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[GDC 2019]インディーズゲーム専門パブリッシャが手取り足取り指南する,ゲーマーご用達のコミュニケーションツール「Discord」の上手な使い方
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印刷2019/03/20 20:36

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[GDC 2019]インディーズゲーム専門パブリッシャが手取り足取り指南する,ゲーマーご用達のコミュニケーションツール「Discord」の上手な使い方

積極的にDiscordを活用することで,コミュニティ作りは成功できると語る,No More Robotsのマイク・ローズ氏
画像(001)[GDC 2019]インディーズゲーム専門パブリッシャが手取り足取り指南する,ゲーマーご用達のコミュニケーションツール「Discord」の上手な使い方
 GDC 2019の2日目に開かれたIndependent Games Summitでは,特別枠として「ディスカバラビリティ」についての専用セッションが行われた。ここでは,インディーズゲーム専門のパブリッシャとして奮闘する,No More Robotsのマイク・ローズ氏(Mike Rose)氏が,「ゲーム・ディスカバラビリティ・デイ:何もない状態から自分のゲームのコミュニティを作る方法」(Game Discoverability Day: Building a Community for Your Game from Scratch)と題する講義を行ったので紹介しておこう。

 アンテナの高い読者ならご存じだと思うが,直訳すると“可発見性”といったような意味になる「ディスカバラビリティ」は,何万,何十万点規模の商品がオンラインで販売される現状において,どのように自分の商品を消費者に見つけてもらうかというマーケティング用語である。

 現在,3万タイトルを超えるPCゲームのライブラリを誇る「Steam」においても,より多くのゲーマーに多種多様な新作情報をどのように届けるかという試行錯誤が行われてきた。しかし,これまで抜本的な対応策が見つかっていないどころか,そのシステムを悪用するケースまで出てきている。これについて,ローズ氏自身が警鐘を鳴らしたことは,筆者の連載「Access Accepted」の第605回で紹介したばかりだ。


 そんなローズ氏が話す「ゲーム業界最大の関心事」は,「コミュニティの育成」である。ここ数年のGDCでは,コミュニティのマネジメントに関するセッションがいくつもあるが,新作の開発をアナウンスする以前の状態では,そもそも育成すべきコミュニティが存在しない。
 そうしたインディーズタイトルの販売や広報を手掛けてきたローズ氏が,最も安上がりな方法として,ゼロからゲーマーコミュニティを作り上げるために利用しているのは,すべて無料で公開されている以下のようなツールだ。

  • Discord――コミュニティ運営の基本となるサービス
  • Discordbots.org――Discordの運営を最大限に自動化してくれるBOTライブラリ
  • Google Forms――ユーザー登録した人の管理を行う
  • MailChimp――βテストに登録した人へのメール送信
  • Steamworks――βテストの実施に利用

 こうして見ると,No More Robotsはコミュニティ運営のほぼすべてを「Discord」に委ねているのが分かる。Discordはゲーム中にチャットを行うツールとして,この3年ほどの間に全世界で2億人の利用者を獲得するという,急激な成長を遂げているコミュニケーションツールだ。「Discordの利用者は,全員がゲーマーであると考えてよい」とローズ氏が話すように,これらの利用者すべてが,自分達のゲーム作品のユーザーになるポテンシャルを持っているのである。そんなDiscordの何が優れているのかについては,「Access Accepted」の第576回で紹介しているので,興味がある人はチェックしてほしい。


 さて,ローズ氏の指南によると,ゲームの自主販売を行う制作者がまずやるべきことは,Discordのサーバーのセットアップだ。Discordは基本的に,ユーザーが自分好みのグループを見つけて勝手に参加するのではなく,“勧誘”という形でしか入室できないシステムになっている。そこで,一般ユーザーに少しでも信用を置いてもらう気配りとして,Discordのサーバー管理者であることを公式サイトで認証してもらい,パブリックリストにそのサーバー名を掲載してもらう。

画像(002)[GDC 2019]インディーズゲーム専門パブリッシャが手取り足取り指南する,ゲーマーご用達のコミュニケーションツール「Discord」の上手な使い方

 また,Discordはサーバー内に標準でいくつかのチャンネルが用意されており,例えば初めて参加した人が利用するであろう「#welcome-and-rules」や,公式アナウンスを行う「#announcement」,そして繰り返し出てくる話題をまとめておく「#faq」などが存在する。
 これらに加えて,各サーバーの用途に合わせたさまざまなチャンネルを用意し,その中で自由にチャットをしたり,仲間を作ったりしてもらうのだ。No More Robotsのバイクレーシングゲーム「Descenders」(2018年)であれば,バグレポートを行う「#bug-reports」や自分の戦績を自慢する「#your-highlights」などを用意しておき,それぞれのテーマに沿ってユーザーを集めることができる。

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 No More Robotsの「Descenders」における取り組みで面白いのは,入室したユーザーに「#pick-a-side」というチャンネルだけが見える状態にしておき,そのうえで「Dynobot」という無料のBOTプログラムを利用して,新規ユーザーに「arboreal」「kinetic」「enemy」という,3つのチームから1つを選んでもらうという工夫を加えたことだ。このBOTを利用すると,自分の勢力を選んだあとはそれぞれの所属メンバーとしか交流できなくなるのだが,この時点でプレイヤーはローズ氏が仕掛けた“メタゲーム”をプレイし始めることになる。
 βテストもまだ実施されておらず,どんなゲームになるのか分からないのに,相手チームをこき下ろしてみたり,同じチームのメンバー達と結束を固めたりするような土壌作りをすることで,実際のβテストや完成版のリリースまでの間,ファンの興味を引きつけておくのである。

「Dynobot」のような,Discordで利用可能なBOTプログラムのほとんどは,ローズ氏のようにプログラミングの専門知識がない人でも簡単に利用できるそうだ
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ローズ氏は,Discordに参加したユーザーをつなぎ止めるさまざまな手法を“フック”(釣り針)と表現していた
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 こうして数百人規模のユーザーをDiscordで集めたら,次はβテストの登録受け付けを行う段階となる。Reddit,YouTube,Twitch,Twitterなどのソーシャルネットワークや,公式サイト,ブログ,ゲームメディアなどに,Discordへの勧誘リンクを含んだ情報をリリースし,どんなゲームでも5000人分ほどのβサインアップを集めることを目標にする。Steamでも別途,βテストを実施するが,それでもバグレポートなどはDiscordで行うよう指示することで利用者を集中させるのがミソだ。

言われてみると,確かに最近はβテストの登録をGoogle Formで行うケースが増えている気がする。わざわざ専用ページを作る必要もないということだろう
画像(005)[GDC 2019]インディーズゲーム専門パブリッシャが手取り足取り指南する,ゲーマーご用達のコミュニケーションツール「Discord」の上手な使い方

 この時点で,Discordサーバーには何千人ものユーザーが集うようになり,日常的にβテストの仕上がりについて語り合ったり,さらなるコンテンツを求めたりし始める。彼らはすでに多くの時間や熱意をゲームに注いでおり,完成版のリリースを待ち望む声も上がってくるはずだとローズ氏は解説する。

 しかし,少人数の開発チームの場合,完成までさらに時間がかかることがあり,常にファンの要求を汲み取って新しいコンテンツをリリースできるわけでもない。そこで,No More Robotsではメタゲームを加速させていくという。
 例えば,「Not Tonight」(2018年)ではゲームの内容に合わせて,サーバー参加者による選挙を実施して仮想政府を作り,彼らに無理難題に近い政策を決定させたり,スパイ役を決めてユーザー同士で追求させたりといったことを行った。
 また,「Hypnospace」(2017年)では,ゲームに登場するキャラクターと同じ名前の偽開発メンバーを登場させ,当初の優しい性格から,徐々にゲーム内通貨による課金要素の導入を示唆するような独善的なキャラクターに変貌させていくことで,ファンを混乱させたという(ローズ氏は,これはやり過ぎてしまったと自戒していた)。

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 Discordに集まったユーザーにメタゲームという限定的なプロモーションを行うのは,彼らを“コアなファン”に育てていくのが大きな目的であるとローズ氏は説明する。こうしたローズ氏の誘いに乗ったゲーマー達は,ゲームの完成版を熱狂的にプレイし,好意的なレビューを自発的に発信してくれるようになるかもしれない。インディーズ市場で生き残っていくためには,より積極的に“ディスカバラビリティ”の問題に取り組んでいく必要があることをローズ氏は訴えていた。

GDC 2019公式サイト

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