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世界を作った巨人の死体がステージに。中国創世神話のアクションRPG「太古の神:哪吒」が目指す“中国版ゴッド・オブ・ウォー”[gamescom]
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印刷2026/08/27 13:55

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世界を作った巨人の死体がステージに。中国創世神話のアクションRPG「太古の神:哪吒」が目指す“中国版ゴッド・オブ・ウォー”[gamescom]

 ドイツ・ケルンで開催中のゲームショウ「gamescom 2026」の会場で,中国のGenigods Labが開発中のアクションRPG「太古の神:哪吒」が4Divinityブースに出展されていた。
 Genigods LabのCEO兼プロデューサー,Young Lau氏から聞いた話を中心に,本作の概要をお伝えしよう。

 ブースではデモ版を少しだけ遊ばせてもらえたので,まずはそのときの話から始めたい。

 ボスは,こちらの倍はある巨躯だった。振り回してくる武器を転がってかわし,右手のトリガーを押しながら攻撃ボタンを連打。あとは勝手に連撃がつながっていく。

 空中に浮いて回転しながら殴り,落ちてきたところにもう一度叩き込む。ゲームがうまいほうではない筆者でも,相当な達人に見えた。

 ボスが崩れ落ちたところで,Lau氏がにこにこしながら補足を入れてきた。さっきまで駆け回っていたあの地形は,大神に切り落とされた巨人の首の内側なのだという。いま倒した相手は,そこに封じ込められていたわけだ。中国の人なら誰でも知っている話だとも言っていた。

見上げるほどの岩の巨人。腕も胴も,そのまま踏破する対象になる
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 「太古の神:哪吒」は,中国の創世神話をベースにしたアクションRPGだ。開発はGenigods Labで,対応プラットフォームはPC(Steam / Epic Games Store),PS5Xbox Series X|S。Xbox Series X|S版は今回のgamescom 2026で新たに発表されたものだ。
 PC版とPS5版は,2026年1月の発表では2028年発売予定と案内されていたが,掲載時点ではストアページの発売時期は未定。ゲームエンジンにはUnreal Engine 5を採用している。


 物語の出発点は,自分の体で世界を作った巨人・盤古の死だ。その体は星となり,大地となった。ところが盤古の魂は復活を望んでおり,それが叶えば新しい世界は壊れてしまう。これを止めるのが主人公である。

 その主人公は,女媧が土と水と火から作り上げた最初の存在――霊珠だ。この霊珠が,やがて哪吒として生まれ変わる。神話の哪吒は少年として語られることが多いが,本作では女性だ。中国では,あらゆるものの源は水だと考えるとLau氏は説明した。

主人公の哪吒(なた)。額の炎と金の額飾りが目印だ
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 食べ物も人間も,力も水から来ている。だから女媧は,人のかたちをした器である霊珠に神水を注ぎ,心を与えた。

 プレイヤーはまず自分の体のパーツを集めて人間になり,次に法宝を集めて神になる。器から人へ,人から最初の神へ。この三段階が,そのままゲームの成長曲線になっている。

哪吒の背後に,炎に包まれたもう一つの顔が重なる
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 中国神話でとくに人気のある登場人物は,孫悟空と哪吒と楊戩の3人だという。孫悟空はすでに「Black Myth: Wukong(黒神話:悟空)」になった。だから次は哪吒だ,という順番らしい。

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 メインストーリーは25時間を超える規模で,巨大ボスは8体から10体。開発チームはこれをcolossal beingsと呼んでいる。盤古の死体は腕,脚,胴,頭がそれぞれ多層のサンドボックスとして設計されており,プレイヤーはその上を渡り歩いていく。

いくつもの首を持つ巨大な存在と,空中で向かい合う。巨大ボスは8体から10体が予定されている
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 Lau氏の説明の組み立て方が面白かった。彼はどのタイトルにも“隠し味”があると言い,まず他社の例から説明してきたのだ。

 「Black Myth: Wukong」の隠し味は,Unreal Engine 5と3Dスキャンである。中国の寺院を何百と実測してそのまま3Dにしたから,あれは中国初のAAAになった。「Phantom Blade Zero」梁其偉(りょう・きい)氏はKung Fu Punkという言い方をしていて,あちらの隠し味は香港のアクション俳優チームによるモーションキャプチャだ。

 朝に撮って午後にはゲームへ入れ,また撮り直す。そういう回し方をしているという。

 では自分たちはどうか。中国神話の戦いでは,空中で神と戦う。武術のほうはもう出揃っているので,勝負どころは絵作りのほうにある――というのがLau氏の判断だった。

燃える球体の中心に主人公。周囲を竜の巨体が取り巻いている
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 そこで組んだのが,アニメ映画「哪吒」シリーズに関わった制作チームである。同じ蘇州にあり,会社のすぐ近所なのだそうだ。映画で使っている照明設計と流体シミュレーションを,オフラインの1000倍の速さでリアルタイムに動かす。それが本作の隠し味だ,とLau氏は胸を張った。

 技術面の話も一通り出てきた。動的な昼夜・天候システムを入れ,砂嵐や雹(ひょう),雷といった気象そのものを戦闘のメカニクスに絡めていく。巨大生物の体の上を跳び,戦うための高機動な3D移動も用意する。

 大きな建物や樹木,岩は破壊可能で,主人公の力を目に見える形にするのだという。キャラクターはMetaHumanを軸に,フェイシャルキャプチャとモーションマッチングを統合し,「DEATH STRANDING 2」の水準の感情表現を目標に置いている。

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 もっとも,中国の創世神話をそのまま出しても,日本や欧米のプレイヤーには通じない。どんな武器で,どう戦うのか。そこを一発で分からせる手がかりが要る。

 そこでLau氏が引き合いに出したのが,ブルース・リーの有名な言葉だった。Be water, my friend――水になれ,友よ。心を空にして,形をなくせ。水はコップに注げばコップの形になるが,流れもすれば,砕きもする。

 主人公は女媧から神水を注がれた存在で,中身は文字どおり水だ。あの一節をかませれば戦い方まで一息で伝わる,というのがLau氏の見立てだ。もっとも,それで膝を打てる人がどのくらいいるかは,また別の話だが。

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 もうひとつの補助線は「ターミネーター2」T-1000である。どんな形にでも変われるところは同じで,違うのは材質だ。向こうが液体金属なら,こちらは水。そのうえで主人公は,ほかの英雄の力を学んで自分のものにできる。

 どちらの例えも若干の古さを感じるが,一定年齢以上の人であれば,この2つを並べられると,遊ぶ前でもだいたいの手触りを想像できそうだ。

 実際の戦闘は,地上と空中で性格が分かれている。地上は重い連撃で,空中は素早い蹴りだ。空中戦の感触については,ドラゴンボールとは違うが,まあ近いものではある,という言い方をしていた。

地上では槍を構えて戦う。相手は闇に沈んだ巨大な獣だ
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 操作のハードルはかなり低く作られている。事前にコンボチェーンを組んでおけば,あとはボタンを押すだけで一連の攻撃が流れていく。「ストリートファイター6」のモダン操作のようなものだ,と本人も例えていた。普通の人が押しても派手に見える,というのが狙いだ。

 そこに法宝と神力が絡んでくる。単体で使う法宝はただの一撃だが,神力を注ぐとEX版へ切り替わるのだ。この組み合わせをcombineと呼んでいて,たとえば飛行系の法宝に別の力を掛け合わせれば,空中で回転しながら攻撃し続けるアイアンマンのような動きになる。

 法宝は集めたうえで,スキルポイントを割り振って解放していく形だ。

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 速度感の位置づけもはっきりしていた。「ELDEN RING」は遅い側で,本作はRPGとアクションのバランスを取ったところ,感覚としては「ゴッド・オブ・ウォーIII」に近い。自分は40歳で,あの三部作をとにかく愛しているから,とLau氏は理由を付け足した。海外メディアからも中国版ゴッド・オブ・ウォーになりうると書かれたそうで,そこはまんざらでもないらしい。

 筆者が触ったデモ版でも,そのあたりの設計は分かりやすく出ていた。画面には神力のゲージがあり,主人公と敵が1本のゲージを綱引きしている。攻撃を通せばこちらへ寄り,攻撃を受ければ向こうへ持っていかれる。ぎりぎりのタイミングで回避を合わせると一気に押し戻せて,逆に神力が尽きると主人公は水の姿になってしまう。

 武器は方向キーで切り替えられ,拳より槍のほうが強い。デモ版でのボスは追い詰められると真の姿に変身し,こちらを見下ろす格好になる。

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 なお,全体的なプレイフィールについては,ChinaJoy 2026で本作に触れたレポートに詳しい(関連記事)。

 最後にチームの話を少し。Genigods Labはプログラマー出身者を中心とする集団で,Lau氏自身も20年選手だ。学生時代には盤古を題材にした創世神話ゲームを作っており,これが中国初のその種のタイトルだったという。

 北京五輪ではデジタル演出のシミュレーションエンジンを手掛け,「僕のヒーローアカデミア」を題材にしたゲームも世に出している。共同創業者にはアーティストとゲームデザイナーが並び,蘇州のほか香港と北京にも拠点を持つ。

Genigods LabのCEO兼プロデューサー,Young Lau氏
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 Lau氏は3歳からゲームを遊んでいて,いま6歳の娘さんも3歳から遊んでいる。そして本人は,60歳までゲームを作り続けるつもりだという。

 墓に刻めるだけの価値があるゲームを4本残すというのが目標なのだそうだ。いま40歳だというから,1本あたり5年の計算になる。「太古の神:哪吒」は,その4本のうちの1本になるのかもしれない。



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