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「そうだ アニメ,見よう」第34回は聖杯大戦を描く「Fate/ Apocrypha」。「FGO」でおなじみのサーヴァント達が大活躍
先日,千葉・幕張メッセで開催された「Fate/Grand Order Fes. 2017 〜2nd Anniversary〜」にて,2017年冬放送予定の「Fate/EXTRA Last Encore」の新PVが公開された。ダンジョンRPGだった「Fate/EXTRA」がアニメでどう生まれ変わるのか,4Gamer的に気になるところだ。
さて,「そうだ アニメ,見よう」第34回のタイトルは「Fate/Apocrypha」。原作は,東出祐一郎氏による「Fate/stay night」のスピンアウト小説で,TYPE-MOON BOOKSから全5巻が発売されている。制作スタジオはA-1 Pictures,監督は「STAR DRIVER 輝きのタクト」や「Charlotte」の浅井義之氏が務めている。
「Fate/Apocrypha」
それは,かつてダーニック・プレストーン・ユグドミレニア(CV:檜山修之)に奪われた大聖杯をめぐる,七騎対七騎のサーヴァントが争う空前絶後の「聖杯大戦」であった。
隠匿していた聖杯をシンボルに掲げ,魔術協会からの離反を宣言したユグドミレニア家は「黒」の陣営,彼らの討伐のために魔術協会に雇われた魔術師達を「赤」の陣営として,東欧のルーマニアの地を舞台に「聖杯大戦」が開始された。
そして,この大戦の調停役として,大聖杯に召喚されたサーヴァントのルーラー(CV:坂本真綾)は,トゥリファスへの道中,赤のランサー(CV:遊佐浩二)の襲撃を受ける。
英霊同士の激しい戦闘が本作の魅力。モードレットの宝具発動シーン |
万能の願望機「聖杯」をめぐる,英霊とそのマスター達の死闘を描いた「Fate」シリーズのスピンアウト作品が「Fate/Apocrypha」だ。本作は,もともとオンラインゲームの企画としてあった原案を,小説作品としてリメイクしたもので,そのためスマホアプリ「Fate/Grand Order」(iOS/Android)のキャラクター達が数多く登場している。
赤のランサー=「マハーバーラタ」のカルナや,黒のセイバー=「ニーベルンゲンの歌」のジークフリート(CV:諏訪部順一)など,神話やおとぎ話に登場する英雄達が死力を尽くして激突するという,胸踊るシチュエーションが本作の魅力だ。ただ,この物語には,もうひとり主役となる人物が存在する。
それが,黒の陣営の魔力供給源として作られたホムンクルスのジーク(CV:花江夏樹)だ。登場した当初は名前もなく,身体を満足に動かせなかった彼だが,とある事情から強靭な肉体を手に入れることになり,聖杯大戦に巻き込まれていく。
「人が願いを叶える物語」が「Fate」シリーズのメインテーマだが,“生きる”という当たり前のことの意味さえ知らなかったジークが,この物語の中でどんな願いを叶えるのか注目したい。
脱走したホムンクルスのジーク。当初は余命3年と宣告されていた |
大聖杯に召喚されたルーラーのサーヴァント,ジャンヌ・ダルク |
七騎対七騎のサーヴァントによる夢の競演
合計15騎ものサーヴァントが参戦する「Fate/Apocrypha」。前出の英霊達のほかに,赤のセイバー=円卓の騎士モードレット(CV:沢城みゆき)や赤のライダー=ギリシア神話のアキレウス(CV:古川 慎),黒のライダー=シャルルマーニュ十二勇士のアストルフォ(CV:大久保瑠美)など,有名な英霊達が陣営に分かれて共闘するのが最大の見どころとなる。
「Fate/Grand Order」のプレイヤーであれば,赤のアーチャー(CV:早見沙織)や黒のバーサーカー(CV:野中 藍)といった,お気に入りのサーヴァントの活躍が見られるだけで満足だという人も少なくないはずだ。ちなみに筆者は,動くルーラー=ジャンヌが見られただけで幸せです。
第1話では黒のセイバー対赤のセイバー,第2話は赤のランサー対黒のセイバー,第3話では3対3のチーム戦が登場。この対決シーンも,人知を超えた力を持つ英霊同士のものにふさわしく,スピード感溢れるアクションとして演出されていた。今後は,お互いの宝具を駆使しての迫力のあるバトルが期待できそうだ。
「黒」陣営のサーヴァント
黒のセイバー(CV:諏訪部順一)
黒のアーチャー(CV:武内駿輔) 黒のランサー(CV:置鮎龍太郎) 黒のライダー(CV:大久保瑠美) 黒のキャスター(CV:宮本 充)
黒のバーサーカー(CV:野中 藍) 黒のアサシン(CV:丹下 桜)
「赤」陣営のサーヴァント
赤のセイバー(CV:沢城みゆき)
赤のアーチャー(CV:早見沙織) 赤のランサー(CV:遊佐浩二) 赤のライダー(CV:古川 慎) 赤のキャスター(CV:稲田 徹) 赤のバーサーカー(CV:鶴岡 聡) 赤のアサシン(CV:真堂 圭)
謎の監督役シロウ・コトミネの真意は?
ここまでの物語は,ダーニックを初めとした黒の陣営サイドを中心に描かれている。傲慢なゴルド(CV:大川 透)や黒のライダーに執着するセレニケ(CV:石上静香)など,個性豊かなユグドミレニア一族のマスター達の事情を垣間見ることができて,なかなか面白い。
一方,赤の陣営サイドは,獅子劫と赤のセイバーのコンビ,そしてサーヴァント達が登場するのみ。赤のマスター達が姿を見せないのはなぜか? 赤のサーヴァント達の発言から推測すると,聖堂教会から派遣された監督役の神父シロウ・コトミネ(CV:内山昂輝)が指揮権を持っているらしいが,監督役にすぎない彼が戦闘に干渉するのはルール違反のはず。どうやらこの聖杯大戦の裏で何かが進行しているようだ。
赤と黒の対決の行方,シロウの行動の真意,そしてジークの運命と見どころが尽きない「Fate/Apocrypha」。サーヴァント達の派手な戦闘だけでなく,物語のほうも目が離せなくなりそうだ。
やんちゃな赤のセイバーに手を焼く獅子劫。意外といいコンビ? |
赤の陣営を掌握するシロウの狙いとは |
アニメ用に最適化されたシナリオ
本作は放映前に,全25話連続2クールでの放送が発表されていた。おそらく全5巻の原作を消化すための編成だろうが,それでも原作のボリュームを考えると,全編を描ききるのは難しいと思われた。
しかし,第1話からこれまでの流れを見たところ,必要のない部分をばっさりと省いた構成で,物語がスピーディーに展開している。むしろ「省きすぎじゃ……」と心配になるぐらいだが,おそらく後半の見せ場に尺を割くつもりなのではないだろうか。
というのも,本作には東出祐一郎氏がシリーズ構成として参加しているのだ。東出氏は「原作小説をアニメ脚本にトランスフォームする」とアニメでの改変を示唆する発言を過去のインタビューでしており,実際セリフや構成に手を加えてるという。
アニメ用にチューンされたシナリオで,原作ファンも十二分に物語を楽しめるというわけだ。
アニメオリジナルの要素も。「不貞隠しの兜」のギミックは素晴らしい |
「Fate」シリーズの外典(Apocrypha)に当たる本作。サーヴァントや魔術用語など,「Fate」ならではの“お約束”がふんだんに盛り込れているので,シリーズ初心者にはハードルが高く感じられるかもしれないが,それだけで見逃してしまうにはもったいない魅力が本作には詰め込まれている。
難しく考えずに,“お気に入りのサーヴァントの活躍を愛でる”ぐらいのスタンスで視聴するのもアリかもしれない。もちろん,原作や「Fate」ファンならば,十分に満足できる作品に仕上がっているのではないだろうか。
なお,赤のライダー役の古川 慎さんと黒のライダー役の大久保瑠美さんが,作品の最新情報や魅力を伝えるWebラジオ番組「RADIO トゥリファス!」が公式サイトで配信されている。収録中のエピソードやキャラクターの裏話なども楽しめるので,一度聞いてみてはいかが。
「Fate/Apocrypha」公式サイト
放映データ |
---|
2017年7月〜 |
全25話 |
キャスト | |
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ジーク:花江夏樹 | ルーラー:坂本真綾 |
シロウ・コトミネ:内山昂輝 | 赤のセイバー:沢城みゆき |
赤のアーチャー:早見沙織 | 赤のランサー:遊佐浩二 |
赤のライダー:古川 慎 | 赤のキャスター:稲田 徹 |
赤のバーサーカー:鶴岡 聡 | 赤のアサシン:真堂 圭 |
黒のセイバー:諏訪部順一 | 黒のアーチャー:武内駿輔 |
黒のランサー:置鮎龍太郎 | 黒のライダー:大久保瑠美 |
黒のキャスター:宮本 充 | 黒のバーサーカー:野中 藍 |
黒のアサシン:丹下 桜 | 獅子劫界離:乃村健次 |
ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア:檜山修之 | |
フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア:赤﨑千夏 | |
カウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニア:小林裕介 | |
ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア:大川 透 | |
セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア:石上静香 | |
ロシェ・フレイン・ユグドミレニア:加藤英美里 | |
六導玲霞:中原麻衣 |
スタッフ |
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原作:東出祐一郎/TYPE-MOON |
キャラクター原案:近衛乙嗣 |
監督:浅井義之 |
シリーズ構成:東出祐一郎 |
キャラクターデザイン:山田有慶 |
サブキャラクターデザイン:須藤智子 |
プロップデザイン:田中一真/伊藤公規 |
モンスターデザイン:蛯名秀和 |
アクションディレクター:榎戸 駿/坂詰嵩仁 |
美術監督:井上一宏 |
美術設定:須江信人 |
色彩設計:茂木孝浩/土居真紀子 |
CGディレクター:中島 宏 |
撮影監督:岡﨑正春 |
編集:髙橋 歩 |
音響監督:岩浪美和 |
音響制作:HALF H・P STUDIO |
音楽:横山 克 |
制作:A-1 Pictures |
オープニングテーマ:EGOIST「英雄 運命の詩」 |
エンディングテーマ:GARNiDELiA「Desir」 |
■Blu-ray情報
Fate/Apocrypha Blu-ray Disc BoxI
【完全生産限定版】
2017年12月27日(水)発売
★12話収録(本編BD5枚+OST1枚)
33,000円+税/ANZX-14121〜14126
発売:アニプレックス/販売:ソニー・ミュージックマーケティング
【完全生産限定版特典】
◆近衛乙嗣描き下ろしBOX
◆東出祐一郎書き下ろし小説
◆特典CD:オリジナルサウンドトラック
◆特製ブックレット:
スタッフインタビュー、設定素材など貴重な制作資料を掲載
◆特典映像:
トレーラー&TV SPOT集、ノンクレジットOP&ED
※商品の仕様は予告なく変更になる場合がございます。
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(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
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