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  • 瑞起
  • 発表日:2023/06/28
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印刷2023/01/25 18:00

プレイレポート

【PR】「X68000 Z Hacker's Edition」試用レポート。活用のためのPC向け環境構築もあわせて紹介

 昨年,突如として発表されて話題となった「X68000 Z」。2023年1月28日23:59まで行われているクラウドファンディングでは出資者が5500人を超え,調達資金は3億円を突破(※1月15日時点)するなど,大きな反響を呼んでいる。

 プレッジの多さから一時は個数制限がかけられていたが,現在は6月以降出荷となる第2ロットの申し込み(関連記事)を受付中だ。

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 瑞起がKibidangoで実施している「X68000 Z」のクラウドファンディングプロジェクトだが,支援総額が3億円を超えたことが明かになった。開始45日目にして,目標の10倍近い数字を達成したことになる。これを記念した「X68000 Z特製ノート」と「特製シール」が支援者にプレゼントされるとのこと。

[2023/01/18 15:30]

 今回,そのモニタリング版である「Hacker's Edition」を触る機会を得たので,“X68000 mini”とでも言うべき姿となって復活した本機がどのようなものなのか,簡単にレポートしたい。

 まず初めにHacker's Editionとは何かからだが,基本的には一般公募から選ばれた開発協力者に贈られているもので,搭載しているX68000エミュレータはβ版だ。クラウドファンディングで扱う「Early Access Kit」が,そのフィードバックをもとに改善されたβ2版エミュレータを搭載する予定となっている。その後,β2版からさらなる改良を施された製品版が一般販売される見込みだ。なお,公式サイトのロードマップで製品版は“Black Edition”とされているので,その筐体はブラックになるものと思われる(Hacker's EditionとEarly Access Kitはグレー)。

 こういった事情で,今回紹介するHacker's Editionは仕様や動作などが後続のバージョンとはそれなりに異なる可能性があるので,そこはあらかじめご承知いただきたい。


X68000 Z Hacker's Editionを見る


 まずはパッケージだ。X68000ユーザーなら懐かしい化粧箱をイメージした段ボール箱となっており,かつてのユーザならぐっとくるものがあるはずだ。Hacker's Editionなど,ごく少数しかないのに,わざわざ専用の化粧箱まで用意していたのには恐れ入った。

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 本体のシルエットはX68000そのものだ。底面部から左右に分離したツインタワーで,SHARPの代わりにZUIKIのロゴが入っている以外は初代機をそのまま小型化していると言っていい。

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 サイズは高さが約15cmで,実機のほぼ40%の大きさとなっている。手近にあった分かりやすそうなものと比べると,「明治ミルクチョコレート」を縦にしたときと高さは同じくらいで,幅はHacker's Editionが1cmくらいスリムといった感じだ。金色のラインで折り込んだくらいの幅である。

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 外見的にはX68000初代機とだいたい同じだ。機能的に再現されていない端子類はプラスチックのモールドになっているが,テレビコントロール端子や立体視端子は「丸い端子が2つあればいいだろう」くらいの再現度なうえ,シースルーカラー端子は省略と,完全再現というわけでもない。まあ,大半の人は使ったこともないような端子だったりもするので,気にするようなことではないだろう。十分に雰囲気は出ている。

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 各部の詳細を見てみよう。

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電源スイッチ
 薄赤色の電源スイッチはトグル式で,実機とほぼ同様の操作感だ。機能的にもほぼ同じである。

3.5mmステレオフォンジャック
 これは実機と同じく,イヤフォンなどに接続するためのオーディオ出力端子となっている。

ボリューム端子
 実機と同様に音量調節用のボリュームがある。小さいがちゃんと動く。

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SDカードスロット
 実機では2基装備されていたフロッピーディスクドライブ(FDD)部は,SDカードスロットとなっている。ドライブ0と1という2つのスロットが設けられていて,フロッピーディスクの代わりにSDカードを挿入するという仕様だ。
 X68000のFDDは,5.25インチでオートロード/イジェクトをサポートするという他では見たことのないドライブだったが,さすがにこちらのSDカードリーダでオートロード/イジェクトはサポートされていない。抜き差しは手動で行おう。

イジェクトスイッチ
 それでもSDカードスロットの下にイジェクトスイッチが付いている。これはSDカード取り出しをシステムに知らせるためのものだと解釈しておけばいいだろう。物理的にはなにもしなくてもSDカードの抜き差しはできるのだが,後述のようにイジェクトボタンを押すことでSDカードにディスクイメージがライトバックされるので,運用上は重要なボタンとなっている。
 なおSX-WINDOWで確認してみたところ,イジェクトボタン長押しでの強制イジェクトには対応していないようだ。

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USB端子
 背面に回ると,4ポートのUSB Type-A端子が用意されている。端子の色から見ると,おそらくUSB 2.0仕様なのだろう。X68000のようなキーボードからマウスへのデイジーチェーン接続には対応しておらず,マウスも本体側に差す必要がある。キーボード,マウス,ゲームコントローラを接続すると,それだけで3ポートが埋まるので,あまり余裕はない。

 なお,背面にはType-Cポートもあるが,これは電源供給に使用されるものだ。電源は外部からUSBケーブルで供給するが,5Vで3Aを供給する必要がある。現状,2.1Aの給電でもとくに問題なく動いてはいるようだが,拡張スロットも付いているため,余裕を持った電流を確保しているのだろう。USB-ACアダプタは同梱されないので,動作の安定性を確保したい人は,別途3A対応のものを用意しよう。

HDMI端子
 映像出力はHDMI端子で行われる。まあ,ごく普通のHDMI端子だ。
 映像はHDMI端子経由で720P映像として送出される。最大出力解像度は768×512までで,それ以上の場合は正常に表示されない。個人的には,愛用していた1024×1024が出ないのはやや残念だ。フレームバッファサイズも768×512であり,ディスプレイエンジンのスケーリング機能を使って,972×648に拡大して出力されている。そのためCRTCをいじって512ライン以上の表示を行うアプリは再現できないだろう。720Pではなく1080Pベースで映像を出してもよかったかもしれない。

Hacker's Editionに付属していたUART用ケーブル
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UART
 見慣れない緑色のUART端子はシリアル通信ポートである。3ピンしかないJSTソケットだが,RS-232C(AUX0)の代わりとして使えるようだ。X68000のRS-232Cポートは25ピン仕様だったが,おそらくRxDoおよびTxDと,グランドだけつないでおけば制御信号は無視してもなんとかなるのだろう。

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キーボード
 USB接続となっているが,ほぼ昔のX68000のキーボードが再現されている。LEDの埋め込まれた一部のキートップもそのままだが,なぜかファンクションキーが太い。メインキーの左右最下段にCTRLキーを追加したのはファインプレーと言えるだろう。
 キータッチも軽快で,“copy”と素早く打っても“coxpy”になるようなことはない(X68000はアンチゴースティング非対応だったので,複数キーの入力が被ると意図しない文字が勝手に入る)。
 ケーブルはやや左側から出ていたものが,キーボード中央から出るようになり,カール部分が短く,直線部分が長くなっている。本体の方が非常に軽いため,カール式のケーブルだと取り回しがやや難しいこともある(私は延長ケーブルを導入した)。PCでも使うことを考えるなら,もっと長めのほうが望ましいのだが,X68000 Zとのバランスが悪くなるので,ここはやはり必要に応じて延長ケーブルを導入するのがよさそうだ。

 キーボード自体は,一般のPC用を利用できなくもない(足りないキーはソフトウェアキーボードなどで補うことになる)。ただし,ゲームなどでテンキーを使うことが多いので,その場合でもフルキーボードが望ましい。
 なお,トラックボール兼用マウスは開発段階であり,Hacker's Editionには付属しない。

ジョイパッド
 本来,X68000 Zの製品仕様には含まれないものなのだが,今回届いたものにはセガトイズから発売された「アストロシティミニ コントロールパッド」が同梱されていた。Early Access Kitに付属するゲームのうち,「グラディウス」はキーボードでも操作できなくはないが,「超連射68K」はジョイスティックのみの対応なので,クラウドファンディングに出資している人は,DirectInputに対応したUSBジョイスティック(ジョイパッド)を用意しておこう。

 ちなみに,昨年12月23日に4GamerSPで配信した生番組に寄せられたファミベのよっしん氏の言葉によると,X68000 Zに付属する超連射68Kは未公開の最新版となる模様だ。



起動してみる


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 X68000 Zは,電源接続時に根幹のbootloaderが起動してLinuxを立ち上げ,そこからX68000エミュレータが起動される。本機と同じSoCを採用した「メガドライブミニ」や「EGRET II mini」もそうだったが,本体の“電源スイッチ”は,実際にはユーザが操作する部分のシステムを起動/終了させるためのものだ。

 起動時にディスクが入っていないと「フロッピーディスクを入れてください」のようなメッセージが出るのだが,ここでSDカードを挿してもそのまま起動せず,一度リセットボタンを押さなければならなかった。瑞起によると,これは想定外の動作であり,本来は挿入するだけで認識するのだという。

なにせ最初の製造ロットなので,予期せぬ誤動作があることは否めない
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 X68000 Zのフロッピーディスク0/1は,SDカードスロット0/1に割り当てられている。しかし実際には,SDカード内のXDFファイル(X68000のフロッピーディスクイメージファイル)へのアクセスとなるわけであり,さらに言えばメモリ上のディスクイメージへのアクセスが行われているというのが正解だろう。

 あくまでHacker's Editionにおける挙動だが,メモリ上のXDFイメージが実際にSDカードに書き戻されるのは,イジェクトボタンを押すか,X68000としての電源OFFが行われるタイミングとなる。そうでない状況でSDカードを取り出してしまったり,電源ケーブルを抜くことなどで強制的にシャットダウンされると,保存したと思っていた内容が消えてしまう可能性があるわけだ。フロッピーディスクのイメージを扱うが,実際の挙動はRAMディスクに近いものだと思っておいたほうが良いだろう。もしHDDイメージファイルを扱えるようになっても,この仕様だと困ったものだが,Early Acces Kit以降は改善されたものが実装される予定なので期待したい。

SX-WINDOWでシャーペンを起動する。今思うとフロッピーディスクベースでも動くのは凄い
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X68000 Z上で動くS-OS“SWORD”。Z7213上の68000エミュレータ上で動くZ80エミュレータ
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S-OS上でインベーダーゲームを起動


どの程度の性能があるのか?


 X68000 Zで使用されているSoC(System on Chip)は,瑞起独自の「ZUIKI Z7213」だが,公開されている情報はほとんどない。瑞起に直接聞いてみたが,詳細は非公開だそうだ。分かっている範囲では,これはARMv7ベースの32ビットプロセッサコアであるCortex-A7を中心として,各種システムチップを集積したものとなっている。GPUコアはMali-400だ。

 Cortex-A7は,ARMシリーズの中では低消費電力に振った製品なので,ハイエンドスマホで使われているような高性能のSoCではない。

 X68000 ZにおけるCPUの動作周波数は非公開だが,Armのスペック情報を見ると,Cortex A7の典型的な動作周波数は1.2〜1.6GHzとなっていた。

 非常に単純なMIPS値で示すと,

Cortex A7 1.2〜1.6×1000×4=4800〜6400MIPS
10MHzの68000 10÷4=2.5MIPS

 となる。RISCコアではほとんどの命令が1クロックで動作するが,X68000の場合は最短4クロックを要し,多くの場合はもっとかかるので,かなり甘い見積もりではある。さらに,Z7213にNEON命令がサポートされているかどうかは不明であるが,サポートされていた場合は8ビット積和(積差)演算×4×2が掛けられるので,スペック上のCPU性能差は2万倍程度ということになる。FLOPS値だとさらに凄いことになるだろう。

 Mali-400は,ARMが提供しているPowerPC系のGPUコアだが,だいたい10年前くらいのスマホ(Galaxy S2など)に使われていたものだと思っておけばよい。Arm Community blogsによると,1〜4コアの構成があり,クロックは210〜250MHzらしい。

 旧時代のGPUコアは新しいアーキテクチャのGPUと比べにくいのだが,単純な描画力であるピクセルフィルレートは別資料(※リンク先PDF)で275M〜1.1GMpixel/s(1コア〜4コア)となっていたので,仮に2コアだとすると550Mpixel/sくらいと予想される(2コアあたりはほぼリニアに性能が上がる)。これはPC用GPUでいうと,GeForce2 MX 400の400Mpixel/sよりも多く,GeForce2 Proの800Mpixel/sよりも少ない。まあ,だいたい20年前のPCくらいの性能だ。

 SoC自体の性能の目安は分かっても,実際の性能がどうなっているのかは分からない。とりあえず,X-BASICで空ループを回して時間を計ってみた。

●X68000 Z
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 10万回ループで18秒である。
 実機が手元になく比べられないのはもどかしい限りだが,Windows向けのX68000エミュレータであるXM6 TypeGを10MHz設定にして同じプログラムを実行してみた。

●XM6 TypeG
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 こちらも18秒である。
 XM6はかなり正確に10MHz版の動作を再現していると思われるので,X68000 ZではきっちりX68000/10MHzのエミュレートを行っていると見てよさそうだ。

 実際に使ってみても,「10MHzの頃はこんなだっけなあ」と懐かしい気にはなる。ただし,XVI以上を使っていた人には厳しい局面もあるかもしれない。とくにSX-WINDOWはきつい。ロードマップでは,今後「XVIぽい位置付けのマシンも出るかも?」的なことが書かれていたので,(とくにSX-WINDOWについては)今後の展開に期待といったところだろう。


X68000 Zを使うために


 さて,今回試用したHacker's Editionは数十台ほどしか作られておらず,実際に手にした人は非常に限られている。クラウドファンディング参加者に向けたEarly Access Kitの出荷までにはまだ間があるわけだが,X68000 Zを心待ちにする人が現状でなにかできることはあるだろうか?

 ある。

 最終的な製品がどうなるのかは不明だが,現状ではX68000 Zを使うためには,X68000エミュレータ(Windowsなどで動くもの)がほぼ必須となる。X68000 Zとのファイルのやり取りには,こういったエミュレータの元祖ともいえる「EX68」のWINDRV.SYSが有効だからだ。以下,Windowsでの操作をまとめて書いておこう。

 まず,大前提として,X68000 Zでは,EX68Kなどで使われているXDF形式(X68000のフロッピーディスクをイメージ化したもの)でディスクを扱うこととなる。ドライブ部分はSDカードスロットになっているが,ここには32GBまでのSDHCカードを利用してXDF形式のディスクイメージを扱うことができる。
 「1枚のカードでフロッピー1枚なのか?」と不安になる人もいるかもしれないが,\X68000Zフォルダ内に入れてあるXDFファイルから起動時やSDカード挿入時にどのディスクイメージをマウントするかを選択することが可能だ(※一度に扱えるのは100枚分まで)。サポートされているのは32GBまでと小さめではあるが,2HDのフロッピーディスクでも2万枚分以上のディスクイメージが入るので,不満に思う人はいないだろう。

どのフロッピーディスクイメージをマウントするかをキーボードで選択できる
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 また,ファイル名を「automount.xdf」としてルートに置いておけば,起動時に自動的にそのイメージをマウントしてくれるようになっている。

 なお,Hacker's Ediotionではハードディスクはサポートされておらず,HDDイメージのマウントなどはできなかった。これは今後のバージョンに期待しよう。
 とはいえ,困ったのは,いくつかのソフトをシステムディスクに入れただけでデバイスフルになってしまったことだ。ハードディスクがサポートされていない状況は非常に厳しい。

 やろうと思えば,実行ファイルに軒並みLZXをかけて,10MBくらい確保したRAMディスク上にBINなどを持ってきて(メモリは12MB確保できる)……と,それなりの開発環境を構築することもできるのだが,起動時にディスクを何枚も入れ替えるなどの煩雑な処理が必要となるうえ,今後のバージョンではまったく無用な操作になることも確実なので,ここでは割愛する。

 Windows上で代表的なX68000エミュレータの1つであるEX68Kの公式サイトには,エミュレータ本体のほか,今後必要になってくるシャープからの配布ソフトウェアがXFD形式(X68000のフロッピーディスクをイメージ化したもの)で配布されているので,今後もいろいろお世話になることだろう。

 ダウンロードすべきものは,エミュレータ本体,IPLROMイメージファイル,シャープから公開されているX68000関係のディスク群だ。とりあえずHuman68k ver.3.02のシステムディスクのイメージが最低限あれば大丈夫だ。公開用の規約を読んで納得できたらダウンロードしよう。

 使用するIPLROM(BIOS)についてだが,ことエミュレータに関しては一番古いものが一番よい。もちろん単純にBIOSとしては新しいもののほうが優れている部分というのもあるかもしれないのだが,エミュレータで使う場合はそういったものは無視してもかまわない。

 公式サイトで示される手順でEX68Kが動くようになったら,配布されているエミュレータで,WINDRVディレクトリに一緒に入っているFD1.XFDを取り出して,ドライブ1にマウントし,システムディスクの\SYSディレクトリに入れておこう。

 あとは,CONFIG.SYSに,

DEVICE = /SYS/WINDRV.SYS

という1行を書き加えて再起動すれば,EX68からWindowsファイルを扱えるようになる。

WINDRVを組み込んだシステムでWindows PCのHDDの内容を表示したところ
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 あとはX68000用のフリーソフトウェアなどをネット上で集めておけば,Early Access Kitを入手したときに手間が少なくなるだろう。X68000用のフリーソフトウェアや各種情報をまとめたサイトとしてはX68000 LIBRARYが有名だ。そのほかにも検索すればいろいろな情報サイトがヒットするかもしれないが,往々にして情報が古いことは覚悟しておこう。

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X68000 LIBRARY



X68000エミュレータの選択肢


 さて,EX68以外にもWindowsで扱えるX68000エミュレータは存在する。ただ,残念なことに現状では「X68000 エミュレータ」などで検索しても情報が得にくくなっているため,ここで少しだけWindowsで利用できるX68000エミュレータについてまとめておきたい。
 Windowsで利用できる代表的なエミュレータは,EX68の他「WinX68k高速版」「XM6」といった,計3種となる。

●EX68
 EX68はX68000エミュレータの元祖的な位置にあり,現在でも公式サイトが生き残っている。WINDRV.SYSやXDF形式によるシャープからのソフトウェア配布も行われていることから,必ず立ち寄らなければならないところだと思っておいていいだろう。
 最終版として配布されているver.2.15はゲームの互換性や日本語入力などに問題を抱えているのだが,ファイルのやり取りなどの基本的な操作に関しては問題なく行える。上記の互換性自体は2.11のほうが優れているように思われるが,公式サイト上にはなく,ネットで探して導入する場合は自己責任となる。

EX68でSWITCH.Xを起動。あれ? サポートされてないフォントがある
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●WinX68k高速版
 WinX68k高速版は,独自に機能強化し,軽さにフォーカスしたエミュレータだ。現在,公式サイトは閉鎖されており,Internet Archive上にファイルが保存されている。

 ただし,現在のPCではエミュレータの重さが問題になるようなことはほとんどないので,このエミュレータが開発された当時のような軽さを重視する必要はあまりない。また,かなり古いものなので,現在のWindows環境で動作させたい場合には,WinX68k 野良Version 0.65aを試してみるのがよいだろう。

WinX68k 野良Version 0.65aで,システムディスクの内容を tree /f | more で確認しているところ
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●XM6
 XM6は,最も再現度の高いことで知られているX68000エミュレータだ。それなりに動作が重いことでも有名だが,昨今ではほとんど気にしなくても大丈夫だろう。最新版は,XM6 TypeGとして配布されている。再現度はもちろん,機能的にも最高峰だと言える。

XM6上で動作するVS.X(ビジュアルシェル)
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PI. Home Page


 さて,X68000 Zで使う環境を揃えるといった用途であればどのエミュレータを使ってもかまわないのだが,まずEX68が動く環境を作ってからほかのエミュレータを試すことをお勧めしたい。導入手順などが最も整備されているのがEX68だからだ。なんにしてもこれが基本だ。

 まとめると用意しておくべきものは以下のとおりだ。

  • 32GBのSDカード2枚(以上)
  • 3A対応のUSB電源
  • X68000エミュレータ環境
  • X68000用のソフト(XDF化できれば)
  • ジョイスティック(ジョイパッド)

 クラウドファンディングに参加した人はEarly Access Kitが届くまでに下準備を整えて,来るべき日に備えよう。

リビングのレーザープロジェクタに接続し,100インチほどの画面で楽しむ「SION IV」
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「X68000 Z」公式サイト

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