〜中級程度のプレイヤーにとって,大会参加へのハードルが上がってしまうという側面があるのも否めない。
大会などのイベントは,ただゲームを楽しむだけでなく,「もっとうまくなりたい」といった動機付けに繋がり,プレイ頻度を高め,プレイ期間を延ばす要因になる。このあたりのかじ取りを,ゲームポットがどのように行っていくのか,今後とも注目していきたい。
■「スカッとゴルフ パンヤ」 http://www.pangya.jp/
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