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印刷2018/06/14 12:20

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[E3 2018]「もうこのロープ(絆)は放さない」。小島秀夫監督が「DEATH STRANDING」(デス・ストランディング)の制作について語る

画像集 No.002のサムネイル画像 / [E3 2018]「もうこのロープ(絆)は放さない」。小島秀夫監督が「DEATH STRANDING」(デス・ストランディング)の制作について語る
小島秀夫監督
 Sony Interactive EntertainmentがE3 2018に合わせて開催している配信イベント・PlayStation Live From E3。その2日目(日本時間2018年6月14日)の8:00からコジマプロダクションのPS4向け新作「DEATH STRANDING」(デス・ストランディング)が取り上げられ,解説に登場した小島秀夫監督が本作の新トレイラーについてや,制作の裏話などを語った。イベントにはGuerrilla GamesのHermen Hulst(ハーマン・ハルスト)氏も参加し,DEATH STRANDINGで使用しているDecima Engineの話をしてくれたので,合わせてまとめておこう。

※画像は配信映像からキャプチャしたものです

 なお小島監督が語った内容についてはPlayStation.Blog(※外部リンク)に掲載されたメッセージと共通する部分もあるので,補完する形でチェックしてもらえれば幸いだ。

イベントの様子。左から2番目に小島秀夫監督,通訳を挟んで,Guerrilla Gamesの(ハーマン・ハルスト)氏
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 まず新トレイラーついてだが,小島監督によれば今回のトレイラーは,ゲームプレイ画面を披露すること,これまでのトレイラーにあった謎解きの答えのようなものを見せること,そしてレア・セドゥさんリンゼイ・ワグナーさんという2人のヒロインを紹介すること,の3点がテーマであったという(“謎解き”については詳しく言及されなかったが)。

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レア・セドゥさん
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若き日の姿で登場したリンゼイ・ワグナーさん

 レア・セドゥさん,リンゼイ・ワグナーさんは共に人間としても非常に素晴らしく,一緒に仕事ができて嬉しく思っており,とても良い環境で仕事ができていると小島監督。監督にとっては,2人とも尊敬すべき大好きな女優であり,まず「仕事を受けてくれるかどうか」というのが一つの大きな壁だったそうだ。現在はこの2人,そしてすでに参加が明らかになっているノーマン・リーダスさんマッツ・ミケルセンさんと「一緒にDEATH STRANDINGを作っている」といった環境を構築できているという。

 トレイラーの話題で本作のヒーロー像について触れた小島監督は,リーダスさん演じる主人公・サムは,どちらかというと“ブルーカラー”に属するキャラクターであるとしていた。これまでのヒーローといえば,いわゆるエリート,神や王子様,警察とか軍人,役人といったものが多かったが,サムはそれとは異なり,あくまでも「肉体と精神力で世界を救う」キャラクター。そしてそれは,サムのコスチュームや装備にも表れているという。作業着にも見えるコスチュームの汚れなどで,そういった部分が表現されているのかもしれない。

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 ちなみに,新トレイラーを観た人は分かると思うが,今回の映像には「サムが地面に落ちた写真を拾う」シーンがあった。このシーンで,サムの手の甲に施されたタトゥーが気になったという人は多いはずだ。

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 実は元々,このタトゥーは存在しなかった。リーダスさんの3Dスキャンは小島監督いわく“けっこう前”に行われたのだが,今年になってリーダスさんが「新しいタトゥーをしたから(サムにも)入れてくれ」と言ってきたそうだ。小島監督はリーダスさんのさまざまなタトゥーをなるべく再現したいと考えていたことから,急遽キャラクターにタトゥーが入れられることとなった。そのため,本当は写真に意識を向かせるはずが,タトゥーに意識がいくような形になってしまったそうだ。MCから「マスターアップ直前にノーマンがでっかいタトゥーを入れてきたらどうするの?(笑)」などと突っ込まれ,これには小島監督も苦笑いを浮かべていた。

 また今回,監督はCGで“若き日のリンゼイ・ワグナーさん”を作ったわけだが,それを見たミケルセンさん,リーダスさんはどちらも「俺も若くしてくれ」と言っていたという。こういったエピソードを聞くに,なんだか楽しそうな現場である。

 なお音楽については,日本人アーティスト・SILENT POETSが“知り合いの知り合いだった”とのことで,新譜(※アルバム「dawn」)の1曲目(※「Asylums for the feeling」)を聴いた時に,サムが荒野を歩く様子が浮かんだのだという。今回の新トレイラーは「音楽とDecima Engineありきのトレイラー」であるそうだ。

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 そのDecima EngineについてGuerrilla GamesのHulst氏は,スタジオ(コジマプロダクションとGuerrilla Games)同士で深くコンタクトして,「Horizon Zero Dawn」のエンジンをアップグレードしていったことを明らかにしていた。Guerrilla Gamesは新トレイラーについて「どのようにエンジンが使われるのか」という観点で非常に楽しみにしており,実際にトレイラーを観て,素晴らしいランドスケープやグラフィックスを見られたことが幸せだと語る。

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 Hulst氏は個人的に「どこまですごい“シネマティック”ができるか」という点に興味があるのだという。小島監督はその点で,これまでに非常に素晴らしい仕事をしており,今回もDecima Engineを監督のやり方で大きく推し進めてくれた,と語っていた。トレイラーを見て,とくに「サムのバランスを取って歩く様子」に驚いたそうで,小島監督に「どうやったの?」と聞きたい気持ちが強いそうだ。

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 小島監督は“厳しいカスタマー”であったが,Guerrilla Gamesは学ぶことが多くあったとHulst氏。ランゲージやカルチャー,ゲームの作り方などは異なるものの,ゲームにかける思いはお互いに同じであることも分かり,一緒に仕事ができて素晴らしかったと締めくくっていた。
 ちなみに小島監督はDecima Engineの話題になった時,トレイラーでキャラクターが“ただ歩いている”だけのように見えるものの,「プレイすると全然違うと分かるはず」と言っていた。この点ついては,今後詳細が明らかになるはずだ。

 イベントの最後に「DEATH STRANDINGに何を期待してほしいか」を聞かれた小島監督は,「新しいゲーム性と新しいゲームの“やりかた”」を挙げていた。今までどおりのプレイもできるが,その“新しい”部分に期待してほしいとのことである。

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最新のキービジュアル ※PlayStation.Blog(外部リンク)より
 そして,「2016年,ぼくには何も無かった」と小島監督は語り始める。事務所もエンジンもツールもなく,頭の中に企画があるだけという状態でMark Cerny(マーク・サーニー)氏(※)とスタジオツアーを行い,そんな自分にGuerrilla Gamesは「Decima Engineのすべてが入ったもの」をくれた。「もう,普通は考えられない。感謝です」「Decima Engineがなければこれ(本作)はできません」というのが小島監督の気持ちである。
 また,同じ2016年の1月にリーダスさんに会って企画を伝え,「参加してくれる?」と聞くと,すぐにOKを出してくれたという。「びっくりした。何も無かったのに」と小島監督。

※PlayStation 4のリードアーキテクトで,「ラチェット&クランク」や「KNACK」なども手がけたベテランクリエイター

 DEATH STRANDINGのキービジュアルには「ロープ(ひも)」のようなものが存在しているが,本作のテーマはロープで表現される「つながり」「絆」である。小島監督は,出演者やスタッフ達,Guerrilla Gamesと「ロープでつながって」作っている,そんな気持ちであるという。そして今回,小島監督から出た言葉の中で最も強く印象に残ったのは,「もうこのロープは放さないつもりです」だ。

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 DEATH STRANDINGは,まだゲームシステムの詳細が明らかになっていない。しかし今回のイベントで,少なくとも小島監督が,クオリティにこだわり,かつ自ら楽しんで制作を行っている様子をうかがうことができた。小島監督,豪華な出演者とスタッフ,高品質のゲームエンジンというコラボレーションによりどんなタイトルが生まれることとなるのか。これからも注目しておきたいところだ。

ちなみに,今回のPlayStation E3 2018 Showcaseで印象に残ったタイトルとして,小島監督は「The Last of Us Part II」,Hulst氏は「Ghost of Tsushima」を挙げていた
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