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平成ゲーム史まとめ。30年間を年表とコラムで振り返る
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印刷2019/04/30 12:00

企画記事

平成ゲーム史まとめ。30年間を年表とコラムで振り返る



平成13年(2001年)

1月31日 セガ,「ドリームキャスト」の製造中止を発表。家庭用ハード事業からの撤退を宣言

2月27日 ゲームボーイカラー用ソフト「ゼルダの伝説 ふしぎの木の実」発売

3月1日 PlayStation 2用ソフト「ZONE OF THE ENDERS」発売
3月9日 ゲームボーイカラー用ソフト「ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵」発売
3月15日 PlayStation 2用ソフト「ワールドサッカーウイニングイレブン5」発売
3月21日 任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」発売

3月31日に発売された任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」。「ゲームボーイ」の後継機で高い性能を持つ。ゲームボーイシリーズと互換性があり,赤外線通信を利用するタイトルを除けば,ほぼすべてのゲームをプレイ可能。発売当時の価格は9800円
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3月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「悪魔城ドラキュラ サークル オブ ザ ムーン」発売
3月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「バトルネットワーク ロックマンエグゼ」発売
3月22日 ドリームキャスト用ソフト「サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜」発売
3月29日 PlayStation用ソフト「スーパーロボット大戦α外伝」発売
3月29日 ドリームキャスト用ソフト「セガガガ」発売
ドリームキャストの製造中止とセガ・エンタープライゼスの家庭用ハード事業からの撤退が決まった後にリリースされ,「陥落寸前のセガを救う」というゲーム内容から,「壮絶な自虐」などと話題になった「セガガガ」。企画プレゼンのとき,最初は冗談だと思われて流されたため,異例の「2回目プレゼン」をやったとか
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3月31日 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが開業

4月12日 PlayStation 2用ソフト「アーマード・コア2 アナザーエイジ」発売
4月14日 NINTENDO64用ソフト「どうぶつの森」発売

「どうぶつの森」シリーズの1作目は,4月14日にNINTENDO64向けに発売された。どうぶつ達とのほのぼのとしたコミュニケーションが女性を中心にウケて,現在もシリーズが続く人気作となった
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4月28日 PlayStation 2用ソフト「グランツーリスモ3 A-spec」発売

5月20日 ウィキペディア日本語サイトが開設

6月7日 PlayStation 2用ソフト「実況パワフルプロ野球2001」発売
6月21日 PlayStation 2用ソフト「リリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士3〜」発売
6月28日 ゲームボーイカラー用ソフト「スターオーシャン ブルースフィア」発売
6月29日 PC用ソフト「三國志VIII」発売

7月5日 PlayStation 2用ソフト「牧場物語3 ハートに火をつけて」発売
7月19日 PlayStation 2用ソフト「ファイナルファンタジーX」発売

ファイナルファンタジーのナンバリングタイトル10作目となる「ファイナルファンタジーX」が7月19日に発売された。PlayStation 2の性能によるグラフィックスはもちろんのこと,シリーズで初となるキャラクターボイスの採用など,演出面の進化が体験できた作品だ
※画像はHDリマスターのもの
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7月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「マリオカートアドバンス」発売
7月26日 PlayStation 2用ソフト「みんなのGOLF3」発売

8月2日 PlayStation用ソフト「サモンナイト2」発売
8月10日 NINTENDO64用ソフト「ダービースタリオン64」発売
8月23日 PlayStation 2用ソフト「デビルメイクライ」発売
8月30日 PlayStation 2用ソフト「パラッパラッパー2」発売

9月4日 東京ディズニーシーが開園
9月11日 アメリカ同時多発テロ事件が発生
9月13日 PlayStation 2用ソフト「エースコンバット04 シャッタードスカイ」発売
9月14日 任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドーゲームキューブ」発売

9月14日に任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドーゲームキューブ」が発売された。任天堂のゲーム機としては初めて光ディスクが採用される。DVDがベースだが,光ディスクの直径は8cmで容量は1.5GBとなっている。発売当時の価格は2万5000円
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■「ゲームキューブ」:オシャレなゲーム機に集まった個性派ゲームたち (ライター:箭本進一)

 ゲームが遊べる立方体だから「ゲームキューブ」。“名は体を表す”という言葉通り,実に分かりやすい。ハンドルもついていて持ち運びも簡単。コントローラの差し込み口,電源やAV出力のコネクタも分かりやすく,間違えようがない。個人的には,任天堂の据え置き機の中でも1,2を争う“オシャレさん”なゲーム機ではないかと思っている。

 ゲームキューブとともにすごした日々は「なんで,このゲームの良さが理解されないんだ」と煩悶した日々でもあった。それくらいに個性的な作品が多いゲーム機であったのだ。

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 ポリゴン丸出しの四角い「動物」が周囲の動物を喰らいながら最強の座を目指す「動物番長」。プレイヤーのサニティ(正気度)が減っていくと,画面が傾いたり,TVが消音モードに切り替わったような表示が出たり,謎のエラーメッセージが出たりと,ゲームと現実がないまぜになった演出が特徴的な「エターナルダークネス -招かれた13人-」。四国八十八カ所の霊場巡りをゲーム化し,専用マットの上で足踏みしたり,万歩計を持って歩いたりすると,その距離だけバーチャル霊場巡りの旅が進む……と,「ポケモンGO」に13年先んじた感のある歩きゲー「四国巡礼体験ゲーム お遍路さん」。古谷 徹氏が自動車番組「カーグラフィックTV」のノリでモビルスーツを紹介するモードが面白い「機動戦士ガンダム 戦士達の軌跡」。怪獣の巨大さと重量感を楽しむキャラもの格闘ゲームでありつつ,「建物投げ」「放射能火炎などの特殊技」「投げ技」などガードを崩す手段が豊富で,目まぐるしい状況の変化に対応する「ゴジラ怪獣大乱闘」など,枚挙に暇がない。僕はゲームキューブを持って友達の家に行き,こうした個性派たちを布教したのだが,残念ながらその成果は芳しいものではなかった。

 中でも思い出深いのが「ホームランド」と「ガチャフォース」だ。
 「ホームランド」はネットワーク対応RPG。プレイヤーは,世界を冒険する「クエスター」と,これを見守る「神さま」になり,モンスターとの戦いやクエストを楽しんでいく。ありそうでなかったのが神さまになってのプレイだ。神さまはサーバーの主とテーブルトークRPGのゲームマスターを足したような存在だった。神さまが世界(ホームランド)を作ると,クエスターたちがやってきて冒険を始める。神さまはその様をノンビリと眺めてもいいし,「神ワザ」を使ってホームランドに介入してもいい。神ワザの種類は様々。クエスターを回復させたり,モンスターを倒してやったりといった手助けに加え,開けるとモンスターが出てくる宝箱を落としてぬか喜びさせたり,クエスターに雷を落として神としての威厳を示したりといったイタズラもできる。加えて,神はクエスターよりも広い範囲を見られるので,謎の答えを教えたり,神ワザで積極的に介入したりすれば冒険の難度をかなり下げられるのだが,それがクエスターたちにとっていいことであるかどうかは分からない。

 僕はいつも適切な距離感を探りつつのおっかなびっくりな神さまで,無事に冒険が終わった後も「みんな喜んでくれたろうか……?」と自問自答する日々を過ごしていた。2005年頃のオンラインゲームといえば,効率良く冒険してコンテンツを消化するような遊び方が多かったが,そうした中で,テーブルトークRPGと友達の家でのゲーム大会を融合させたような牧歌的な遊びを提案していたのだから,実に個性的だった。

 そして,個人的に3Dアクションの傑作であると固く信じているのが「ガチャフォース」だ。これは,「ガンダムVS」シリーズの流れを汲み,206体の個性豊かな「ガチャボーグ」たちを操って戦う。ガチャボーグはアクションフィギュアや玩具のような姿をしたマシン生命体で,銃をぶっ放すガンマン,車に変形できるロボ,極太ビームを撃つ大砲,敵味方の位置を入れ換える忍者,時間を止めて敵を切り刻む侍,敵をワイヤーで捉えてチェーンデスマッチ状態で戦う騎士,味方を巨大化する魔法使い,地面にぶつかって自爆するICBM,地面をビームで焼き払う攻撃衛星など,多彩すぎる能力を持っており,アクションゲームにおける可能性を追求した実験作的な趣すらある。

 こうした個性派たちが入り乱れるバトルは奇想天外で飽きることがなく,下位のガチャボーグもテクニック次第で頼りになる戦力と化すのだから奥深い。ノーマークの状態でなんとなく購入し,その後も忙しかったこともあって3週間ほど放って置いたくらいに期待値は低かったのだが,“さまざまな特殊能力とデザインのガチャボーグが入り乱れる,おもちゃ箱をぶちまけたような混沌を童心に帰って楽しむゲームなのだ”と理解してからは,本作の虜となった。しかし,アクションゲームとしては紛れもなく傑作なのだが「ガチャフォース」の売れ行きは良いものではなかったようだ。ゲームキューブを片手に,周囲の人々に「ガチャフォース」を布教するのだが「子供っぽい」「全然知らないゲームだし」と言われ,成果は得られなかった。どれだけ良いゲームを作っても,事前の露出や宣伝が足りないと注目さえしてもらえない。そんな冷徹な現実を突きつけられた気がした。しかし,売上がどうだろうと「ガチャフォース」は僕にとって良いゲームで,心に刺さったことは変わらない。そして僕は2019年になっても「ガチャフォース」の続編やHDリメイクを待ち続けているのだ。

9月14日 ゲームキューブ用ソフト「ルイージマンション」発売
9月20日 PlayStation 2用ソフト「真・三國無双2」発売
9月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「スーパーロボット大戦A」発売
9月27日 PlayStation 2用ソフト「サイレントヒル2」発売
9月28日 PC用ソフト「遙かなる時空の中で2」発売

10月26日 ゲームキューブ用ソフト「ピクミン」発売
11月21日 ゲームキューブ用ソフト「大乱闘スマッシュブラザーズDX」
11月29日 PlayStation 2用ソフト「メタルギアソリッド2」発売

12月6日 PlayStation 2用ソフト「ICO」発売。北米では2001年9月26日に発売

■「ICO」:幻想的な孤島で繰り広げられる,不思議でどこか懐かしくも感じる少年と少女の冒険 (ライター:本地健太郎)

 今ではその名が世界に知れわたっているゲームクリエイター・上田文人氏のデビュー作である「ICO」。PlayStation 2のゲームで好きな作品を1つ挙げろと言われたら,筆者は迷わずこの作品の名前を出す。

 平成13年(2001年)に発売された「ICO」は,絶海の孤島に建つ“霧の城”と呼ばれる古城を舞台に繰り広げられる,少年・イコと少女・ヨルダの脱出劇だ。お互いの言語が異なるため会話ができず,仕草やなんとなくのニュアンスで意思を疎通させながら,共に霧の城からの脱出を目的に走り回る。

霧の城は広大で,仕掛けも多彩。だが,ただの“アクションゲームとしての舞台”ではない,と感じる。イコにとっては命がけの脱出劇なのだが,プレイヤーにとっては,魅惑的な廃墟を観光するような不思議な感覚がある。どういう経緯でこの城が建てられたのか,この世界においてこの城のがどういう意味を持つのか。それらに思いを馳せる時間,それ自体も,ゲーム体験のひとつだ
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 イコは,ヨルダをさらおうと時折現れる謎の黒い影と戦いつつ,霧の城の仕掛けを解いて,出口である城の正門を目指す。ヨルダはジャンプしかできず(しかも低い),常にイコ=プレイヤーがヨルダを引っ張っていくゲームデザインになっている。イコは,ヨルダが無理なくついて来られるように道を作り,積極的にヨルダの手を引いて走る。なので,ゲーム中にイコとヨルダが手をつなぐ時間は長い。

ヨルダは基本的に動かず,イコが手を引いて走るか,大声で呼ぶ必要がある。また,少し高い段差になると,自力で這い上がれないので,イコが上から手を差し伸べてやる必要がある
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 活発な男の子が,少し年上らしき女の子の手を引いて,不思議な城を探索する。幼い頃に絵本か何かで読んだことがある錯覚を起こす,素朴で純粋なボーイミーツガールの小冒険は,数時間もあればクリアできる。少し長めの映画を観る感覚だろうか。

 だが,エンディングと共にテーマ曲「You were there」が流れてきたときは,思わず涙がこぼれてしまった。とくに感動的なストーリーがあったわけではない。舞台となる霧の城や登場人物たちの素性には,むしろ謎のほうが多く残る。「何の涙なのだろう,これは……」と不思議に感じたことを覚えている。

「You were there」のためだけにサントラも買った。「ICO」には,曲らしい曲がほとんどなく,環境音のシーンが多いため,エンディングでのこの曲が際立っている。作曲者の大島ミチルさんのTwitterによると,テーマ曲「You were there」は「ワーズワースの冒険」のテーマ曲「シャ・リオン」のようなイメージで,というオファーだったらしい。聴いてみればなるほど納得の,哀愁と異国情緒である
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 後に,ネット上で「霧の城は女性の子宮の形をしており,イコは精子,ヨルダは卵子を暗示している」という考察がなされているのを見て,個人的にかなり衝撃を受けたのだが,後にPlayStation 3版の攻略本で上田文人氏がこれを肯定していた。つまり,「ICO」は精子と卵子が出会い,人間として生まれてくるまでをモチーフにしたゲームだということになる。

 我々人間はすべて,精子の生存競争に勝って母体から生まれたからこそ,今ここに存在できている。ヨルダをさらおうとする黒い影は他の精子であり,イコ(=プレイヤー)は必死でそれを蹴散らし,ヨルダを守ろうとする。魂の半身となるべき相手を命がけで守り,母体からの唯一の脱出口である城の正門を目指したというわけだ。エンディングでこみ上げてきた謎の感動は,もう残っていないはずの,人としての原初の記憶を刺激する何かだったのかもしれない。そう思うと,このゲームの底知れなさに震え,また,ゲームとしてはほかに類を見ない唯一無二のアプローチに,個人的に忘れられない作品となった。

黒い影は,ヨルダを狙っていること以外は何もかもが不明の存在。イコ(=プレイヤー)は必死で黒い影を蹴散らし,ヨルダを守る
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 本作「ICO」と,上田文人氏の第2作「ワンダと巨像」はPlayStaion 3用に一度リメイクされたが,「ワンダと巨像」は,2018年にPlayStation 4用にもリメイクされた。PS4版「ワンダと巨像」はハード性能が上がったことによる画質向上の恩恵がものすごかったため,必然として,「ICO」のさらなるリメイクも期待してしまう。超高画質になった霧の城を探索してみたい。筆者は霧の城の廃墟感が大好きで,「ああ,ここに居つきたい……」と感じるほどだったが,羊水の中の記憶とリンクしているとのなら,それも納得の話なのだ。

左がPS2版,右がPS3版。劇的に変化したこの差を見せられると,「PS4版も,頼む……!」と懇願したくなる。ちなみにPS3版の攻略本にあるインタビューによると,これは単純なリマスターではなく,グラフィックスの大部分を作り直しているそうだ。PS4版「ワンダと巨像」には好きな場面で写真を撮れる“フォトモード”が追加されていたので,「ICO」にもぜひ
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 「ICO」「ワンダと巨像」「人喰いの大鷲トリコ」は世界観が共通していると考察されている。考察というか,ほぼ事実と言ってもいい。PS4版「ワンダと巨像」では,他2作との関連付け要素が,さりげなく追加されている。

写真左は「ICO」2周目以降のエンディングで確認できる“スイカ”,写真右は「人喰いの大鷲トリコ」に出てくる“光るタル”。PS2版にはなく,PS4版「ワンダと巨像」で追加された
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 「ICO」,「ワンダと巨像」,「人喰いの大鷲トリコ」に共通しているのは世界観だけではない。映像と音とキャラクターの最小限のセリフだけで,どこまで“物語”を伝えることができるかの挑戦が行われている,と感じる。上田文人氏の作品には“言葉が通じない二者の協力”という設定が多く,行動で示すしかない場面が良くでてくるのも印象的だ。

 人間とほかの動物の最大の違いは「言葉を得たこと」であり,言葉によるコミュニケーションによって,人間は動物とは一線を画する進化をしてきたという。しかし,言葉を得たせいで変に小賢しくなってしまった一面もある。
 上田氏の作品に「言葉が通じない」状況が多いため,そうした進化をどこかあざ笑うような皮肉に感じる。「それは本当に進化なのか?」と問われているかのような。

 平成のゲーム史は,ゲームにおける映像進化の歴史でもあった。それは,映像に偏重した作品も多数生み出したが,上田文人氏の作品のような,“映像による説得力”で語るゲームも生まれた。
 映像のクオリティに寄った作品を揶揄する言葉として,「映像のグレードアップはゲームの本質とは関係がない」と言われることも多いが,「ICO」が表現したかったこと,表現したかった世界は,ファミコン時代の映像では不可能だったはずだ。

 平成のゲーム史を,そしてこれら“上田文人ユニバース”ともいえる作品群をリアルタイムで楽しむことができたことを,幸運に思う。──こうした作品に触れた感動を“言葉で表現”することに,若干の恥ずかしさを感じつつ。

12月13日 PlayStation 2用ソフト「零」発売
12月20日 PlayStation 2用ソフト「ときめきメモリアル3 〜約束のあの場所で〜」発売
12月20日 NINTENDO64用ソフト「ボンバーマン64」発売


平成14年(2002年)

1月22日 PC用ソフト「Medal of Honor : Allied Assault」発売
2月7日 ドリームキャスト用ソフト「不思議のダンジョン 風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」発売
2月22日 マイクロソフトが「Xbox」を発売。日本市場に進出(北米では2001年11月15日に発売)

■「Xbox」:黒くてデカくて凄いハードは,たった一本のソフトのために我が家にやってきた (ライター:津雲回転)

 おこづかいが少ない子供にとって,「どのゲーム機を買ってもらうか」というのはかなり悩ましい問題だ。数万円もするゲーム機はかなり高い買い物で,全種類そろえるなんてとてもできないので,できれば自分が所有する(あるいは買おうと思っている)ハードで話題作や人気作を全部プレイしたいと思うのは,ごく自然な考え方だろう。

 新型ゲーム機は各社がしのぎを削ってリリースしていたが,運悪くマイナー(になってしまった)ハードを選んだりすると,クラスの話題についていきにくくなったり,友人同士でソフトの貸し借りが難しくなってしまう事態も起こる。「ゲーム機戦争」はいろいろと熱く語られてきているが,企業の戦略が云々といった視点以前に,ゲームが一番の娯楽だった子供達にとっては,非常に身近で切実な問題だったりしたのだ。

 だが,そういったある意味打算的な視点ではなく,「どうしてもコレをプレイしたいからハードごと買う」なんてことも当然ある。自分にとっての初代Xboxはまさにそれで,実際に後先考えず勢いで買ったように記憶している。そのプレイしたかったソフトとは,セガの「ジェットセットラジオフューチャー」(以下,JSRF),ドリームキャストで発売された「ジェットセットラジオ」の続編だ。

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 初代ジェットセットラジオは東京をモデルにした“トーキョート”を舞台に,インラインスケートを履いた若者グループが,グラフィティと呼ばれるペイントを街中に描いていくという,テーマからしてかなり尖った作品だった。
 クセが強いライバルグループとの抗争もさることながら,ケーサツやジエータイといった治安組織は平気で戦車や戦闘ヘリを繰り出してくるし(しかも普通に実弾やミサイルを撃ってくる!),全体的に操作感は“重め”で難度も少々高く,とくにグラフィティを描く順番は覚えゲー的な要素も強かった。描くのが難しい大きなグラフィティを後に残すと,敵の攻撃が激しくなってクリアが途端に難しくなってしまうからだ。

 だがそれでも,アニメ的でありながらリアリティのある街並みや,ゲームから漂ってくるオシャレでクールな雰囲気,そして今もテレビ番組などでたびたび使われたりする最高にイカすミュージックなど,ジェットセットラジオは今でもお気に入りの1作となっている。「ライトでポップな見た目に反して,ゲーム部分は想像以上に骨太」そんなある意味,非常にセガらしい作品だったと思う。

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 そんな体験から数年後,日本に“黒船”が来ることが話題になる。Microsoftが発売する初代「Xbox」だ。ゲーマーとして当時を振り返ると,メディアの扱いはともかく,多くの日本のゲーマーは非常に冷静,というか様子見の雰囲気がかなり強かったと記憶している。PC業界ではWindowsで圧倒的な存在感を持っていたMicrosoftではあるものの,それがゲームでも同じようになるかは,正直自分もかなり未知数だと感じていた。

 さて,そんなXboxの日本でのローンチタイトルは,結構しっかりと日本向けになっており,「鬼武者」や「信長の野望」,「デッド オア アライブ」といった人気シリーズが用意されていた。そしてその中の1本がJSRFで,当時すでにハード事業からの撤退を表明していたセガは他社のハード向けにソフトをリリースしていて,その後もXboxに「クレイジータクシー3」や「パンツァードラグーン オルタ」「ハウス・オブ・ザ・デッド3」など人気シリーズを次々投入してくれた,ユーザーにはありがたい存在だった。

 とはいえ前述のように筆者がXboxを購入したのは,そういった他のセガタイトルに惹かれたわけではなくて,「ジェットセットラジオの新作をプレイしたいから」というそれだけの理由だった。
 最初にタイトルを見たときはそこまで強く惹かれたわけでもなかったと思うのだが,公式サイトにアクセスしてゲーム動画を見てみたら,たちどころにコロリ。「こんな凄いものを実際に操作してプレイできるの!?」と,いても立ってもいられなくなってしまったのだ。それぐらい,最新ハードで生まれ変わったジェットセットラジオに一目惚れしてしまった。

 実際にXboxを入手してJSRFをプレイしてみると,期待した以上の作品だった。当時のコンシューマゲーム機と比べて桁違いに美しいグラフィックスに,格段に向上した操作性とノリノリ過ぎる音楽。グラフィティはボタン押しっぱなしで描けるようになり,ケーカンも戦車も巨大ロボですらスプレーで倒せるし,キャラクターのストーリー性も増すという,ゲームバランスも含め全方位でパワーアップした作品となっていた。自分が所有していたXboxのソフト中では一番のお気に入りだし,ローンチでこんなクオリティの作品を発売できた当時のセガには,今でも感服してしまう。

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 その後もJSRFは気が向くたびに定期的にプレイしていたのだが,Xbox本体の調子があまりよくない状態になっていき,また次世代のXbox 360が登場されたこともあって,プレイする機会はほとんどなくなっていった。次にプレイできたのはXbox 360にXboxの互換機能が搭載され,JSRFが対応したときだ。喜び勇んで起動し,起動後のデモに懐かしさが炸裂したものの,実際プレイしてみると処理落ちがかなり酷く,ちょっとがっかりな感じだった。
 現在JSRFはXbox Oneでもプレイできるし,状態がいいものを見つけられれば,実機で動かすのも悪くないと思う。でも初代ジェットセットラジオがHD版になって,PS3やXbox 360やPCで再リリースされたことを考えれば,こちらもHD化してほしい……というよりむしろ続編も出してほしい。またハードごと買いますから,セガさん何とかなりませんでしょうか。

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3月7日 PlayStation 2用ソフト「鬼武者2」発売
3月12日 タカラ,「ギコ猫」の商標登録を出願(のちに出願を取り消す)
3月28日 PlayStation 2用ソフト「キングダム ハーツ」発売
3月22日 「ゴーストリコン」(PC/PS2/Xbox/GC)発売

4月1日 PC用オンラインゲーム「ガンダムネットワークオペレーション」のサービス開始
4月25日 PlayStation 2用ソフト「絶体絶命都市」発売
4月26日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ロックマンゼロ」発売
4月25日 「中古ゲームソフトの売買は著作権法に違反せず」最高裁が判断下す
5月1日 PC用ソフト「The Elder Scrolls III: Morrowind」発売
5月16日 PlayStation 2用オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」のサービスがスタート

ファイナルファンタジーシリーズ初のMMORPG。PC版,Xbox 360版も発売され,現在でもPC版のサービスは継続している
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■「ファイナルファンタジーXI」:MMORPGをコンシューマ機に持ち込んだ偉大なる先駆者 (ライター:本地健太郎)

 筆者が「これまでの生涯で最も時間を費やしたゲームは?」と聞かれたら,「ファイナルファンタジーXI」(以下,FF11)だと答える。費やした時間は「○時間」ではなく,「○年」になるからだ。

 FF11の最大の特徴は,PlayStation 2という家庭用ハードで始まったMMORPGである点だと思う。実際,FF11が初めてのMMORPGだという人も多かったはずだ。筆者もその頃はPCでゲームをしていなかったので,FF11が初のMMORPGだった。

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 フィールドを走っていると,モンスターと戦っている人がいる。街中ですれ違う人がいる。それらはすべてNPCではなく,自分と同じプレイヤーだ。とにかく何もかもが新鮮だったが,「バザー」という,個人が自由に価格を設定して直接アイテムを売り買いできる機能を使って,道端で「ケアルII」を売っている人がいたのは衝撃的だった。

 FF11の世界では,上位の魔法は「ファイアII」「ファイアIII」といった感じで数字が増えていき,修得には個別に魔法書が必要になる。この魔法書は主に店で購入する必要があるのだが,当時,筆者がスタートした国では「ケアルII」が購入できない状況で,レアな魔法でもあった。

 売っている人と他の人が「どこで手に入れたんですか?」「あー,これは……」という会話をしていたので立ち聞きしていると,かなり遠い街まで徒歩で行き,その街でケアルIIを仕入れてきて,それをこの街で売っている,ということだった。

 個人的に,これは衝撃的な出来事だった。要するにこの人は行商をやっていたのである。「ああ,オンラインRPGって,こういうこともできるんだ」という驚きに加え,ほぼサービス開始直後にもかかわらず,早速こういう手段でお金稼ぎをしている人がいるという驚き。そんな他人の会話を“立ち聞き”している自分。これらはオフラインRPGではありえない,オンラインならではのおもしろさだ。
 その後,筆者も歩いてその街を目指してみたり,途中でモンスターに襲われて倒れたりしながら,徐々に,FF11の世界にのめり込んでいった。

残っていた写真の中で,おそらく最古の物。2002年のサービス開始から間もない頃だと思う。確か,レアモンスターなので記念に撮っておいたのだと思うが,この後,メチャクチャ殺された
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MMORPGで欲しいアイテムを手に入れる難しさ

 オンラインRPGといえば「膨大な時間を費やす」というイメージがあると思う。FF11においてこの考え方は間違いではないが,正確でもない。なぜなら,時間をかけるだけでは解決しないことが多いからだ。

 中でもとくに大変だったのが,「デュナミス」と呼ばれるコンテンツである。デュナミスは特殊なエリアで,1回突入して出てくると,現実の時間で数日空けないと再突入ができない。
 しかも,まともに攻略するには18人編成が推奨されるエリアであり,1人では絶対に不可能。そのため,デュナミス攻略のための団体に所属するのが当たり前になっていた。さらに,開始すると最低でも2時間の拘束は覚悟する必要があった。

 デュナミスは,ちょっとした失敗が全滅を招くシビアなエリアで,移動ひとつをとってみても,モンスターに感知されないルートを全員が把握し,慎重に行う。それでもミスは発生するもので,たとえば,開始数分で全滅というのもあり得る。そうなるとキツいのが,再突入が数日後になるという点だ。たった1人のミスで全員に大迷惑をかけることになるため,とにかく緊張感がスゴかった。

 また,一度に複数の団体が入れないエリアでもあったため,各団体が事前に打ち合わせを行い,「○曜日の○時からはウチが入る」という取り決めをしていた。
 これの難しいところは,次から次に新しい団体が生まれること。幸い,筆者の所属していた団体は深夜型だったため,衝突する団体は少なかったようだが,勝手に突入する団体が現れたりと,その調整役を担っているリーダーの心労は計り知れなかった。ゲームで心労って……という感じだが。

 かくいう筆者も深夜攻略型の団体に所属させてもらい,実に2年ほど活動していた。活動ペースが週1だったことと,都合の悪い日は無理にログインする必要はないというユルめのルールだったので,続いたのだと思う。当初の目的であった「デュナミスのクリア」と,「デュナミスでのみ得られる装備品の,各メンバーの第一希望品」については見事達成し,特に大きく揉めることなく解散となったが,よくよく考えると,「ゲーム内で年単位での活動」ってスゴいなと,しみじみ思う。

 ちなみに,デュナミスは現在では「突入制限一切なし」と,信じられないほど緩和されている。

デュナミスではないが,全滅したときの写真。剣を持っていた仲間が隣で倒れているため,筆者のキャラにうまいこと突き刺さっている。「これ,ひどくない?」とか言って見せた覚えがある。全滅しても楽しかった,あの頃……
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“冒険者”としてのセカンドライフ

 シビアな戦闘を乗り越えるコンテンツ以外でも,FF11の世界には“冒険者としての生活”が確かにあった。
 レベル上げパーティに参加してレベルを上げるには“食事”を持参するのが当たり前で,物によっては結構高価だったので,「まず食事代を稼がないことには,レベル上げにも行けんな……」とか思いながら,「今日は何をすべきか」を考えていたものだ。

 「お前は何を言っているんだ」と思われるかもしれないが,戦闘前に前衛職は全員「寿司」を食べる。文章で見るとスゴいシュールだが,寿司は命中が上がる食事だったので,前衛職のスタンダードな食事だった。食事効果は戦闘不能になると消えてしまうので,レベル上げの最中に何度も倒れていると,寿司代が脳裏をかすめる。当時は「スキッドスシ」がメジャーだったと思うが,たまに,ハイクオリティ品の「スキッドスシ+1」を食べている人を見ると「コイツ……金持ちだな!」とか思ったものだ。

 オフラインRPGより遥かにシビアな戦闘を6人パーティで協力して乗り切ることの楽しさ……はもちろんだが,FF11は「ナンバリング作品である」というポリシーから,従来のオフラインRPG同様にイベントシーンにも力が入っていた。イベントシーンでもパーティ会話のチャットウインドウは開いているので,イベントシーンを眺めながら,パーティメンバーの「○○キター」などの発言を同時に見ることができる。同じ体験を共有し,その最中に文章のやり取りができるという点で,ニコニコ動画の先駆けでもあったのでは……と,勝手に思っている。

モンスターを倒した後に宝箱が出現するバトルコンテンツで,結構なハズレを引いたときの会話ログ。語尾に「wwwwww」を付けるのが流行っていた時期があり,知らない人とパーティを組むときは「こんにちは^^」みたいな無難な会話をしつつ,仲間内ではこんな感じだった。とにかく楽しそうである
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最大レベルが50だった時代の強敵「Roc」に,レベル75になってから仲間と挑んでみたときの写真。「称号:ロック スター」が討伐の証だ。PS2をS端子で接続していた頃なので,画像が粗いのがまた懐かしい。今見ると,ビックリするほど画面が狭い
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外国人の業者が適当な名前で新キャラを作り,無作為にスパムを送りつけてくることが問題になっていた頃の写真。スパム判定されないために文章にいろいろと回避策を盛り込んだ結果,もはや何が何だか分からなくなっていて,逆におもしろくて保存した1枚
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 FF11はPCで現在もサービスが続いており,今年で17周年を迎える。サービス開始当初と比べると,仕様が大きく緩和された部分もあり,現在ではかなり遊びやすくなっている。ひととおりのストーリーを味わうだけなら,最初から最後まで1人でもクリアが可能だ。レベルを上げるだけでも6人パーティが欠かせなかった時代,飛空艇に乗り遅れて次の便を待つまでリアルに15分待ちをしていた時代などが懐かしい。

 その一方で,「MMORPGである」という部分も大切にしているゲームであり,エンドコンテンツになるほど,1人ではどうしようもない難度になっていることも多い。「本編ストーリーのクリアなど当然」という前提で,強い武具を求めて際限なく自身を鍛えていくゲームでもあるので,「一応FFシリーズのナンバリング作品だし,本編のストーリーだけでもやっておこうかな!」という感じで手を出してみるもよし,音頭をとって人を集め,高難度コンテンツの攻略を目指して,どっぷりと沼に浸かるもよし。さすがにグラフィックスは2002年当時の物がベースなので,今となっては時の流れを感じることもあるだろうが,ゲームとしてのおもしろさはまったく錆びついていない。筆者も,今なお,時々やりたくなるほどだ。17年も続くMMORPGには,それだけの理由がある。

5月17日 PC用ソフト「ダンジョン・シージ」発売
6月 特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)設立
6月6日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲」発売
6月18日 PC用ソフト「Neverwinter Nights」発売
6月20日 PlayStation 2用ソフト「.hack」発売

7月19日 ゲームキューブ用ソフト「スーパーマリオサンシャイン」発売
8月7日 多摩川でアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」確認
8月16日 07th Expansion,「ひぐらしのなく頃に」をコミケで発売
8月29日 第1回Games Conventionがライプツィヒで開催
8月27日 PC用ソフト「Mafia: The City of Lost Heaven」発売

9月10日 PC用ソフト「バトルフィールド1942」発売
9月12日 Xbox用ソフト「鉄騎」発売。ソフト同梱の専用コントローラのサイズが話題に
9月14日 PC用オンラインゲーム「プリストンテール」の正式サービスが開始
9月20日 第12回東京ゲームショウ2002開催。来場者数の減少から年1回の開催に変更
9月30日 Sierra Entertainmentが「No One Lives Forever2」発売。現在は複雑な権利事情でIP保有者が分からなくなっていることで著名な作品でもある

10月21日 PC用オンランゲーム「エターナルカオス」正式サービス開始
10月27日 PlayStation 2用ソフト「グランド・セフト・オート・バイスシティ」発売
10月30日 PC用ソフト「Age of Mythology」発売

11月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ポケットモンスター ルビー・サファイア」発売
11月26日 スクウェアとエニックスが合併を発表
11月28日 PlayStation 2用ソフト「ダーククロニクル」発売
12月1日 PC用オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」の正式サービスがスタート

今もサービスが継続しているMMORPG。日本での運営会社はガンホー・オンライン・エンターテイメントで,開発元は韓国のGRAVITY
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12月13日 ゲームキューブ用ソフト「ゼルダの伝説 風のタクト」発売
12月13日 PC用ソフト「Microsoft Combat Flight Simulator 3」発売
12月26日 EA,「シムズオンライン」発売(海外では12月17日)


平成15年(2003年)

1月23日 Xbox用ソフト「デッド オア アライブ Xtreme Beach Volleyball」発売

■「DEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyball」:家庭用ゲーム機の限界を攻めたセクシータイフーン! ゲーム史に残る,空前絶後のバカンスゲーム (ライター:本地健太郎)

 この世の人間は2種類に分けることができる。Mejaの「How crazy are you?」を聴いた瞬間,「DEAD OR ALIVE Xtreme Beach Volleyball」(以下,DOAX)を思い浮かべる者と,そうでない者に──。

Mejaのヒット曲「How crazy are you?」が流れるオープニングムービー。この曲は続編でもテーマソングとして使われ,ファンの脳裏には刷り込まれているに違いない
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 DOAXは2003年の発売当時,雑誌などで“究極のファンディスク”と称された。ジャンルとしての前例がなかったということもあるが,この「究極のファンディスク」というフレーズは本作を的確に表していると思う。

 それまでのコンシューマ機用ゲームの中では,おそらく史上最高の肌色率をマークした作品だと思うが,単に露出度が高かったわけではない。ビキニ,セパレート,パレオ付き……水着もいろいろと登場した。また,「そのキャラクターに合ったデザインの水着がちゃんと練られている」という点に,キャラクターを大切にしているこだわりが感じられ,それが我々プレイヤーにも伝わったのだ。

 そして,「水着」の新解釈。「えっ,これって……い,いや,水着だよね,うん」と,うろたえてしまうほど奇抜なデザインの水着が多数登場した。

裸にサスペンダー(に見える),下着(に見える),チアガール(に見える),ネグリジェ(に見える)水着たち。控えめに言ってサティスファクション
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 キャラクターに合った水着に加え,この,男心をくすぐる……いや,もはやエグると言ってもいいレベルのこだわりが,本作を人気シリーズに押し上げた要因であることは間違いない。

カジノで使われるトランプの柄も,各キャラの水着姿。このトランプは実際に,ゲームソフトを購入したときの特典などで配布された。筆者の宝物である
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 また,サウンドトラック機能が最も生き生きと機能していたゲームでもあった。初代Xboxには音楽CDから音楽を取り込める機能があり,それをBGMとして流しながら遊ぶことができたのだが、夏☆しちゃってる系の曲をかけるとメチャクチャ盛り上がるのだ。

 今回の平成振り返り企画に際して,久々に初代Xboxを起動してみたのだが,筆者のXboxのサウンドトラックには光GENJIの「パラダイス銀河」,シブがき隊の「ZOKKON 命(ゾッコン・ラブ)」,access「ドラスティック マーメイド」,T.M.Revolution「HOT LIMIT」など,我ながらセンスが良すぎる曲群が入っていて,2003年当時にこのゲームを遊んでいた思い出が一気に蘇った。

 中でも,Vガンダムの主題歌「STAND UP TO THE VICTORY」のフィット感は凄まじかった。ビーチバレーで防戦一方になっているときに「終わりのないディフェンスでもいいよ 君が僕を見つめつづけてくれるなら」というフレーズが流れると,周囲がスローモーションになって「ああ,そうだった……俺は勝つためにビーチバレーをしているんじゃなくて……勝ち負けに一喜一憂して飛んだり跳ねたりしているこの子たちのまぶしすぎる姿が見たくて……主に胸とか……」という気持ちになれるし,その直後のサビの「STAND UP TO THE VICTORY!」でアタックを決めたときの最高な気持ち,分かります? この曲のおかげで,1対6でマッチポイントを迎えた絶体絶命の状況から逆転したことある。「ま,まさか……いけちゃう?」という感じで逆転しかかっているときに響きわたる,間奏の「スタンダップ! スタンダップ!」の心強さ。何を書いているのか分からなくなってきたが,全部,全部,夏のせいだから──。

初代Xboxのコントローラはボタンが感圧式になっていて,ボタンを強く押せば強いアタックになったりした。これは設定で「デジタル」にすれば感圧式でないようにもできるのだが,当時それを知らなかった筆者は強く押し続け,結果,コントローラの効きが微妙に……
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 初代Xboxのゲームの中には,Xbox 360やXbox Oneでプレイできるようになっている物もあるが,DOAXは対応していない。このシリーズは作を重ねるごとにグラフィックスの進化が著しいので,最新作があればそれで充分じゃないかと思う人もいるだろう。
 しかし,「DEAD OR ALIVE」シリーズはキャラクターのモデリングも変化していっており,それはそれで素晴らしいのだが,ふと,シリーズ初期のモデリングが愛おしくなるときがある。DOAXには,「これからのゲームグラフィックスはどうなっていくんだろう!」という期待に満ちあふれていたあの瞬間を閉じ込めた,宝石箱のようなきらめきがあるのだ。

 この記事で使用している写真は,コンポーネント/D端子の画質で撮影した物だが,どうだろうか。今見ても「美しい」と感じないだろうか。とても16年前のゲームとは思えない。2003年当時の最高の技術で作られた,最高のバカンスゲーム。平成の足跡の1つとして,残さずにはいられない。

本作の最終目標ともいえる高級水着「ヴィーナス」。1人に着せるだけでも大変だが,この世には全員に着せた強者も存在する……
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1月23日 ゲームキューブ用ソフト「バイオハザード2」発売
1月23日 ゲームキューブ用ソフト「バイオハザード3 LAST ESCAPE」発売
1月30日 PlayStation 2用ソフト「デビルメイクライ2」発売

1月30日 ゲームキューブ用ソフト「ワールドサッカーウイニングイレブン6 ファイナルエヴォリューション」発売
2月5日 PC用オンラインゲーム「Ever Quest:エバークエスト」日本語サービス開始

Sony Online EntertainmentのPC用MMORPG。基本的に一人称視点で展開し,ノーラスと呼ばれる世界の冒険者として活動を行う。探検や戦闘に重きが置かれており,オンラインで繋がった仲間と冒険を楽しめることで人気となった
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2月13日 PlayStation 2用ソフト「ドラゴンボールZ」発売
2月14日 任天堂,携帯型ゲーム機「ゲームボーイアドバンスSP」発売

任天堂ゲームボーイアドバンスの上位機種として発売。液晶はフロントライト付き反射型TFTカラー液晶が採用されている。本体を折りたたみ型にしたことで,小型化されて携帯性が高められ,同時に液晶画面保護性能も向上させた。このデザインは,ニンテンドーDSなどその後の任天堂携帯型ゲーム機に継続的に受け継がれている
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2月14日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「メトロイドフュージョン」発売
2月27日 PlayStation 2用ソフト「真・三國無双3」発売
2月28日 ゲームキューブ用ソフト「メトロイドプライム」発売

3月3日 PlayStation 2用ソフト「ファイナルファンタジーX-2」発売
3月14日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣」発売
3月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「メイド イン ワリオ」発売
3月29日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート」発売

4月17日 PlayStation 2用ソフト「ファイナルファンタジーXI ジラートの幻影」発売
4月28日 アメリカでiTunes Music Storeのサービス開始

5月2日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ロックマンゼロ2」発売
5月6日 PC用オンラインゲーム「EVE Online」サービス開始
5月9日 小惑星探査機「はやぶさ」打ち上げ
5月30日 ゲームキューブ用ソフト「ポケモンボックス ルビー&サファイア(メモリーカード59同梱,GBAケーブル同梱用ソフトあり)」発売

6月5日 PlayStation 2用ソフト「Jリーグプロサッカークラブをつくろう!3」発売
6月12日 PlayStation 2用ソフト「みんなのGOLFオンライン」発売
6月20日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「MOTHER1+2」発売
6月27日 ゲームキューブ用ソフト「どうぶつの森e+(カードeリーダー+同梱)」発売

7月3日 PlayStation 2用ソフト,Xbox用ソフト「ヒットマン:サイレントアサシン」発売
7月11日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「スーパーマリオアドバンス4」発売

8月1日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ポケモンピンボール ルビー&サファイア」発売
8月7日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「デュエル・マスターズ」発売
8月8日 ゲームキューブ用ソフト「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル(GBAケーブル同梱)」発売
8月8日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ロックマンエグゼ バトルチップGP」発売
8月8日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「スーパーロボット大戦D」発売

9月5日 ゲームキューブ用ソフト「マリオゴルフ ファミリーツアー」発売
9月12日  PC用ソフトダウンロード販売プラットフォーム「Steam」のサービスが開始
9月25日 PlayStation 2用ソフト「真・三國無双3 猛将伝」発売
9月25日 Xbox用ソフト「トム・クランシーシリーズ ゴーストリコン」発売

10月17日 ゲームキューブ用ソフト「あつまれ!!メイドインワリオ」発売
11月6日 PlayStation 2用ソフト「SIREN」発売
11月7日 ゲームキューブ用ソフト「マリオカート ダブルダッシュ!!」発売

11月21日 ゲームキューブ用ソフト「ポケモンコロシアム」発売
11月21日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「マリオ&ルイージRPG」発売
11月27日 PlayStation 2用ソフト,Xbox用ソフト「トム・クランシーシリーズ スプリンターセル」発売

■「スプリンターセル」:しなやかな中年男が闇に潜んで敵を羽交い締めにするゲームがもたらしたもの (編集部:松本隆一)

 海外では2002年に,また日本では2003年にリリースされた「スプリンターセル」(原題「Tom Clancy's Splinter Cell」)は,湾岸戦争(1991年)に出征した経験を持つという中年エージェントのサム・フィッシャーを主人公にした三人称視点のアクションゲームだ。プレイヤーは秘密が多いことで有名なアメリカ国家安全保障局に組織された秘密機関「サードエシェロン」の秘密工作員サムとなって敵のアジトに単身侵入し,情報を奪取したりターゲットを暗殺したり要人を誘拐したりなど,アメリカの国益のために非合法な大活躍をする。

 サムは,敵に発見されて撃ち合いになるとわりと簡単にやられてしまうため,闇にまぎれてコッソリと敵を倒すことがプレイの基本だ。ナイトビジョンやサーマルビジョンなどのハイテクガジェットを駆使し,天井のパイプにぶら下がったり,忍び足で移動したりなど,中年とは思えないしなやかな身のこなしで敵を背後から羽交い締めにし,気絶させた相手を,どっこいしょと背負って,暗いところにそっと隠しながら,敵地の奥へ奥へと進んでいく。

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 かなりの改良を加えた「Unreal Engine」が描き出す,光と影のグラフィックスも(当時としては)かなり素晴らしく,あえてモーションキャプチャを使わず,手づくりのアニメーションにこだわったというサムの動きもカッコいい。ワシントンD.C.でサムを指揮するランバート大佐や,ハッカーチームを率いるアンナ・グリムスドッティア女史との会話もエスプリが効いており,サムのキャラ立ちは抜群。トム・クランシー氏の名前を冠しているだけあって,オリジナルのストーリーは当時の国際情勢を反映しているようなそうでもないような雰囲気で,なんだか物知りになったような気がしてくる。そういったことから,「スプリンターセル」は世界的に大ヒットし,2004年にはさっそく続編の「Tom Clancy's Splinter Cell: Pandora Tomorrow」が登場し,以降,シリーズは続いていったのだ。

 「スプリンターセル」というゲームは,制作したUbisoft Entertainmentにとってもエポックメイキングな作品だった。繊維産業や製造業の衰退で不況に陥っていたケベック州が税制上の優遇措置を含む熱心な誘致を行い,その結果としてUbisoftがモントリオールに開発スタジオを開設したのが1997年のことだ。モントリオールは英語よりもフランス語が通じる都市で,そういう点でもフランス企業のUbisoftには都合が良かった。彼らは倒産した衣料品会社の巨大だが古い工場にスタジオを構え,最初は50人ほどのスタッフで,ライセンスものの子供向けゲームを細々と作っていたが(ただし,よく売れたそうだ),現在,モントリオールスタジオには3500人もの開発者が在籍し,「アサシン クリード」シリーズを始め,「ファークライ」シリーズや「レインボーシックス」シリーズなど,Ubisoftを支える大作ソフトを次々に生み出すまでに成長した。そのすべてのきっかけが,「スプリンターセル」の成功のおかげだというだから,ぜひ驚いてほしい。

 2作め以降はマルチプレイモードが用意されたが,初代「スプリンターセル」はシングルプレイオンリーで,2003年当時の筆者はもう中年だったので,同じ中年男が活躍するという点で妙な親近感を覚えつつ,1人でじっくり楽しんだものだ。ルートは一本道で,敵の動きはある程度予想できるので,タイミングを図って,さっと背後を駆け抜けるもよし,得意の羽交い締めに持ち込むもよし,なんだったら銃で撃ってみるのもよしと,自由度が高いゲームなので,いくらでもアイデアが浮かんでくる。自慢してもいいと思うのだが,やりすぎて,どうしても暗殺しなければならない1人を除いて,すべてスルーもしくは締めてオトしてゲームを終えられるようになってしまった。必死で殴り倒した中ボスがゲームの都合上,殺害扱いになったときには,思わずUbisoftのモントリオールスタジオに怒りの投書をしようと思ったくらいだ。ウソだが。

 しかし,「スプリンターセル」シリーズは,残念ながら順風満帆というわけではない。高い評価を得られなかった2006年の「スプリンターセル 二重スパイ」のあと,次回作が出たのが4年後の2010年。その後もやや迷走ぎみで,2013年の「スプリンターセル ブラックリスト」以降,たまに新作の噂が聞こえる程度になってしまった。そろそろ,サムには帰ってきてほしい。

11月27日 PlayStation 2用ソフト「みんなのGOLF4」発売
11月28日 ゲームキューブ用ソフト「マリオパーティ5」発売

12月4日 PlayStation 2用ソフト「グランツーリスモ4"プロローグ"」発売
12月6日 映画「ファインディング・ニモ」公開
12月13日 PlayStaion 2の機能を持ったHDD搭載のDVDレコーダー「PSX」発売
12月11日 PlayStation 2用ソフト「バイオハザード アウトブレイク」発売
12月12日 ゲームキューブ用ソフト「ドンキーコンガ(タルコンガ同梱)」発売
12月12日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「スーパードンキーコング」発売
12月18日 PC用ソフト「コール オブ デューティ」発売

第二次世界大戦を題材にしたFPS「コール オブ デューティ」シリーズの1作目となるタイトル。アメリカ,イギリス,ソビエトの3つのキャンペーンで合計26ミッションが用意されており,過酷な戦争のワンシーンを味わえる
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12月18日 PC用オンランゲーム「疾走ヤンキー魂」サービス開始


平成16年(2004年)

1月29日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン」発売
1月30日 成人向けPC用ソフト「Fate/stay night」発売

現在は「Fate/Grand Order」を中心に一大IPとなった「Fate」。その第1作「Fate/stay night」が発売されたのは2004年のことだ。後にさまざまなプラットフォームに移植されるが,最初は成人向けのPCゲームだった(写真はPS Vita版のパッケージ)
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2月4日 PC版「信長の野望 Online」サービス開始 
2月14日 映画「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」公開
2月27日 PC用オンラインゲーム「ミュー 奇蹟の大地」サービス開始 (OBTは2003年6月12日)

3月11日 PlayStation 2用ソフト「モンスターハンター」発売

4月28日 PC用ソフト「CLANNAD」発売

5月31日 Winny事件(ファイル共有ソフト「Winny」の開発者である金子 勇氏が逮捕。のちに無罪となる)
6月25日 PC用オンラインゲーム「リネージュII」サービス開始(OBTは2月11日)
6月26日 映画「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」公開

7月1日 ブラウザゲーム「アルテイル 〜神々の世界『ラヴァート』年代記」サービス開始
7月8日 PC用オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン ブルーバースト」サービス開始(OBTは5月21日から)
7月17日 映画「劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者 デオキシス」公開

8月13日 アテネオリンピックが開幕。日本は37個のメダルを獲得し,国別順位は5位

9月1日 PC用オンラインゲーム「ガンダムネットワークオペレーション2」サービス開始
9月16日 ゲームボーイアドバンス用ソフト「ポケットモンスター エメラルド」発売
9月16日 PC用ソフト「ザ・シムズ2」発売

■「ザ・シムズ2」:他人の人生は面白いと教えてくれたゲーム (編集部:松本隆一)

 2004年に発売された「ザ・シムズ2」は,コンピュータの中に暮らす「シム人」――と,いつも筆者は書いてしまうのだが,一般的には「シム」と呼ばれる――をトイレに行かせたり食事をさせたり結婚させたり働かせたりするゲームで,宇宙を支配しようとする悪人は出てこないし,撃ち合いもないし,凶暴なモンスターも登場しない(拡張パックで,狼男やヴァンパイアは出てくるようになるが)のに世界的に大ヒットして,筆者もかなり熱中してプレイした経験を持つ。

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 ゲームデザインを担当したのは,「シムシティ」や「シムアース」「シムコプター」「シムアント」など,他に例のないような異色作を作ったことで知られるウィル・ライト氏で,「ザ・シムズ2」は2000年に発売された「The Sims」の続編として制作された作品だ。ちなみに,「The Sims」の邦題は「シムピープル」だったので,日本では,「ザ・シムズ」というゲームが存在しないが「ザ・シムズ2」がリリースされるという不思議な状況になっていたわけだが,気にする人はいなかったようだ。

 それはともかく,「ザ・シムズ2」では新機軸としてシム人が歳をとるようになった。ゲームをスタートしたときは成人だが,やがて老年になり,人生を終える。その途中で子供が生まれれば,その子は赤ん坊時代を経て幼年期を迎え,やがて青年になり,そして成人へと成長する。つまり,彼らは我々と同じく限られた時間を生きる存在であり,そのぶん,リアルになったといえる。シム人達は人生のさまざまな出来事を記憶しており,それらをあとから確認できるので,あなたのシム人が人生の黄昏にさしかかったとき,ああ,あんなこともあったなあと感慨に浸れるのだ。そんなゲームが,ほかにあるだろうか。

 プレイヤーのやることは,小は用便から大は大出世まで,彼らの抱く願望をあの手この手で叶えてやり,彼らに幸福な人生を過ごさせてやることだ。しかし,なんだったら,そんなことをまったく考えなくてもいいのが,「ザ・シムズ2」の懐の深いところだろう。希望や願望とは正反対の人生を送らせて,あれしろこれしろとうるさいおまえを不幸のどん底に突き落としてやるぜいっひっひ,というプレイスタイルも全然オッケーで,しかも,それはそれでドラマが興味深い方向へ進んでいくから,良くできたゲームだと思う。

 もっとも,プレイヤーが彼らの人生に介入できる方法は,あくまで限定的で,それを象徴するのが彼らの話す「シム語」だろう。シム人達の会話は,おそらく一般人には理解不能で,会話をコントロールすることはできない。したがって,勘の悪い筆者のようなプレイヤーは,「要するにおまえは何がしてほしいのだ?」と考え込むことになる。神様のように,何から何まで手を貸してやることはできない。ゲームデザインの基本は,おそらくシム人達に過度に干渉することなく,彼らが起こす,人間社会によく似たドタバタ劇を斜め上から見て楽しむところにあるのだろう。

 2Dグラフィックスだった「シムピープル」に比べて,「ザ・シムズ2」はフル3Dになり,建物のディテールやキャラクターアニメーションも細かくなった。もっとも,移動可能なのは屋内と家の周囲ぐらいで,今流行のオープンワールドではない。公共地区へ行ったりもするが,好きになように移動できるわけではなく,単に画面が切り替わるだけだ。また,シム人達は時間が来ると学校や仕事に出かけるのだが,そのときも同様に,迎えの車やスクールバスが来るだけで,具体的な職場や学校は登場しない。「ザ・シムズ2」をプレイしているとき筆者は,「オープンワールドにすれば,もっと面白くなるのに」と思っていたのだが,発売から15年を経た今日,気持ちは少々変化しており,このような適度な抽象化が,ゲームをさらに面白くする要素だったのだという気がしている。当時からすでにそう考えていたとしたら,ウィル・ライト,おそるべし。

 ヒット作にはフォロワーが出現し,その数が増えることでジャンルが確立することになるのだが,(筆者が知らないだけかもしれないものの)今のところ,これといったシムズシリーズのクローンタイトルは登場していないようだ。そうした点からも唯一無二のシリーズとして,ゲーム史に与えたインパクトは大きい……というか,こんな記事を書いているうちに,またプレイしたくなってきた。最新作の「ザ・シムズ4」(2014年)もいいけど,やっぱり「ザ・シムズ2」だな。原稿はもうこのへんにして,帰ってプレイすることにしよう。
9月14日 Xbox 360用ソフト「Fable」発売
9月21日 PC用オンラインゲーム「テイルズウィーバー」サービス開始(OBTは2月25日から)

10月7日 PC用ソフト「スター・ウォーズ バトルフロント」発売
10月9日 アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」放送開始
10月23日 新潟県中越地震

11月11日 PCオンラインゲーム「スカッとゴルフ パンヤ」サービス開始(OBTは8月13日から)
11月17日 PC用ソフト「ハーフライフ 2」発売
11月23日 PC用オンラインゲーム「World of Warcraft」サービス開始
11月27日 PlayStation 2用ソフト「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」発売
12月2日 「ニンテンドーDS」発売(北米では11月21日)

■「ニンテンドーDS」:思い出を呼び起こす,銀色の宝箱 (ライター:箭本進一)

 “持ち歩くのが嬉しい携帯ゲーム機”の私的ランキングを作るなら,上位に食い込むのが「ニンテンドーDS」だ。シリーズには初代機と,小型軽量化されたニンテンドーDSLite,カメラを内蔵した上位機種であるニンテンドーDSi,それを大画面化したニンテンドーDSi LLの4モデルが存在するが,僕が持っているのは初代ニンテンドーDSだ。ちょっとした外出,旅行,仕事の出張など,いつもカバンの中にはニンテンドーDSがあった。分厚いフタを閉ざすと,上下の画面がともに防護されるから,ポンとカバンや物入れに放り込んでも安心だった。

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 ニンテンドーDSを手に入れたとき,一緒に買ったソフトは「大合奏!バンドブラザーズ」(以下,バンブラ)だった。ニンテンドーDSを楽器として,曲のそれぞれのパートを合奏するというもので,おおよそ従来のゲームとは趣を異にしていた。僕にとっては,楽器に対する苦手意識を氷解させてくれた,恩人のようなゲームだ。小学校の時のリコーダーと鉄琴,高校の時のフォークギターと,音楽の授業で触れた楽器はどれも僕の手に余るものだった。

 いくら練習すれどうまくなることはなく,僕の心には楽器への苦手意識が染みついてしまっていた。しかし,そんな僕でも,「バンブラ」なら,立派に演奏できたのだ。皆で集まって,合奏の1パートとなるのがこんなに楽しいものだなんて。だから僕は,一緒に演奏してくれた友達に,何度もアンコールをお願いしたものだった。そこまで楽器に苦手意識があったのに,なぜ最初の1本に「バンブラ」を選んだのか,実のところ良く覚えていない。

 もう1つ,僕がハマったのは,本体に内蔵された「ピクトチャット」だ。今や「大乱闘スマッシュブラザーズ」のステージでしか知らない人も多いかもしれないので,一応説明すると,“手書きのメッセージをやり取りできるLINEのようなもの”であり,一風変わったチャットツールといったところだろうか。ワイヤレス通信でニンテンドーDS同士をつなぎ,下画面にタッチペンで絵や文字を書き,チャットルームに入った人に送ることができる。有効範囲はせいぜい数十メートルくらいのものだが,その制限がまるでトランシーバー遊びのようで面白かった。タッチペンで書く絵や文字はどうやってもうまいものにならないのだが,だからこそ,絵心がないのを気にせず,気軽にサッと書いて送ることができたのだ。

 イベントの待ち時間も,ピクトチャットをつなげば誰かとコミュニケーションを取れた。同じ場所にいる連帯感がピクトチャットで強まったようで,“寒い”だの“眠い”だのといった愚痴をこぼすのも楽しく思えた。

 ニンテンドーDSをあちらこちらと持ち歩き,「バンブラ」と「ピクトチャット」で過ごす日々は楽しいもので,ゲーム機というよりは“良く分からないけれど,なんだか新しいコミュニケーションツール”を手に入れたような感覚があった。その後,ゲームっぽいゲームが増えていき,ニンテンドーDSの地位もゲーム機ということで落ち着いたのだが,コミュニケーションツールという方向に特化したもう一つの未来を見てみたくもあった,というのが本音だ。

 公式サイトで改めてニンテンドーDSを見ると,金属製でもあるかのようなシルバーをしていて,手元にある愛機との違いに驚く。14年ほど経った今では,くすんだ灰色と,塗装が剥げて地のプラスチックがむき出しのグレーになっているからだ。シリアル番号を調べようと底面を見ても,シールは真っ白になってしまっていて,もはや何の手がかりもない。

 下画面に貼った保護フィルムには無数の傷が入っていて,角度を変えるとタッチペンをグルグルと回したらしい楕円形の跡が見て取れる(「超操縦メカ MG」などの“プレイ痕”だろうか)。バッテリーも機能しなくなっていて,ACアダプターに直結していないと起動すらできない。任天堂にバッテリーだけでも買えないかと問い合わせたところ,すでに在庫もなくなってしまっているという。僕はもう,ゲーム機としてのニンテンドーDSと一緒に出かけることはできないのだ。

 それでも僕はニンテンドーDSを捨てることはできない。たまに電源に直結して「超操縦メカ MG」や「BLEACH DS 蒼天に駆ける運命」「スペースインベーダーエクストリーム」を遊んだりするし,至るところに刻まれた傷や,塗装の剥げた跡すら愛しく感じられるからだ。ボロボロになったニンテンドーDSを見るたび,ゲーム機にとっての幸せとは何なのかと思う。大切に保存されることなのか,使い潰されて壊れることなのか,無事に役目を終えて忘れられることなのか,いつまでも忘れられないことなのか。一つだけいえるのは,ゲーム機には思い出を呼び起こす力があるということだ。一緒に遊んでいたときに感じた喜びや,悲しかった出来事を,まざまざと思い返すことができる。僕にとってのニンテンドーDSは思い出の入った小箱であり,フタを開くたびにいろいろな感情を見いだすことができる,まさに宝箱だ。

ボロボロになってしまっているが,いや,ボロボロになってしまっているからこそ,僕の宝となった
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12月2日 NDS用ソフト「きみのためなら死ねる」発売
12月12日 ソニー・コンピュータエンタテインメントが携帯ゲーム機「PlayStation Portable」を発売
ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が2004年12月12日に発売した携帯ゲーム機で,正式名称は「PSP『プレイステーション・ポータブル』」。ゲームのメディアにUMD(Universal Media Disc)を採用しているのが,ほかのゲーム機にない特徴となっている。無線LAN機能を搭載し,PSP同士でのアドホック通信が可能。また,PlayStation 3を介して離れたプレイヤーともアドホックモードでのプレイが楽しめる「アドホック・パーティ」にも対応した
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12月16日 PlayStation 2用ソフト「メタルギアソリッド3 スネークイーター」発売
12月22日 Xbox用ソフト「METAL WOLF CHAOS」発売
12月26日 スマトラ島沖地震
 
 
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