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ゲームにNFTを実装すると何が起きるのか。KONAMI,セガ,CROOZによるセッション「上場ゲーム会社から見るWeb3の可能性」をレポート
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印刷2023/07/28 15:24

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ゲームにNFTを実装すると何が起きるのか。KONAMI,セガ,CROOZによるセッション「上場ゲーム会社から見るWeb3の可能性」をレポート

 東京国際フォーラムで2023年7月25日と26日に,Web3カンファレンス「WebX」が開催された。2日目のセッション「上場ゲーム会社から見るWeb3の可能性」では,コナミデジタルエンタテインメントのWeb3事業部長である金友 健氏,セガ代表取締役副社長の内海州史氏,CROOZ Blockchain Labの古瀬祥一氏がゲームマーケットにおけるWeb3活用の可能性について意見を交わした。本稿では,その模様をレポートしよう。なお,モデレーターはGameWith NFTの取締役である大嶋裕也氏が務める。

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大手企業が考えるWeb3の可能性とは?


 各々の紹介が終わったところで,大島氏はさっそく,それぞれがWeb3に感じている可能性について,登壇者に質問した。

大嶋裕也氏
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 PlayStationの立ち上げ当時にゲーム業界に入り,技術の進歩で業界が変容していくのを見てきたという内海氏は,Web3が新たなビジネスモデルであったり,取引を作ったりするところがあると感じているそうだ。
 一方,事業を(Web3に)取り換えるというよりも,例えばセガの持つ海外に通じるIPをつないでいくうえで,ブロックチェーンの技術やNFTの考え方で事業を拡大するといった,Web2.5のようなものが面白いと思っているとのこと。だからと言って,Web3を否定しているわけではなく,いま勉強しているところなのだという。

内海州史氏
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 続く金友氏も,まだ具体的なプロダクトが何も発表できておらず,手探りの状況だとしたうえで,それは各社,似たような状況ではないかと話す。ただ,内海氏の言うように,置き換わるというより,新しい何かができるんだろうなということを感じてはいるとのことだ。
 さらに,家庭用ゲーム機が主体だったところに,モバイルゲームでユーザーが増え,現在はそのどちらも盛り上がっているという3つの段階を提示し,Web3でもこの3段目のようなことが起こるのではないかと述べた。そして,それらが共存していくか,体験として溶け込んでいくかになるのだろうとしながら,ゲームの価値をさらに上げて,そこが心地よいものになるようにしたい述べた。
 そのための方向性は2つあるとし,1つはWeb3ならでのはゲーム体験を作ることで,もう1つは今がWeb2だとすれば,Web2の世界観で分断されたプレイヤー同士の体験をつなげていくというのも,Web3の大きな可能性だとした。そして,その2つの軸でゲーム体験のアップデートができないかと考えているのだという。

金友 健氏
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 さて,最後の回答者として話を振られた古瀬氏だが,回答の前に金友氏に聞きたかったことがあるようで……「金友さん,(Web3のゲームを)作っていますよね?」と,わりと直球の質問をぶつけてきた。「何をですか?」とトボけて見せた内海氏だが,実はこれまでのイベントでも,それを匂わせる発言をしていたようだ。
 内海氏としては,発表のタイミングはスケジュールどおりにいかないもので,何も言えない時期が続いているというのが正直なところなのだという。ただ周囲では,東京ゲームショウの近辺で国内からいろいろなプロジェクトが出てきて,そこからキラーコンテンツが立ち上がってくるのではという見方があるそうで,内海氏としても相当に焦っているのだとか。「明日にでも言いたいことはある」と話す内海氏だが,どんな作品を用意しているのか興味深いところだ。

 といったところで古瀬氏は,Web3の可能性についての話に戻した。氏は「PROJECT XENO」iOS / Android)をリリースする前と後で,Web3の見方が変わったそうだ。当初はWeb3がツールなどの違いでしかなく,本質的な面白さの変化は起きないのではないかと思っていたのだという。しかし,Web3の機能を使うことで,コミュニティの発生や発展の可能性があると感じ,そこに期待していると述べた。
 実のところ古瀬氏は,プレイヤーと直接会う機会はそれまでなかったという。しかし,(Web3は)投資という側面があるため,プレイヤーと運営の見る方向が対ではなく,一緒になるということもあり,コミュニティの可能性が大きなものになると考え,今ではファンミーティングで一緒にお酒を飲んだりすることもあるそうだ。
 古瀬氏としては,プレイヤーと同じ方向を見てゲームを作れるという,絵空事みたいなことが本当に起こるというのは,Web3の可能性だと思っているとした。

古瀬祥一氏
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 この話を受けて内海氏は,(ゲームの)運営を続けていくと,コミュニティサイトにゲームがどんどん移っていくのがWeb3の本来のデザインだとして,その意味で,どこまでメーカーが管理するようなデザインを考えているのかと問いかける。
 古瀬氏は「分からない」とするも,分からないことを今やっているという認識があり,それを突き進み,歩みを止めるわけにはいかないと述べ,何かあったとしても,それは柔軟に対応するしかないと自身の考えを示した。


ゲームにNFTを実装すると何が起きる?


 質問の2つ目として大島氏は,NFTをゲームに実装すると何が起きるのかをテーマに,予測や実体験からの話を聞きたいとした。

 古瀬氏は,NFTを入れることで,いろいろなパターンのプレイヤーが生まれると回答。例えば,「PROJECT XENO」ではNFTを購入せずにF2P(アイテム課金)でも遊べるが,かなりの割合のプレイヤーがNFTに移行するのだという。それは単純に対象のものが欲しいからという人だったり,投資をしてお金を儲けたいからという人だったり,転売したいという人だったりと,それぞれ異なる目的を持ったプレイヤーが誕生するそうだ。
 そのうち,どんなプレイヤーを重視するかと言えば,古瀬氏はゲームを面白いと思って買ってくれるプレイヤーを重視するという。そもそも,すべてのプレイヤーが儲かるのはあり得なくて,なぜ儲けられる人がいるかと言えば,それだけお金を使っているヘビーユーザー達がいるからだ。そういう人がいなければ破綻してしまうため,そこに合わせたバランス調整を行っているのだという。

 続いて内海氏は,ブロックチェーンという技術を考えると,ゲーム間同士でNFTを移動させるということもあると発言し,その垣根がだんだん薄くなって,例えばファッショングッズなどをトレーディングできるような世界観が出てくるのも面白いのではと感じているそうだ。実際に,セガでもバース間を移動するというのは,どういうことなのかという検討をしているそうで,NFTというのも1つの候補になっているという。

 その話を受けて古瀬氏は,数が限られているNFTの価値は永遠に上がり続けていいと思っているとして,そうしたものをほかのゲームにも移せるようにしたほうが面白いと考えていると述べた。具体的には,ガバナンストークンを利用したタイトルは「PROJECT XEN0」だけで終わらせるつもりはなく,まだ決め切っていないとしながら,ジェネシスという限定のNFTを移動できるようなことを考えているそうだ。

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 一方,内海氏としては,ゲームを作っている側で売り上げを考えると,そのあたりはコントロールしづらく,悩みどころだと思うと言及した。それに対して古瀬氏は,コミュニティの人たちの資産の価値を守ろうという考えが頭に出てしまうと返答。普通のゲームでは,そういう思考が出てくることはないが,それがWeb3だからというのはあるのではないかと分析していた。

 金友氏も,プレイヤーを大切にしたいという思いがあると同意し,Web3という世界観を模したゲームによって,プレイヤーの暮らしの充実に何か貢献できないかというのは,ベースとしてあるとした。例えば,自身が運営するゲームにおいて課金が失速するとしても,ほかとつながることで,そのプレイヤーの体験が向上するのであれば,それは世の中にとって価値が高いことじゃないかと思っているそうだ。

 また,実際にNFTを通じた相互送客が実現できたとき,プレイヤーとしては別に(運営に)送られているわけでもなく,囲われているつもりもない,普段の生活の利便性が増したという感覚に近しいのではないかと,マーケティングの面から言及した。
 さらにプロモーション寄りの意見として,ブロックチェーンは記録するのが得意なので,プレイヤーがいろいろなところに介入したデータなど,今まで見えなかったユーザーデータが取れるようになると話す。そして,それに合わせたサービスも提供しやすくなるので,現物になるか,精神的な報酬になるのかは分からないが,恐らく対価を渡せるようになるのではとも考えているようだ。

 そういった現実世界とデジタル世界がもっとミックスしていくような,DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速というのが,Web3の可能性としてありそうだと述べた。

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