プレイレポート
37万人が遊んだビール界のエルデンリング「BEER iLAND」の新章EP2“香り高いエールの秘密”に触れてみて
※注意:本稿は酒類に関する取材記事となります。また,20歳未満の方々の飲酒は法律で固く禁じられています。
あのビールRPG「BEER iLAND」が,香り高くなって帰ってきた――。
サントリーがプレミアムビール(※)「ザ・プレミアム・モルツ」を主題に,“ビールを楽しむ新世界感RPG”という新ジャンルに挑戦した,冒険型ビール工場体験こと「BEER iLAND(ビアアイランド)」。
※品質や値段など,ちょっとお高級(志向)なビール類のこと。
通はビアアイと呼んでいる,かは定かではないが。本日2022年3月9日にビアアイのエピソード2“香り高いエールの秘密”が公開された。
これに先駆けて同社説明会が開かれたため,「黄金樹さがしてる場合じゃねぇ」と心のおもむくままに,黄金畑を目指して参加してきた。
「BEER iLAND」プレイ&公式サイト
香り高いエールには,秘密がある
あらためて,本稿はサントリーホールディングスが送る,ビール造りにまつわる小話をゲームで楽しめる,スマートフォンおよびPC向けのオンラインコンテンツ「BEER iLAND」発表会エピソード2の取材記事である。
先日,サントリーホールディングスへの取材案内を済ませると,自宅に贈答品の「〈香る〉エール こだわり堪能キット」が届いた。
昨今のテレワーク従事者への対応にも隙がないサポート態勢だ。
以前のEP1試飲キットと比べると,EP2の箱は内容物が減ったものの,全体的にこじまりとしたサイズとなり持ち運びやすくなった。
そして開封も済ませ,準備万端で発表会へ。こちらは午前中実施とあり,さすがに体を香らせるのは控えて真面目に説明を受ける。
あらためての紹介だが,本作は“日常をちょっとプレミアムに”といったブランド全体のマーケティング戦略の一環として制作されたゲームで,近年の時勢でビール工場見学が難しくなったことへの代替,あるいは時代に合わせた飲料メーカーなりの施策として生まれたものだ。
ちなみに,2019年の同社リアル工場見学者数は約26万人だというが,ビアアイは2021年3月提供から12月までで体験者数は約37万人を記録し,若年層や新規層にもかなりの数字でリーチできたという。
一言で言えば,大成功の部類だろう。
さらに,プレモル自体も新規情報配信サービス「プレモルメンバーズ」をLINE上で展開し,登録者数は「目指せ100万人」だったところ,2月7日始動から3月8日時点までで200万人を突破したらしい。
酒類は万物の霊薬(という持論で武装しているだけ)だが,ウマでも英霊でもなしに出した数字としては,その強さにただただ驚かされる。
プレモルを楽しむ「きっかけ」を,メンバーズで。
プレモルの理解を深める「体験」を,ビアアイで。
そんな目標に向かって送り出されるビアアイ EP2では,プレモルシリーズのなかでも若年層からの支持がとくに高いとされるビール飲料「〈香る〉エール」をテーマとした物語が繰り広げられる。
またEP1は「じっくり体験型RPG」だったが,EP2は「さっくり遊べるミニゲーム型」とのことで,手数で興味関心をそそる作戦のようだ。
ビアアイは手持ちの端末で公式サイトにアクセスするだけで遊べるブラウザゲームだ。スタート時に己のアバターを設定し,ビール好きの人々が暮らす「サントリー島」で,並々ならぬビールまみれな生活を送ってきた住民たちから,とてつもなく語られるのが君の役目である。
また,EP1はビールと生きる「コダワリ村」と「ゲンセン地方」が舞台であったが,EP2ではサントリー島に「エール地方」が追加され,我々はそこで〈香る〉エールの秘密を探っていくことになる。
以前からオープンワールドを豪語していたとおり最初から想定されていた拡張性なのかどうかは,担当者から1年前に聞いた「反響があればその先も考える」という万全のコメント以外は存じないが。ここまでされたらもはやビール界のエルデンリングと言っても差し支えないだろう。
ゲームがはじまると,プレイヤーはアバターを動かし,ときにはジャンプさせて,草木の香りそうな牧歌的なエール地方をひた走る。
EP1とEP2のどちらを遊ぶかは選択制で,それに応じてマップが遷移するため,厳密にはゲーム業界におけるオープンワールドとは言えないが,昼間からビールを飲んでる人たちのオープンさに勝てる作品は少ない。
なお,エールとは応援の意ではなくビールの一種で,「上面発酵で醸造されたフルーティなビール」である(ことが多い)。対してラガーは「下面発酵で醸造された深いビール」である(印象が強い)。
単純な話,エールはだいたい“苦くなくて飲みやすいビール”だ。
エール自体,日本でも地ビールブームによってすでに言葉は広まっているが,印象だけで語るなら「エールにフィッシュアンドチップス!」的なヨーロピアンスタイルのイメージが強い人もいるだろう。
といった小話が作中にあるかどうかはさておき。この島ではこういったビール知識を「おう……めっちゃ語るじゃねえか」と思わせてくれるくらいに大多数の住民から語られまくる。
こちらがプレイの主導権を握れているぶん,上司の酒伝説に絡まれるよりかはどう考えても安全なビール講習と言えるだろう。
エール地方ではビールのスタイルを知るクイズゲームが発生するほか,ミニブルワリーでは実在する醸造家として,同社のビール商品開発研究部 部長の丸橋太一氏を模した「醸造家タイチ」,同じくビール商品開発研究部の岡島高穂氏を模した「醸造家タカホ」が登場する。
彼らがどう抜擢され,なぜキャラクター化されたのかも香しい謎だ。
このほか,レストランでは村人おすすめのマリアージュ(お酒と食べ物の合わせ方。「生には唐揚げ!」的な概念)を聞くことができ,これから先の人生における,自分ビール探しのひとときを味わえる。
ただし,その知り方は「ククク……知りたければ客から注文を取るバイトをすることだな」と労働を要求されるシビアな一面もある。
実際,EP2の主題である「〈香る〉エール」は爽やかな香りと口当たりでとても飲みやすく,グラスに口を近づけるだけで,文字どおり華やかで新鮮なフルーツのような匂いが鼻を抜けてくる。
これによりビールが苦手な人にカルーアを勧める時代が終わった。
サントリーには近々でも,すべてがゼロに返るストロングさではないチューハイの新商品で,あの憎たらしいほどに色合い鮮やかで翠,翠,翠の涼やかさが目を引きつけて止まない缶デザインの「翠ジンソーダ」に,買う気はなかったのに気付けば手に取らされてしまっているという苦渋の日々を強いられはじめているが。300円超のクラフトビール系も増えてきた昨今,味以前の香りや缶デザインというファーストインパクトだけでヤってくる鍛えられた筋肉の力はさすがである。
つまり〈香る〉エールも,飲む前に勝負を決めるヤツなのだ。
話は戻ってビアアイへ。
サクッとゲームをクリア後は「MY〈香る〉エールスタイル」と題し,作中の好きなキャラクターや背景をチョイスして撮影できる,オリジナル画像作成機能が実装された。
いつかこんな風に飲んでみたい,などと脳内設定を膨らませ,理想に向かってがんばる自分の目標にするなど自己啓発にも使えるだろう。
EP2でもEP1と同様,エンディングに到達したのち,公式サイトの応募フォームに必要事項を記入すると,クリア特典として毎月抽選で100名に「〈香る〉エール こだわり堪能キット」が当たるほか,プレモル1缶などが当たるプレモルメンバーズチャンスの応募券が贈呈される。
EP1の「ザ・プレミアム・モルツ 特別試飲キット」の毎月100名プレゼントも引き続き行われるようなので,賢い選択はハシゴだ。
まさか1年越しに進化して返ってくるとは思ってもみなかったビアアイ。エピソード2と名付けたからには,コンテンツ業界の慣例にならい最低でも三部作は用意してほしくなるものだが,来年はどうなるか?
果たしてEP3「マスターズドリームの復讐」はあるのか。もしくは糖質0に気落ちする感情を軽めのワンパンでぶちのめしてきたマジでパーフェクトに近いパーフェクトサントリービールがやってくるのか。はたまた人とビールとがまだ共存していなかった時代の話を描いてくれるのか。
そいつはさておき。
まずは今晩,華やかに香るエール地方で,駆けつけ一杯。
「BEER iLAND」プレイ&公式サイト
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