連載
そうだ アニメ,見よう:第123回は4年半ぶりにスタートした「ワールドトリガー」2ndシーズン。ガロプラ侵攻とB級ランク戦が再開
異次元からの来訪者“近界民(ネイバー)”と界境防衛機関「ボーダー」の戦いを描いた,葦原大介氏のSFアクションコミック「ワールドトリガー」(集英社刊/既刊23巻)。「ジャンプスクエア」で連載中の本作は,2014年から2016年までTVアニメ化され,話題を呼んだ作品だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第123回のタイトルは,4年半ぶりにスタートした「ワールドトリガー」2ndシーズン。制作は東映アニメーション,シリーズ構成は吉野弘幸氏,シリーズディレクターを「聖闘士星矢Ω(第1期)」や「ドラゴンボール超(未来トランクス編)」の畑野森生氏が務めている。
「ワールドトリガー」
門が開いてから4年後,ボーダーの訓練生である“C級隊員”の三雲 修(CV:梶 裕貴)は,近界民の空閑遊真(CV:村中 知)と出会い,幼馴染である雨取千佳(CV:田村奈央)の兄を探すため,3人で玉狛第2(三雲隊)を結成。近界への遠征部隊の加入を目標に,ボーダー内部のランク戦を勝ち抜き,A級を目指すことになる。
そんな折,近界の国々のひとつである軍事大国「アフトクラトル」が侵攻を開始した。前回の第一次侵攻を超える大規模な戦闘の末,修は瀕死の重傷を負ってしまう。
訓練生だった修は,遊真の協力で正規隊員に昇格する |
なんとか命を取り留めた修は回復後,正式に遠征部隊選抜のためB級ランク戦に臨むが,ベテランの部隊を前に敗退。ずば抜けた戦闘経験を持つ遊真や膨大なトリオンを持つ千佳に比べて,自分の力のなさを痛感する。修は,さまざまな人物の助言を受け,自分なりの戦い方を模索し始める。
そんな中,アフトクラトルの命を受けた属国ガロプラが本部を急襲する。ボーダーは,迅 悠一(CV:中村悠一)の予知をもとにA級を中心とした精鋭隊員による極秘迎撃態勢を整え,これを迎え撃つのだった。
迅のサイドエフェクトでガロプラの侵攻を察知 |
ガロプラはアフトクラトルの要請でボーダーを強襲する |
2ndシーズンでは,このガロプラの襲撃から物語はスタートする。彼らの目的はボーダーの遠征艇。大量のトリオン兵と少数精鋭のトリガー使いで構成されたガロプラ部隊の猛攻を,隊員達は熾烈な戦いを経て退けるが,どうやらこれだけでは終わらない雰囲気。ガロプラのリターンマッチは十分にありそうだ。
主人公は“最弱”キャラクター?
ワールドトリガーは,緻密な世界観設定と予想もつかないストーリー展開,そして修をはじめとしたボーダー隊員達の魅力により,今なお熱狂的なファンを抱える作品だ。もともと「週刊少年ジャンプ」誌上で連載されていた漫画なので,知っている人も多いと思うが,軽くおさらいしておこう。
近界とは,人間が暮らす世界と隣り合わせに存在する世界で,そこには多数の国家が乱立し,生体エネルギー「トリオン」を巡る戦争が頻発している。トリオンは人間なら誰しも持っているもので,これを利用した兵器がタイトルにもある「トリガー」だ。
このトリオンを狙って,こちらの世界から人を連れ去ろうとする近界民から,一般市民を守ろうとしているのがボーダーとなる。
三門市にあるボーダー本部。外壁はトリオンで補強されている |
トリオンは,才能と同じように人によって保有量が異なり(鍛錬で増やすことは可能),“玉狛のトリオンモンスター”千佳のように膨大なトリオン量を持つ者もいれば,主人公の修のように平均以下の量しか持たない者もいる。
トリガーを扱うMPみたいなものなので,修ははじめからハンデを背負っている状態。しかも修には戦闘技術もなく,頭が飛びぬけてキレるわけでもない。あるとすれば,“真面目さと飛びぬけた正義感”だけだ。
修は,この持ち前の真面目な性格で地道に努力を重ね,少しずつだが成長していく。“ジャンプ主人公”としては珍しい,ひたすら努力する主人公を描いているのが本作「ワールドトリガー」なのだ。
規格外のトリオン量を持つ千佳。それゆえ近界民のターゲットにされてしまう |
ボーダー隊員達の群像劇
ボーダーの隊員は,A級,B級,C級(訓練生)に分けられ,上位に行くには隊員同士のランク戦で好成績を収める必要がある。このため,本作では“敵VS味方”だけでなく,“味方VS味方”というシチュエーションも頻繁に登場する。対近界民戦では頼もしい味方だった隊が,ランク戦では強敵となるわけだ。
しかも登場する隊の数も尋常ではない。A級には9部隊,B級は約20部隊あり,ひとつの隊は3〜4人(+オペレータ)で構成され,アタッカーやスナイパー,ガンナー(シューター)のポジションを決めて編成される。中にはスナイパーだけの部隊というトンデモ編成もあり。
各隊員には,それぞれ細かいプロフィールが設定されているので,いわゆるモブキャラはひとりも存在しない。アニメのエンディングロールに掲載されている声優陣の数を見るだけでも,ちょっとしたショックを受けるほどだ。
作中には,主人公の三雲隊だけでなく,A級1位の太刀川隊や女性だけの那須隊,ユニフォームはスーツ姿の二宮隊など,バラエティに富んだチームが登場し,実ににぎやかだ。それぞれの勝つためのひたむきな努力を見せられるうちに,いつの間にやら“自分の推しチーム”が生まれている人も多いだろう。
今後の展開は,ガロプラ襲撃の裏で,三雲隊のB級ランク戦が再び始まる。前回の敗北を踏まえて,チームリーダーとしての修の真価が問われるわけだが,百戦錬磨の他チームを相手に,新人の三雲隊がどこまで健闘できるのか。非常に楽しみなところだ。
4年半ぶりの再開となるTVアニメ「ワールドトリガー」は,強力な制作陣により,アクションや演出なども大幅にパワーアップを果たした。1stシーズンにあった冒頭の“これまでのあらすじ”が無くなり,濃厚な30分を味わえる構成に進化している。1stシーズンも各配信サービスで視聴できるので,今からでも“ワートリ・ワールド”にハマってみるのはいかが?
TVアニメ「ワールドトリガー」公式サイト
TVアニメ「ワールドトリガー」公式Twitter
放映データ |
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2021年1月〜 |
キャスト | |
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空閑遊真:村中 知 | |
三雲修:梶 裕貴 | |
雨取千佳:田村奈央 | |
迅 悠一:中村悠一 | |
ヒュース:島﨑信長 | |
林藤 陽太郎:浦和めぐみ | |
香取葉子:潘めぐみ | |
若村麓郎:赤羽根健治 | |
三浦雄太:三野雄大 | |
染井 華:近藤玲奈 | |
ガトリン:江川央生 | |
ラタリコフ:豊永利行 | |
ウェン・ソー:園崎未恵 | |
コスケロ:津田健次郎 | |
レギンデッツ:村瀬 歩 | |
ヨミ:白石涼子 |
スタッフ |
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原作:葦原大介「週刊少年ジャンプ」「ジャンプ SQ.」(集英社)連載 |
シリーズディレクター:畑野森生 |
シリーズ構成:吉野弘幸 |
音楽:川井憲次 |
キャラクターデザイン・総作画監督:海谷敏久 |
色彩設計:永井 留美子 |
(C)葦原大介/集英社・テレビ朝日・東映アニメーション |
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