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[インタビュー]シブサワ・コウも渇望した「信長の野望 覇道」。開発陣の熱が注ぎ込まれた天下取りが,もうすぐ解禁!
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印刷2022/11/30 18:00

インタビュー

[インタビュー]シブサワ・コウも渇望した「信長の野望 覇道」。開発陣の熱が注ぎ込まれた天下取りが,もうすぐ解禁!

 コーエーテクモゲームスの“シブサワ・コウ”ブランドより,「三國志 覇道」の兄弟作として,新作スマホゲーム「信長の野望 覇道」iOS / Android / PC)が,2022年12月1日に配信される。

 ジャンルはMMO戦略シミュレーション。プレイヤーは戦国大名に仕える領主として,他大名家の者たちと競いながら天下統一を目指す。
 一定期間で区切られるシーズンのなかで,領土の奪い合いや攻城戦を制して,自らの大名家の威信を高めていくのだ。

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 コーエーテクモゲームスの新作スマホゲーム「信長の野望 覇道」の開発陣テストプレイが行われた。今回は開発スタッフ中心で行われた内部テストだったが,参加する機会を得られたので,そのプレイレポートをお届けしよう。

[2022/11/02 07:00]

 そんな覇道シリーズ新作の配信直前で期待が高まるなか,今回は開発プロデューサーの高林正典氏へのインタビューをお届けする。

 「信長の野望 覇道」が始動したきっかけや開発中のエピソード,クローズドβテスト(以下,CBT)からの改善点など,気になるあれやこれをぶつけてみたところ,開発秘話も盛りだくさんとなった。

「信長の野望 覇道」開発プロデューサーの高林正典氏
画像集 No.001のサムネイル画像 / [インタビュー]シブサワ・コウも渇望した「信長の野望 覇道」。開発陣の熱が注ぎ込まれた天下取りが,もうすぐ解禁!

「信長の野望 覇道」公式サイト

「信長の野望 覇道」ダウンロードページ

「信長の野望 覇道」ダウンロードページ




※本稿で使用しているゲーム画像はテスト環境でのものであり,サービス開始時の仕様とは異なる可能性があります


各地の武将のファンを大事に!
地元愛に訴えかける「信長の野望」ならではの歩み


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは高林さんが「信長の野望 覇道」にどのように携わっているのか,お聞かせください。

高林正典氏(以下,高林氏):
 私はこれまで「信長の野望 Online」や「のぶニャがの野望」の開発に携わり,また「三國志 覇道」のヒットを受け,いわゆる“村ゲー”分野の研究を進めていました。それをきっかけに,「信長の野望 覇道」の開発プロデューサーを務めることになりました。

4Gamer:
 チーム内には「三國志 覇道」のスタッフさんも多いのでしょうか?

高林氏:
 もちろん「三國志 覇道」のスタッフもいますが,コンシューマ版「信長の野望」シリーズに長らく携わってきたメンバーたちも参加していたりと,チームの面々はバラエティ豊かです。

4Gamer:
 それぞれのタイトル経験も生かされていそうですね。

高林氏:
 ええ。例えば「三國志 覇道」は現在運営中のタイトルということもあって,プレイヤー間では新たな戦術が日進月歩で生み出されています。そして我々は今後のスケジュールなどを共有してもらいつつ,実際に「三國志 覇道」を遊び,現場の生の声や情報をキャッチして「この戦い方って,信長の野望に当てはめるとどうなる?」と参考にしてきました。
 同じ覇道を冠する作品として,大いに研究しました。

4Gamer:
 「三國志 覇道」から受け継がれたものはなんでしょう。

高林氏:
 すべての部隊がマップ上に現れて,複数の部隊が互いにぶつかり合いながら戦う。それが覇道シリーズの特徴と捉えています。
 類似ジャンルですと,部隊が一つずつ対決をし,その部隊のみの優劣で勝負するゲームもありますが,覇道ではよりリアルタイムストラテジーに近い,多数の部隊が同時接触する仕組みとしています。
 そのため,複数部隊の戦いがリアルタイムに行われること。これが本作において,まず第一に実現すべき要素でした。

4Gamer:
 反対に「信長の野望 覇道」ならではの要素というのは。

高林氏:
 ならではの要素としては“大名家の勢力を広げる”ことです。日本地図を自勢力の色で塗っていく遊びは,「信長の野望」シリーズの原体験と考えているため,その感覚の実現には強くこだわりました。
 また日本市場に向けてリリースするにあたって,マップ上では「富士山」の表現にこだわったり,「諏訪大社」や「熱田神宮」といった有名な寺社仏閣,景勝地の名所を登場させたりするようにしました。コーエーテクモゲームスが自社で開発する「信長の野望」であり,日本のメンバーが作ることで,地の利を生かすことができたかなと思います。

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4Gamer:
 過去のテストプレイで見た限り,全国的ではないけれど,地元では知られている名所もあったりと,想像以上の再現度でした。

高林氏:
 CBT参加者さんからも「ウチの近くのあの温泉が出てた」といった反応をSNSでいただけて,作った側としてはうれしかったです。この背景には,「信長の野望」シリーズのゼネラルプロデューサーであるシブサワ・コウから,「日本を舞台にするのだから,全国各地の“ゆかりの武将”のファンがいることを忘れないでほしい」という指示があったからです。

4Gamer:
 プレイヤーさんの反応からして,まさに狙いどおりですね。
 ほかにもシブサワ・コウさんからのオーダーはありましたか?

高林氏:
 シブサワ・コウ自身が「三國志 覇道」のヘビーユーザーでして,「兵科の優劣は,三國志 覇道のものになるように」や「プレイは新しくしてほしいけれど,UIや情報表示の大まかな構成は変えないでほしい」など,細かな要望がありました。それもすべて,「三國志 覇道」に慣れ親しんだお客さまたちが違和感なく触れられるようにとの思いからです。
 開発としては変えたい思いはありつつも,“あえて変えない決断”をした箇所はあちこちにあります。

4Gamer:
 ヘビーユーザーならではの視点(笑)。さすがです。

高林氏:
 そもそもの話としても,「三國志 覇道」をリリースしてすぐ,シブサワ・コウが「これの信長版を遊びたい」と言ったんです。その気持ちは我々社員も同じで,「三國志でヒットしたから信長も作ろう」ではなく,みんな「信長でもやってみたい!」の気持ちが強かったため,最初から熱い雰囲気で企画がスタートしました。
 そんな折,SNSでも「三國志 覇道」ファンの皆さまからの「三國志があるなら,信長でもやってみたい」というコメントが散見されました。そのような期待感は当然のものと考え,作り手としてそれに応えないでどうする,と。会社一丸となり,「信長の野望 覇道」をお届けするぞ! という強い動きが生まれました。

4Gamer:
 シブサワ・コウのブランドとしても注力タイトルなのですね。

高林氏:
 はい。「信長の野望」という看板IPですので。
 シリーズを愛してくださっているプレイヤーの皆さまの期待を裏切らないよう,歴史考証はいっさい手抜きせずに煮詰めました。

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4Gamer:
 あらためて,本作ではどんなゲーム体験ができるのでしょう。

高林氏:
 「信長の野望 覇道」では,同じ大名家の仲間たちと共闘し,天下統一を成し遂げるまでのプロセスを体験していただけます。多くの方々は出身地や現在お住まいの土地への思い入れがあるはずですので,現実の親近感を持って,ゲーム内で領土争いを楽しんでいただきたいです。
 例えば,我々は職場が神奈川県ですから,「“神奈川県人会”のような一門(グループ)が発足し,北条家の天下取りのために組織が生まれたら楽しいな」などと想像しながらゲームを設計してきました。

4Gamer:
 CBTでは越後から播磨あたりまで,本州の中央部が合戦の舞台になっていましたが,リリース後はほかの地域も登場しますか。

高林氏:
 配信後のアップデートで検討していきます。東北や山陽・山陰,九州といった地方にも全国的に名の知られた人物はたくさんいるので,各地に縁のある武将の登場も楽しみにしていてください。
 ただ,リリース初期は登場武将数を多少絞っていて,とくに戦国時代後期に活躍する人物はあえて外しています。そうなると伊達家などから誰も登場しないという寂しさがあるため,まずは“地域ごとの有名人”をピックアップしていく流れです。とくに戦国時代をとおして際立って有名な人物は,先々の節目のタイミングで目玉として登場させていきます。

4Gamer:
 有名な人物……あの武将やこの武将,追加が楽しみです。

高林氏:
 まずは戦国時代の中核となった地域でゲームを楽しんでもらうつもりです。本作は“シブサワ・コウ40周年記念作品”の位置づけで,「信長の野望」の元祖にさかのぼりたいという思いを託したタイトルであり,最初は初代作品のイメージでスタートとしました。
 最初と言えば,全国版の前に17ヶ国版だよねということで。

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4Gamer:
 たしか初代「信長の野望」は17ヶ国で,のちの「信長の野望・全国版」で50ヶ国に拡大されたんでしたっけ。

高林氏:
 そうですね。「信長の野望」シリーズはさまざまな戦国時代のタイミングと勢力状況のシナリオで遊ぶゲームであり,「東北の覇権争い」や「九州三国志」などといった,各地域の激戦をフィーチャーした背景を,シーズンごとの運営施策としてできればと考えています。
 本作の運営は「そのシーズンでどんな遊びをしてもらいたいか?」を基に,適したシチュエーションをお届けするつもりです。

4Gamer:
 ゆくゆくは,合戦の舞台も広がりそうですね。
 そういえばCBTでは,鉄砲の兵科の表示がありましたが?

高林氏:
 現段階で考えている“追加の遊び”の一つが「鉄砲」です。CBTでは鉄砲の兵科が武将情報でだけ見ることができました。鉄砲が時代に与えたイノベーションは大きかったこともあり,中途半端な内容で実装したくはなかったため,リリース当初はあえて外す決定をしました。

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4Gamer:
 「信長の野望」シリーズでも強力な兵科ですし,期待が高まります。

高林氏:
 鉄砲の実装時は,独自の遊びを提案させていただくと同時に,鉄砲にまつわる有名な人物も登場させる予定です。同じく,戦国時代や日本史のなかで技術革新を手がけたり,さまざまな分野の職業領域で活躍したりした人物も,運営状況に合わせて追々実装していきます。
 一例としては「出雲阿国」「千利休」「石川五右衛門」のような,一芸に秀でた戦国時代の有名人物たちです。そういった人物の特徴も,兵科のような形で表現するのか,属性や技能のような形で表現するのかなど,いろいろな切り口を検討しています。

4Gamer:
 人物によっては,内政で活躍したりも?

高林氏:
 ありえますね。「信長の野望 覇道」は「三國志 覇道」と違い,成長要素に関するシーズンリセットを採用していますから,内政面も毎シーズン同じものにはせず,軌道に乗ったら季節ごとにダイナミックに変化させていきたいといった構想があります。

4Gamer:
 茶会で内政を牛耳るとか,想像が膨らみます(笑)。


CBTでの声を受けて,シンプルさに磨きをかけた


4Gamer:
 CBTのアンケートは全体的に好評で,システムごとの満足度も高かったそうですが,意見を受けてどのような改善をされたのでしょう。

高林氏:
 CBTでとくにご好評いただけたのは武将の育成,部隊の編制,領土の奪い合いの部分でした。そのため,より深く長く遊んでもらえるよう,新たな育成要素「秘伝」システムを加えています。

4Gamer:
 秘伝は,重複した武将を秘伝に変換し,育てたい武将に使うことで,さまざまな能力アップを図れるシステムでしたね。武将ごとに自分だけの個性を付加できそうですし,おのずと編制も楽しくなりそうです。

高林氏:
 編制に関しては,「三國志 覇道」の構造を引き継ぎながらも,よりパワーアップさせる方向性を模索しました。
 領土の奪い合いに関しても,好評の一方で「分かりづらい」という意見が寄せられていたため,改善と修正を適用しています。
 その一つが「威信旗(いしんき)」のルールです。まずは威信旗と資源調達のシステムを切り離して,シンプルな形にしました。

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4Gamer:
 CBTでは領土拡大に使う威信旗が,資源調達にも必要だったんですよね。それが不要になると,かなり楽というか,スッキリしますね。

高林氏:
 もう一つ,プレイヤーさん同士による領土の奪い合いですが,大名家間で延々と領土をめぐる戦いが続いてしまわないよう,“開戦と終戦”をハッキリと明示し,要所で区切りをつけるようにしました。領土戦争がはじまると,必ず勝敗がつくようにしています。
 CBTでは正式サービスへのデータ引き継ぎがなかったこともあり,皆さま大量のリソースや兵力を躊躇なく使っていましたが,その結果,従来のシステムでは終わりなく戦い続けることができていました。例えば,能登半島の入り口で何時間も戦い続ける状況が見られたりとか。

4Gamer:
 能登半島の入口。マップ全体からするとずいぶん狭そうな……。

高林氏:
 そういった終わらない物量戦がサービス以降も起こってしまったら,どうしてもプレイヤーとしては疲弊してしまいます。その対策として新たに,開戦・終戦のシステムを設けました。
 ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが,体験としてはよりシンプルに,遊びやすいルールになっているのでご期待ください。

4Gamer:
 区切りがあれば,必要以上に固執せずに済みますものね。悔しくはありそうですが(笑)。物量戦と言えば,威信旗も気軽に回収&再利用できなくなったことで,領土拡張がシンプルになりましたよね。

高林氏:
 土地に威信旗を使って領土化し,すぐに回収して別の土地に持っていくサイクルは,日本地図を色塗りしていく体験を盛り上げるものではありました。しかし,プレイ時間を費やしたぶんだけ延々と領土を広げられるのは体験としてよくないと考え,あらためました。
 正式サービス版は,威信旗を使用したままにすることで領土を維持し,領土を破棄したら空き地になるとともに威信旗が回復するようにして,1人1人が制圧できる土地数を制限し,同時に“大名家での活躍に応じて威信旗の最大所持数が増える”ようにしています。

4Gamer:
 威信旗の最大所持数は「15本ほど」と耳にしましたが,領主レベルなどをがんばって上げないと届かなかったりは?

高林氏:
 15本という数は正式サービス版で変える可能性もありますが,シーズンの序盤から終盤までコツコツと遊んでいただいた方々が,自然と最大所持数に到達できるようなバランスを想定しています。
 次シーズンでは所持数はリセットされるようにしています。

4Gamer:
 だからこそ,誰もが新鮮な気持ちで参加しやすいのがシーズンリセットの魅力ですしね。ついでに前シーズンから来シーズンに持ち越せるものと,そうでないものはどのように決めていったのでしょう。

高林氏:
 武将の強化段階を表す「将星ランク」ですとか,時間をかける成長要素は“シーズンを越えて育てていくもの”としました。対して「武将レベル」などはシーズン内で育成を行っていただくものとしています。武将の将星のように,コツコツと時間をかけて育てる要素がリセットされてはお客さまががっかりされてしまうからです。
 一方で,ゲームを長く続けるなかで,仕事や学業で多忙なときにプレイできない時期もあるかな,と考えました。そんななかずっと遊び続けている人だけがどこまでも強くなり,「もうこれまでの仲間とは一緒に遊べる強さではない」と,ネガティブな気持ちにさせてしまうのは残念だなという思いがありました。
 そこでシーズン制を採用することで,シーズンごとの強さを工夫する楽しさを実現するとともに,シーズンごとの新要素による楽しさの違いを新鮮に感じていただけることを目指しました。コツコツ育てた武将のポテンシャルは引き継ぐが,それを引き出すためにはプレイが必要というバランスとしています。これにより,シーズンの切り替えどきに新鮮な気持ちで楽しめる環境になるよう調整しています。

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4Gamer:
 途中からでも入りやすい,復帰しやすいのもうれしいですね。

高林氏:
 忙しい現代ゲーマーのために,アプリを常時気にしなくてもいい仕組みも取り入れました。「三國志 覇道」の攻城戦でも同様ですが,深夜に攻城戦ができない仕様を採用しています。夜中は賊を討伐したり,資源を回収したりなど,個人的なプレイに集約する形です。
 一方で,昼間にプレイできないお客さまが自由時間になったとき,前回ログインから状況が変わりすぎてついていけないといったことがないよう,領土の奪い合いの頻度など,過度に加速しない調整を施しました。

4Gamer:
 プレイヤーの声が,さまざまな部分に生かされていると。
 CBTを経て,10月の関係者向けテストでは新システム「砦戦」も導入されましたが,そちらの手応えはいかがでしょう。

高林氏:
 4Gamerさんにも参加してもらった関係者向けテストは,社内外のスタッフを交えたプレビューでしたが,そのわりに,みんなムキになって戦っていたというのが率直な印象です(笑)。
 砦戦は5vs.5の小規模戦争で,前提として「その時間に遊んでいる人たちがノリで参加できるもの」と仮定しています。数日単位でスケジュールを組んで戦略を立てる必要性すらありそうな攻城戦とは違い,気軽に戦略バトルを楽しんでもらうものとして,そのとき一緒の時間に遊んでいる友人同士でも熱くなれる仕組みになっています。

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4Gamer:
 5人くらいなら,意外とすぐ集まりそうですよね。

高林氏:
 CBTでは攻城戦に参加しなかったプレイヤーさんが多かったのですが,どこがハードルだったかを考えるとやはり,一番は人を集めるだと考えました。そこをお客さまに任せてしまうのではなく,システムとコンテンツで解決すべきと考え,用意しました。

4Gamer:
 専用3Dマップがそれぞれ用意されている城での攻城戦とは違い,砦戦ではランダムでマップが変わるんですよね。

高林氏:
 はい。固定のシチュエーションがないことで,勢いではじめて,勢いで終われる,そんなコンテンツであることを重視しました。
 あらかじめ一門のみんなと計画を練り上げ,時間を合わせてチャレンジする,大規模な攻城戦とも違うものにできたと考えています。

4Gamer:
 攻城戦では新要素「縄張図」や「観戦」機能が役立ちそうですね。

高林氏:
 CBTでは皆さまに「実際に(ゲーム中の)城に攻め込み,感触を楽しんでもらいたい」という思いがあったため実装していませんでしたが,攻める城の図面を確認できる縄張図も,攻城戦の様子を眺められる観戦機能も,開発当初から必ず搭載しようと作っていたものです。
 攻城戦のプレイ動画をアップされているCBT参加者を見たときも,自然と「やっぱ入れなきゃ!」と思いが高まりました。

4Gamer:
 単純に,観戦してるだけでも盛り上がりますよね。

高林氏:
 そうなんです。「三國志 覇道」ではライバル軍団の戦いぶりや,メンバーの集まり具合を見て,あらかじめ“どうぶつかるか”を考えるのが一般的ですが,「信長の野望 覇道」ではさらに縄張図をもって,城をどう攻略するかも事前に考えてもらうようにします。
 観戦のほうは見て楽しむばかりではなく,狙いを付けた城の戦いを偵察する感覚で,観戦をとおして「あの一門はどういう戦い方をするのか」を確認できることで,頭脳戦がより白熱するだろうと考えています。

4Gamer:
 となると,観戦は試合観戦より,偵察向けのものだと?

高林氏:
 どちらの楽しみ方もしてもらいたいですね。
 同じ一門や所属同士でも,互いの動きを俯瞰して見てみたいはずですし,強豪一門同士の決戦となれば「とにかく見てみたい!」という需要も出てくるはずですので,観戦をどう楽しみ,生かすかは,プレイヤーの皆さまが見つけてくださると思っています。

4Gamer:
 ちなみに,観戦時は観戦料として「銅銭×5000」を支払いますが,気軽に使ってもらうなら,無料の仕組みもあったのでは。

高林氏:
 無料にする案もありましたが,観戦が気軽になればなるほど「他人のプレイを見る」ことに時間を割きすぎることを懸念しました。本来は領土や城の奪い合いを最も楽しんでいただきたい内容ですので,そのプレイを阻害しないよう,観戦料を設けました。
 銅銭5000は日々遊んでいれば小銭に近い金額ですが,「なんでもいいから見てよう」とならない,無駄づかいするにはちょっと惜しいくらいの心理的なハードルとして設定したものです。ちなみに,砦戦や攻城戦は遊ぶタイミングにより一門のメンバーでも実戦参加できないこともあると考え,同じ一門であれば無料で観られるようにしています。

4Gamer:
 観戦は所在地に関わらずどこからでも可能なので,無料だったらそれこそ観戦マニアになってしまいそうです(笑)。
 「ここの城門から入る手もあるのか……!」なんて,毎回発見があるのも面白くて。当の攻城戦マップもかなり練られていますよね。

高林氏:
 当社は「信長の野望」シリーズを通して,戦国の城郭に対する豊富な蓄積がありますので,史実とフィクションを融合してエンターテインメントに昇華させる力はお家芸だと自負しています。
 ただ,最近はいろいろとお城関連のイベントも行われており,日本の名城ファンも多いところ,造形に関しては史実を大事にしつつも,ゲームとしての駆け引きを楽しめる構造には変えています。

4Gamer:
 そのうえで,現存するお城のイメージに近いものも多いですよね。

高林氏:
 例えば,現存する姫路城の姿は,戦国初期に建造されたものとはまた異なるのですが,現代人が抱く「本丸の大きさ」などのイメージはあるので,実際の城郭の造形ではなく,皆さまの想像に沿うような組み立てをしながら,ゲームらしさのバランスを編んでいます。
 同時に,有名な城に関してはチーム内でも「こんな堅固でいいのか」「この城なら,もっと堅くなくちゃ」といった議論をたくさん行ってきましたが,あまりに難攻不落になると攻防が成り立ちませんので,そこをいい具合に落とし込むのには苦労しました。そのぶん,攻撃側・防御側ともに面白い仕上がりになっているかなと思います。

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4Gamer:
 開発チームの熱量が伝わってきますね。そうなるとテストプレイのときなどは皆さん,どんな雰囲気なのでしょう。

高林氏:
 けっこうシリアスで,仕事に真面目とも言えますが,どちらかと言うとゲーマーとして本気で挑んでる感じが強かったです(笑)。

4Gamer:
 ガチに勝ちを求めてしまうと(笑)。

高林氏:
 そのとおりで。テストプレイでは多種多様なシチュエーションとバランスで,いろんな攻城戦を試しました。攻撃側が突然現れる有利状態や,防御側が待ち構えていたときの不利状態などを仮定し,さらに育成をがんばっている一門と,そこまで育成が進んでいない一門とで勝敗はどうなるかなども試してみたりと。そういうバランスを確認するためのプレイにもかかわらず,妙に白熱してしまうんです(笑)。
 負けた側はよく「もう1戦やりたい!」と言いますし,負けそうな側をもう少し強く設定してほしいだのと言い合っています。

4Gamer:
 あわよくば勝ちたい気持ち,分かります。

高林氏:
 そうやって開発自らがやり込んでいるので,ときにはそれぞれの陣営に軍師役を置き,互いにどんな作戦でいくかを明らかにせず,ガチで対戦したりもします。ですから負けたときは軍師をののしるコメントがチーム内チャットで飛び交ったりもしました。あいつのせいで負けたって。
 ある意味,覇道シリーズで起こるであろうリアルな現象が開発チームでも起きていました(笑)。

4Gamer:
 ええっ,それだとチーム内が殺伐としませんか?

高林氏:
 真剣に作りながら遊んでいるだけなので,チーム的には大丈夫です。
 テスト後の反省会でも「自分が軍師だったらどう動くか」がたくさん出し合われ,どうしたら勝てたかを真面目に議論しています。おかげで再現性の高い勝ちパターンが見つかることもあり,必勝法がないようにと,ちょっとした建物の配置とか,通路のつながり方とかをフィードバックしてきました。修正後の戦場への対策も常に開発チーム内で練られ,評価されて,というサイクルが何度も行われています。
 そんなわけで,彼らがどこまで仕事でやっているかは疑わしい……というのが私の感じるところです(笑)。

4Gamer:
 私もCBTでは仕事抜きに「次の戦で勝つには……!」と準備に勤しんでいたので,共感してしまいます。武将たちの持つ「縁」まで練りに練って部隊を編制すると,時間が溶けるものの妙に楽しくて。

高林氏:
 「三國志 覇道」における戦法連鎖率は,魏・呉・蜀の勢力つながりが大きいですが,「信長の野望 覇道」では武将単位の縁で連鎖率が決まり,また絡み合う戦国の人間相関図を表現しています。

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4Gamer:
 縁にはかなりの種類がありますよね。

高林氏:
 織田家などの大名家つながりから,“鬼”○○などの二つ名まで,縁はさまざまです。僧侶の縁を持つ人物も意外と多いですし,一見すると「なんでこの武将にこの縁が?」という組み合わせもあります。
 例えば長宗我部元親なら,幼少期に色白で細身の容姿だったことから「姫若子」と呼ばれていたため,“姫”の縁を持っています。
 縁は史実の血縁図を完全再現しようとしたものではなく,共通項を持つ人物たちをつなげる,ハッシュタグから着想を得たものです。

4Gamer:
 なるほどっ! それなら武将の個性を知る機会にもなるし,元ネタを知っている歴史ファンならニヤリとしそうですね。
 
高林氏:
 実際はほとんど接点がなかった武田四天王と徳川四天王も,ゲーム中では“四天王”という同じ縁でつながる。そこが「信長の野望 覇道」なりのファンタジーな部分と考えています。
 そのぶん,ゲームとしての幅広さにつながりましたし,「織田家部隊だから武田家武将は使えない」といった縛りや統一性にも制限されないため,組み合わせを探求できる自由な編制を楽しんでいただきたいです。

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4Gamer:
 ところで,武将数はどれくらいの数で,どれくらい知名度までラインナップされるのでしょう。「真・三國無双」的な絞り方とか,「こんな人物いたんだ……」も含むとか,今後のボーダーラインの話として。

高林氏:
 具体的な登場数はまだお伝えできませんが,先述したように,まずは「誰でも聞けば分かる人物」と「その地域で知られる有名な逸話を残した人物」を中心に,全体の規模感から登場武将を決めていきます。
 地方の本当に小さな地域の城主など,いわゆるマイナー武将に関しては多くの人たちに「誰だ?」と思わせてしまうだけですので,リリース段階ではとりあえず,オールスターなイメージとしました。

4Gamer:
 武将たちのレアリティや能力の設定基準などはありますか。

高林氏:
 「三國志」では「コイツは強い,アイツは弱い」など,史実も創作も含めて,ファンのなかで共通するイメージがそれなりに固まっており,強弱やレアリティなども共通見解でパツッと決めやすいのですが,一転して「信長の野望」だと難しい部分になります。
 有名な人物たちにはキャラクター性があるものの,ゲーム的なパラメータに落とし込もうとすると印象を同調させづらいというか。例えば漫画「花の慶次」。私はこの作品で前田慶次がすごく強い印象を持っていましたが,今の若いスタッフはピンとこないようで……(笑)。

4Gamer:
 それは……時代ですね(笑)。

高林氏:
 シリーズとしての見解はあるものの,全員が全員「この武将はこれくらいだ」と言えるのは,もはや三英傑ぐらいしかいませんし,そこが「信長の野望」特有の悩みです。
 今日も「朝倉義景は強くていいのか?」と議論していました。

4Gamer:
 凡将って呼ばれちゃったりしてるしと……(笑)。
 なんでしょう,「三国志」は創作的にキャラクターナイズされがちで,ファンタジーとして見やすい一方,日本の戦国時代はより身近というか,リアルに見てしまう気質が日本人にあるのかもしれませんね。

高林氏:
 “武田家臣団”など,ご当地ではさまざまな人物が地元武将として有名ですし,身近な存在なんだなと,各地へ旅行に行くと感じますね。

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4Gamer:
 そういった一団を題材にした歴史小説も長く親しまれていますし,TVドラマなどもおなじみですし,現実寄りの愛着が湧くのは自然なのかも。ちょっと気が早いですが,コラボなども考えていますか?

高林氏:
 コラボに関しては現状,「絶対やります」とはお約束できませんが,やりたい意思は私個人にはあります。

4Gamer:
 高林さんが関わっていた「のぶニャがの野望」とか?

高林氏:
 そうですね。「信長の野望」シリーズのパワーアップキットでは「のぶニャが」モードもよく搭載していたので,扱いやすく融和性もあるかもしれません。ただ,テイストの違うイラストを用いる施策として,「三國志 覇道」では先日,横山光輝先生の漫画「三国志」とのコラボを実現していたので,そういうのも考えていきたいですよね。

4Gamer:
 ああ,先ほどの話は,そこも大きいのかもしれませんね。
 横山先生の「三国志」は登場武将の印象も含めて,三国志コンテンツのアイコンとして広く認知されている一方で,戦国時代を描いた作品で,横山三国志級のものがあるかと言われると……それこそ“コーエーの信長の野望”が戦国コンテンツのトップランナーって感じですよね。エンタメ寄りではなく,ファンタジー風の創作でもないアイコンがジャンルの第一人者だから,ほかの印象を参考にするのも難しいのかなって。

高林氏:
 そういった部分はあるかもしれません。それでも戦国時代の人物,作品であればフィットしないわけはないと思っていますし,定期的に戦国モノのヒット作は出ているので,これから柔軟に考えていきます。
 先日も,ヤングマガジンさんの漫画「センゴク権兵衛」と「信長の野望・新生」でコラボをやらせていただいています。

4Gamer:
 コラボ作品にまつわるマップやシーズンも面白そうです。
 それでは12月1日に,いよいよ配信される「信長の野望 覇道」を楽しみにしている読者の人たちに,ひと言お願いします。

高林氏:
 CBTから長らくお待たせしましたが,アプリのほかSteam版も同時配信で,「信長の野望 覇道」を皆さまにお届けできる瞬間がようやくやってきました。シブサワ・コウブランドのタイトルや「信長の野望」シリーズのファン,また,これまで戦国題材のゲームに触れてこなかった方々にも楽しんでもらえるよう,システムから雰囲気作りまで工夫しています。
 本作はいろいろなプレイヤーさんのお声を真摯に受け止めながら,遊びやすい環境を整えていき,皆さまに寄り添ってずっと走り続ける,そんな運営を目指していきます。覇道の新たな作品としても,「信長の野望」シリーズの挑戦としても,ぜひご期待ください。

「信長の野望 覇道」公式サイト

「信長の野望 覇道」ダウンロードページ

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