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「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る
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印刷2016/11/16 00:00

レビュー

TLC NAND採用モデルとしては安定した高性能に注目の新SSD

Samsung SSD 960 EVO(容量500GBモデル)

Text by 米田 聡


SSD 960 EVO(容量500GBモデル)
メーカー:Samsung Electronics
問い合わせ先:サムスンSSDサポートセンター
メーカー想定売価:249ドル(税別)
画像(002)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る
 2016年9月にSamsung Electronics(以下,Samsung)は,M.2フォームファクタに準拠するNVM Express(以下,NVMe)接続型SSDとして,「SSD 960 PRO」(以下,SSD 960 PRO)と「SSD 960 EVO」(以下,SSD 960 EVO)を発表した(関連記事)。
 これらのうち,SSD 960 PROについては,すでにレビューを掲載しており,高い性能を安定的に得られる性能を有することが明らかになっている。

 SSD 960シリーズのレビュー第2弾となる今回は,価格対性能比を重視したというSSD 960 EVOの500GBモデルでベンチマークテストを行い,その性能を検証してみた。日本での発売日や価格についての情報はまだないものの,遠からず国内市場にも投入されるであろうSSD 960 EVOの実力やいかに。


第3世代V-NANDのTLC NAND型フラッシュメモリを採用した普及モデル


SSD 960 EVOの製品ボックス
画像(003)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る
 まずは簡単に,SSD 960 EVOの位置付けと特徴について説明しておこう。
 高性能を重視したハイエンドモデルであるSSD 960 PROと,価格対性能比を重視したSSD 960 EVOとの大きな違いは,前者がMLC(Multi Level Cell)タイプのNAND型フラッシュメモリを採用しているのに対して,後者はTLC(Triple Level Cell)タイプ――Samsungは3bit MLCと称する――のNAND型フラッシュメモリを採用している点にある。
 TLCタイプのNAND型フラッシュメモリは,MLCタイプよりも1チップあたりの記憶密度を高めることができるので,容量あたりの価格を低くできるのが利点だ。その一方で,高度なエラー検出やエラー訂正機能が必要になるため,とくに書き込み性能では,MLCタイプに劣る傾向にある。

 そのため,TLC NAND型フラッシュメモリを使ったSamsungのSSDでは,2013年登場の「SSD 840 EVO」から,「TurboWrite Technology」(以下,TurboWrite)と称する技術を導入していた。TurboWriteとは,予備領域の一部をSLC(Single Level Cell) NAND型フラッシュメモリの高速キャッシュ領域として読み書きすることで,書き込み速度を向上させるという技術である。
 そしてSamsungは,SSD 960 EVOに,TurboWriteの改良版である「Intelligent TurboWrite」という技術を採用した。これは,TurboWriteの制御をより高度にしたのに加えて,「高速書き込みを行うキャッシュ領域」を拡大したもので,これによって上位モデルに見劣りしない書き込み性能を実現したと,Samsungはアピールしている。

 SSD 960 EVOの製品ラインナップは表1のとおり。記憶容量別に1TB,500GB,250GBの3モデル展開となる。なお,SSD 960 PROは,250GBモデルがない一方で,容量2TBという大容量モデルをラインナップしていたが,SSD 960 EVOに2TBモデルはない。
 基板サイズが22(W)×80(D)mmの「Type 2280」というフォームファクタを採用している点は,SSD 960 PROと変わらない。また,搭載するSSDコントローラも,SSD 960 PROと同じ,5基のCPUコアを集積した「Polaris Controller」である。

画像(007)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 今回は,試用機のシールを剥がしてフラッシュメモリチップを直接確認することは許可されなかった。そこで,シールを剥がさずに確認した限りでは,基板上にはフラッシュメモリチップが2枚とPolaris Controller,そしてキャッシュメモリ用のDRAMチップが片面に実装されているようだ。つまり,1チップあたり容量約256GBというTLC NAND型フラッシュメモリチップを採用しているのであろう。

SSD 960 EVOの全景
画像(004)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る 画像(005)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 ちなみに,SamsungはSSD 960 PROの発表時に,放熱対策として銅製のヒートスプレッダ「Heat Spreading Label」をモジュールに貼り付けることで,熱拡散の効率を従来比で30%向上させたとアピールしている。それもあって,筆者は当初,SSD 960 EVOにはHeat Spreading Labelを採用していないのかと考えていたのだが,実物とデータシートを確認してみたところ,採用していることが分かった。SSD 960 EVOも,熱による性能の低下は生じにくくなっていると期待できそうだ。

SSD 960シリーズの発表会でSamsungが示した「Heat Spreading Label」の説明スライド(左)。背面に薄い銅製の熱拡散シールを貼り付けることで,熱の拡散を促す仕組みだ。SSD 960 EVOの実物をよく見ると,背面シールの側面に銅色が見えている(右)
画像(008)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る 画像(009)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る


SSD 960 EVOのテストでは,新しいNVMeドライバソフトの効果も確認


現行バージョンのMagician(version 4.9.7)で,SSD 960 EVOの情報を表示させた様子。発売前のためか,セキュアイレースなどの機能は使えなかった
画像(010)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る
 前置きはこれくらいにして,SSD 960 EVOのテストに進もう。
 SamsungはSSD 960 PRO/EVOシリーズに合わせて,同社製SSD管理ソフトウェア「Magician」の刷新と,Samsung製SSDの性能を最大に発揮するという専用ドライバソフト「NVMe Driver 2.0」を提供することを予告していた。
 ただ,Magicianは開発が遅れているようで,本稿執筆時点ではレビュアー向けの提供も始まっていない。現時点では,11月下旬のリリースを目標としているようだ。

 その一方で,NVMe Driver 2.0は,SSD 960 EVOに合わせてレビュアー向けの提供が始まっている。そこで,今回の性能検証では,NVMe Driver 2.0とWindows 10標準のNVMeドライバの性能に差があるのかも検証してみることにした。

 テスト環境は表2のとおり。基本的にはSSD 960 PROのレビューに使った環境と同じだ。比較対象にはSSD 950 PROの容量512GBモデルを用意した。本来であれば,同容量のSSD 960 PROを用意したかったところだが,今回は試用機材を入手できなかったため,見送った次第だ。

画像(011)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

Z170 PRO GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer問い合わせ先:テックウインド(販売代理店)
info@tekwind.co.jp
実勢価格:2万円前後(※2016年11月16日現在)
画像(012)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る
 テストに用いたASUSTek Computer製のマザーボード「Z170 PRO GAMING」は,PCI Express(以下,PCIe)×4接続をサポートするM.2スロットを備えている。ただ,このスロットは,CPU側のPCIe 3.0ではなく,Intel Z170チップセットのPCIe 3.0×4レーンに接続されるものだ。そのためSSD 960 PROのレビューでは,接続形態の違いによって性能に差が生じる可能性を考慮して,CPU側のPCIe 3.0にM.2-PCIe x4変換カードを取り付けてテストをしていた。
 しかし今回は,扱うSSD自体が性能重視のハイエンドモデルではないこともあり,マザーボード側のM.2スロットをそのまま使用している。


全般的にSSD 950 PROを超える性能を確認


 それではテストに入ろう。
 まずは定番の「CrystalDiskMark」(version 5.1.2)を使用して,大まかな性能を調べていく。今回は,初期設定を「テスト回数9回,スレッド数1,テストサイズ4GiB,ランダムデータ」として5回連続で実行し,その平均値をスコアとして採用した。ストレージに送るコマンドキューの深さである「Queue Depth」(以下,QD)の設定は,標準のQD=32を基本としている。
 なお,グラフの凡例では,NVMe Driver 2.0を使用した構成は「NVMe 2.0」,Windows 10標準ドライバを使用した構成は「標準」と明記した。

 グラフ1は,逐次読み出しと逐次書き込みの結果をまとめたものだ。Samsungによる公称スペックでは,SSD 960 EVO(500GBモデル)の逐次読み出しは最大3200MB/s,逐次書き込みは1800MB/sとなっていたが,CrystalDiskMarkの結果は,逐次読み出しテスト「Sequential Read」は公称値をやや上回り,逐次書き込みテスト「Sequential Write」もわずかに下回る程度という優秀な結果となった。とくに逐次読み出しは,前世代のハイエンドモデルであるSSD 950 PROよりも,1000MB/s以上速い。

 NVMe Driver 2.0の効果だが,SSD 960 EVOでは誤差程度の差しかないものの,SSD 950 PROでは逐次読み出しが10%ほど向上している点が目を引く。
 ただ,SSD 960 PROのレビューでも触れたように,SSD 950 PROの逐次読み出し性能はスコアのブレが激しい傾向にあるので,ブレによってスコアの差が強調された可能性もある。NVMe Driver 2.0に効果があるかどうかは,まだ明言できない。

画像(013)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 次のグラフ2は,ランダム読み出しおよびランダム書き込みテストのスコアをまとめたものである。とくにスコアの差が大きいのはランダム4KiB書き込みテスト「Random Write 4KiB」で,NVMe Driver 2.0同士のスコアでは,SSD 960 EVOはSSD 950 PROと比べて180%以上も高いスコアを記録した。ランダム書き込み性能の向上は,SSD 960シリーズにおける特徴の1つとなっており,それがSSD 960 EVOでも裏付けられたといえようか。

 また,NVMe Driver 2.0の効果が有意に表れている点も,特筆すべきポイントだ。NVMe Driver 2.0使用時のスコアを標準ドライバ時と比較すると,ランダム読み出しテスト「Random Read 4KiB」のスコアで9%強,ランダム書き込みテストでは20%弱も向上しており,無視できないレベルである。NVMe Driver 2.0は,SSD 960 EVOの性能を引き出すのに効果があるといっていいだろう。

画像(014)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 グラフ3は,QD=1設定時における逐次読み出し/書き込みの結果をまとめたものである。
 逐次書き込みテスト「Sequential Write」は,SSD 960 EVOがSSD 950 PROに対して180%ほど速いスコアとなったのに対して,逆に逐次読み出しテスト「Sequential Read」は,SSD 960 EVOのほうが遅いという結果になった。グラフ1の結果も合わせて考えると,SSD 960 EVOの逐次読み出し性能は,キューが深いほうが高い性能を示すと言えそうだ。CPUコア数が増えたPolaris Controllerの性能を活かすためには,深いキューで使う必要があるということだろう。

 また,NVMe Driver 2.0と標準ドライバのスコア差を見てみると,SSD 960 EVOでは逐次読み出しテストが11%ほど,逐次書き込みテストは7.6%ほど高いスコアとなった。これもやはり無視できない程度には効果があるといえそうだ。一方,SSD 950 PROは,NVMe Driver 2.0の効果がほとんど見られない。

画像(015)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 続くグラフ4はQD=1設定時におけるランダム4KiB読み出しテスト「Random Read 4KiB」と,ランダム4KiB書き込みテスト「Random Write 4KiB」の結果である。
 大まかにいってSSD 960 EVOとSSD 950 PROの間に,スコアの差は見られない。一方,ランダム4KiB書き込みにおけるSSD 960 EVOのNVMe Driver 2.0使用時スコアが,標準ドライバ使用時のスコアより23%も高い点は目を引く。グラフ2のようにQD=32のランダム4KiB書き込みでも大きなスコア差があったので,NVMe Driver 2.0は,ランダム書き込みで効果が大きいといえるのではないだろうか。

画像(016)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 最後に,QD=32設定時における逐次読み出しテスト計5回分のスコアをまとめて折れ線グラフにしてみた(グラフ5)。
 SSD 960 EVOのスコアはかなり安定しているが,標準ドライバ使用時の3回めに,やや落ち込みが見られた。スコアが落ち込んだのはこの1回だけなので,これを持って標準ドライバよりもNVMe Driver 2.0のほうが安定して高いスコアが出るとは言い切れない。
 一方,SSD 950 PROのほうは,前回に当たるSSD 960 PROのレビューほどの落ち込みはなかったものの,今回もスコアが大きくばらついていることが見て取れる。いずれにしても,このグラフを見る限り,SSD 960 EVOのほうがSSD 950 PROよりも安定した性能を示すと言えよう。

画像(017)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る


Expanded Storageでは,NVMe Driver 2.0使用時のSSD 950 PROにおよばず


 CrystalDiskMarkでは,SSD 960 EVOがSSD 950 PROを上回る性能を見せており,NVMe Driver 2.0の効果もやや高めという結果となったが,「PCMark 8」の「Expanded Storage」ではどうなるだろうか。
 Expanded Storageテストとはどういうものかについては,「HyperX Savage Solid-State Drive」のレビュー記事で詳しく説明しているので,初見の人はあらかじめ参照してもらうとして,ここでは概要だけ説明しておこう。

 Expanded Storageテストでは2種類のテストを行っている。1つめの「Adaptivity test」(適応性テスト)は,SSDを初期化した状態で,適切な間隔を開けながらPCMark 8のStorageワークロードを10回繰り返すテストだ。間隔を開けるのは,SSDコントローラに持続的な負荷をかけないためで,つまりSSDにとって好条件でのテストとなる。PCMark 8におけるStorageテストでは,この程度のスコアが出るという目安が分かるテストだ。

 より重要なのは,もう1つの「Consistency test v2」(一貫性テスト バージョン2)である。Consistency testとは,「実使用環境でSSDコントローラの負荷が高まったときに,どれくらい性能は低下しうるか」を確認するもので,SSDに大量のランダムデータを書き込んでSSDコントローラの負荷を高めた状態で,PCMark 8のStorageワークロードを実行するという高負荷のテストだ。
 これによって,実使用時に高い負荷がかかった場合にSSDの性能が低下するか,低下するとしたらどれくらいなのかが見えてくる。

 まずはExpanded Storageから,Adaptivity testの結果をチェックしていく。
 グラフ6は10回のワークロードにおけるスコアの平均値をまとめたものだ。スコアはいずれも5000前後で,それほど大きなスコア差は見られない。ただ,SSD 950 PROのNVMe Driver 2.0使用時と標準ドライバ使用時に,3%ほどのスコア差がついているのが目に付く。

画像(018)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 ところが,10回のワークロードで記録した平均ストレージ帯域幅をまとめたグラフ7では,ある意味,驚きの結果となった。標準ドライバ使用時におけるSSD 950 PROのスコアは,約337MB/sに留まっているのに対して,NVMe Driver 2.0使用時は,2.4倍以上高い約816MB/sを記録していたのだ。何かの間違いではないかと思えるかもしれないが,10回分の平均値なので,間違いではなかろう。
 一方,SSD 960 EVOでも,NVMe Driver 2.0使用時のほうが高いスコアを記録しているものの,標準ドライバ使用時とのスコア差は15%程度であった。無視できないスコア差ではあるが,SSD 950 PROの劇的なスコア差に比べると,大人しいと言いたくなるくらいである。

画像(019)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 続いては,Consistency test v2の結果を見ていこう。
 テストシーケンスは,ストレージを劣化させる「Degradation pass」(劣化フェーズ)を8回連続で実行後に,その処理を一定時間続ける「Steady state pass」(安定フェーズ)を5回連続,適切なインターバルを置くことでSSDの性能が回復していく「Recovery pass」(修復フェーズ)を5回実行という流れになっている。この合計18回にもおよぶStorageワークロードのスコアやステータスを記録しておくことで,高負荷時における性能の変化を観察できるわけだ。

 グラフ8は,計18回のワークロードにおける平均ストレージ帯域幅の変化をまとめたものである。まず,どの項目でも,劣化処理が続くSteady pass 5までは,平均ストレージ帯域幅が安定しており,極端に性能が落ち込む傾向は見られない。

 最も高性能を記録したのは,SSD 950 PROのNVMe Driver 2.0使用時で,Steady pass 5まで400MB/s前後という,高い平均ストレージ帯域幅を記録した。ところが,標準ドライバ時のSSD 950 PROは最もスコアが低く,Steady pass 5まで200MB/s強という低いスコアまで落ち込んでいる。Recovery passでの回復も鈍い。
 今回の主役であるSSD 960 EVOの場合,Steady pass 5までは,どちらのドライバを使用した場合でも,280〜300MB/s程度の帯域幅で安定していた。しかし,Recovery passでの回復は,NVMe Driver 2.0使用時のほうが50MB/sほど高いスコアを残している。SSD 960 EVOの場合,劣化が続く間は,NVMe Driver 2.0の効果は期待できないものの,回復時にはより高い効果を得られると言えそうだ。

画像(020)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 次のグラフ9は,Adobe製写真編集ソフト「Photoshop CC」を利用した高負荷な作業でのストレージアクセスパターンを再現した「Photoshop Heavy」ワークロードにおける,読み出し時平均アクセス時間をまとめたものだ。グラフを見てのとおり,いずれの構成でも劣化処理の影響はほとんど見られない。

 だが,ドライバによる平均アクセス時間の違いは大きい。まず,SSD 960 EVOでは,標準ドライバ使用時が0.36ms前後に対して,NVMe Driver 2.0使用時は0.29ms前後と,0.07ms程度の変化しかなかった。
 ところがSSD 950 PROでは,標準ドライバ使用時が1.6ms前後に対して,NVMe Driver 2.0使用時は0.2ms未満と,劇的と言えるほど平均アクセス時間が短くなっている。

画像(021)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 グラフ10は,グラフ9と同じPhotoshop Heavyワークロードにおける平均書き込みアクセス時間をまとめたものだ。
 SSD 960 EVOは,Steady pass 5までの悪化が目立ち,ワーストケースでは平均書き込みアクセス時間が4.47msを記録するなど,劣化によって書き込み性能が大きな影響を受ける様子が読み取れる。Recovery passに移ると,0.5ms前後まで急激に平均書き込みアクセス時間が改善するので,劣化時とそうでないときの差が激しいSSDであるといえそうだ。

 一方,SSD 950 PROは,劣化による平均書き込みアクセス時間の悪化はそれほど大きくない。Steady pass 5までは,標準ドライバ使用時で2.4〜2.8ms程度,NVMe Driver 2.0使用時には2ms前後と,どちらもでSSD 960 EVOよりも高い水準で安定している。その代わり,Recovery passでの改善も小さめで,標準ドライバ使用時は1.9ms程度,NVMe Driver 2.0使用時は1.26ms前後となった。
 つまり,劣化から解放されたあとの平均書き込みアクセス時間は,SSD 950 PROよりもSSD 960 EVOのほうが優れているということになる。

画像(022)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る

 SSD 960 EVOの平均書き込みアクセス時間が,劣化処理の影響を大きく受けるのは,Intelligent TurboWriteの影響だろう。書き込みが連続する劣化処理では,Intelligent TurboWriteのキャッシュ領域から通常の記憶領域へのデータ転送という余計な負荷が発生する。このデータ転送処理が,平均書き込みアクセス時間に影響を与えているのだろう。
 劣化処理が終了すると,Intelligent TurboWrite本来の効果が発揮され,結果としてSSD 950 PROを上回るスコアを記録したのだと思われる。

 Consistency testの最後に,18回分のスコアから,最良のスコア(Best score)と最悪のスコア(Worst score)を抜き出したグラフ11を作ってみた。Best scoreとWorst scoreの差が小さいほど,高負荷時の性能低下が少ない安定したSSDということになる。
 結果は,SSD 960 EVOにおけるBest scoreとWorst scoreのスコア差が2.6〜3%で,SSD 950 PROは1.5%程度となった。SSD 960 EVOのほうが,高負荷時における性能の落ち込みが大きいと言えるが,体感できるほどのスコア差とは言えまい。ドライバによる違いも,ほとんどないようだ。

画像(023)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る


普及モデルとしては順当に高性能といえるSSD 960 EVO


画像(006)「SSD 960 EVO」レビュー。TLC NANDフラッシュメモリ採用SSDとしては,安定した高性能を誇る
 SSD 960 EVOの性能を2つのテストで概観してみた。PCMark 8のExpanded Storage testでは,前世代のハイエンドモデルであるSSD 950 PROが意外な健闘を見せ,とくにNVMe Driver 2.0インストール時や,Consistency testにおける高負荷時などは,SSD 960 EVOよりも優秀な結果を残している。
 とはいえ,ハイエンドモデルで価格も高いSSD 950 PROが,最新世代とはいえ下位モデルであるSSD 960 EVOよりも高負荷時の性能に優れるというのは,ある意味当然といったところか。
 SSD 960 EVOは,Consistency testのように厳しい高負荷が続いた場合,性能の落ち込みが大きいように感じるかもしれない。だが,性能低下の度合はそれほど大きいものではないし,価格対性能比重視のSSDとしては十分に高性能で安定している製品と言っていいだろう。

 また,NVMe Driver 2.0の効果は,それなりに高いことも分かった。SSD 960 EVOではせいぜい1割程度の性能向上に留まるが,SSD 950 PROでは,一部のテストで驚くほどの効果が得られている。Samsung製のNVMe接続SSDを使用している人なら,ぜひともインストールすることをお勧めしよう。

SSD 960 EVOの製品情報ページ


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