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「ModMic」レビュー。手持ちのヘッドフォンをヘッドセット化できるデバイスは「買い」か?
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印刷2018/10/22 00:00

レビュー

手持ちのヘッドフォンをヘッドセット化できるデバイスは「買い」か?

ModMic 5,ModMic 4

Text by 榎本 涼


 米Antlion Audio(アントライオンオーディオ)の「ModMic」(モッドマイク)は,ヘッドフォンのエンクロージャ部に取り付けて使う,後付けのブームマイクだ。「お気に入りのヘッドフォンがあるのにゲーマー向けヘッドセットなどを追加購入するのはコスト的にも保管場所的にも厳しい。ならヘッドフォンにブームマイクを取り付けてヘッドセットにしてしまえばいいじゃない」というアイデアをそのまま製品化したものと紹介してもいいだろう。

ModMicの装着イメージ
ModMic

 現在のラインナップは,無指向性と指向性とでマイクを切り換えられる上位モデル「ModMic 5」と,指向性マイクを搭載する下位モデル「ModMic 4」の2製品だ。北米市場における直販価格が順に69.95ドル,42.95ドル(いずれも税別)となっているところ,税込の国内実勢価格は順に1万1000〜1万2200円程度,7500〜8900円程度(※2018年10月22日現在)とけっこう割高なのだが,これだけの投資に見合う製品なのだろうか? 実機を入手したので,使い勝手とマイク品質をチェックしていきたい。

ModMic 5(左),ModMic 4
メーカー:Antlion Audio
問い合わせ先:国内問い合わせフォーム
ModMic 5実勢価格:1万1000〜1万2200円程度(※2018年10月22日現在),ModMic 4実勢価格:7500〜8900円程度(※2018年10月22日現在)
ModMic ModMic


100%アナログ接続の単体ブームマイク


 ModMicシリーズの接続インタフェースはアナログで,接続インタフェースは3極の3.5mmミニピンだ。付属する,直径実測約14mmの磁石付きアタッチメントを両面テープでヘッドフォンのエンクロージャへ貼り付け,そのうえで必要なときだけModMicを取り付ければ,当該ヘッドフォンをヘッドセット化できるというわけである。

ModMicシリーズは本体側と台座側の両方に磁石が埋め込んであって,それを填め合わせることで固定する仕様だ。固定する部分の周辺は折れ曲がっているのも見てとれるが,ModMicのブームは金属製なので,「折れ曲がった部分を少し広げたり狭めたりといった調整を行うことにより,取り付けるときヘッドフォン側の突起部と干渉しないようにする」ことができるようにしているのだと思われる
ModMic

ここまで取り外す必要はないのだが,参考のために掲載。ブームマイクは磁石による固定部を軸に回転できるようになっていて,180度回せば右耳用エンクロージャへも取り付けられる。左利きの人には便利だろう(※ケーブルの取り回しは考える必要があるだろうが)
ModMic
 取り付けのイメージは下に挙げる(1)〜(4)のとおりで,正直,難しいところは何もないと思う。
 今回ModMicシリーズのテストに使うのはAKG製の「K712 PRO」というオープンエア型だ。エンクロージャに平らなところがほぼないうえに中央部分は盛り上がっているという,およそModMicの取り付けには向いていなさそうな製品なのだが,いざ取り付けてみたら,普段使いに問題のないレベルでしっかり固定できたため,いい例ではないかと考えている。

 ちなみにブームマイクのブーム部分だが,割と硬めで,融通の利くタイプではない。なので,最初にどう取り付けるかが重要になってくる。取り付けてからブームで微調整しようと考えるのではなく,台座を貼り付けるときにある程度まで追い込んでおくことを心がけたい。

ModMic
(1)まずは配置を仮決め。視界にマイクが入ると集中しづらくなり,またマイクを「吹く」とノイズになるので,マイクが口元より下に来るような場所と角度に調整する必要がある
ModMic
(2)ヘッドフォン側の「台座を取り付ける先」を製品ボックス付属のアルコールパッドで吹いてキレイにしたら,ModMic本体から台座部を取り外さずに(※外すと噛み合わせがおかしくなる恐れあり),台座部の粘着テープ保護シートを剥がす
ModMic
(3)ModMicをヘッドフォンに貼り付ける。この状態で30秒は固定せよと簡易マニュアルには書いてあった。凹凸の大きな面に貼る場合は「貼った状態」で1時間ほど放置するようにというアドバイスもある
ModMic
(4)固定したところ。ModMicとヘッドフォン側の突起部が干渉しているように見えるかもしれないが,きちんと固定できるなら問題ない

 取り付けた状態に違和感はなく,また,ModMic本体を取り外して台座だけにしても,見栄えはそれほど損なわれない。

ModMic
ModMicを取り付けた状態。基調色が黒のヘッドフォンであればそれほど違和感はない
ModMic
ModMicを取り外して台座だけにしてみたところ。見栄えとしては許容できるレベルだと思うが,どうだろうか

 仮に粘着力が弱くなった場合でも,製品ボックスには予備の粘着パッドが付属しているので,それに貼り替えたり,あるいは市販の両面テープに変えればよい。台座が取れて紛失した場合に備えてだと思うが,予備の台座が1個付属しているのも歓迎できる仕様と言える。

ModMic 5(左)とModMic 4(右)には交換用の粘着パッドと,粘着パッド付きの予備台座が付属している
ModMic ModMic

ケーブルクリップを使ったケーブル固定のイメージ。適当な場所に挟んで固定していけばいい
ModMic
 上の写真で,説明なしに黒いパーツが並んでいるのに疑問を持った読者も多いと思うが,これはヘッドフォンのケーブルにModMicのケーブルを束ねるためのケーブルクリップである。ModMic 5には10個,ModMic 4には5個付属しているので,これを使うと「ヘッドフォンとマイク,2本のケーブルがこんがらがる」問題に対策できるだろう。

ModMic 5はインラインリモコンのところでケーブルを着脱できるので,マイクの着脱が容易だ。対するModMic 4だとケーブル一体型なのでそうはいかない
ModMic
 ちなみにこのケーブルクリップだが,異なるのはその数だけではない。ModMic 5は本体から延びる実測約230mmのケーブルと,その先に取り付けるインラインリモコン,そしてその先につなげることのできる全長約1mあるいは2mのケーブルをいずれも着脱できるのに対し,ModMic 4ではインラインリモコン付きで全長3mのケーブルがただ延びるので,「使わないときにマイクだけ取り外しておく」ことの容易さがまるで異なる。付け加えると,ModMic 5にはアタッチメントで束ねた2本のケーブルを覆うケーブルラップまで付属しているので,正直,頻繁にModMicを付けたり外したりしたいのであれば,ModMic 5を選んだほうがいい。
 ModMic 4はケーブル一体型なので,ケーブルクリップを使って固定したらあとはその状態で使う人向けだろう。機能や音質以前の問題として「どう使うか」というのはModMic選びにとって重要なテーマであるように思われる。

ModMic 5にはケーブルラップが付属しており,本体から見た「インラインリモコンの先」を覆ってやることで,2本のケーブルをすっきりさせることができる。覆う前に何か所かケーブルクリップで固定しておくと作業しやすい
ModMic ModMic
仕上がりはこんなイメージだ。先端は2系統のアナログピン端子になるはずなので,そのままPCと接続したり,3極―4極変換アダプターを別途用意してDUALSHOCK 4やNintendo Switchなどと接続したりすることで,「ヘッドセット」として利用できるようになる
ModMic ModMic
左2枚はModMic 5,右2枚はModMic 4のインラインリモコンのそれぞれ表裏。できることはマイクのミュート切り換えのみというのは同じで,固定のためのクリップがないのも同じだ。ただ,ModMic 5のインラインリモコンは「使わず,マイク側のケーブルと延長ケーブルを直結させる」という選択も行える
ModMic ModMic ModMic ModMic

 また,ケーブルの取り回し以外にもModMic 5とModMic 4には違いがある。ModMic 5はカージオイド(cardioid,心臓型)型の指向性と無指向性(omni-directional),2つのマイクを内蔵しており,マイク部にあるスライドスイッチで切り換えられるのに対し,ModMic 4はカージオイド型の指向性マイク1つを搭載する仕様だ。

ModMic 5は「マイクの指向性を切り換える」のではなく,「指向性の異なるマイクを切り換える」ことができるというのは,ウインドスクリーンを外すとよく分かる(左)。切り替えスイッチは心臓マークのほうがカージオイドだ。右はマイク部の反対側で,カージオイド型マイクのほうにだけ空気孔が開いている。無指向性マイクのほうで塞がっているのは,できる限り外界の音を拾わないようにという配慮によるものだろう
ModMic ModMic
ModMic 4が搭載するマイクは1つなので,切り換え用のスライドスイッチはない。反対側には空気孔があるため,「どちらがマイクか」が分かりやすいよう,マイク型のマークが入っていた
ModMic ModMic


2種類のマイクで部屋の環境に対応できるModMic 5と,「ゲーマー向けヘッドセット」らしい音質傾向のModMic 4


ModMic
 ここからは2製品のテスト結果を見ていきたい。
 言うまでもなくModMicはマイクなので,テストは「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるマイクテスト方法」準拠となる。周波数特性と位相特性の検証は,ADAM製パワードスピーカー「S3A」で再生した音を,Creative Technology製サウンドカード「Sound Blaster ZxR」と接続したModMicで拾い,PC上でグラフ化するというイメージだ。

 なお,Sound Blaster ZxRの工場出荷時設定だとマイク入力レベルがModMicにとって高すぎるため,今回はSound Blaster ZxRの入力レベルを88,ブーストレベルを+10dBとして測定を行うことにした。基本的にModMicの入力感度は高いと思ってもらってよい。

こちらがリファレンス波形。ピンクノイズである
ModMic
 本稿で示すテスト結果において,波形スクリーンショットの右に示した画像は,それぞれ「得られた周波数特性の波形がリファレンスとどれくらい異なるか」を見るものである。
 これは,Waves製アナライザ「PAZ Analyzer」で計測したグラフを基に4Gamer独自ツールを使ってリファレンスと測定結果の差分を取った結果だ。リファレンスに近ければ近いほど黄緑になり,グラフ縦軸上側へブレる場合は程度の少ない順に黄,橙,赤,下側へブレる場合は同様に水,青,紺と色分けするようにしてある。

 差分画像の最上段にある色分けは左から順に重低域(60Hz未満,紺),低域(60〜150Hzあたり,青),中低域(150〜700Hzあたり,水),中域(700Hz〜1.4kHzあたり,緑)中高域(1.4〜4kHzあたり,黄),高域(4〜8kHzあたり,橙),超高域(8kHzより上,赤)を示す。

 というわけで,まずはModMic 5からだ。下に示したのは,工場出荷時設定であるカージオイド型指向性マイクの特性である。
 低域の落ち込みは80Hz付近,高域は20kHz付近から始まる感じだ。全体としてはほぼドンシャリ型と言ってよく,低域のピークは80Hz付近,高域のピークは7kHz付近にそれぞれ存在し,後者のほうが山はやや高い。一方,600〜750Hzと1.3〜1.5kHzあたりが谷の底になっている。
 位相は完璧だ。

ModMic 5,カージオイド型指向性マイクの入力テスト結果
ModMic ModMic

ModMic
 面白いのは,実際に録音してみると,600Hz〜1.5kHzが広範に落ち込んでいるためか,線がやや細く感じられる点だ。もちろん波形どおりのドンシャリ型ではあるものの,600〜1.5kHzという広い範囲で落ち込んでいるため,中域のエネルギーが弱く,線が細い印象を受ける。しかも低弱高強なので,明瞭度は高くなく,むしろ実況などに向く「落ち着いた音」と紹介すべきだろう。

 ただ,ちょっと気になったのは超高周波までしっかり集音する低弱高強の周波数特性のせいか,エアコンの音などといった高周波のヒスノイズを割と多めに拾う点だ。「指向性があるからノイズレス」とは思わないほうがいい。
 また,その指向性がやたらと強く,集音する範囲が非常に狭い点も注意が必要だろう。マイクの位置,とくに向きを適切に調整してきちんと集音できるようにしておかないと,あっさりと集音範囲から外れてしまい,何を話しているのかチャット相手に伝わらなくなるということが当たり前に生じるほど指向性が強い。したがって,事前にしっかりとセッティングしなければならないわけだ。この点は要注意である。

 では無指向性のほうはどうかというと,そもそもマイク部品自体が違うのだから当然なのだが,けっこう異なる結果になっていて興味深い。
 下に示したのがテスト波形だが,低域は45Hz付近を境にしてその下で大きく落ち込むものになっている。形状としては低強高弱のドンシャリで,谷は明確に1.5kHz付近にあり,その周辺,900Hzから1.7kHz付近が落ち込み気味だ。高域のピークははっきりしない形状になっており,その上では20kHz以上で一気に落ちていく。
 こちらも位相はまったく問題ない。

ModMic 5,無指向性マイクの入力テスト結果
ModMic ModMic

 カージオイド型指向性マイクと比べると明らかに高域が弱いわけだが,実のところ,有効な周波数帯域で大きな落ち込みを見せている範囲は900〜1.7kHz付近だけで,谷が2つあるようなこともないためか,録音してみると,波形ほどには低域が強すぎる印象を受けなかった。むしろ低周波が強くなって相対的にヒスノイズが小さく聞こえるので,これはこれでありだろう。
 もう1つのメリットとして,無指向性なので,指向性マイクほどにはマイクの向きをシビアに調整する調整する必要がない点が挙げられる。

 今回の結果から,ModMic 5を使うなら無指向性のほうを筆者としては推したい。ただ,住環境によっては低周波ノイズが混入してチャット相手が聞きづらくなることもあるので,そういう場合はサウンドデバイス側のノイズリダクション機能を使ったり,それこそ指向性マイクへ切り換えたりすることをお勧めする。

 続いてはModMic 4だ。
 ゲーマー向けヘッドセットが搭載するマイクの特性として,「低域と高域をカットして,低域から中域くらいと比べて中高域から高域くらいを一段高くし,何を言ってるのか聞き取りやすくする」のが最近の主流だが,ModMic 4の波形はそれに沿ったものとなっている。

 もう少し細かく見ると,下は60Hz付近より低周波,上は13kHzより高周波のところで大きく落ち込んでいく。750Hz〜1.5kHzくらいがやや低いものの,全体としては60〜1.8kHzくらいと比べて1.8kHz〜12kHzくらいがやや高い。3kHz付近が落ち込んでいるが,これは人間が聴いたときに「耳に痛い」帯域をピンポイントに狭い帯域幅でカットすることになるため,若干ながら破裂音や歯擦音などを抑えられる効果につながっているようだ。
 位相は問題ない。

ModMic 4のマイク入力テスト結果
ModMic ModMic

ModMic
 実際に音を録音してみると,指向性はModMic 5より弱く(≒広く),落ち込む周波数帯域が低周波は低く,高周波は高い。そのためノイズも集音するが,程度はModMic 5のカージオイドマイクを選択したときほどではない。

 録音してみると,周波数特性通りで眠くもないがそれほどパリッともしていない,割と低域から高域までフラットに近い感じで出ている印象だ。グラフから想像されるイメージどおりとも言えるだろう。
 きれいな音質傾向なので,実況などでも結構品質の高いナレーションを録音できるはずだ。


「ヘッドフォンをヘッドセット化したい」というニーズには確実に応えられるModMic。あとは使い方と価格がマッチするか次第


ModMic 5(左)とModMic 4(右)の製品ボックス
ModMic
 繰り返すが,ModMicのコンセプトは「手持ちのヘッドフォンを簡単にヘッドセット化できる」点にある。もちろん,ヘッドフォンと,それこそプロ用マイクを組み合わせても同じことはできるわけだが,プロ用マイクはゲームPCにそのまま接続できるようなインタフェースでないことが多く,また,設置するのにスタンドを用意する手間も必要だったりするので,少なくとも「簡単に」とはいかない。その点で,ゲーマー向けサウンドデバイス(など)のマイク入力端子に差すだけで難しいことなしに使えるModMicは,それだけでよい選択肢になるだろう。

 両製品とも最近のゲーマー向けヘッドセットが搭載するマイクと比べて音質傾向は素直。その分,低周波および高周波ノイズを拾いやすいものの,極端な周波数バランスには堕していないため,ノイジーとまでは感じないのもいい。

 「で,ModMicを購入するとしてどちらがお勧めなのか」というのは読者の大きな関心事だと思うが,本稿の序盤でもお伝えしているとおり,これは音質傾向というよりは使い方次第だ。マイクを頻繁に付けたり外したりする前提ならModMic 5しかなく,付けっぱなしならケーブルが不用意に抜けたりする心配がない分だけModMic 4のほうが扱いやすい。
 ModMic 5のほうが初期設定は面倒ながら,その分,低周波ノイズが気になる環境なら指向性マイク,高周波ノイズが気になる環境なら無指向性マイクと使い分けることもできる。

ModMic

 むしろどこまでも気になるのは冒頭でも紹介した内外価格差で,果たしてこの強気すぎる国内価格で日本のゲーマーにどれだけ響くかというのが,「どちらを選ぶか」よりよほど重要な問題であるように思われる。もっと言うと,「ModMic 5を買う予算があればミドルクラス,ModMic 4を買う予算があればエントリーミドルクラスのゲーマー向けヘッドセットが買えてしまう」ので,なら追加でそれを買ってサブ機として使ったり,首にかけてマイクだけ使ったりすればいいのではないか,という話になりかねないのだ。

 なかなかほかにないアイデア製品であり,お気に入りのヘッドフォンを使いながらボイスチャットもしたい人にとってスマートな解決策であることも間違いないため,個人的には頑張ってほしいのだが,この国内価格だとなあ……というのも正直なところである。

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Antlion Studio公式Webサイト(英語)

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