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「ストリートファイター6 ときどNURO光で生対戦」レポート。出演したときど選手,ボンちゃん選手,翔選手へのショートインタビューも
「ストリートファイター6 #ときどNURO 光で生対戦」は,2023年10月からNURO 光(提供:ソニーネットワークコミュニケーションズ)のコマーシャルやキャンペーンなどに起用されている格闘ゲームのプロプレイヤー「ときど選手」がメインで出演する配信イベントだ。
イベントの内容は,ときど選手とスト6で活躍するプロストリーマーの3人,Oboさん,こく兄さん,たいじさんと,プロゲーマーの4人,シュート選手,ボンちゃん選手,ももち選手,翔選手がガチ対戦を繰り広げるというもの。試合は,大会の多くで採用されている2ラウンド3本先取制で実施された。
初戦から熱戦が展開された,ときど選手と挑戦者7人の詳細な対戦内容は,YouTubeのREJECT公式チャンネルの配信アーカイブで視聴できるので,こちらでチェックしてほしい。
本稿では,試合前に実施したときど選手,ボンちゃん選手,翔選手へのインタビューと,試合結果&短評をまとめてお届けする。試合結果はインタビューのあとにまとめてあるので,結果のネタバレをされたくない人は先にアーカイブを視聴しておこう。
ときど選手,ボンちゃん選手,翔選手,試合前インタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。ときど選手は今年10月からNURO 光のCM出演されており,今回のイベントもその流れで開催されたものだと思われます。そもそもどういった経緯でNURO 光とお仕事をするようになったのでしょうか。
ときど選手:
ぼくが所属しているチーム「REJECT」を通してお声をかけていただいた形になります。ときど個人ではなく,チーム「REJECT」とのコラボ形式でもよかったと思うんですが,ストリートファイターの競技シーンで長年活躍しているぼくが選ばれたようです。とても光栄なことですよね。
4Gamer:
今日はときどさんと挑戦者7人が会場に集まって戦う形式ですが,対戦自体はオンラインで実施すると。
ときど選手:
そう聞いています。この会場がNURO 光を使っていまして,選手は会場に集まっていますが,対戦はオンライン形式となります。
4Gamer:
ちょうどいい機会なので,実際にみなさんがふだん対戦している環境の話を聞かせてください。インターネット環境の整備や,自宅や練習場の設備で気を使っているポイントはありますか。
ときど選手:
当たり前ですけどネット環境は重要ですよね。最近はオンラインの大会中にトラブルが起こる可能性を考えて,複数回線を用意しています。ひとつの回線だと,メンテナンスが入っただけでも大会に参加できなくなってしまうので。不測の事態が起きても問題なく対戦に臨める環境が望ましいと考えています。
NURO 光さんの話をすると,実は今ぼくが住んでいるマンションがNURO 光が引けないんですよ……。近いうちに新しい練習場を作る予定なんですが,そこにはNURO 光を引こうと考えています。今回のイベントで実際にNURO 光の回線でどれくらい快適に対戦できるのか。とても楽しみにしています。
ボンちゃん選手:
ぼくはかなり前からNURO 光を使っていて,今住んでいるところもNURO 光ともうひとつ回線を引いています。先ほど話にあったように,オンライン大会が主流になった今,複数回線を引いていたほうが安心できるとは思いますね。最近もストリートファイターリーグの前日に急に片方の回線の調子が悪くなることもありましたし。
4Gamer:
翔選手はいかがでしょうか。
翔選手:
ぼくはIBUSHIGINに所属することになって福島に引っ越してからは,チームが用意してくれたシェアハウスで活動しているんですが,そこは会社の事務所でもあるので,法人回線を引けているんですよね。ですので,かなり安定した回線を使えています。実家にいたときはNURO 光を使っていました。
4Gamer:
スト6になってから,遅延やラグの話を聞くことが少なくなったように感じるのですが,プロゲーマーの皆さんはどう感じていますか。
ときど選手:
それはオンラインでの対戦にラグを感じるという話ですよね? 実はスト6って過去作と比べると,操作の入力からゲームに反映されるまでに多少遅延が入るようになっていて,オフラインでもラグを感じる作りにはなっているんですよ。
ただ,オンラインが特別重いとか,遅延があるわけではないですね。以前であれば「ちょっと対戦厳しいなぁ」と思う地域のプレイヤーとも問題なく対戦できるようになりました。
ボンちゃん選手:
ラグが発生していることもあると思うんですが,そのラグがプレイヤーからは認識しにくい作りになってるのが一番大きいですよね。だから海外プレイヤーとも問題なく対戦できちゃう。スト6になってからの画期的な部分だと感じています。
4Gamer:
距離的なお話でどこの地域までであれば快適に対戦できましたか。
翔選手:
韓国はまったく問題なくて,アメリカも西海岸であれば対戦になりますね。東海岸だと少しきついかも。あとはドバイもちょっと厳しかったです。
ボンちゃん選手:
シンガポール勢とはけっこうオンラインで対戦しましたけど,普通の感覚で対戦できましたね。十分練習になりました。
ときど選手:
ぼくはシンガポールだとちょっと厳しかったですね。感覚が研ぎ澄まされているので(笑)。対戦はできるけどギリギリくらいかなと。アジア圏内とならいい練習ができますね。
4Gamer:
アジア圏内なら対戦が成立して,そこより離れると厳しくなるといった感じでしょうか。中東あたりと快適に対戦できると,AngryBird選手のような強豪プレイヤーとも戦えて面白そうですが。
ときど選手:
そうなんですよ。そうなるともうひと盛り上がりすると言いますか,イベントも簡単にできそうになりますよね。
ボンちゃん選手:
日本と中国ぐらいの距離であれば,問題なく対戦イベントが開催できるとは思います。スト5の時は韓国まで,ギリギリで上海までくらいでした。
4Gamer:
翔選手は今年からプロデビューでフレッシュですが,ときど選手とボンちゃん選手はベテランでこういったイベントの出演にも慣れていると思われます。イベントでの対戦だからこそ気を付けているポイントなどはありますか。例えば,複数のキャラを用意してあるとか。
ときど選手:
できることであれば何かして盛り上げたいんですが,キャラクターもケンしか用意しないないので難しいですね。やれるとしてもこく兄との試合くらいかな?
4Gamer:
それは何が起きても負けないという意味ですよね。イベントでは,大会と違ったプレッシャーが掛かるということはないのでしょうか。
ときど選手:
今回は3試合先取なんですよ。3先ならまず負けない。ぼくは今からでも1先に変更してもらって大丈夫なんですが(笑)。
翔選手:
ぼくは今年になってから本格的にイベントに呼ばれるようになったので,何もかも新鮮ですごく楽しんでいます。皆さんを楽しませるには,まず自分が一番楽しむことが大事だと思うので,それを心掛けています。
ボンちゃん選手:
イベントは普段ぼくたちが配信しているストリームとは違って,いろいろな人が見てくれる場になりますよね。ですのでプロとして当たり前なことではあるのですが,「スポンサーをアピールすること」を意識しています。
プレッシャーや心境については,イベントの場合どうしてもリラックス寄りにはなってしまいますね。ただ,ときどはリラックスとかしないタイプ。今日はそこが逆にオイシイかも? と思っています。
ときど選手:
とりあえず対戦相手全員のケン戦の履歴は見てきました(笑)。
あとこれはちょっと話が変わるんですが,最近は大会でもイベントでも予備のコントローラを用意しています。ひと昔前であれば会場にいるだれかに借りることもできたんですが,デバイス自体が特化していますし,スポンサーのものを使っているので,ふたつの意味で借りられないんですよ。
4Gamer:
ネット回線の話でもそうでしたが,保険を掛けておくのが大事と。
ときど選手:
そうですね。その場で直せないことが起こりえますし,仮に直せたとしても心のどこかで「本当に問題ないのか?」って思ってしまいますよね。そういう試合は大体負けてしまうんです。同レベルの相手と戦うときは,ほんの少し集中力が欠けるだけでも命取りになってしまいます。
翔選手:
ぼくもサウジアラビアに行った時に荷物を受け取れなかったことがあって,予備を用意しておく必要性を学びました。飛行機に乗る時に手元に持っていくくらいでもいいかもしれません。
ボンちゃん選手:
アーケードコントローラを会場にふたつ持っていくのはかなり大変で,基本的にはひとつでなんとかするしかないんですが,今年南アフリカの大会に参加した時に突然壊れてしまったんです。
そのときはどうしようもなくなって借りたんですが,普段使っているコントローラには増設したボタンがあるのに当然それがなくて,「あれ? 押したいボタンがないぞ?」ってなってしまって(笑)。デバイスのトラブルは本当に気を付けないといけないなと思いました。
4Gamer:
今日はベテランとフレッシュなプロゲーマー3人が集まったということで,せっかくなのでスト6の競技シーンの話も聞かせてください。今年最大のトピックと言えば,やはり翔選手のGamers8 2023の優勝になると思います。ベテラン勢のおふたりから見て,翔選手のような若手の活躍をどのように捉えていますか。
ときど選手:
ボンちゃん選手は言いたいことがたくさんあるみたいですよ(笑)。
ボンちゃん選手:
いやいや,全然ないよ(笑)。
翔くんみたいな若手がスト6になってからすぐ出てくれるなんて最高じゃないですか。早くも実績を残して,プロ格闘ゲーマードリームをつかんだモデルケースですよ。第2,第3の翔が現れるのも楽しみにしています。
ただ我々は大会では当然ライバルなので,自分の勝ちが懸かった試合は全力で戦います。そして自分と関係なければ若手が勝つのが望ましいと年々も思っています。それを体現してくれたのが翔くんなので本当にうれしいですよ。
4Gamer:
ときど選手とボンちゃん選手はストリートファイターリーグでは第一線で活躍しています。試合もしっかり勝ち越していますが,対戦相手のメンバーが確定しているリーグ戦のほうが得意なのでしょうか。
ときど選手:
相手がわかっている戦いの場合,ゲームへの理解度を深めていくことがとくに大切になるので,そこは経験値の多いベテランのほうが有利になるとは感じています。
4Gamer:
スト5の後期は,複数キャラを用意していたプレイヤーも何人かいました。スト6はまだその段階ではないと思いますが,キャラの被せ合いが起こる可能性はあると思いますか。
ボンちゃん選手:
スト6の1年目に関して言えば,キャラを被せる,被せられるみたいなことは起こらないと思います。不利な組み合わせでも「なんとかなりそう」と思える調整になっているので。
ぼくはスト5の複数キャラを詰めた練習をしていたんですけど,今のところスト6は1キャラだけでいけると感じています。
4Gamer:
翔選手もリーガーに選ばれる可能性が高い有力選手だと思いますが,長期戦やリーグ戦での戦いになるとして,何か準備しておこうと思っていることはありますか。
翔選手:
いえ。今年はまだまだトーナメント戦が残っているので,ひとまずはそれらに向けて練習しています。まずは当面の目標であるカプコンカップに向けてがんばりたいと思います。
4Gamer:
しかしコロナ禍以前はときど選手もボンちゃん選手も毎月違う国のトーナメントに参加して,カプコンカップ出場を目指していましたよね。大会に参加すること自体が過酷だったようにも思います。
ボンちゃん選手:
1年で20回くらい海外大会に参加したシーズンもありましたからね。あの頃のぼくたちの一番の活動って大会に参加することだったじゃないですか。今はオンラインでいろいろできるようになって,環境も大きく変わったなと感じています。
ときど選手:
あの当時のカプコンカップって半分くらいが日本人だったので,今の形式のほうが盛り上がりますよね。ただ,今から当時と同じルールでってなっても,まだまだ参加するつもりではいますよ(笑)。
コロナ禍で海外大会に参加することが少なくなったのは大きな変化なんですが,実は練習にも変化があって,今はみんなオンラインでの練習がメインになっていますよね。個人的にはオフラインの比重を増やしたほうがいいのかなと思っていまして,意見交換も活発に行われますしね。
正直オンラインの味を知ってしまった今だと,練習場まで行くのは面倒なんではあるんですが,そこは戻してもっといい練習ができるようにしようと考えています。
4Gamer:
本日はありがとうございました。最後にイベントへの意気込みと,今年の目標を語ってもらって締めてもらえればと思います。
ボンちゃん選手:
普段ときどとは同じチームで戦っているので,個人で戦う機会がないんですよ。だから今回対ルーク戦のコソ練をしてきたとは思うんですけど,ぼくも動画を見たり,対策は練ってきたのでいいところを見せたいと思っています。
今年の目標としては,ここ3年ぐらいはストリートファイターリーグに力を入れていて,そこはスト6になっても変わってはいません。ありがたいことに見てくださる方,応援してくださる方も増えているので,今年も引き続き活躍を見せられればと思っています。
翔選手:
ときどさんとの試合は勝率が悪いんですよね……。EVOでも敗れていますし。今日はエキシビションではありますが,絶対に勝ちたいと思います。
今年の目標はまずはカプコンカップ決勝の切符を勝ち取ることです。直近でシンガポールのオフライン大会があるので,そこで優勝して出場権を獲得したいですね。
ときど選手:
ストリートファイターリーグでは,特定の相手を想定しても戦えないことのほうが多く,普段の取り組みの成果をなかなか見せられていないので,このイベントでは思いっきり出し切りたいと思います。そこは個人的にも大きな楽しみになっています。
今年の目標は,カプコンカップ決勝の切符を取り,タイトルを取ること,そしてストリートファイターリーグでチャンピオンに返り咲くことです。正直,このふたつだけで手いっぱいなので,ほかに手が回らない状況になってしまっています。
ただ,今回のようなイベントであればぼくも参加しやすいですし,世の中にアピールもできるので本当にありがたいことだと感じています。
「ストリートファイター6 ときどNURO 光で生対戦」対戦結果
※()内は使用キャラクター/操作タイプ
ときど選手は全試合でケン/クラシックスタイルを使用
Game1:ときど vs. obo(エドモンド本田/モダン)
3-1でときど選手勝利
1試合目はときど選手がストレートで勝利するも,2,3試合目はoboさん操る本田の打撃と投げがバランスよく決まり始め,拮抗した展開に。しかし終盤はときど選手が百貫落としへの冷静な対応,oboさんの癖を読み切ったようなジャストパリィを決めて勝利した。
Game2:ときど vs. こく兄(ケン/クラシック)
3-0でときど選手勝利
初戦こそお互いがラウンドを取り合う展開になるも,以降はときど選手がこく兄さんを圧倒。2試合目は一方的に攻め続けてスピード決着を決め,3試合目はこく兄さんが放つ波動拳への対応や隙の大きい技に対しての確定反撃,画面端に追いつめてからの崩しなど,スト6とケンの練度の高さを見せつけた。
Game3:ときど vs. たいじ(JP/クラシック)
3-2でときど選手勝利
序盤から中盤にかけては,プロゲーマーと比較しても遜色ない実力を持つたいじさんが,JPの性能を存分に生かして試合のペースを握る展開に。一方,ときど選手は強引な攻めでJPを突き崩し,互いに星を取り合うシーソーゲームとなった。
互いにマッチポイントとなった5試合目,たいじさんがときど選手をあと一歩まで追い詰めるも,最後に立っていたのはときど選手のケン。劇的な逆転勝利でストリーマー相手に3連勝を飾った。
Game4:ときど vs. シュート(モダン/マリーザ)
3-1でときど選手勝利
試合はときど選手のケンが全体のペースは握りつつ進行。互いにバーンアウトを恐れず,ドライブゲージを使っていく攻防が展開された。試合は「読み合いの部分でかなり上回れた」というときど選手が3-1で勝利した。
Game5:ときど vs. ボンちゃん(ルーク/クラシック)
2-3でボンちゃん選手勝利
1,2試合目,入念なときど対策をしてきたというボンちゃん選手のジャストパリィや超反応が冴え渡り,瞬く間に連勝を飾る。いきなり追いつめられたときど選手だったが,3試合から動きを変えて3,4試合目を連勝。ギリギリでの粘り込みを見せていく。
決着の5試合目は,互いの思考が1周してきたのか,再びボンちゃん選手のジャストパリィが炸裂。最後はときど選手のドライブラッシュを読み切ったしゃがみ弱Pからのコンボで倒し切り,「チーム内での発言権を賭けた」一戦(?)をボンちゃん選手が制した。
Game6:ときど vs. ももち(ルーク/モダン)
0-3でももち選手勝利
リリース直後はときど選手がモダンルーク,ももち選手がクラシックケンを使っており,使用キャラが入れ替わる形での対戦となった。
試合はももち選手がドライブゲージを惜しみなく使う立ち回りで先取。ときど選手も2試合目1ラウンド目をパーフェクトで取り返す反撃を見せるも,ももち選手の盤石とも言える立ち回りを崩しきれず。「同世代で絶対に負けたくない相手」と話すももち選手が,3-0でときど選手を下した。
Game7:ときど vs. 翔(JP/クラシック)
3-2でときど選手勝利
たいじさん戦と変わらず遠距離から多彩な飛び道具でペースを握ろうとするJPに対して,ドライブラッシュなどで接近を図るケンという構図に。
先に勝利にリーチを掛けたのは,多くのラウンドで巧みな画面端への追い込みを見せたときど選手だったが,翔選手は驚異的な粘りを見せて4試合目を奪取。最終戦までもつれる展開を見せる。結果,最終戦もフルセットまでもつれたが,冷静なゲームメイクを見せたときど選手が激戦を制し,有終の美を飾った。
「ストリートファイター6」公式サイト
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