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第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
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印刷2021/03/30 22:00

レビュー

第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

画像集#002のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
 2021年3月30日22:00,IntelのデスクトップPC向け「第11世代Coreプロセッサ」(開発コードネーム Rocket Lake-S)がいよいよ発売となった。第11世代Coreプロセッサは,6年ぶりにIntelがCPUコアアーキテクチャを刷新したデスクトップPC向けのCPUだ。同社によると,クロックあたりの処理性能(Instruction per Clock:IPC)が第10世代Coreプロセッサ比で19%も向上しており,高いゲーム性能を実現したという(関連記事)。PCゲーマーにとっても,期待の新製品と言えようか。

 本稿では第11世代Coreプロセッサの中から,最上位モデルとなる8コア16スレッドモデルの「Core i9-11900K」(8C16T,定格クロック3.5GHz,最大クロック5.3GHz)を用いて,Intelが主張するようにゲーム性能で競合を凌駕しているかを中心に性能をチェックしていこう。

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Intel,デスクトップPC向け第11世代Coreプロセッサ「Rocket Lake-S」を発表。14nmプロセスを使いながら6年ぶりにCPUコアを一新

Intel,デスクトップPC向け第11世代Coreプロセッサ「Rocket Lake-S」を発表。14nmプロセスを使いながら6年ぶりにCPUコアを一新

 2021年3月17日,Intelは,開発コードネーム「Rocket Lake-S」と呼ばれているデスクトップPC向け第11世代Coreプロセッサを発表した。新しい「Cypress Cove」ベースのCPUコアを採用することで,クロックあたりの処理性能を大幅に引き上げたというのが特徴だ。

[2021/03/17 00:00]


新機能「Adaptive Boost Technology」とは何か


 さて,第11世代Coreプロセッサの特徴やラインナップは,3月17日掲載のニュース記事で紹介済みである。ごく簡単にまとめておくと,その特徴は次のようなものだ。

  • CPUコアに新設計の「Cypress Cove」を採用
  • 統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU)のアーキテクチャをIntel Xe Graphicsベースに刷新
  • メモリコントローラがDDR4-3200に対応
  • PCI Express (以下,PCIe)4.0に対応
  • ユーザーが利用できるPCIeレーン数が従来の16レーンから20レーンに拡大

 なお,対応CPUソケットは,第10世代Coreプロセッサと同じLGA1200だが,PCIe 4.0×20レーンに対応するなどの拡張が行われているため,それに対応するIntel 500シリーズチップセット搭載マザーボードが必要になる。

 本稿でテストするCore i9-11900K(以下,i9-11900K)は第11世代Coreプロセッサの最上位モデルだ。

i9-11900Kの表(左)と裏(右)。第10世代Coreプロセッサと同じLGA 1200対応なので,パッケージのサイズや形状はまったく変わらない
画像集#003のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか 画像集#006のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

 第10世代Coreプロセッサの最上位モデルである「Core i9-10900K」(以下,i9-10900K)は10コア20スレッド対応で,8コア16スレッド対応のCore i7シリーズとはコア数で差別化されていた。
 一方,第11世代のi9-11900Kは8コア16スレッドで,Core i7シリーズとコア数,スレッド数は変わらないというのが重要なポイントである。であるならば,Core i9シリーズとCore i7シリーズとで何が違うのかというと,省電力PC向けの末尾“T”ナンバーを除いたCore i9シリーズでは,以下に示す3種類の自動クロックアップ機能すべてをサポートする点が異なるという。

  • Turbo Boost Technology 2.0(以下,TB2)
  • Turbo Boost Max Technology 3.0(以下,TBM3)
  • Thermal Velocity Boost(以下,TVB)

 ここからが本題だが,3月17日の発表後にIntelは,末尾“T”付きを除いたCore i9シリーズで「Adaptive Boost Technology」(以下,ABT)という別の自動クロックアップ機能をサポートすることを明らかにした。
 ABTとは,TB2を改良したものだという。TB2は,Coreプロセッサが以前から対応してきた自動クロックアップ機能で,処理負荷が生じているコア数に応じて,最大動作クロックを変えていく機能だ。i9-11900Kの場合,2基までのCPUコアに負荷が生じているときは最大5.1GHz,4基までのCPUコアに負荷が生じているときには最大5GHz,6基のCPUコアに負荷が生じているときには最大4.8GHz,8基のコアすべてに負荷が生じると最大4.7GHzで動作するようにクロックを変える。

 ABTは,TB2のような負荷が生じているコア数と動作クロックの決め打ちをやめ,CPUコア温度および消費電力の余力に応じて,TB2の最大クロックまで引き上げることを可能にする自動クロックアップ機能であると,Intelは説明している。つまり,仮に8コアすべてに負荷が生じても,CPUコア温度や消費電力に余力があるのなら,5.1GHzまで動作クロックを引き上げるわけだ。TB2の動作をABTが上書きするので,TB2に代わる機能とも言えるかもしれない。
 ABTのこのような動作は,AMDのRyzenユーザーにとってはおなじみかもしれない。AMDでいうところの「Precision Boost 2」とまったく同じ仕組みなのだ。

 Intelによると,「ABTはIntelの保証範囲内で動作するため,(動作保証外となる)オーバークロックにはあたらない」という。そのうえでABTはゲーム性能を大きく引き上げるとIntelはアピールしているので,ゲーマーにとっては見逃せない機能といえる。
 なお,筆者がi9-11900KとASUSTek Computer(以下,ASUS)製マザーボード「MAXIMUS XIII HERO」の組み合わせでテストした時点では,デフォルトでABTが無効化されており,UEFI設定で有効化しないと機能しない仕様になっていた。

試用したマザーボード「MAXIMUS XIII HERO」のUEFI設定。「Intel Adaptive Boost Technology」という項目があり,ここを「Enabled」にしないと,ABTは機能しない
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 実際に第11世代CoreプロセッサのCore i9と対応マザーボードが市場に出回ったときに,ABTの扱いがどうなるのかは分からないが,筆者の予想では,UEFI設定で有効化が必要という仕様になるのではないかと思う。その理由については後段で触れることにしよう。


Ryzen 9の最上位モデルと性能を比較


CPU-Zで確認したi9-11900Kの主な仕様。キャッシュの構成や容量が,第10世代と異なっるのが目に留まる
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 それでは,さっそく性能比較に移ることにしよう。
 i9-11900Kは,前述したとおり8コア16スレッド対応のCPUであるが,Intelは競合製品として,AMDの12コア24スレッド対応CPU「Ryzen 9 5900X」(以下,R9 5900X)を挙げている。コア数だけで見れば,「Ryzen 7 5800X」も競合になりそうだが,こちらはCore i7シリーズが競合というか,そういうラインナップ分けなので,本稿でも比較対象としてR9 5900Xを用意した。さらにRyzen 9シリーズの最上位である16コア32スレッド対応の「Ryzen 9 5950X」(以下,R9 5950X)も比較対象とした。最新のCore i9とRyzen 9で最上位モデル同士の頂上決戦というわけだ。
 また,前世代のCPUであるi9-10900Kも比較対象として用意した。テストに用いたCPUの主な仕様は表1のとおり。

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ROG MAXIMUS XIII HERO
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 先にも触れたが,試用するマザーボードは,Intel Z590チップセットを搭載したASUS製のROG MAXIMUS XIII HEROである。ちなみに,最上位マザーボードの「ROG MAXIMUS XIII Extreme」との違いはオンボードの有線LANポートが,10GBASE-T対応ではなく2.5GBASE-T対応となっているなど,若干スペックダウンしている点にある。

 ひとつ注意が必要なのは,オンボードにあるM.2スロット4基のうち,CPU直下のM.2スロットは,第10世代Coreプロセッサでは利用できない点だ。第10世代Coreプロセッサは,CPUから直接出ているPCIeが16レーンしかないためで,CPU直下のM.2スロットを利用できるのは,第11世代Coreプロセッサのみとなる。

 なお,3月17日の記事でも触れたが,i9-11900KのメモリコントローラはDDR4-3200に対応する。ただし,Intelの標準設定ではDDR4-3200設定の場合,メモリコントローラの動作クロックはメモリクロックの1/2,つまり1600MHzになる「Gear 2」と呼ばれる動作になる。メモリクロックとメモリコントローラの動作クロックが1対1(Gear 1)になるのは,DDR4-2933設定までだ。

 ただ,3月17日の記事で予想したとおり,メモリクロックとメモリコントローラのクロック比は,設定次第でどうにでもなる仕様だった。ROG MAXIMUS XIII HEROでは,UEFI設定に「DRAM Controller:DRAM Frequency Ratio」という項目があり,「AUTO」「1:1」「1:2」が選択できるのだ。

「DRAM Controller:DRAM Frequency Ratio」で,メモリコントローラとメモリクロックの比を設定できる
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 メモリクロックとメモリコントローラは1対1で動作したほうが,メモリのレイテンシが低減するので性能面では有利になるだろう。そこで今回は,DDR4-3200の設定を使用しつつ,1:1と1:2の両方をテストすることにした。DDR4-3200設定時の1:1設定は,Intelの標準仕様を超えたオーバークロックになるが,とくに問題なく動作した。わざわざDDR4-2933設定に落とすよりは,性能差が分かりやすいという判断だ。
 さらに,ABTの有効,無効が切り替えられるので,これもテストする必要があるだろう。

 というわけで,i9-11900Kでは次の3つの設定をテストすることにした。

  1. メモリコントローラ1:1,ABT有効(以下,1:1&ABT)
  2. メモリコントローラ1:1,ABT無効(以下,1:1)
  3. メモリコントローラ1:2,ABT無効(以下,1:2)

 理屈の上では1,2,3の順で性能が高いはずだが,それをテストで調べるわけだ。
 そのほかに,使用した機材を表2にまとめておく。表のとおり,CPUクーラーにはCorsair製の簡易液冷クーラー「Hydro Series H150i PRO RGB」を利用している。ラジエータ長360mmの大型液冷システムなので,温度に応じてクロックを引き上げるTVBやABTで有効に機能するはずだ。

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 実行するテストは,4Gamerベンチマークレギュレーション23.2に準拠する。ただ,これまではCPU性能検証における実ゲームのテストでは,解像度低めの3パターンを利用してきたが,今回は3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3パターンに変更する。

 解像度を変えた理由は2つある。ひとつは,テストに使用した「GeForce RTX 3090」クラスのGPUであれば,1920×1080ドットでもCPU性能差が得られる程度にスループットが高いという理由だ。そのため,すでにデスクトップPCではゲームの解像度として非現実的になりつつある1600×900ドットをテストする必要はないだろうという判断だ。
 また,ひとつめの理由にも関連するが,最新のGPUを用いると1600×900ドットでは軽すぎるため,フレームレートのブレが極端に大きくなることがあるからだ。結果として誤差が大きくなってしまうので,GeForce RTX 3090クラスのGPUであれば,1920×1080ドット以上のほうが安定したスコアが取れるということも理由である。


前世代からは順当な性能向上を見せるi9-11900K


 まずは定番のグラフィックスベンチマークである「3DMark」(version 2.17.7137)の結果から見ていこう。DirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたのがグラフ1だ。

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 4K解像度相当のFire Strike Ultraはほぼ横並びと見ていい。i9-10900Kだけはわずかに低いが,今回,テストした中で唯一のPCIe 4.0非対応CPUなので,それが影響している可能性はある。
 2560×1440ドット相当のFire Strike Extremeでは若干のばらつきが出ている。トップはR9 5950XでR9 5900Xが続き,i9-11900K(1:1&ABT)という順だ。フルHD解像度相当のFire Strikeも3位までは同じだが,なぜかi9-11900Kの1:2,1:1が逆転した。
 CPUコア数が多いRyzen 9勢がトップを独占するのはともかくとして,i9-11900Kが,コア数の多い前世代のi9-10900Kを上回ったことは注目していいだろう。総合スコアには,CPU性能テストであるPhysics scoreも反映されているので,10コア20スレッドのi9-10900Kを8コアのi9-11900Kが上回るということは,Intelが言うとおり,CPUコアの性能向上が現れたと考えられよう。

 グラフ2は,Fire StrikeのGPUテストである「Graphics test」のスコアだ。GPUの性能テストなのでi9-10900Kがやや低いほかは横並びに近い。i9-10900Kが低いのは,やはりPCIe 3.0の影響もあるだろう。

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 Fire StrikeにおけるCPUテスト「Physics test」のスコアがグラフ3だ。CPUコア数が多いRyzen 9勢がトップ2を独占してしまうのはやむをえないところなので,Intel勢だけを比較してみよう。

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 少々ばらついて分かりにくいが,Physics testは,3種類の解像度で同じテストを実行するので値を平均すると,より分かりやすい結果になる。平均した場合,Intel勢ではi9-11900K(1:1&ABT),i9-10900K,i9-11900K(1:1),同1:2の順だった。
 Intel CPU同士のスコア差は少ないが,僅差という点には意味がある。i9-11900Kとi9-10900Kの動作クロックはほぼ変わらない程度なので,1:1&ABTだと,CPU性能は前世代に対してCPUコア数比,つまり25%以上の向上が得られていると考えられるわけだ。これは,ABTを無効化した場合でもIntelが主張する19%を超える向上が得られている計算になる。
 とはいえ,そこまで伸ばしても,競合のR9 5900Xには遠く及ばないというのが残念なところだが,CPUコア数が異なるのでやむをえないだろう。

 グラフ4は,Fire StrikeでGPUとCPU両方に負荷をかけたときの性能を見る「Combined test」の結果だ。

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 Fire Strike Ultraの結果はほぼ横並びだが,Fire Strike Extremeでは,R9 5900X,R9 5950Xについでi9-11900K(1:1&ABT)の順となった。
 Fire Strikeでは,i9-11900K(1:1)がスコアを大きく落としてしまっているのが目立つ。なぜこうなったのか理由は不明だ。ここでi9-11900K(1:1)のスコアが極端に低かったので,Fire Strikeの総合スコアでi9-11900K(1:1)が同1:2に逆転されたようである。

 また,Fire StrikeではR9 5950Xが突出したスコアを記録したのも目立つところだ。もともとRyzenは,Combined testのスコアがかなり高い傾向にあるのだが,R9 5950Xの結果は少々極端にも思える。理由は分からない,計測ミスではないのでこういうものなのだろう,としか言うことができない。

 3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」を見ていこう。グラフ5が,Time Spyの総合スコアである。

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 Time Spy Extreme,Time Spyともに,Ryzen 9勢がIntel勢よりわずかに高いスコアを記録し,Intel勢ではi9-11900K(1:1&ABT)がやや高めという傾向になった。

 続いては,Time SpyのGPUテストである「Graphics test」のスコアをまとめた(グラフ6)。

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 描画負荷が高いTime Spy Extremeはほぼ横並びと言っていい。一方,Time SpyはR9 5950X,R9 5900XがわずかにIntel勢より高めのスコアを記録している。これが総合スコアにも反映されていると見ていいだろう。

 3DMarkの最後が,Time Spyにおける「CPU test」のスコアをまとめたグラフ7だ。

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 描画負荷が高いTime Spy Extremeでは,R9 5950Xがトップを取り,R9 5900Xとi9-11900K(1:1&ABT)が続くという,ある意味で順当な形になっている。解釈が難しいのはTime Spyで,CPUコア数が多いRyzen 9勢を押さえてi9-11900K(1:1&ABT)がトップになり,R9 5950X,R9 5900Xと続く結果となった。
 Time SpyのCPU testは,Ryzen 9勢のスコアが伸びない傾向が以前からあった。つまり,テストの設計によってRyzenのCPUコア数が生かせないのだろう。その結果,i9-11900K(1:1&ABT)が逆転したと考えられる。ただ,これはTime SpyのCPU testに限った結果なので,これを一般化するのは少し危険だろう。

 以上,3DMarkを見てきたが,少なくとも前世代のi9-10900Kに対しては,i9-11900KがIntelのアピールどおりか,それ以上にCPU性能の向上を見せたとまとめていい。また,ABTに関しても順当に高性能が得られており,メモリコントローラとメモリクロックの比率についても,一部に乱れた結果はあったが,全体としては予想どおりの結果と言える。

 ただ,3DMarkではRyzen 9勢が高い性能を誇ったので,実ゲームでi9-11900Kがどこまで迫れるのか,あるいは超えられるのかが注目すべきポイントになりそうだ。


i9-11900KはRyzenの最上位モデルと肩を並べるゲーム性能を持つ


 それでは,実ゲームのテストはFar Cry New Dawnから実ゲームの検証を進めていこう。グラフ8〜10がグラフィックス品質「最高」設定の結果である。

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 3840×2160ドットの結果はi9-11900Kが有意に低いことを除いて,おおむね横並びと言っていいだろう。細かく見ると,R9 5950Xとi9-11900K(1:1&ABT)が平均100fpsでトップ,ついでR9 5900X,i9-11900K(1:1)が平均99fpsと続いているが,有意な差とは言い難い。
 2560×1440ドットはかなりバラけており,平均フレームレートではi9-11900K(1:1&ABT),i9-11900K(1:1)が有意な差をつけてトップ2を独占した。一方,i9-11900K(1:2)は,Ryzen 9勢におよばない。
 1920×1080ドットも傾向は近いが,i9-11900K(1:2)の平均フレームレートがR9 5900Xにほぼ並んでいる。

 以上をまとめると,Far Cry New Dawnでは,CPU性能差が得られやすい低解像度において,i9-11900KがR9 5900Xと並ぶ性能を見せており,メモリコントローラの動作比を1:1にすればR9 5900Xを超えるフレームレートが得られるとまとめていいだろう。

 バイオハザード RE:3の高負荷設定におけるフレームレートがグラフ11〜13である。

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 3840×2160ドットでは,Intel勢の平均フレームレートが112〜113fps台で横並び,Ryzen 9勢は110〜111fpsで横並びとなっている。強いて言えばIntel勢が有利かもという程度だろう。
 2560×1440ドットではi9-11900K(1:1&ABT)とi9-11900K(1:1)が平均210fps前後で並び,i9-11900K(1:2)とi9-11900Kが207fps前後で並ぶといったぐあいに,Ryzen 9勢より有意に高いフレームレートが得られた。
 1920×1080ドットも似た傾向だが,i9-11900K(1:2)の平均フレームレートが約284fpsとやや振るわず,最低スコアになったのが目立つところだ。解像度が低いとGPUのスループットが高くなり,メモリのレイテンシが表面化しやすくなるため,メモリコントローラの動作比が表面化したものと考えられる。

 いずれにしても,バイオハザード RE:3においてはIntelのCPUがやや有利な傾向が見られ,少なくとも1:1の設定であれば,i9-11900KはRyzen 9勢より高めのフレームレートが得られるとまとめていいだろう。

 Call of Duty: Warzone(以下,CoD Warzone)の高負荷設定におけるフレームレートをまとめたのがグラフ14〜16だ。

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 3840×2160ドットの平均フレームレートでは,i9-11900K(1:1&ABT)とR9 5900Xがおおむね横並びでトップ,それ以外はほぼ横並びで,全体としてはGPUのスループットで押さえられていると見ていい結果だろう。
 2560×1440ドットの平均フレームレートは,i9-11900Kの3パターンとR9 5950Xがほぼ横並びと言える。R9 5900Xの平均フレームレートは,約4fpsほどそれらより低く,最後尾はi9-10900Kだった。
 1920×1080ドットでは,R9 5950Xがトップとなり,R9 5900Xとi9-11900K(1:1&ABT),i9-11900K(1:1)がほぼ横並びだ。少なくとも1:1の設定であれば,Intelが競合と見なすR9 5900Xに匹敵するフレームレートが得られると見ていい。前世代のi9-10900Kに対して大きくフレームレートを伸ばしているのも目立つところだ。

 続いては,Fortniteのグラフィックス設定「最高」の結果をグラフ17〜19にまとめた。なお,今回はFortniteをDirectX 12モードでテストしていることに注意してほしい。それ以外の項目はレギュレーション23.2どおりである。

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 3840×2160ドットの平均フレームレートは,i9-10900Kがわずかに低いことを除けば,ほぼ横並びと言えよう。2560×1440ドットも,ほぼ3840×2160ドットと同様の結果で,強いて言うならR9 5950Xの平均フレームレートがやや低めという程度の違いしかない。
 有意な差が出たのは1920×1080ドットで,平均フレームレートのトップはR9 5950X,ついでR9 5900Xとi9-11900K(1:1&ABT)が1fps程度の差で並んだ。

 i9-11900Kは,ABTを有効にすれば競合のR9 5900Xに比肩しうるが,ABT無効の場合はRyzen 9勢にわずかだが及ばなかった。ただ,前世代に対しては順当かつ有意に平均フレームレートを伸ばしている点は評価できる。

 グラフ20〜22はBorderlands 3の「ウルトラ」設定をまとめたものだ。

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画像集#032のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

 3840×2160ドットの平均フレームレートは,ほぼ横並びとまとめていい。2560×1440ドットは,R9 5950Xの平均フレームレートが他に比べ有意に高く,i9-11900Kの3パターンとR9 5900Xの平均フレームレートはほぼ並んでいる。1920×1080ドットもR9 5950Xがトップで,i9-11900K(1:1&ABT)がそれに続き,i9-11900K(1:1)とR9 5900Xがほぼ並んだ。
 少々気になるのは,2560×1440ドットでのi9-11900K(1:1&ABT)の最小フレームレートと,1920×1080ドットにおけるi9-11900K(1:1)の最小フレームレートが,ほかと比べて有意に低い点だ。計測データに異常はなく,平均フレームレートにもおかしな様子は見られないので,これらの最小だけ低い原因は不明である。

 いずれにしても,Borderlands 3ではi9-11900K(1:1)の設定であればR9 5900Xに並ぶ程度の平均フレームレートが得られると言える。また,前世代からは順当にフレームレートを上げていることも押さえておく必要があるだろう。

 続いて「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク)を見ていこう。グラフ23が総合スコアをまとめたものだ。

画像集#033のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

 3840×2160ドットは,ややばらついており,R9 5950Xがトップでi9-11900K(1:1)が続き,i9-10900Kと並んでいる。i9-11900K(1:1&ABT)が振るわないのが特徴的なところだ。
 2560×1440ドットと1920×1080ドットはおおむね同傾向で,R9 5950XがトップでR9 5900Xが続き,i9-11900K(1:1&ABT)とi9-11900K(1:1)がほぼ横並び。i9-11900K(1:2)はi9-10900Kに及ばないスコアに落ち着いた。

 CPU性能差が出やすい2560×1440以下の解像度だと,Ryzen 9勢が高スコアを叩き出すため,i9-11900Kは有意に及ばない形だ。また,FFXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマークではメインメモリのレイテンシがかなり大きく効いてくる傾向があるため,1:2の設定がまったく振るわないのも道理である。
 いずれにしても,FFXIV 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは,コア数の多いRyzen 9勢がi9-11900Kを圧倒するわけだ。

 グラフ24〜26にFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチマークにおける平均および最小フレームレートをまとめた。おおむね総合スコアどおりの結果だ。

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 実ゲームの最後にPROJECT CARS 2の平均および最小フレームレートをまとめておこう(グラフ27〜29)。

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 3840×2160ドットの平均フレームレートは,トップがR9 5900Xで,R9 5950X,i9-11900K(1:1&ABT)が続く形だ。1fps程度の差で並ぶので,どれもほぼ横並びとまとめていいだろう。
 2560×1440ドットと1920×1080ドットも同様で,R9 5900X,R9 5950X,i9-11900K(1:1&ABT)の順で並んでいる。PROJECT CARS 2では差こそ小さいものの,i9-11900KがRyzen 9勢に一歩及ばずといったところだろうか。

 以上,実ゲームを見てきたが,i9-11900Kはメモリコントローラの動作比を1:1に設定すれば,多くのタイトルでRyzen 9勢を上回るか,少なくとも劣らない程度のゲーム性能を持つとまとめてよさそうだ。ただ,予想どおり,ゲームにおいてメモリコントローラの動作比による影響は大きく,1:2の設定ではRyzen 9どころか前世代にすら及ばないケースが見られるので,到底おすすめできない。ここは注意すべきポイントだろう。

 一方,ABTも一部の例外を除くと,多くのタイトルで効果が見られた。ゲーム性能を追求するのなら,ABTを有効にして利用するのも悪くはないだろうが,原理的に消費電力が大きくなるはずだ。その評価は消費電力のテストで確認しよう。


前世代の20コアに匹敵するリアルタイム録画性能を確認


テストに用いたOBS Studioの録画設定
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 マルチコア性能のテストでは,OBS Studio(version 26.1.1)を用いたリアルタイムのゲーム録画を行った。今回の主役が8コア16レッド対応であるのを考慮して,エンコード解像度は1920×1080ドットのみとした。また,録画の設定は比較的軽めの,12MbpsのVBRで画質プリセットは「medium」としている。

 結果を以下の動画で示そう。ビットレートはいずれのCPUでも8Mbps前後となり,フレーム落ちに大きな差は見られなかった。


 差が出たのは,映像の左上に拡大表示したゲームのフレームレートだ。i9-11900Kの3パターンとi9-10900Kでは,頻繁に200fps台までフレームレートが落ちるのに対して,R9 5950XとR9 5900Xでは,300fps台のフレームレートをキープする時間が長い。つまり,リアルタイムの録画の負荷がフレームレートに与える影響が小さくて済んでいるわけだ。
 もちろん,これはCPUコア数が異なるためで,12コアや16コアを備えるRyzen 9勢がリアルタイム録画では有利になることを示している。

 ただ,ここで特筆できるのは,むしろ10コア20スレッドのi9-10900Kと遜色がないリアルタイム録画を8コア16スレッドのi9-11900Kが実現したことだろう。これはCPUコア性能が大きく引き上げられた結果と見るべきだ。
 また,i9-11900KでもフルHD解像度程度までなら,プレイしながらでも十分に実用的なリアルタイム録画が可能と考えていい。従来の8コア16スレッド対応CPUに比べて,かなりの性能向上を果たしたと言えよう。


非ゲーム性能ではCPUコア性能の高さがうかがえる結果に


 レギュレーション23.2に準拠した,非ゲーム用途における性能も比較しよう。
 まずは「PCMark 10」(version 2.1.2508)からだ。PCMark 10は,本稿執筆時点で,GPUアクセラレーションを無効化するとベンチマークが完走しないという不具合が生じるので,今回もGPUアクセラレーションを無効化せずに「PCMark 10 Extended」テストを実行した。
 Fire Strike相当のベンチマークを実行するGamingを除くテストの結果は,グラフ30である。

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 総合スコアはR9 5950X,R9 5900X,i9-11900K(1:1&ABT)の順で,i9-11900Kはコア数の多いRyzen 9勢に及ばない。i9-11900Kの3パターンにおける順位は,理屈どおりである。

 しかし,Windowsの快適さを見るEssentialsでは,トップがi9-11900K(1:1&ABT)で次点が同1:1と,i9-11900KがRyzen 9勢を有意に上回るスコアを見せた。Essentialsにはアプリの起動,終了やWebブラウジングなどメモリのレイテンシが効いてくるテストが入っているため,メモリコントローラの動作比の影響がスコアに出やすいようだ。Windowsの快適さを求める場合でも,メモリコントローラの動作比は1:1で利用すべきということになる。
 Officeアプリケーションの性能をテストするProductivityも,差は小さいながらもi9-11900K(1:1&ABT)と同1:1が,Ryzen 9勢を上回るスコアを残した。1:2の設定だとRyzen 9勢にわずかに及ばないが,ほぼ横並びと言える程度だ。

 i9-11900KがRyzen 9勢に及ばないのは,3DMark Fire Strikeと同じテストをウインドウモードで行うGamingと,Digital Content Creationである。Digital Content Creationは,3D CGのレンダリングのようにCPUコア数が影響するテストが含まれるため,Ryzen 9勢がどうしても有利になる。
 ただ,i9-11900KのDigital Content Creationのスコアが,10コア20スレッドのi9-10900Kを有意に上回る点には注目すべきだろう。CPUコア性能が前世代に比べて大きく引き上げられた証拠といえる。

 ちなみに,第11世代Coreプロセッサには「Intel GNA 2.0」(Intel Gaussian & Neural Accelerator 2.0,以下 GNA 2.0)というAI処理向けアクセラレーションユニットが組み込まれているので,「これらを用いれば画像処理や音声処理で高い性能が得られる」と,Intelはアピールしている。PCMark 10のDigital Content Creationで使われている画像処理の「ImageMagick」などは,そうした新しい機能には対応していないのでRyzen 9勢に遅れを取ってしまうが,対応しているツールを用いれば,逆転する可能性もあるだろう。

 次に,「ffmpeg」(Nightly Build Version 20181007-0a41a8b)を用いた動画のトランスコード時間を比較したのがグラフ31となる。

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 ここでもトップを独占するのはCPUコア数が多いRyzen 9勢になってしまうが,Intel製品だけを比べると,少し興味深い結果になっている。H.264のエンコード性能では,10コア20スレッド対応のi9-10900Kがi9-11900Kを超えているが,H.265では逆にi9-11900Kがi9-10900Kを超えてくる(※単位が時間なので,グラフが短いほど速い)。これはおそらく,使用している命令セットの性能差が出ているのだろうと考えられる。
 また,ABTの効果はH.264では見られないというか,ABT有効時のほうが性能が悪化するという逆転現象が起きているが,H.265だとABT有効時のほうが性能が高い。理由は判然としないが,H.264エンコード時におけるCPUコアの使い方に問題があり,ABTの効果があまり得られなかったのかもしれない。

 いずれにしても,i9-11900Kのトランスコード性能はi9-10900Kと大差ない程度であるが,コア数差を考えると,CPUコアあたりの性能がi9-11900Kで大きく引き上げられたことがうかがえる結果と言えよう。

 DxO PhotoLabシリーズの最新版「DxO PhotoLab 4」(Version 4.2.0 Build 4522)を用いたRAW現像時間を比較しよう(グラフ32)。

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 傾向はffmpegにおけるH.265と同じで,Ryzen 9勢がIntel勢を圧倒するものの,1:1の設定であれば,i9-11900KがCPUコア数の多いi9-10900Kを上回る性能を残した。コア数比から考えると,1コアあたりの性能は25%向上しており,8コアながら非常に高い性能を実現していると言える。

テストに用いたCINEBENCH R23の設定
画像集#053のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
 次は3Dレンダリングベンチマーク「CINEBENCH R23」の結果を見ていこう。CINEBENCH R23ではテストが刷新されている。なので,ベンチマークレギュレーションから測定の方法を変えることになった。
 今回は,「Advanced Benchmark」を選択したうえで,「Minimum Test Duration」設定を「10 minutes」にしてテストを行った。この設定は,10分間レンダリングを繰り返したうえでスコアを得るもので,テスト回数は1回である。
 結果はグラフ33のとおり。

画像集#043のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

 i9-11900K(1:2)のシングルスレッド性能は,おおむねR9 5900XやR9 5950Xと同等で,1:1の設定だとRyzen 9勢を有意に上回る。ただし,i9-11900Kの最大動作クロックはRyzen 9勢より高いので,クロックあたり性能ではRyzenのほうが計算上,高いと見られる。
 また,シングルスレッドのスコアをi9-10900Kと比べると約1.3倍,つまり30%の性能向上となり,Intelが主張する19%を大きく超える性能向上が見られた。これはCINEBENCH R23で使用されている命令セットの影響と思われる。

 マルチスレッドのスコアは,当然というかRyzen 9勢がIntel勢を圧倒した。Intel勢の傾向はここまでのテストと同じで,メモリコントローラの動作比が1:1であれば,i9-11900Kの性能はわずかにi9-10900Kを上回る。シングルスレッドのスコアから考えても妥当なところだろう。

 非ゲームテストの最後は,「7-Zip」(Version 19.00)の結果である(グラフ34)。

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 7-Zipも,おおむねここまでのマルチスレッド系テスト結果と同様の傾向だ。ただ,i9-11900KはABTを有効化しないと,i9-10900Kを上回れないという点がCINEBENCH R23との違いになる。スコア自体はRyzen 9勢がIntel勢を圧倒するが,CPUコア数の差で当然といったところか。

 以上,非ゲーム性能を見てきたが,i9-11900KのCPUコアあたり性能は,Intelが主張する以上に高いかもしれないと見ていい結果だろう。クロックあたりの性能では,Ryzen 5000シリーズに迫る性能を持つようである。
 また,PCMark 10で見られたように,Windowsの快適さなどではRyzen 9勢を上回ると見られ,ビジネスアプリやWebブラウジング等ならばRyzen以上の快適さを実現できる可能性が高い。

 ただ,マルチコアが効いてくるような処理になると,Intelが競合としているR9 5900Xに及ばない性能しか得られない。コア数が異なるから仕方がないとはいえ,ここはi9-11900Kの弱点といえそうだ。


消費電力対性能比ではやや厳しいi9-11900K


 さて,今回もベンチマークレギュレーション23.2に準拠した方法で,CPU単体の消費電力と,システム全体の最大消費電力を計測してみた。また,CPUコア(CPUダイ)の最大温度も調べたので,最後にまとめておこう。

 まずは,各テストにおけるEPS12Vの最大値と,無操作時にディスプレイ出力が無効化されないよう設定したうえで,OSの起動後30分放置した時点(以下,アイドル時)の計測結果を,ゲーム系テストの結果はグラフ35に,ゲーム以外のテスト結果はグラフ36にまとめている。

画像集#045のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
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 すぐに目に留まるというか,驚愕するのは,i9-11900K(1:1&ABT)の恐るべき消費電力の高さだろう。実ゲーム実行中で見ると,Borderlands 3実行時に247Wという驚愕の最大電力を記録している。ゲーム,非ゲームを通して最も高かったのは,PCMark 10実行時に記録した329Wで,CPU単体としては記録的な最大消費電力と言える。
 ABTを無効化したi9-11900K(1:1)の最大消費電力は,ABT有効時に比べるとかなりマシだが,それでもPROJECT CARS 2 2実行時に約234W,ffmpeg実行時には約262Wなど,かなり厳しい消費電力を叩き出している。
 10コア20スレッド対応で,発売当時も消費電力が大きいと評価したi9-10900Kさえも上回る最大消費電力を,8コア16スレッドのi9-11900Kが記録するのだから,もう驚くしかない。

 少し興味深いのは,全体を眺めるとi9-11900K(1:1)のほうが同1:2よりも高い最大消費電力を記録した点だろうか。メモリコントローラの動作クロックが2倍になるi9-11900K(1:1)のほうが消費電力が大きいというのは理屈にあっているが,それがこのように実測定値として記録されることは押さえておくべきかと思う。

 ちなみに,Ryzen 5000シリーズも,登場当時には「前世代に比べて消費電力が大きくなっている」と評価したのだが,i9-11900Kの消費電力があまりにすごすぎるため,むしろ非常に優秀であるように見えてしまう。実際,Ryzen 5000シリーズは,UEFIとそれに含まれるファームウェアの更新によって消費電力面は改善されており,アイドル時にはしっかりと10Wを切ってくるなど,発売当時よりかなり扱いやすくなっているところはある。

 とはいえ,最大値は最大風速のようなものなので,実際に利用していくうえでの実際の消費電力との相関は必ずしも強くない。より重要なのはアプリ実行時の典型的な消費電力を示す中央値だ。グラフ37は,ゲーム実行時の,グラフ38は非ゲーム実行時における消費電力の中央値を記録したものだ。

画像集#047のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
画像集#048のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

 やはり目につくのは,i9-11900K(1:1&ABT)の大きな消費電力で,決してCPU負荷が高いとは言えないゲーム実行時でも,軒並み100Wを超える中央値を記録している。最も大きかったのはPROJECT CARS 2実行時の約149Wで,これはゲーム実行中としては驚くべき数値だ。
 ABTは,余力さえあれば負荷が生じているCPUコアの動作クロックを引き上げるという仕様なので,ゲーム中も8個のコアがかなり高いクロックで動作し続けるのだろう。結果としてグラフのようになったというわけだ。
 非ゲーム実行時も,i9-11900Kの消費電力中央値は大きく,ffmpeg実行時には約236Wを記録した。CPU単独の中央値でこれというのは驚くほかない。ABTはIntelの保証内で動作するということなのだが,この数字を見ると「本当に大丈夫なのだろうか」と心配になってしまう。

 こうしてみると,全コアを状況に応じて最大5.1GHzに引き上げるABTは,確かに性能を引き上げる効果はあるものの,その代償として,消費電力はかなり厳しいと言わざるをえない。冒頭で,「ABTは無効化した状態がデフォルトになるだろう」と予想した理由もこれで,あまりに消費電力が大きすぎるので,利用をユーザーの判断に委ねるだろうと考えたわけだ。

 ABTを無効化した場合,i9-11900Kの消費電力中央値は,相当マシになる。ゲーム実行時は100W前後に留まり,非ゲーム実行時でもffmpegで200W弱に収まっている。それでもRyzen 9勢に比べれば,恐るべき消費電力中央値と言わざるを得ないのだが,10コア20スレッドのi9-10900Kをやや下回る程度にはなるので,許容範囲だろう。

 消費電力の最後に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テスト実行時点におけるシステムの最大消費電力をグラフ39グラフ40にまとめた。

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 通常,システムの最大消費電力はGPUが支配的になるのだが,グラフを見てのとおり,i9-11900K(1:1&ABT)の最大消費電力が飛び抜けている。CoD Warzone実行時には約685Wと,恐るべきシステム最大消費電力を叩き出した。電力モンスターのGeForce RTX 3090の消費電力を,CPUの消費電力が覆い隠すほどという点には恐れ入る。

 ひとつ奇妙な点に,ffmpeg実行時におけるi9-11900K(1:1&ABT)のシステムの消費電力がある。ffmpeg実行時はGPUに負荷がかからないので,システム全体の消費電力が跳ね上がるはずはないのだが,約622Wという飛び抜けた記録を残した。計測ミスでないことは確認済みだが,CPUだけによってこのシステムの消費電力が記録されたとも考えにくいので,なにか異常な動作が起きた結果という可能性はある。

 なお,アイドル時もi9-11900Kの消費電力は大きい。Ryzen 5000シリーズも,チップセットのPCIe 4.0対応によってアイドル時のシステム消費電力は高めと評価してきたが,i9-11900KはそのRyzenより,数Wほど高い。CPUがアイドル状態でも消費電力がやや高いことが影響していることは間違いないだろう。

 最後に,ffmpeg実行時に「HWiNFO64」(version 701.4415)を常駐させてCPUコアの温度を記録しておいた。その最大値をグラフ41に示す。

画像集#051のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか

 i9-11900Kは95℃前後だった。ffmpeg実行時における温度の推移を見る限り,i9-11900Kは,ABTの設定に関わらず95℃以下に収まるよう,動的にCPUコア温度を制御しているようである。つまり,筆者の環境だとCPUコア温度の上限に到達しているので,さらに強力な冷却システムを利用すれば,i9-11900Kの性能を引き上げることができるかもしれない。
 ただ,4Gamerでは簡易液冷としては最大のラジエータサイズと言っていいH150i PROを利用しているので,これ以上の冷却性能を望むとなると,本格的な水冷システムを組むくらいしか手がなさそうだ。相当なマニアでないと取り組めないだろう。
 一方のRyzen 9勢は85℃前後と,とくに問題ないCPUコア温度に収まっていた。


市場における最強のゲーム用CPUなのは確かだが……


 i9-11900Kの性能を見てきたわけだが,ゲーム性能に関しては,確かに一部のタイトルで競合を上回る性能を見せることを確認できた。Intelが主張するように競合以上と言い切れるかは微妙だが,少なくともRyzen 9と肩を並べるゲーム性能を実現したと評価していいだろう。
 また,マルチコアが効く処理だと競合においていかれるものの,PCMark 10のEssentialsにおけるスコアが示すように,日常作業におけるWindowsの快適さは,競合と同等以上が期待できる。今後,第11世代Coreプロセッサが備えるAIのアクセラレータを使用するアプリが増えれば,クリエイター系アプリの性能向上も期待できるだろう。

画像集#054のサムネイル/第11世代Core「Core i9-11900K」レビュー。Rocket Lake-SはRyzen 9 5950X/5900Xとゲーム性能で戦えるCPUなのか
 このように,性能面ではIntelのアピールは正しいが,i9-11900Kの最大のネックは消費電力だ。あまりに消費電力が大きすぎる。とくに,性能を引き上げるABTを有効化すると常識ハズレの消費電力を叩き出すので,その点での使い勝手はかなり悪いと言わざるをえない。
 やはり,本来10nmプロセス向けに設計されたCPUコアを14nmに作り変えた第11世代Coreプロセッサの限界ということになるのだろう。CPUコア性能はしっかりと向上しているので,消費電力に関しては将来のプロセス技術に期待するしかなさそうだ。

 また,8コアという点もネックのひとつだ。たとえばゲームをしながらコミュニケーションツールを起動してチャットなどを楽しむというマルチコア的用途を考慮すると,CPUコア数が大きいRyzen 9勢が有利といえる。
 というわけで,実用性を総合的に考慮するならば依然としてRyzen 9に魅力があるという結論になってしまうが,実際の市場環境を見渡すと,また別の捉え方もできるだろう。
 確かにRyzen 5000シリーズの性能は魅力的だが,極めて入手が困難になっているのが現実だ。とくに自作PC市場向けのリテールパッケージは,上位モデルになると幻と言いたくなるほど入手が難しい。どれだけ性能に優れた製品であっても,売っていないのではどうにもならない。

 一方のIntelは,自社で生産部門を持つので,社内で生産調整が可能という強みがある。そのため,第11世代CoreプロセッサはRyzenほどの品薄にはならないのではないかと予想できる。となれば,いくつか難点はあるものの,市場における最も高性能なゲーム向けのCPUは,i9-11900Kになるわけだ。今,ゲーム用のPCのリプレースを考えるのなら,i9-11900Kは検討に値する製品だろう。

 余談だが「男ならファブを持つ」という,今ならジェンダー的にも疑問視されそうな名言(迷言?)を残したのは,AMDの創業者であるJerry Sanders(ジェリー・サンダース)氏だった。創業者が退いたのち,AMDは製造部門を売却してファブレス半導体メーカーに転身し,現在は成功を収めている。
 だが,ここに来て製造問題からIntelにシェアを奪われるとなれば,改めて創業者の言葉に光が当たることになるのかもしれない。それはそれで皮肉なものだ。

Intelの第11世代Coreプロセッサ情報ページ

  • 関連タイトル:

    第11世代Core(Rocket Lake,Tiger Lake)

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