「Detroit Become Human」主人公の1人「カーラ」は少女を虐待から守れるのか。すっきりしないルートをレポート

　北米時間2017年12月9〜10日，アナハイムで開催中の「PlayStation Experience 2017」にて，2018年上期に発売予定のQuantic Dreamが手がける新作アドベンチャー「Detroit Become Human」がプレイアブル出展されていた。
　試遊バージョンの内容は，東京ゲームショウ2017で出展されたものと同じ。アンドロイドの捜査官「コナー」を主人公にしたものだったのだが，プレス向けの試遊台では，女性型アンドロイドである「カーラ」のエピソードもプレイできたので，こちらの模様をお届けしよう。なお，どうしてもネタバレが含まれてしまうので，その点はご容赦いただきたい。

東京ゲームショウにも展示されていたアンドロイドのショウケース。一番端のケースは出入り自由になっていて，一般来場者が“アンドロイドごっこ”の写真を撮影していた

「Detroit Become Human」公式サイト

　カーラは，アンドロイドの普及によって職を失った男・トッドの家で働く家政婦アンドロイドだ。トッドは自分の人生がうまくいっていないことを，娘・アリスのせいにしており，今回のエピソードは，機嫌が悪くなったトッドがアリスに暴力を振るうシーンから始まる。殴られたアリスは自分の部屋に逃げ込むが，どうやらトッドはベルトを使って鞭打ちにしようと考えているようだ。


　このとき，カーラは「そこを動くな」とトッドに命令されており，これに従うのか，それともアリスを守るために意思を持つアンドロイド“変異体”となるか。二者択一を迫られる。もちろんどちらを選んでもストーリーは進行するが，ここでアリスを見捨てようと考えるプレイヤーはおそらく少数派だろう。
　変異体となることを選ぶと，セキュリティを無理やり破壊するような演出が入り，ここから自由に行動できる。


　さて，ここでカーラが取れる行動は3つある。1つがトッドの説得。もう1つがトッドより先にアリスの部屋に入ること。そして，最後が家の探索だ。
　筆者は，激高したトッドを説得してもムダに終わりそうだし，かといって無策でアリスのもとへ向かっても危険だと考え，家を探索することにした。すると，トッドの部屋で拳銃を発見したではないか。これなら，ストーリーが悪い方向に進んだとしても何とかなる気がする。


　しかし，そうこうしている間にトッドがアリスの部屋に到着。慌ててカーラも部屋に飛び込み，トッドに拳銃を向ける。だが，さすがにすぐに射殺するような選択はできず，逆に反撃を受けてしまう。
　トッドの攻撃は，タイミングよくボタンを押したり，コントローラを指定の方向に動かしたりすることで回避できるのだが，これがけっこうシビア。何発か殴られ，拳銃も落としてしまった。揉み合いの最中，拳銃を拾うチャンスがあったものの，なんとこの大事なときに入力失敗。カーラは蹴り倒され，破壊される寸前だ。トドメの一撃を加えようするトッドを前に，筆者はバッドエンドを覚悟した瞬間……。トッドの胸から血しぶきがあがり，倒れてしまったではないか。


　もちろん，カーラは拳銃を持っていない。つまり，トッドを撃ったのはアリスだった。脅威を退けた2人は，家から脱出してバスに乗って逃げられたので，結末はそう悪いものではなかったと思う。おそらく，カーラが破壊されたり，アリスが殺害されたりする最悪の展開も用意されていたはずだ。


　カーラを守るためにアリスが行動したと考えると，アンドロイドと人間の間にも，確かな絆があるのだと感じられる。とはいえ，今回の展開は決してすっきりするものではない。カーラが拳銃を使えば，トッドにボコボコにされる前に対処できただろうし，そもそも説得が成功するルートもあったかもしれないのだ。それなのに，幼いアリスに父親を殺害させてしまったのは，本当に彼女を守れたと言えるのだろうか。今回の展開で逃げた2人が，この後，どのようなストーリーを辿っていくのかも気になるところだ。

　こうしたクリアした後で「あそこでほかの選択をしていれば……」と悩める豊富なストーリー分岐は，本作の大きな魅力と言える。同じエピソードでも，繰り返し遊んでみたくなることだろう。

「Detroit Become Human」公式サイト