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PMW3360搭載で税込5000円以下の「PAWN」レビュー。日本発のゲーマー向け製品ブランド「Ray」第1弾マウスは期待以上の製品だ
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印刷2018/06/28 00:00

レビュー

日本発のゲーマー向け製品ブランド「Ray」第1弾マウスは期待以上の製品だ

Ray PAWN(RM-3360)

Text by BRZRK


 かつてSteelSeriesのマーケティング担当として活動していた田邊 崇氏が立ち上げた,日本発のゲーマー向け製品ブランド「Ray」(レイ)。その第1弾マウスとなる「PAWN」(ポーン,型番:RM-3360)が2018年6月29日に発売日を迎える。

PAWN
メーカー:Ray(ソリッドハート)
問い合わせ先:ゲート(販売代理店) 03-5280-5285(平日10:00〜13:00,平日14:00〜16:00)
実勢価格:4500〜5000円程度(※2018年6月28日現在)
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 田邊氏がどのような考えでRayを立ち上げ,PAWNを世に出したかはインタビュー記事でお伝えしているとおりだが,最も気になるのは,「『PMW-3360』光学センサー搭載で税込5000円以下」のワイヤードマウスが,期待どおりの性能を発揮できるか否かだ。4Gamerでは発売に合わせて製品版を入手できたので,気になるその実力を明らかにしてみたいと思う。

 それに先だってお伝えしておくと,PAWNの主なスペックは以下のとおりとなる。

●PAWN(RM-3360)の主なスペック
  • 基本仕様:光学センサー搭載ワイヤードタイプ
  • 搭載センサー:PixArt Imaging「PMW3360」
  • ボタン構成:左右メイン+センタークリック付きスクロールホイール,左サイド×2,DPI 変更×2,
  • トラッキング速度:未公開
  • 最大加速度:未公開
  • フレームレート:未公開
  • 画像処理能力:未公開
  • トラッキング解像度:400/800/1600/2400/3200/12000 DPI
  • ポーリングレート(USBレポートレート):125/500/1000 Hz
  • オンボードフラッシュメモリ:未公開
  • データ転送フォーマット:未公開
  • リフトオフディスタンス:未公開
  • LEDイルミネーション:6色(※常時点滅)
  • 実測本体サイズ:66(W)×123(D)×38(H)mm
  • 実測本体重量:約82g(※ケーブル除く),約128g(※ケーブル含む)
  • マウスソール素材:未公開
  • ケーブル長:1.8m
  • 対応OS:未公開
  • 保証期間:1年間


Xtrfyの「M2」と同じODM元か。ほぼ瓜二つの外観を持つPAWN


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 PAWNは初代「SteelSeries Sensei」(以下,旧Sensei)リスペクトという位置づけのマウスだ。旧Senseiは左右対象形状で,左右の両側面どちらにも2連のサイドボタンを搭載するのだが,PAWNの場合は左側面にしかサイドボタンはなく,左右メインボタンの割り当てを入れ替える機能もないため,右手用マウスということになる。

4Gamerの比較用リファレンスマウス「Gaming Mouse G500」と並べたところ。PAWNのほうが全体的に一回り小さい
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XtrfyのM2。PAWNにそっくりだ
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 興味深いのは,スウェーデンのゲーマー向け製品ブランド「Xtrfy」製マウス「M2」と,外観がほぼ同じところだ。全体の印象だけでなく,サイドボタンの下側を囲むようなLEDイルミネーションのデザインや,側面に入るラインの入り方も同じだったりするのと,RayはPAWNがODM(※)であると認めていたりすることから,PAWNとM2は同じ工場から出てきた姉妹品的な感じという理解でいいのではなかろうか。
 もっとも,M2だと搭載するセンサーは「PWM3310」なので,PAWNのほうが上位モデル的な存在とは言えるかもしれない。

※「Original Design Manufacturing」の略で,委託された先のブランド名で製品をデザイン,生産すること。ODMメーカーが自らいくつかリファレンスデザインを作り,ブランドはその中から選んだり,場合によっては外観や機能面をカスタマイズしたりして差別化して,「自分のブランドの製品」として売るイメージとなる。

左右メインボタンは天板と一体化した,いわゆるワンピースタイプ。最近のゲーマー向けマウスでトレンドとなっている「指を配置しやすくするガイドの役割を果たす凹み」はない
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 センタークリック機能付きスクロールホイールの横幅は実測約8mmで,うち中央の同2mm分はLEDの光を透過させる素材。それを両側から挟み込むように,タイヤの溝のような凹凸付きの素材が取り付けられている。
 ホイールは1回転24ノッチで,回転時は「グッグッ」とノッチごとに回転が止まる感触がある。よくある「カチカチ」という音とはちょっと違うので最初は戸惑うかもしれないが,操作するうえで回転しすぎたり回りにくかったりということはないので,すぐ慣れるだろう。

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 スクロールホイールの手前側(=本体後方側)には形状違いで2個のボタンがあり,DPI変更用として機能する。ボタンは天板部から実測約2.5mm突き出ているが,とくに干渉したりはしないので,誤爆の恐れはない。
 なお,PAWNは設定用ソフトウェアを用意しないシンプルな設計ということもあり,LEDの色がDPIの設定値と連動している。具体的には以下のとおりで,工場出荷時設定は2400 DPIとなっていた。

  • :400 DPI
  • :800 DPI
  • :1600 DPI
  • :2400 DPI
  • :3200 DPI
  • :12000 DPI

3か所のLEDはすべてがDPI設定に応じて変わる仕様。黄が若干濁っているため,黄と橙は若干見分けづらい。慣れれば分かるようになるのだが
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サイドボタンの長さは奥側が長さ実測約17mm,最大幅約3.5mm,手前側が順に20mm,4.5mm。サイドボタンにはそれぞれ3つの突起があり,指先でその存在を確認しやすい
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 先ほどXtrfy製マウスと比較したとき簡単に言及した側面は,本体最も奥(=ケーブルの付け根側)と最も手前(=その反対側)を凸部として,前後中央にかけてゆるやかな凹みを持った形状になっている。サイドボタンとそこに隣接するLEDイルミネーション部以外,側面で指が触れるであろう部分にはラバーシートが貼ってあり,本体手前側に向かって間隔が広くなるように4本の溝が走るというデザインになっている。
 この溝が指先にいい感じで食い付いてくれるため,握りやすさは上々といったところだ。

左側面に配置する親指はベタ置きでも立てても滑らず,グリップ力を保持したまま激しい操作にも耐えてくれる。また,サイドボタン同士の境は一段低い階段状となっており,無意識下でも前後間違わずに使い分けられる
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 本体底面部は前方と後方からセンサーを挟み込むような形でやや大きめのソールが貼ってある仕様。センサーホールの脇にあるスライドスイッチはポーリングレート(≒USBレポートレート)変更用で,125/500/1000 Hzの3段階から切り換えられる。
 ケーブルは布巻き仕様で,太さは実測約3.5mmと,ゲーマー向けマウスでは珍しく3mmオーバーだった。箱から取り出したときの「折れ曲がった癖」は指先で簡単に治すことができるが,操作していてケーブルが少し突っ張った印象はある。

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スライドスイッチは少しだけ硬めでカチカチとした感触が返ってくる。ゲーム中に違和感があったらすぐ変更できるので,個人的にはありがたい
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ケーブルはガチガチに巻かれた状態で梱包されている。そのため,最初は指で伸ばしたりしなければ余計なテンションがケーブルにかかるかもしれない。2週間も使っていれば馴染むと思うが,製品ボックスから取り出した段階でやっておくといい


かぶせ持ち以外なら違和感なく握れる形状


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 Sensei風のデザインなので,持ちやすさには一定レベルの期待ができそうである一方,左右対象形状かつ両サイドの前後中央が凹んだタイプだと薬指と小指を置く場所に迷うこともあるが,その点PAWNはどうか。「つかみ持ち」「つまみ持ち」「かぶせ持ち」といったスタンダードな持ち方に加え,かぶせ持ちをベースとしつつも薬指と小指を立たせ,親指も少し立たせる持ち方で,筆者独自の持ち方かもしれない「BRZRK持ち」も入れ,4つの持ち方でテストを行ってみた。
 その結果は以下,写真とキャプションでお伝えしたい。

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つまみ持ちの例。後部側から中央にかけての凹みはじめの部分に親指と薬指,小指を配置すると持ちやすく,操作も行いやすい
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つかみ持ちの例。親指は奥側(=ケーブルの付け根側)サイドボタンの下に配置し,薬指と小指は右側面の中央から前側付近に配置すると違和感なく操作できる
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かぶせ持ちの例。手が大きめの筆者の場合,薬指の第二関節より先はマウスに接地することができず宙ぶらりんの状態となってしまった
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BRZRK持ちの例。親指を前側のサイドボタン直下に置き,薬指と小指は右側面の最も凹んだ場所に配置するとガッチリ握り込める

 というわけで,かぶせ持ちとだけ相性がよろしくない結果になった。この理由はPAWNが左右どちらの側面でも前後中央部が凹んだ形状となっているためだ。要は,かぶせ持ちしようとすると,伸ばした薬指および小指とマウス本体との間に空間ができてしまうのである。手の小さな人なら大丈夫かもしれないが,そうでないならほかの持ち方へのコンバートを視野に入れる必要があると思う。

 一方,かぶせ持ちを除けば,まずもって問題なく握れるだろう。総じて,親指と薬指,小指の置き場所さえ決まってしまえば違和感はない印象で,長時間のゲームプレイでも快適に操作できるはずだ。


価格を考えると尋常ではなく良好なセンサー性能。入力遅延も上々だ


 前述のとおりPAWNは「差せば動く」仕様で,機能をカスタマイズするためのソフトウェア的なものはないため,ここからはセンサー性能検証に入っていきたい。

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 PMW3360搭載マウスはチューニングによって個性が微妙に変わるため,一定レベルの性能は期待できる一方で,“それ以上”はメーカーによってかなり異なる。PAWNでRayはODMを採用しており,チューニングは基本的に製造工場任せなはずなので,その点は見どころだ。
 また,ボタンの応答速度も気になるところで,今回もそれらをチェックしていくことになる。

 テストに用いたシステムとマウスの設定は以下のとおりとなる。

●テスト環境
  • CPU:Core-i7 7820X(8C16T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.3GHz,共有L3キャッシュ容量11MB)
  • マザーボード:MSI X299 TOMAHAWK(Intel X299)
    ※マウスのケーブルはI/Oインタフェース部のUSBポートと直結
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×4
  • グラフィックスカード:MSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G(GeForce GTX 1080,グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:Intel SSD 600p(SSDPEKKW128G7X1,NVM Express 3.0 x4,容量128GB)
  • サウンド:オンボード
  • OS:64bit版Windows 10 Pro

●テスト時のマウス設定
  • ファームウェアバージョン:未公開
  • DPI設定:400/800/1600/2400/3200/12000 DPI(※主に800 DPIを利用)
  • レポートレート設定:125/500/1000Hz(※主に1000Hzを使用)
  • Windows側マウス設定「ポインターの速度」:左右中央
  • Windows側マウス設定「ポインターの精度を高める」:無効

 まずは最も気になるセンサー性能チェックを,「MouseTester」で行っていく。
 繰り返すが,PAWNには設定用ソフトウェアの類がないので,当然,マウスパッドに対する出力のキャリブレーションなどは行えない。つまり,Ray側のチューニングによって評価が大きく変わることになるわけだが,ここではARTISAN製マウスパッド「飛燕MID」上で,DPIの設定を400,800,1600,2400,3200と切り替えながらPAWNを一定のリズムで振り,その挙動をMouseTesterのログから確認することにした。

 その結果が下に示した5組のグラフ画像だ。Y軸のプラス方向が左への振り,マイナス方向が右への振りを,横軸がms(ミリ秒)単位での時間経過を示している。
 DPI設定値ごとにグラフを2枚用意しているが,どちらも青い点は実際にセンサーが読み取ったカウントを示し,青い波線は左だとカウントを正規化したもの,右はカウント同士をつないだものとなるので,見やすいほうを参照してもらえればと思う。

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400 DPI設定時。頂点付近でごくごくわずかに乱れているものの,大きく跳ねている様子もなく,安定して動作しているのが分かる
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800 DPI設定時。400 DPI設定時と大きくは変わらない印象で,センサーの挙動は良好だと言える
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1600 DPI設定時。変わらず安定した挙動を示している
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2400 DPI設定時。振りの減速時に,再現性のある形で「カウントの飛び」が出現した
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3200 DPI設定時。2400 DPI設定時と同じように,減速しきる直前に同じタイミングでカウントが飛ぶ

 以上,400/800/1600 DPIという,多くのゲーマーにとって現実的なDPI設定値において,センサーの精度は非常に高い。2400 DPIより上だと減速するタイミングでカウントが飛ぶため,その点は注意が必要だが,価格設定を考えると目を見張るレベルの性能と言っていいように思う。

 続いては,どれくらいの高さまでマウスを持ち上げるとセンサーの反応が途絶するかというリフトオフディスタンスの確認だ。計測方法は単純で,厚みの異なるステンレスプレートを重ねていき,マウスの反応が途絶える高さを0.1mm単位で計測することになる。

 結果は表1のとおりで,端的に述べて非常に優秀だ。4Gamerで合格ラインとしているのは2.0mm以内だが,PAWNの場合は最小値が0.9mm,最大値が1.2mmなので,短いところで安定している。

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 センサー検証の最後は直線補正の確認を行う。ここでは,Windows標準の「ペイント」で線を引き,意図しないようなラインになったりしないかを確認する。
 その結果が下に示した2枚の画像だ。直線補正が有効な場合はやけにキビキビしたラインになりがちなのだが,とくにそういった傾向は見られず,ゲーム中も妙な違和感などはなく意図したとおりエイミングできたので,「体感できてしまうような直線補正はない」と述べて差し支えない。

体感できる直線補正はないままに線を引ける印象だ
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 続いては入力遅延の検証である。ここでは「マウスをクリックしてから音楽制作ソフト上のシンセサイザーが音を鳴らすまでの時間」をチェックすることで,入力が反映されるまでの遅延を,「Pro Gaming Mouse」および「Razer DeathAdder Elite」(以下,DeathAdder Elite)と比較することになる。
 ざっくりしたテスト方法は以下のとおりだ。

  1. テスト対象のマウスを定位置で固定する
  2. マイクスタンドに吊したRazer製マイク「Razer Seirēn」を,マウスの左メインボタンすぐ近くに置く
  3. Windowsから音楽制作ソフト「Fruityloops」を起動。同アプリ上にあるソフトウェアシンセサイザの鍵盤をクリックする
  4. クリック音をRazer Seirēnで集音しつつ,「XSplit Gamecaster」を使って,「Razer Seirēnで集音した音」と「Fruityloops上の鍵盤で鳴った音」をミックスし,映像として録画する
  5. 動画編集ソフト「AviUtl」で,音声をWaveファイルとして切り出す
  6. サウンド編集ソフト「Audacity」でWaveファイルを開き,クリック音とシンセサイザの音が出るまでの時間を計測する
  7. テストを連続30回行ったうえで,ブレ対策のため最初の5回をカット。6回めから30回めの平均を取ってスコアとする

 その結果は表2のとおりで,比較対象の2つのマウスと比べると若干の遅延が見られるうえ,個別のスコアを見るとムラも見られる。ただ,平均値は遅くないのも確かだ。平均値は「最速クラスのマウスと比べると一段落ちるものの,ゲーマー向けマウス中上位モデルの平均と比べて同等か若干速め」くらいのラインなので,価格設定を考えるに上々と言っていいだろう。

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とてもシンプルな内部構造


 テストを終えたところでPAWNを分解し,内部をチェックしてみよう。
 PAWNは,底面手前側にあるソールを剥がし,その下にある2本のネジを取り外せば,メイン基板の載った底面部から天板部を分離させることができる。内部は総じてすっきりした印象だ。

天板部を取り外したところ。天板部に付いているのはDPI変更用ボタンスイッチの載る基板だけで,それ以外の機能はほぼすべてメインボタン側にある
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 下に示したのがメイン基板だ。中央に見えるのはPMW3360(PMW3360DM-T2QU)センサーで,メインボタン用のスイッチやサイドボタン用のスイッチなど,主要なスイッチもこの基板上に載っている。
 本体後方側(=写真右側)にある,「BY8801」という刻印入りのチップがマイクロコントローラなのだと思われるが,筆者にはこの正体は分からなかった。中国市場では割とメジャーなコントローラのようだが……。

メイン基板。PMW3360センサーを中心に各種スイッチなどが並んだ仕様になっている。センタークリック用ボタンの近くにあるコネクタを経由してつながっているケーブルの先にあるのは,スクロールホイールを照らすLEDが載ったミニ基板だ
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本体後方にあるチップ。これがおそらくマイクロコントローラだと思うが,正体は残念ながら分からない
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基板の底面側。写真で下部中央に見える長方形の溝はポーリングレート調整用スライドスイッチのためのものだ
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取り外したスクロールホイール。これといった特徴はない
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センサー用レンズユニット。PMW3360搭載モデルでよく見る形状だ

左右メインボタン用スイッチは定番のD2FC-F-72(20M)
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 左右メインボタン用のスイッチはRayのアピールどおりオムロン スイッチアンドデバイス製で,型番は「D2FC-F-72(20M)」。公称で2000万回の耐久性を持つタイプだ。
 センタークリック用のスイッチは正体不明。ロータリーエンコーダはTTCだった。サイドボタン用のスイッチはKaihua Electronics製である。

サイドボタンはロゴが分かりにくいがKaihua Electronics(Kailh)製(左)。サイドボタンの位置と高さを合わせるため,下駄を噛ませてあるのが分かる。右はTTC製ロータリーエンコーダに寄ったカットだ
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 天板部にネジ留めされていた基板のほうには,「EPC-03020300」「2013.12.25」「T=1.2MM」というシルク印刷があった。EPCと言えばプリント基板メーカーであるEPC Internationalが思い当たるが,正直,それ以上のことは分からない。

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天板部に取り付けられていた基板。DPI変更用ボタンのスイッチとLEDが載っている
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こちらは天板部の,メインボタン用スイッチを押す機構。白いプラスチック製で2段構造になっていた

 以上,内部構造は無駄のない構成で,「正しくコストダウンしている」印象がある。正直,もうちょっとごちゃごちゃしていると思ったのだが,その点ではいい意味で期待を裏切られたといったところだ。RayはいいODMメーカーを選んだとも言えるのではなかろうか。

※注意
 マウスの分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は筆者が入手した個体についてのものであり,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。


税込5000円以下のゲーマー向けマウスとしては文句のつけようがない


製品ボックス。ここはコスト削減が入っているのか,かなり地味だ。箱の強度も低い
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 以上,Rayが初めて世に送り出したゲーマー向けマウスを見てきたが,「これ,かなりいいと思う」というのが正直な感想だ。
 2400より上のDPI設定時に明らかな弱点を抱えるものの,ゲームプレイにおいてより重要な400〜1600 DPI設定時のセンサー追従性は極めて高く,リフトオフディスタンスは短く,体感できてしまうレベルの直線補正はなく,そしてボタンの反応も十分に速い。これで税込の実勢価格が4500〜5000円程度(※2018年6月28日現在)なのだからもう驚くほかない。
 海外市場では49〜59ドルくらいなのに,日本では9000円とか1万円とかの価格設定になってしまう他社のミドルクラスモデルを選ぶくらいなら,PAWNを買ったほうが間違いなく幸せになれるだろう。

画像集 No.040のサムネイル画像 / PMW3360搭載で税込5000円以下の「PAWN」レビュー。日本発のゲーマー向け製品ブランド「Ray」第1弾マウスは期待以上の製品だ

 かぶせ持ち時に相性問題が出てしまうおそれはあるので,その点だけは注意が必要だが,それでもPAWNは5000円以下のゲーマー向けマウスとして試す価値の大いにある製品だ。

PAWNをパソコンショップ アークで購入する

PAWNをAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)


日本発の新しいゲーマー向け製品ブランド「Ray」はなぜ立ち上がり,どこを目指すのか。「元SteelSeries」の仕掛け人に聞く


Ray公式Webサイト


(静態撮影:佐々木秀二,握り&分解撮影:BRZRK)
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    Ray

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