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[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
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印刷2014/08/19 00:00

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[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)

Electronic Theater会場へと続くエスカレーター。上映時間が近づくと来場者で混雑していた
[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
 世界中から投稿されたCG作品の中から優れた作品を選出する「Computer Animation Festival」(コンピュータアニメーションフェスティバル,以下 CAF)。そこで選考された作品の中から,さらに選りすぐられたものだけを集めて上映するイベントが,SIGGRAPH名物の「Electronic Theater」だ。レポート前編では,ゲームに関連した作品を中心に紹介したが,後編ではCAF審査委員会が選出した部門賞や作品賞を獲得した優秀作を中心に紹介していきたい。

[SIGGRAPH 2014]ゲームからは「The Crew」と「Ryse」が部門賞を受賞。優れた映像作品が集う「Electronic Theater」レポート(前編)



【Best Visual Effects Award】Gravity

Alfonso Cuaron氏ほか,Framestore


ゼロ・グラビティの1シーンより
(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
 日本でも大ヒットしたSF映画「ゼロ・グラビティ」(原題Gravity)。第86回アカデミー賞では9部門にノミネートされ,視覚効果賞や監督賞を含む7部門を獲得するなど,名実ともに2013年を代表する映画だった。そのゼロ・グラビティは,CAFにおいても「Best Visual Effects Award」(最優秀視覚効果賞)を受賞した。

 ゼロ・グラビティのCG制作や視覚効果は,英国に拠点を置くCGプロダクションスタジオのFramestoreが担当した。
 舞台が宇宙ということもあり,一見しただけでも「人物以外はほとんどCGなんでしょ」と思える映画だが,実際はそれ以上で,「人の顔以外はすべてCG」というのが正確な表現だ。Framestoreが公開しているメイキング動画を掲載しておこう。


撮影に使われたロボティックカメラ
[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
 本作では,カット割りやカメラワークが事前に綿密に設計されている。まず最初に,ラフなCGモデル――PlayStation 2世代のゲームグラフィックス程度――で基本的なライティングとカメラの軌道などを設計する。そのカメラ軌道をカメラ付きのロボットアーム(※ロボティックカメラとも)に入力して,CGと完全に一体化したカメラワークで俳優達を撮影しているのだ。

[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編) [SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
ラフCGで基本シーン設計して(左),CGシーンに俳優の顔を合成する。実際に撮影されるのは顔面だけで,それ以外は宇宙服も何もかもすべてCG

 また,撮影時に俳優を照らすライティングは,「Light Stage X」技術を応用して製作された「Light Box」という全天周ライティングシステムによって行われた。撮影時に俳優は,内側全体にRGBのLEDが貼られた球体の中に入って演技をする。そのときに,周囲を囲むLEDで低解像度の環境マップによってシーン内のライティングを表示すると,その光が俳優に投影される。シーンで必要な照明を物理的なライトの配置で実現するのではなく,球状配置のLEDで投影してしまう仕組みであるわけだ。

Light Stage Xの説明スライド。直径2.7mの球体内にRGBのLEDを貼りつけて,計算された光で俳優を照らすという大掛かりな仕組みだ
[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)

 ちなみに,Light Stageのシステムを考案したのは南カリフォルニア大学のPaul Debevec(ポール・デベヴェック)氏だ。ゲームグラフィックス分野でも名高い人物で,HDRグラフィックスの原理を世に広めた立役者でもある。Debevec氏がNVIDIAと共同開発した「Face Works」でも(関連記事),Light Stageが使われていた。

 話を戻そう。俳優による顔の演技は,ポストプロセスを経て最終的な映像に反映されるが,体の演技はCGの宇宙服を着せられているので,画面にはほとんど映らない。顔を撮影する部分は,最新のパフォーマンスキャプチャ技術を使うゲーム用の映像制作と,工程がかなり似通っているのである。
 宇宙ステーション内部での映像は,一部の小道具を除けばほぼすべてがCGだというのだから,まったく驚かされるではないか。



【Best Visualization and Simulation Award】Kinematics

Nervous System,アメリカ


 まずは予備知識なしで,こちらの動画を見てほしい。


 CAFの「Best Visualization and Simulation Award」(最優秀視覚化・シミュレーション部門賞)を受賞したこの動画は,幾何学的なオブジェクトが変形していく様子が描かれている。そのため,一見するとありがちなビデオドラッグ風作品か,あるいはメガデモ風のプロシージャルCG映像をテーマにした作品かと思ってしまうかもしれないが,実は違う。これはなんと,Nervous Systemという企業が手がける,アクセサリやインテリア商品ブランドのプロモーションビデオである。タイトルの「Kinematics」とは,映像の名前ではなく,同社のブランド,あるいはそれを作るシステムの名称なのだ。

植物細胞の顕微鏡写真のようにも見えるが,Kinematicsで作成できるアイテムの拡大イメージである。ポリゴンで描かれたCGのように,ヒンジでつながった三角形の部品を多数使って,アイテムを実際に作りだす
[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)

 Kinematicsでは,顧客が好きな形状でオブジェクトをデザインして,テッセレーションを行ない,それに可動属性を追加すると,ポリゴンの各辺がヒンジパーツでつながった3Dモデルが生成される。
 ゲームグラフィックスのワイヤーフレームの表示を見て「これをそのまま現実世界に出力したらどうなるだろう?」と思ったことがあるかもしれないが,Kinematicsシステムでは,それを実際に行ってしまうわけだ。
 デザインしたオブジェクトは,そのすべてを同一サイズの三角形パーツで分割する必要はなく,一部を大きい三角形にしたり,段階的に大きさを変えていくようなデザインも行える。三角形内側の模様も変更可能だという。

 Kinematicsシステムで制作できるのは,イヤリングやネックレスといったアクセサリ,あるいは照明カバーのように平面的なものが中心である。しかし,より複雑な立体物を製作することも可能で,動画ではCGモデルのサンプルとして名高い「スタンフォードバニー」を出力した事例も紹介されている(※冒頭動画の1:15あたりから)。

[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編) [SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
写真の女性が手にしているレースのようなものが,Kinematicsで作られたネックレス。顧客はオリジナルのデザインを,Nervous SystemのWebサイトで製作,注文できる

3Dスキャンした人体をベースにドレスをデザインし,それをテッセレーションして実物を製作することも可能だ
[SIGGRAPH 2014]ひと味違うプロジェクションマッピングなど「技術とアイデア」が光る作品が集う「Electronic Theater」レポート(後編)
 こうして制作されたモデルデータは,3Dプリンタ用のデータとして出力される。Nervous Systemでは,顧客がデザインしたモデルを3Dプリンタで成型し,顧客に販売しているのだ。
 技術的,あるいは発想的に面白いのは,デザインした立体物をコンピュータ上で“折り畳み”,その状態で3Dプリンティングしてしまうということ。どんなにかさばりそうな形状でも,折りたたまれて小さくなった状態で製造され,顧客の手元に届く。だから,三角形パーツを顧客自身で1つ1つ組み立てるような手間はいらない。複雑なヒンジもすべてつながった完成品が配達されるというわけだ。

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ドレスのモデル作成例

 Nervous Systemのウェブサイトでは,Kinematicsシステムで実際にアイテムをデザインできるページが用意されている。自分で実際に作ってみるのも面白そうだ。


【Jury Award】Paper World

Laszlo Ruska氏ほか,Moholy-Nagy University of Art and Design,ハンガリー


 ありふれた机の上。乱雑に置かれた文具の世界で,折り紙でできた動物が動き出す。こぼれた黒インクに溺れる折り紙の水鳥は,まるで汚水に苦しんでいるようだ。タバコの火が紙でできた草原に燃え移り,折り紙の草食動物たちは住む場所を追われていく。その様子は山火事というよりも,森林伐採で住む場所を失った野生動物の苦悩を描いているかのようだ。


 この「Paper World」は,紙と文具で野生動物を表現したCG動画で,ハンガリー「Moholy-Nagy University of Art and Design」(モホリ・ナジ芸術デザイン大学)の学生によって制作された作品である。
 学生作品ながらも映像の品質も高く,パンダのマークでお馴染みの世界自然保護基金(WWF)のハンガリー支部のイメージ映像作品にも採用された。CAFでは「Jury Award」(審査員特別賞)を授与された。残念ながら,vimeoで公開されているのは予告編やSIGGRAPHでの受賞を伝えるものだけだ。フルバージョンの公開を期待したい。


【Best Animated Short Award】Home Sweet Home

Pierre Clenet氏ほか,SupInfoCom Arles,フランス


 CAF常連でフランスの名門映像専門学校である「Supinfocom Arles」の学生が制作した作品が,今年もCAFで優秀作品に選出された。並みいるプロクリエイターの作品を押さえて「Best Animated Short Award」(最優秀短編作品賞)に選ばれたその作品が,「Home Sweet Home」である。制作したのはPierre Clenet氏である。

 ぼろ屋が建ち並ぶ寂れた街にたった一軒だけ,まだ古びていない家があった。住人のいなくなった街に見切りを付け,家自身が新天地を求めて旅をするという不思議な「引っ越し」が始まった。ところが,途中立ち寄った片田舎で崩れかけのぼろ屋と小さな犬小屋に遭遇。旅は道連れ,大中小の家3軒は,奇妙な旅をともにする……。


 この作品は,ファンタジックな物語ではあるものの,グラフィックステイストは徹底したリアリズムでまとめられているのが特徴だ。とはいっても,家の窓やドアを人間の顔に見立てて表情アニメーションを付けているので,一部のパーツは柔軟な動きを見せる。リアルとノンリアルの境界を,独特なセンスでまとめ上げた不思議な作品だ。
 本編のすべては公開されていないのだが,2本のメイキング動画がVimeoに掲載されていたのでそれを掲載しておこう。




【Best Student Project Award】Wrapped

Roman Kalin氏ほか,Filmakademie Baden-Wurttemberg


 「Filmakademie Baden-Wurttemberg」もCAF常連として有名なドイツの映像専門学校だ。2013年に引き続き,2014年も同校の学生であるRoman Kalin氏が「Best Student Project」(最優秀学生作品賞)を受賞した。
 作品名は「Wrapped」。時間を早送りにした,いわゆるタイムラプス映像をCGで表現したもので,人類滅亡後と思われる世界で,植物が街並みを覆っていく様子をフォトリアリズムタッチのCGで描いている。この作品は映像が公開されておらず,掲載できるのは下の画像だけなのがとても残念だ。


 同じFilmakademie Baden-Wurttembergからは,Sascha Geddert氏制作の「The Rise and Fall of Globosome」もElectronic Theater入選を果たしている。
 部門賞こそ逃したものの,作品のテーマはWrappedと通じるものがある。舞台は地球ではなく別の惑星なのだが,鉱石のような生命体が植物を駆逐していってしまう物語になっているのだ。


 今回のElectronic Theaterでは両作品が続けて上映されたのだが,観客に「両作品を対比して見てほしい」というメッセージが,上映順にも込められていたようだ。両作品を見た知人たちに聞いたところ,「同じ学校の学生が同じテーマで制作しているのが面白い」と感じた人は多かった。


【Best in Show Award】Box

Tarik Abdel-Gawad氏ほか,Bot & Dolly,アメリカ


 イベントなどで日本でも流行し始めている「プロジェクションマッピング」。東京駅で行われた盛大なものや,ディズニーランドのシンデレラ城で行われているものなどは,目にしたことがあるという人もいるだろう。
 プロジェクションマッピングとは,建物などの立体物にプロジェクタからCGを投射し,立体物の凹凸感や存在感を利用して表現を行うCG作品だ。テクノロジーとアートが現代風に融合した表現手段(メディア)と評価されているのだが,実のところSIGGRAPHに来る最先端の研究者や技術者にとっては珍しいものではなく,むしろいささか食傷気味のコンテンツと化しつつあるらしい。

 今回のElectronic Theaterで「Best in Show Award」(最優秀賞)を獲得した作品「Box」も,プロジェクションマッピングを使っているのだが,これまでのものとはちょっと違う点が大いに評価された作品である。
 Boxでは,かなりの速さで動くオブジェクト(※板)に対して,正確なプロジェクションマッピングを行っている。しかも,その投射先のオブジェクトに対して,人間が干渉していく演出まで入る。さらに,その様子を捉えているカメラ自体も目まぐるしくアングルを変えて移動するという,オブジェクトと人間,そしてカメラが三者三様に動き回るという,極めて斬新なプロジェクションマッピング作品に仕上がっているのだから驚かされる。ぜひその動画を見てほしい。


 動画の冒頭に「これは動体へのプロジェクションマッピングの様子を撮影したものである」と断り書きが入るが,要は「単純な合成CGではないよ」とアピールしているのだ。
 本編映像が白黒なのは幻想的な世界観の表現に加えて,色情報を制限することにより,プロジェクションマッピング映像と人間を1つの映像作品としてまとめ上げる狙いがあるのだろう。

 映像の始めに種明かしが行われているが,プロジェクションマッピングが行われているのは,2台のロボットアームに取り付けられた2枚の大きな板だけ。ロボットアームのうち1台は,腕を動かすだけでなく本体も移動できるようになっており,映像が投影される板は縦横無尽に舞台を動き回る。それを捉えるカメラもロボットアームに取り付けられたロボティックカメラなので,これまた複雑な動きが可能だ。
 さらに,投影されるCGも,カメラの動きに合わせて視差を考慮したリアルタイムレンダリングが行われているので,見る者は複雑な運動視差を感じてしまうというわけである。プロジェクションマッピングを演出する人間の動きも,緻密に計算された演技であり,CG映像に不思議なリアリティを与えているといえよう。メイキング動画も公開されているので,そちらもぜひ見てほしい。


 Boxを制作したBot & Dollyは,CGを効果的に活用したテレビCMを数多く手がけた実績を持つアメリカのCGプロダクションだ。本作の監督を務めたTarik Abdel-Gawad氏は「手品が大好きで,みんなを騙してあっと言わせるのが好き」とコメントしているが,たしかにある種の“動くだまし絵”を見ているような,不思議な感覚にとらわれるように感じられるかもしれない。


 ここ数年のCAFでは,物語性に優れた短編映画的作品が最優秀賞に選ばれる傾向にあった。Boxのような,「技術とアイデア」を基軸にした作品が選ばれるのは珍しいことだ。Electronic Theaterに選出された作品も,例年より技術とアイデアに重きを置いた作品が多かったようで,Boxはその意味でも,2014年のCAFを象徴する作品といえるのではないだろうか。

Electronic Theater|SIGGRAPH 2014

SIGGRAPH 2014 公式Webサイト


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