「ウマ娘 プリティーダービー」が優秀賞を受賞。“デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'21／第27回AMDアワード”発表

　デジタルメディア協会（AMD）は2022年3月14日，「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'21／第27回AMDアワード」の授賞式を，明治記念館にて開催した。これは，過去1年間に発売または発表されたデジタルコンテンツやサービスから優れたものを選定し，その制作者個人またはグループを表彰するもので，昨年に引き続き無観客で行われた。


　「AMDアワード」は，日本のコンテンツ産業発展のため，その中核的存在としてデジタルコンテンツを捉え，制作者の立場から，デジタル作品の質的向上並びに人材育成の促進を目的としたものだ。

　今年は，ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」（iOS / Android / PC）や，アニメ「シン・エヴァンゲリオン劇場版」など，11のコンテンツが優秀賞として選定され，さらにその中から大賞／総務大臣賞が選ばれた。本稿ではその模様をレポートする。

　授賞式の冒頭では，コーエーテクモホールディングスの代表取締役会長で，AMDの理事長を務める襟川恵子氏が挨拶を行った。
　襟川氏は，長引く新型コロナや地球の温暖化，またロシアのウクライナ侵攻など，かつてない規模の諸問題が勃発する中，その解決や支援に取り組んでいる人々への感謝の言葉を述べるとともに，このようなときだからこそ，デジタルコンテンツやデジタルエンターテインメントが心の活力になれば幸いだと述べていた。

AMD理事長 襟川恵子氏（コーエーテクモホールディングス代表取締役会長）

　また近年エンターテインメントおいて，韓国が目覚ましい活躍を見せていることを挙げ，エンターテインメントコンテンツで人々の心を掴み，国のステータスを上げることに成功した政策を讃え，この日本でも，官民が連携を取り，感性豊かな民族がエンターテインメントの分野で活躍すれば，必ず最高のコンテンツが生み出され，世界中の人たちの心を豊かにし，平和にもつながると信じていると話す。

　すでに過去記事で紹介しているが，10名の審査員によって選ばれた“2021年のAMDアワード各賞”は以下の通り。今年は，11のコンテンツが優秀賞として選出され，その中から大賞／総務大臣賞とAMD理事長賞が選ばれた。

大賞／総務大臣賞

作品名	受賞者／制作・関連会社等
最愛	TBS金曜ドラマ「最愛」 株式会社TBSスパークル／株式会社TBSテレビ

AMD理事長賞

作品名	受賞者／制作・関連会社等
東京リベンジャーズ	株式会社講談社 アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会／株式会社ポニーキャニオン／株式会社ライデンフィルム 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会／株式会社フジテレビジョン

年間コンテンツ賞「優秀賞」

作品名	受賞者／制作・関連会社等
いらすとや	みふねたかし
	ウォーリー木下
ウマ娘 プリティーダービー	株式会社Cygames「ウマ娘プリティーダービー」運営チーム
THE FIRST TAKE	THE FIRST TAKE
シン・エヴァンゲリオン劇場版	株式会社カラー
新宿東口の猫	株式会社クロススペース／株式会社オムニバス・ジャパン／株式会社ユニカ
日本沈没ー希望のひとー	TBSテレビ日曜劇場「日本沈没ー希望のひとー」 株式会社TBSテレビ
歌姫 Belle（映画「竜とそばかすの姫」）	Belle（中村佳穂）
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する制度改正	文化庁

功労賞

作品名	受賞者／制作・関連会社等
	株式会社刀 代表取締役CEO 森岡 毅

江波直美賞（新人賞）

作品名	受賞者／制作・関連会社等
	Ado

リージョナル賞

作品名	受賞者／制作・関連会社等
eかみしばいコンテスト〜まちのデータ地図ちーず〜	香川大学創造工学部 講師／eかみしばいコンテスト実行委員会実行委員長 米谷雄介

※敬称略

　今年はコンテンツやサービスにのみならず，“歌姫 Belle”といった映画のキャラクターや，文化庁による制度改正など，幅広い受賞者が決定。ゲームコンテンツとしては，2021年2月24日にリリースされた，Cygamesの「ウマ娘プリティーダービー」が年間コンテンツ賞「優秀賞」に選出されている。

　その選定理由として，「競馬愛」が伝わる作り込みの深さや，それに対する高い評価が挙げられており，競馬人気にも大きく貢献したことや，今後のコンテンツのさらなる発展に期待を込めての表彰となった。

ゲームコンテンツより受賞した「ウマ娘プリティーダービー」

　受賞を受けた，Cygamesの取締役である近石愛作氏は，スタッフ一丸となってユーザーに楽しんでもらえるよう自信を持ってリリースし，その評価が受賞につながったことに感謝の言葉を述べ，運営から1周年を迎えた今後も，魅力的なコンテンツを提供していくことを約束した。

Cygames取締役 近石愛作氏

　なお，今年の大賞／総務大臣賞は，TBSのドラマ「最愛」に決定している。見逃し視聴配信の初回配信数が286万7362回と，歴代ドラマの記録を塗り替え，全話総配信数でも2665万4976回で1位に。放送＋配信において，2021年の視聴者の心を最も掴んだ作品として受賞に至った。

TBSスパークル プロデューサー 新井順子氏に，総務大臣の金子恭之氏より賞状と記念品が贈られた

主演女優の吉高由里子さんは，記念のフラッグを受け取った

　審査員長を務める夏野 剛氏は，ミステリーと愛を掛け合わせ，繊細かつ込み入った展開は，日本ならではの力だと評する。また，今年はテレビの強さが出てきたこと述べ，現在のテレビの制作者がデジタルやインターネット，SNSなどを意識した優れたコンテンツを作り出し，それがクリエイティビティにもつながったと話していた。

AMDアワード審査員長 夏野 剛氏（慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授）

　そして最後に，優秀賞を受賞した，文化庁の“放映番組のインターネット同時配信に係る制度改正”がそれを後押しすることで，今後ネットとテレビの融合がさらに行われ，日本のコンテンツ産業がより発展していくことを祈りたいと総評，式典を締めくくった。

「一般社団法人デジタルメディア協会」公式サイト