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御影良衛氏はいかにしてどん底から立ち直り,再起するに至ったか。「クラン戦記」開発者インタビュー
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印刷2018/05/29 13:00

インタビュー

御影良衛氏はいかにしてどん底から立ち直り,再起するに至ったか。「クラン戦記」開発者インタビュー

クラン戦記
 リブリーズとMIKAGEが共同開発するPCブラウザ/スマホ向けMMORPG「クラン戦記」BROWSER / Android)が本日(2018年5月29日)発表され,DMM GAMESで事前登録受付が開始された(関連記事)。
 ドットグラフィックスを採用し,“カジュアルにプレイできるMMORPG”を謳う本作の企画を手がけるのは,御影良衛氏である。

 御影氏はイメージエポックの代表取締役社長として,「ルミナスアーク」「セブンスドラゴン」といったRPGシリーズを世に送り出したが,同社は2015年に破産。御影氏の動向も分からなくなっていた。

 いわばどん底にまで落とされた御影氏はどのように立ち直り,ゲーム業界に戻ってきたのか。そして復帰作となるクラン戦記にはどのような思いが込められているのか。

 今回4Gamerは御影氏に加えて,リブリーズのアーキテクト・エンジニア兼代表取締役の蓬莱一朗氏,クラン戦記のグラフィックスを手がけたイクシールのプロダクトマネージャー兼デザイナーである森田圭一郎氏に話を聞いた。

クラン戦記
クラン戦記
クラン戦記


「死なないようにしよう」だけを目標に生きていた


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。久しぶりに御影さんが表舞台に出てこられたということで,イメージエポック時代のことも含めて,いろいろとお聞きしたいことがあります。お答えづらい質問もあると思いますが……。

御影良衛氏
クラン戦記
御影良衛氏(以下,御影氏):
 なんでも聞いてください。ただ,本当に話せないこともあるので,そのときはごめんなさい。

4Gamer:
 では,遠慮なくうかがいます。イメージエポックが破産手続きを開始したのが2015年5月でしたが,その経緯と,これまでどうしていらっしゃったのかを聞かせてください。

御影氏:
 いろいろと記憶が不明瞭なところもあるので,頭の中の整理も兼ねて話しますが,発端になったのは,大型プロジェクトの開発を中止したことだったと思います。それが特別損失として計上されたのが,2014年の後期です。

4Gamer:
 開発を公にしていないタイトルですか。

御影氏:
 はい。その後,もう1つ内部で作っていたタイトルも諸事情で畳むことになったり,発売したタイトルでも損失が出たりして……。その前に溶けていた回転資金と合わせて,最終的に11億弱ぐらいで倒産しました。
 最後の頃に開発・販売したタイトルは,当初10万本を目指していたんですが,ちょうど2014年から2015年あたりにかけて,新規IPで10万本という数字は夢物語になりつつあったんですよね。無事発売できて,評判もそう悪くなかったタイトルも、残念ながら開発費を上回る収益を上げることができず,赤字になったので,もうこれは回らない,2015年の春で“終わり”かもしれないと。

4Gamer:
 企画の立ち上げ時と発売時で,状況が大きく変わってしまっていたんですね。

御影氏:
 助けてくださる会社もいっぱいあって,ゲーム以外の開発作業も請け負ったりしました。ですが,専門ではなかったこともあって,ご迷惑をおかけしましたし,十分な成果が出せたとは言えなかったですね。

4Gamer:
 うまくいかないものですね。

御影氏:
 はっきり無理だなと悟ったのは破産の1年半前ぐらいで,自分の中では「いきなり潰れた」という感じではなかったです。

4Gamer:
 2015年春の1年半前ということは,2013年の秋くらいにはもう厳しいと思われていたんですか。

御影氏:
 スマホゲームに移行しようとも思ったのですが……当時,コンシューマとスマホの開発の仕方は著しく違っていたので,うまく行きませんでした。

4Gamer:
 同じゲームとはいっても,やはり違うものなんですね。

御影氏:
 スマホゲームというのは少人数で開発し,ヒットしたらチームを大きくしていくというやり方が一般的ですので,100人以上のチームでコンシューマゲームを作っていたイメージエポックが一気にスマホへ移行するのは無理がありました。
 また,コンシューマとスマホの,文化の違いも当時は大きかったと思います。

4Gamer:
 文化ですか。

御影氏:
 コンシューマゲームには「作る前にしっかり考える文化」があって,開発には1年から3年かけるのが当たり前ですが,当時のスマホゲームは,ジャンルにもよりますが,比較的「作りながら考える文化」で,1年かけずに開発するというのが普通でした。

4Gamer:
 正反対の手法といってもいいくらいですね。

御影氏:
 そういうこともあって,スマホにすぐ移行するのは無理だと判断したんです。ちゃんと失敗したうえで次に向かう,クッションのような時間があれば何とかなったかもしれません。

4Gamer:
 それをやるには,さきほどの話に出たタイムリミットに間に合わなかったと。

御影氏:
 はい。なのでそれからは,既存の開発を終わらせて,会社を縮小させながら,できることを模索していました。
 蓬莱さんとの出会いもその頃です。Webゲームやソーシャルゲームの企画を3本ぐらい通して受託の仕事を取ったんですが,サーバーエンジニアが内部にいなかったので,蓬莱さんの会社(リブリーズ)にサーバーの設計をお願いして,デザインとプログラムも外注しました。そんな感じで,会社が潰れるまでの1年間でいくつかのタイトルを作ったんです。

4Gamer:
 「出社したら張り紙がしてあって会社が潰れてました」みたいな話もよく聞きますが,御影さんは最後まで見届けたと。

御影氏:
 取引会社様のご協力もあって,社員の給料分は確保できたのですが,支払いができなかったフリーランスの方が若干名いますし,ゲーム開発以外の業務を行っていた外注会社への未払いも起きてしまいました。この件に関しては大変に申し訳ないと思っています。

4Gamer:
 過去に掲載した4Gamerのインタビュー記事を読んでいても思ったのですが,御影さんは客観的に物事を見て,論理的,合理的にものごとを考えるような印象があるんです。今回も,本当のギリギリまで粘るのではなくて,1年前から“撤退戦”を始めたわけですよね。
 イメージエポックは御影さん自身が立ち上げた会社で,思い入れもあると思いますが,その決断も合理的にすんなりとできたんでしょうか。

御影氏:
 いや,そこはしがみつきましたよ。ものすごく葛藤して,ドロドロになるまでしがみついてました。実を言うと,潰れる予兆のようなものを最初に感じたのは3年前で,経営に関わっていた人から,人員削減や会社のあり方について提言されたんですよね。
 ただ,その時の僕は社長として適切な判断やアクションを取ることができませんでした。「10人乗っている船から4人落とさなきゃ,みんな死にますよ」みたいな例え話がありますが,僕の場合,10人のうち7人落とさなきゃいけない状況だったんです。

クラン戦記

4Gamer:
 それは簡単に決断できないですね……。

御影氏:
 その提案をしてくれた人も情の厚い方だったので,僕が突っぱねたのを受け入れてくれたんですが,そこからが泥沼の始まりでした。
 会社の状態を察して,自分たちで対岸に泳ぎ出す社員もいます。それは悪いことではないですし,むしろ当然のことですが,それによって会社は揺れるんですよね。
 昔の僕なら,何かかっこいいことを言ってまとめ上げられたかもしれませんが,残念ながら僕自身もかなりまいり始めていて,自分の能力にすごく疑問を感じるようになっていました。

4Gamer:
 追い詰められていたんですね。

御影氏:
 「もっとうまく経営できたはずなのに」と積み重なったものを反省するんです。そうやって積み重なったものって,どこかでリセットしなきゃいけないんですが,その機会を僕は突っぱねちゃったんですよね。
 あの提言を受けて入れていれば,赤字は半分程度になっていたでしょうし,会社を再起する別のプランもあったと思います。
 まぁ,そう言えるのも,ある程度の時間が経ち,思考を整理して反省したからであって……。当時受け入れていたとしても,その後自分の裁量でうまくいったかはかなり疑問ですが。

4Gamer:
 今振り返れば,そこが最終的な分かれ目だったと。

御影氏:
 さきほどの船の例えでいうなら,僕は沈没することを選んでしまったんですよ。それに対してはものすごく反省しています。会社を畳む直前はゲーム業界を辞めようと思っていました。運送など,完全に別業種の会社役員の方に声をかけてもらったりもしたので,そっちに行こうかなとか。学生時代にトラック運転手の仕事をやっていたこともあるので,肉体労働もやりますよみたいな感じでした。

4Gamer:
 ゲーム業界から離れたくなる気持ちは,分かるような気がします。

御影氏:
 会社を畳むときに,いい終わり方ができない関係者も出てきます。申し訳ないと反省しても,自分では解決できない。そう悟ると,頭にチラついてくるのは「死」なんですよね。
 すごく病んでたんだなと思います。感情がなくて,ご飯食べても味がしないし,人に触られても感覚がないんですよね。すべてが本当にボヤっとしていて,「あっ,これは1本糸が切れたらいつでも死ねるな」って思いました。

4Gamer:
 やはりそういう精神状態になってしまうんですね……。

御影氏:
 3か月間引きこもっていたんですが,振り返ってみると,その時は「死なないようにしよう」だけを目標に生きていました。僕は昔から「本当に死ぬぐらいだったら逃げろ,ただ死ぬ直前までは頑張ろう」って自分に言い聞かせていましたが,その頃は本当にヤバいなと思ったんですよ。それを自身でも認識したので,一旦倒産という形で逃げようと思ったんです。それがいいか悪いかでいったら,悪いとは思うのですが……。
 ずっとベッドの上から動けなくて,周りの人から「死なないためにとりあえず食え」と渡されるおにぎりをずっと食ってるみたいな生活でした。
 起きている時間は,ああすれば良かった,こうすれば良かったという思考のループだったんです。

4Gamer:
 その頃の御影さんは,蓬莱さんから見ても「ちょっと危ないかな」みたいなところもあったんですか。

蓬莱一朗氏
クラン戦記
蓬莱一朗氏(以下,蓬莱氏):
 はい,心配でしたね。「ちょっと外に出なよ。うちの事務所においでよ」って誘っていました。

御影氏:
 自分でも一時期は目が泳いでたと思いますし,引きこもっている人の気持ちが分かりました。「あ,人ってこうやって外に出られなくなっていくんだ」って。

4Gamer:
 そんなどん底の状態から,どうやって立ち直ったんでしょうか。

御影氏:
 会社が潰れる前から,迷惑をかけている関係者に謝り続けて,でも自分にはどうしようもなく,脳がストップする……の繰り返しでしたが,いざ完全に会社を潰してしまうと,そういった状態からは解放されるわけです。
 怒られないし,誰も僕に触れてこないし。ずっとベッドの上で寝たきり状態。そうするうちに心が回復してきて,だんだんと負の感情以外のことを考えることができるようになってきたんですね。そうなると自堕落な生活が辛くなってきて,お金を稼ごうと。

4Gamer:
 精神状態が良くなると,自然にやる気も出てくると。

御影氏:
 ゲーム作りに戻ったきっかけは,仲のいいプロデューサーから「コンペ用の企画書を書いてくれないか」と言われたことです。「どうせ暇だし手伝いますよ。手柄も全部あげる」という感じで引き受けることにしたんです。
 とあるアニメが原作で,大手の会社さん3社と競合になってたんですが,そのアニメは大好きで全話視聴してましたし,ラノベも読破していたので「自分に勝てるわけないじゃん」くらいの気持ちで企画書を書いたら,幸運にも勝てたんです。

4Gamer:
 さすがですね。

御影氏:
 それがきっかけになったのかは分かりませんが,その後も相談が来て,「企画書のアイディア,コンセプト,何だったら立ちあげの助走までお手伝いします。ただし僕の名前は出さないでね」っていう条件で,4人ぐらいから似たような案件を受けました。どの案件も予算がついていなかったので,企画が通ったらロイヤリティをもらう形だったんですが,4本中3本企画が通って,結構報酬もいただきましたね。

4Gamer:
 名前を出さないという条件をつけたのは,何故でしょうか。

御影氏:
 当面のお金を稼ぐのが目的で,ゲーム業界に戻ろうという気にまではなっていなかったからです。その頃にちょうど蓬莱さんから「死んじゃうから外に出なよ」って誘われて,彼の事務所に行きました。
 企画書の仕事でしばらく生活に困らないくらいのお金は入ったので,無理に働く必要はなかったんですが,蓬莱さんに心配してもらった優しさが響いたというか,すごく恩を感じていたので,彼が作っているゲームのデバッグを週2〜3日ぐらいで手伝うことにしました。

4Gamer:
 会社に通勤する,という生活が始まったんですね。

御影氏:
 自分でも結構適当に仕事してたと思うんですが,怒りもせずに付き合ってくれて,さらに気持ちが回復していったんですよ。それから1,2か月して,僕の方から「ゲームを作りたい」って言いだしたんですよね。

4Gamer:
 企画書だけではなくて,自分の手でゲームを作りたいと。

御影氏:
 ほかの会社へプレゼンするような元気はなかったので,ただ自分が遊びたいRPGを自分で作りたいと思ったんです。今のクラン戦記よりずっとコンパクトなソーシャルRPGを考えていました。
 そこで蓬莱さんに「お金出すからプログラム書いてくれない?」と話したら,彼が「御影さんがやるんだったら,僕もその話に乗るよ」って言ってくれて,お金の出資と,プログラム作業を引き受けてくれました。

4Gamer:
 ある程度のお金はあったとのことですが,MMORPGを作るとなると,資金も必要ですよね。

御影氏:
 まず僕と蓬莱さんの作業については,売上が立つまで0円計上にしました。
 そして僕とリブリーズさんのお金を合わせると,多くはないですが,それなりの額にはなりそうだとなって「自分達がしっかり時間をかけて真面目にやれば,普通の会社が1億ぐらいかけるようなものを作れるぞ」と話しながら,2015年の秋に「クラン戦記」の企画をスタートさせました。

クラン戦記

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