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AMD製APU「Athlon GE 240/220/200」レビュー。1万円以下で買えるAPUはゲームPCに使えるのか
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印刷2019/06/21 00:00

レビュー

AMD製APU「Athlon GE 240/220/200」レビュー。1万円以下で買えるAPUはゲームPCに使えるのか

 PCにおけるゲームの性能は,大部分がグラフィックスカードの性能に左右されて,CPU性能が与える影響はそれほど大きくないというのが定説だ。それゆえに,限られた予算でゲームPCを構築するときには,CPUにかける予算を抑えてGPUに予算を回したほうが効率がいいわけだ。
 そうであるなら,思い切って1万円以下で買えるCPUを使ってみたらゲーム性能はどうなるだろうか,というのが今回のテーマだ。そこで今回は,1万円以下で買えるCPUとして,AMDの開発コードネーム「Raven Ridge」こと「Athlon Processors with Radeon Vega Graphics」(以下,Athlon GE)でゲーム性能をテストしてみた。諸事情あって発売から掲載まで間が開いてしまったが,テスト結果はなかなか興味深いものだったのでまとめてみたい。

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Pentiumを競合に定めたRaven Ridge世代のAthlon GE


Athlon GEの製品ボックス
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 4Gamerで,現行のAthlon GEシリーズをレビューで取り上げるのは初めてなので,まずは本稿で扱うAthlon GEとは,いったいどのようなCPUなのかを,ざっくりとまとめてみたい。

 知っている人も多いと思うが,そのそもAthlonとは,AMDが1999年に発表した開発コードネーム「K7」こと初代Athlon以降,同社が伝統的に使ってきたCPUのブランド名である。Ryzen登場後もエントリー市場向けCPUおよびAPUのブランド名として使い続けているものだ。
 AMDは現在,AthlonブランドのCPUとして,今回の主役であるRaven RidgeベースのAthlon GEと,1世代前の「Excavator」アーキテクチャを採用する「Athlon X4」シリーズ(開発コードネームBristol Ridge)という2種類のラインアップを展開している。とはいえBristol Ridgeは,すでに国内市場ではほとんど流通していないので,現時点でAthlonといえば,Raven Ridgeのことと理解していいだろう。

AMDの現行CPUラインアップと競合製品をまとめたスライド。AMDの定義によると,Athlon GEはPentiumクラスのCPU,Athlon X4はCeleronクラスのCPUを競合と見なしている
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 Athlon GEは,ZenアーキテクチャベースのCPUコアとVegaアーキテクチャベースのGPUを統合したAPUで,2018年2月に登場した「Ryzen Desktop Processors with Radeon Vega Graphics」(関連記事,以下 Ryzen G)からブランド名を変えたエントリー市場向けAPUといった製品だ。そのため,アーキテクチャの詳細については,Ryzen Gシリーズのレビューで詳しく説明しているので,未見の人は合わせて参照してほしい。

 Athlon GEには現在,以下の3製品がラインアップされており,本稿執筆時点の国内における実勢価格は順に8000円前後,7000円前後,6000円前後。いずれも1万円以下で購入が可能という手軽さが特徴だ。

Athlon 240GE Processor with Radeon Vega 3 Graphics(以下,Athlon 240GE):8000円前後
Athlon 220GE Processor with Radeon Vega 3 Graphics(以下,Athlon 220GE):7000円前後
Athlon 200GE Processor with Radeon Vega 3 Graphics(以下,Athlon 200GE):6000円前後

左からAthlon 240GE,Athlon 220GE,Athlon 200GE
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Athlon GEシリーズを構成する3製品。おもな違いはCPUクロックが異なることだ
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Athlon 240GEに対する「CPU-Z」の実行結果
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 3製品のスペックを少し細かく抜き出してまとめたのが表1となる。3製品の表面的な違いは,基本的にCPUの動作クロックのみで,統合型GPUのスペックや動作クロックは変わらない。
 表1には比較のために,Ryzen Gの下位モデル「Ryzen 3 2200G」と,国内のPCパーツ市場で流通している第8世代Coreプロセッサの中では最も下位に位置する「Core i3-8100」のスペックも並べている。これらのうち,Athlon GEとRyzen 3 2200Gを比べてみると,分かりやすい違いがCPUコア数だ。Ryzen 3 2200Gは4コア4スレッド対応なのに対して,Athlon GEは3製品とも2コア4スレッド対応となっている。

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 また,Ryzen 3 2200GやRyzenの上位モデルが備える自動クロックアップ機能「Precision Boost 2」に,Athlon GEシリーズは対応していないので,高負荷の状態でも定格クロック以上にはならない。ただ,クロック倍率はロックされていないので,自己責任でオーバークロックは可能だ。

Athlon 200GEは,メモリコントローラのオーバークロック動作がDDR4-2933までに制限されている
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 メモリコントローラの対応も,Ryzen 3 2200GのDDR4-2933に対して,Athlon GEシリーズはDDR4-2667に抑えられている。こちらも,CPUクロック同様にオーバークロック設定はできるのだが,最下位モデルのAthlon 200GEだけは,メモリコントローラのオーバークロック動作がDDR4-2933設定までという上限が設定されている点に注意が必要だ。
 Athlon 200GEとAthlon 240GEおよび220GEに同じダイ(半導体そのもの)を使っていることは間違いないであろうから,Athlon 200GEだけメモリオーバークロックに上限を設けているのは,ハード的な制約ではなく,マザーボード用ファームウェア「AGESA」で,意図的に行っていると思われる。Athlon 240GEおよび220GEとAthlon 200GEは,CPUクロックくらいしか実質的な差がないため,微妙なところで差をつけてみたということなのだろう。


グラフィックスカードとの接続はPCIe 3.0 x8

PCIe接続SSDとの併用は諦めよう


 CPUやメモリのクロック以外で,Ryzen GシリーズとAthlon GEシリーズにおいて実使用で最も影響が大きい違いは,CPUから出ているPCI Express(以下,PCIe) 3.0インタフェースのレーン数だろう。Ryzen Gシリーズは,CPUから16レーン分のPCIe 3.0が出ており,そのうちグラフィックスカードの接続用としては8レーン分を使える(関連記事)。しかし,Athlon GEシリーズは,CPUから12レーン分しか出ていないのだ。
 しかも,12レーンのうち4レーン分はチップセットとの接続に使用するので,ユーザーが利用できるのは8レーン分のみ。つまり,ユーザーが使えるPCIe 3.0の構成は,x8が1つか,x4+x4の2種類しかないので,Athlon GEを搭載するPCにグラフィックスカードを接続する場合は,x8接続で使うのが一般的ということになる。

Athlon 240GE搭載のテスト環境に「GeForce GTX 1080」を接続した状態で,「GPU-Z」(Version 2.18.0,左)と「NVIDIAコントロールパネル」(右)の「システム情報」を確認すると,PCIe x8で接続していることを確認できた
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B350I PRO ACのUEFIにおける標準設定では,PCIeをx8で使うようになっているが,別売りのM.2拡張スロットを使えるように,x4+x4に切り替えることも可能だった
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 仮に,グラフィックスカードだけでなくPCIe x4接続のSSDも使いたいとなると,PCIeをx4+x4で構成しなければならず,単体GPUに割り当てられるのは4レーンのみになってしまうわけだ。
 さすがにゲーム用PCで単体GPUを4レーンで接続するのは,性能面のデメリットが大きすぎるので,ゲーマーにとってAthlon GEベースのPCは,単体GPUとPCIe接続のSSDを事実上併用できないと覚えておくのがいいだろう。

 ちなみに,今回のレビューで使用したMSI製のSocket AM4対応マザーボード「B350I PRO AC」の場合,標準ではM.2スロットを搭載していないこともありデフォルトの設定はx8構成だった。そのため特別な設定なしに単体グラフィックスカードをx8接続で利用できた。


Athlon GEの統合型GPUは,UHD 630並みのスペック


 Ryzen GシリーズとAthlon GEシリーズにおける最後は主な違いは統合型GPUだ。Athlon GEに統合したGPUのブランド名は「Radeon Vega 3 Graphics」。名前のとおり,演算ユニットである「Compute Unit」(以下,CU)を3基搭載したGPUだ。Vegaアーキテクチャでは,「Stream Processor」と呼ばれるシェーダープロセッサを64基で1基のCUを構成するので,シェーダープロセッサの総数は192基となる。
 一方で,Ryzen 3 2200Gの統合型GPUは「Radeon Vega 8 Graphics」で,CU数は8基,シェーダープロセッサ数は512基だ。GPUの規模で比較すると,Athlon GEはRyzen 3 2200Gの約38%しかない。

 ちなみに,アーキテクチャが大きく異なるので単純比較はできないものの,Radeon Vega 3 Graphicsの規模は,Intelが数多くの第7〜第9世代Coreプロセッサで採用している「UHD Graphics 630」(以下,UHD 630)にとても近い。UHD 630のシェーダプロセッサ数は,Radeon Vega 3 Graphicsと同じ192基で,大雑把に言えば,テクスチャユニット数やROP数にも大差がない。GPUクロックにも大きな差がないので,性能も大差ないだろうと推測できる。
 そうなると,UHD 630がそうであるように,Radeon Vega 3 Graphicsをゲーム用に使うのは,少々厳しいと考えていい。AMDは,「軽めのタイトルなら,720pの解像度で60fpsを超える表示が可能」とアピールしているものの,ゲーム用途をメインにするのなら,Athlon GEに単体GPUを組み合わせるのが前提になるだろう。

 次のスライドは,Athlon GEのCPUおよびGPU性能を,AMDが競合とみなすPentiumシリーズと比較したものだ。これを見ると,「Counter-Strike: Global Offensive」(※グラフ内ではCS:GO),「Fortnite」,「Rocket League」「Overwatch」の4タイトルは,解像度1280×720ドット時で,おおむね60fps前後のフレームレートが得られるとAMDはアピールしている

AMDが公開したAthlon GEシリーズとPentiumシリーズの性能比較グラフ。Pentiumシリーズと比べて,Athlonは価格と消費電力が低く,ゲームにおける性能は高いとしている
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 Ryzen GシリーズのCPUコアを2コア4スレッドに削り,GPUを40%以下の規模に削って統合したものがAthlon GEというわけだが,その分だけTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)も下がった。Ryzen 3 2200GのTDPは65Wであるのに対して,Athlon GEシリーズは35Wと半分近くまで下がっている。クーラーが小型のもので済むだけでなく,ファンレスのシステムも実現できるだろう。コンパクトかつ安価なゲーム用PCを構築したいと考えているゲーマーにとっては,歓迎できる存在となるかもしれない。
 あとは,実際の性能がどれほどかという点を調べていくとしよう。


Athlon GEの性能をRyzen GやCore i3と比較する


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 まずはテストの設定からだが,初めに断っておきたいのは,AMDがAthlon GEシリーズの競合としているPentiumシリーズは,テストを行った時点で,国内では通販でも入手できなかったことだ。
 そこで本稿では,Athlon GEシリーズの3製品と,それらよりもスペックの高いCPUを横並びでテストして,エントリー市場向けCPUがRyzen GシリーズやCoreプロセッサの下位モデルと比べてどのくらいの性能を有するのかを確かめることにした。Athlon GEシリーズを検討している読者には,参考になるデータが提供できるはずだ。

 今回はAthlon GEの3製品とともに,比較対象用として前出のRyzen 3 2200Gと,GPUを統合する第8世代Coreプロセッサで最もスペックの低いCore i3-8100を用意した。なお,第9世代Core i3プロセッサは,GPUを統合する製品がまだ市場に出回っていない。
 使用した機材は表2のとおり。前述の通りAthlon GEおよびRyzen 3 2200G用のマザーボードには,Mini-ITXサイズのB350I PRO ACを,Core i3-8100用には,同クラスのマザーボードが調達できなかったので,ASUSTeK Computer製の「ROG MAXIMUS XI FORMULA」を用意した。
 オーバークロックのテストでもない限り,CPUやグラフィックスの性能が,マザーボードで大きく変わることはないので問題ないが,ROG MAXIMUS XI FORMULAは豊富なLEDイルミネーションを備えていたりするため,システム全体の消費電力がやや高くなってしまう傾向にある。消費電力については,後段でも触れたい。

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 テストで使用したメモリモジュールは,DDR4-3200設定が可能なものなので,メモリクロックもDDR4-3200設定を基本とした。ただ,前述したとおりAthlon 200GEだけはDDR4-2933設定で使用している。メモリタイミングは34-14-14-14で統一した。

MUGEN 5 Rev.B
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 なお,CPUクーラーには,サイズ製の空冷式サイドフローモデル「MUGEN 5 Rev.B」を使用している。今回はCore i3-8100が比較対象に入っているので,Socket AM4とLGA1151両対応のMUGEN 5 Rev.Bで統一したが,Athlon GEはTDPが35Wという省電力低発熱のAPUなので,クーラーの性能が強すぎる状態でのテストになった。

 以降では「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)を単体GPUとして搭載したパフォーマンスを比較していく。実行したテストは,4Gamerベンチマークレギュレーション22.1の高負荷寄り設定に準拠して,解像度は2560×1440ドット,1920×1080ドット,1600×900ドットの3パターンとした。
 また,後半では統合型GPUの性能やゲーム以外の用途での実用性といったあたりも軽く調べているので,その結果もまとめておく。統合型GPUの性能検証ではレギュレーションとは異なるテストを実施しているが,それについてはテストパートで触れたい。


GTX 1080とAthlon GEの組み合わせはCPUが大きなボトルネックに


 では順に結果を見ていくことにしよう。まず「3DMark」(Version 2.8.6446)の結果からだ。なお,以下に示すグラフ内では,Ryzen 3 2200GをR3 2200G,Core i3-8100をi3-8100と表記していることをお断りしておく。

 まずグラフ1はDirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものである。
 Athlon GE 3製品の差は極めて小さく誤差程度の違いしかないと言っていいほどだが,強いて傾向を見ると,Athlon 220GEが3つのテストでトップに立ち,Athlon 240GEとAthlon 200GEは優劣つけがたいといった並びになっている。Athlon GE最上位モデルのAthlon 240GEが冴えないというのが奇妙だが,その理由は個別スコアのほうで検討すべきだろう。

 Ryzen 3 2200GとAthlon GEを比較すると,Ryzen 3 2200Gに対してAthlon 240GEは7895%程度,Athlon 220GEは7898%程度,Athlon 200GEは7797%程度となっている。Core i3-8100比だと順に6992%程度,7094%程度,6894%程度だ。
 グラフィックス負荷が軽いFire Strikeでは,Athlon GEシリーズとRyzen 3 2200GおよびCore i3-8100という2つの上位CPUとの差がもっとも大きく,グラフィックス負荷が軽いFire Strike Ultraだと上位のCPUに対してせいぜい約5%以下の差にとどまるというわけだ。GPU性能がスコアに占める割合が大きいテストほど差が小さくなるという妥当な結果だろう。

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 グラフ2はFire StrikeのGPUテスト「Graphics test」のスコアを抜き出したものだ。傾向としては総合スコアと大差がないが,CPUによる違いが非常に小さくなっていることが分かると思う。
 Athlon GE 3製品の差を見ると,総合スコアよりも違いがはっきり出ていて,3つのテストでトップがAthlon 220GE,2番手がAthlon 200E,そしてAthlon 240GEが最下位になった。最上位モデルのAthlon 240GEが最下位に落ちた理由は,個別スコアのうちGraphics testのスコアがやや低く,それが総合スコアに反映されたためだ。ただ,Graphics testのスコアがやや低い理由は判然としない。

 上位のCPUとAthlon GEのスコア差は非常に小さく,Ryzen 3 2200G比では,Athlon 240GEが9697%程度,Athlon 220GEとAthlon 200GEは約99%と,ほぼ肩を並べている。
 一方,Core i3-8100比だと少し差があり,Athlon 240GEのスコアは8995%程度,Athlon 220GEとAthlon 200GEは9298%程度となった。グラフィックス負荷が低いほど差が大きいという傾向は,総合スコアと変わらない。Ryzen 3 2200Gのレビューでも,単体GPUを組み合わせたときの処理効率は,Ryzen系よりCoreプロセッサのほうが少し上という傾向があった。それがAthlon GEでもそのまま出たというところだろう。

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 グラフ3は,CPUベースの物理シミュレーションでCPU性能を測る「Physics test」の結果を抜き出したものだ。
 Athlon GE 3製品の順位を見ると,ここでは僅差でAthlon 240GEがトップに出た。ただ,Athlon 220GEとは誤差程度の違いしかない。3製品の中では,Athlon 200GEのスコアがやや低いが,これはCPUクロックと同時に前述の通りメモリクロックとしてDDR4-2933までしか設定できないことが影響しているのだろう。
 とはいえ乱暴に言えば,Athlon GE 3製品はCPU性能もどんぐりの背比べといったところ。CPUコアに違いがなく,動作クロックの差が大きくないことを考えれば妥当な結果とも言える。

 上位CPUとの差を見ると,Ryzen 3 2200G比でAthlon 240GEとAthlon 220GEのスコアは8384%程度,Athlon 200GEは7879%程度となった。CPU性能は,Ryzen 3 2200G比でざっくりと8割くらいで,CPUコア数が半減していることを考えれば検討していると言っていい。ZenアーキテクチャはSMT(Simultaneous Multi-Threading≒Hyper Threading)の効率が比較的高いので,それが効いているようだ。
 一方,Core i3-8100比だと,Athlon 240GEとAthlon 220GEのスコアは約73%,Athlon 200GEは約69%となった。ざっくり7割くらいのCPU性能というわけだが,価格差を考えると悪くない。

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 興味深い結果が出たのが,GPUとCPUの両方へ同時に負荷をかけたときの性能を見る「Combined test」の結果(グラフ4)だ。
 Athlon GE 3製品のスコアは,誤差程度で横並びと言ってしまっていい程度だが,興味深いのは上位CPUとのスコア差だ。Ryzen 3 2200G比では,Athlon 240GEが5193%程度,Athlon 220GEが5296%程度,Athlon 200GEは4993%程度のスコアという結果になった。Core i3-8100比はAthlon 240GEで4092%程度,Athlon 220GEで4195%程度,Athlon 200GEが3992%程度となる。

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 HD解像度相当でGPU負荷が軽いFire Strikeでは,Athlon GEはRyzen 3 2200Gに対して50%前後,またCore i3-8100に対しては40%前後のスコアしか出せていないというのが特徴的だ。Combined testはCPUとGPUを協調して動作させるので,GPUのスループットが相対的に高いFire Strikeだと,Athlon GEはCPU側の性能がGPUに追いついていない可能性を示唆していると言えよう。Fire Strike Extreme,同Ultraの順で上位CPUとの差が縮小するのは,GPU負荷が高くてスループットが落ちるため,CPU性能の差が見えにくくなるためだろう。

 続いて3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」の結果を見ていこう。
 まず,グラフ5はTime Spyの総合スコアをまとめたものだ。
 順位はFire Strike系と変わらない。上位CPUとAthlon GEシリーズの差は,Ryzen 3 2200G比でAthlon 240GEが8384%程度,Athlon 220GEが8586%程度,Athlon 200GEは8485%程度のスコアとなっている。一方,Core i3-8100に対しては,Athlon 240GEが7678%程度,Athlon 220GEが7780%程度,Athlon 200GEは7680%程度のスコアだった。
 GPU負荷が高いTime Spy ExtremeとTime Spyで,上位CPUとのスコア差がやや縮まっているのが,Fire Strikeとの違いといえる。

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 Time SpyのGPUテストである「Graphics test」のスコアがグラフ6だ。Athlon GE 3製品はほとんど横並びだが,細かく見ると,負荷が軽めのTime Spyで,Athlon 200GEがトップを取るという逆転が起きている。理由は分からない。
 このテストは,GPU性能がスコアに占める割合がとくに大きいため,Athlon GEシリーズと上位CPUのスコア差が小さくなっているのも,総合スコアとの違いだ。

 Ryzen 3 2200G比だとAthlon 240GEが9596%程度,Athlon 220GEが9899%程度,Athlon 200GEはほぼ互角というスコアになった。一方Core i3-8100に対してはAthlon 240GEが9495%程度,Athlon 220GEが9798%程度,Athlon 200GEは約99%のスコアとなる。

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 グラフ7はTime SpyのCPU性能テストとなる「CPU test」のスコアをまとめたものだ。Athlon GE 3製品はTime Spy Extremeでこそ順当にクロック順でスコアが並んだものの,負荷が軽いTime Spyでは,Athlon 220GEがトップで,最上位であるAthlon 240GEが2番手になっている。Athlon 240GEのスコアが安定感を欠くという,これまでの傾向がここでも出ている。

 また,上位CPUとの差がFire StrikeのPhysics testより開いているのも目立つところだ。Ryzen 3 2200G比の場合,Athlon 240GEは6566%程度,Athlon 220GEは6567%程度,Athlon 200GEは6163%程度のスコアになった。Core i3-8100比では,Athlon 240GEとAthlon 220GEが4953%程度,Athlon 200GEは4650%程度のスコアとなっている。
 アーキテクチャが同じRyzen 3 2200G比では,Athlon GEシリーズは,CPUコア数のわりに高いスコアを出しているものの,Fire StrikeにおけるPhysics testほど良好なスコアとは言い難い。SMTの効果が出にくいテストということだろう。

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 以上をざっくりまとめると,Athlon GE 3製品の性能差はあまりなく,少なくともGPUが主体となる処理ならば,上位CPUの約95%以上という性能が得られるというポジティブな評価を下せるだろう。一方で,Fire StrikeのCombined testは少々懸念材料で,CPUがフレームレートのボトルネックになる可能性を示唆している。

 以上を踏まえたうえで,ゲームによる評価を進めていこう。グラフ810は「Far Cry 5」のスコアをまとめたものだ。
 3つの解像度をざっくり眺めると,Athlon GE 3製品ではAthlon 220GEの平均フレームレートがAthlon 240GEより0.51フレームほど高く,Athlon 200GEは2フレームほど低いという結果になっている。Athlon 240GEがさえないのは,これまでのパターンを踏襲するものだ。一方,Athlon 200GEがわずかに差をつけられたのは,メモリコントローラがDDR4-2933までしか対応しないことが影響しているのだろう。

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 それよりも気になるのは,Athlon GE 3製品だと2560×1440ドットとそれ以下の解像度で,フレームレートが数フレームしか変わらない点だ。Ryzen 3 2200Gでは10fps程度,Core i3-8100では20fps以上違いが出るので,Athlon GE 3製品の実効性能は解像度にあまり影響されないことが分かる。これはすなわち,3DMarkのCombined testと同様に,CPUがボトルネックになっているためと見て間違いないだろう。

 上位CPUとのスコア差も,解像度が高いほど小さくなる。たとえば,Athlon 220GEの平均フレームレートは,1600×900ドットではRyzen 3 2200Gの約70%,Core i3-8100の約56%にとどまるのに対して,2560×1440ドットでは順に約77%,約70%の差となる。これもCPUがボトルネックになっていることを示す明確なパターンだ。
 結果的に,Athlon GE 3製品では3つの解像度とも快適にプレイできる平均60fpsという目安をクリアすることができていない。上位のCPUが軽々とクリアしているのとは対照的で,Athlon GE 3製品でFar Cry 5のプレイするのは,やや厳しいと言わざるをえない。

 続いては,「Overwatch」のスコアをまとめたものがグラフ1113だ。
 Athlon GE 3製品のスコアは若干荒れ気味で,1920×1080ドットと1600×900ドットでは最小,平均ともに,最下位モデルのAthlon 200GEが僅差でトップになった。メモリクロックが上位2モデルより低いAthlon 200GEが,低解像度でトップになるのはやや解せないが,Overwatchでも高解像度と低解像度の差は小さいことが,なにか影響している可能性はある。

 Athlon GE 3製品では,2560×1440ドットの平均フレームレートが1600×900ドットより10%前後低いのに対して,Ryzen 3 2200GやCore i3-8100では,40%前後も低いことが分かる。結果として2560×1440ドットでは,Athlon GE 3製品はRyzen 3 2200Gの約90%,Core i3-8100Gの約70%というスコアになった。CPUのボトルネックが影響して,低解像度時のフレームレートが振るわない傾向が見てとれるわけだ。
 プレイアブルかという視点でいえば,Athlon GE 3製品でも60fpsという目安の平均フレームレートを余裕で超えている。ただ,スコアにCPUのボトルネックが現れて,Athlon GE同士での差があまりないのは気になるところだ。

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 PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(以下,PUBG)のテスト結果をまとめたグラフ1416を見てみよう。
 PUBGでは,1920×1080ドットおよび1600×900ドットでAthlon 240GEがトップとなった。最小フレームレートもAthlon 240GEは良好で,動作クロックが高い製品が低解像度で好成績を収めるという順当な結果だ。
 一方,2560×1440ドットでは,Athlon 200GEの平均フレームレートが上位2モデルより有意に低いのが目につく。これはメモリクロックの差が影響しているのかもしれない。
 Athlon 220GEの最小フレームレートがどの解像度でも振るわないのが気になるが,PUBGの最小フレームレートは,テストを行うトレーニングモードにおいて,他のプレーヤーが近づいてきたり,撃ってきたりすると低下する傾向があるので,その影響によるブレの範囲と思われる。

 上位CPUとの差を見ると,Ryzen 3 2200G比でAthlon 240GEは7783%程度,Athlon 220GEが7281%程度,Athlon 200GEは7276%程度の平均フレームレートとなった。Core i3-8100比だとAthlon 240GEが6178%程度,Athlon 220GEが5279%程度,Athlon 200GEは5375%程度の平均フレームレートになっている。
 なお,Athlon 220GEやAthlon 200GEでは,2560×1440ドット時のフレームレートが,1600×900ドット時よりも10%ほど低くなっており,ここまでと同様に,低解像度時におけるCPUのボトルネックが強く出ているのは気になるところだろう。

 快適にプレイできる平均100fps,最小80pfsという目安を,Ryzen 3 2200GやCore i3-8100はフルHD以下の解像度でなんとかクリアしているのに対して,Athlon GE 3製品はそれができないというのも,大きなポイントと言えようか。

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 グラフ1719は「Fortnite」のスコアをまとめたものだ。Fortniteではいずれの解像度でも平均,最小ともにAthlon 220GEがトップになり,2番手がAthlon 200GE,Athlon 240GEが最下位という,ここまでのいくつかのテストで見られたパターンが再現された。

 上位CPUと比較すると,Athlon 220GEとAthlon 200GEは,2560×1440ドットおよび1920×1080ドットでの平均フレームレートが,Ryzen 3 2200Gとほぼ並んでいる。正確に言うなら,Athlon 220GEは2560×1440ドット時に限ってRyzen 3 2200Gより平均フレームレートが約3%高いのだが,おおむね横並びということでいいだろう。
 最下位になったAthlon 240GEでは,2560×1440ドット時でRyzen 3 2200Gの約96%,1920×1080ドット時で約94%の平均フレームレートなので少し低い程度であるが,1600×900ドット時は約84%と目に見えて低いので,やはりフルHD以上の解像度では上位のCPUとフレームレートの差が縮まる傾向を示している。
 Core i3-8100比でも,ほぼ似た傾向が出ているので,FortniteはCPUの負荷が比較的軽く,フルHD解像度以上なら,CPUがボトルネックになりにくいことが伺える。一方で,解像度の低い1600×900ドットでは,逆にCPUが少しボトルネックになっているわけだ。

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 いずれにしてもAthlon GEシリーズは,フルHD解像度までなら快適にプレイできる平均フレームレート70fpsを余裕でクリアできている。2560×1440ドットでも,Athlon 220GEは70fpsをギリギリだが超えているので,フルHD以上の解像度でプレイしても,上位CPUとの性能差をさほど感じずに済みそうだ。

 続いては,「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)の結果(グラフ2022)を見ていこう。
 Athlon GE 3製品を比べると,どの解像度でもAthlon 220GEとAthlon 200GEがほぼ横並びで,Athlon 240GEは12フレーム程度落ちるという結果となった。なぜかAthlon 240GEが振るわないという傾向は,ここでも出ている。
 また,解像度が低いほどCPUのボトルネックが顕在化するのは,Shadow of Warも同じだ。Athlon GE 3製品では,2560×1440ドットの平均フレームレートは1600×900ドットの約70%で済むが,Ryzen 3 2200GやCore i3-8100は70%未満である。つまりAthlon GE系だと低解像度にしてもフレームレートの差は大きくなく,それはCPUがボトルネックになっていためと考えられるわけだ。

 上位CPUと比較すると,Ryzen 3 2200G比でAthlon 240GEが8292%程度,Athlon 220GEは8396%程度,Athlon 200GEは8295%程度となった。また,Core i3-8100比ではAthlon 240GEが6970%程度,Athlon 220GEは7073%程度,Athlon 200GEは7072%程度だ。Core i3-8100比で7割くらいのフレームレートといったところか。

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 結果的に,快適なプレイが可能な目安である最小フレームレート30fpsを,Athlon GE 3製品はどの解像度でもクリアできておらず,Shadow of Warのプレイは厳しいと言えよう。

 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」の公式ベンチマーク(以下FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたのがグラフ23だ。
 Athlon GE 3製品を比較すると,わずかだが3つの解像度でAthlon 220GEがトップ,以下Athlon 200GE,Athlon 240GEで,ここもShadow of Warなどと同じパターンが見てとれる。

 ただ,ここまでのタイトルと少し傾向が違うのは,上位CPUに比べて,Athlon GEシリーズにおける低解像度のスコアは,高解像度と比べてそれほど悪くない点だ。Ryzen 3 2200Gの場合,2560×1440ドットのスコアは1600×900ドットの約82%だが,Athlon GE 3製品は8384%程度で済む。一方で,Core i3-8100だと,高解像度と低解像度の差は約75%もある。
 したがって,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおいては,Athlon GEがではなく,ZenアーキテクチャのCPUコア自体がボトルネックとなりがちな傾向が見られると言えるかもしれない。

 なお,上位CPUと比較すると,Athlon GEはRyzen 3 2200Gのおおむね8割前後,Core i3-8100比では6573%のスコアとなる。

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 Athlon GEシリーズは,快適にプレイできるスコア8500以上をいずれの解像度でもクリアしており,上位CPUほどではないにしても,ゲームをプレイするにあたって問題はないと言えるだろう。

 グラフ2426は,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの平均および最小フレームレートをまとめたものだ。おおむね総合スコアを踏襲しており,最小フレームレートにも気になる点はなさそうだ。

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 ゲームテストの最後となる「Project CARS 2」の結果がグラフ2729となる。
 Athlon GE 3製品を比較すると,どの解像度でもAthlon 220GEがトップで,ついでAthlon 240GE,Athlon 200GEという順になった。Athlon 220GEがやや強いという点はここまでのタイトルと同じだが,差はほとんどない。
 それよりも目立つのは,2560×1440ドットと1600×900ドットでAthlon GE 3製品はフレームレートがほとんど変わらない点だ。2560×1440ドットにおけるフレームレートを1600×900ドットの結果と比較すると,Ryzen 3 2200Gは約79%,Core i3-8100だと約68%なのに対して,Athlon GE 3製品9799%程度になっている。これは,明確にCPUが大きなボトルネックになっていることを示すものだ。

 そのため,上位CPUとの差も低解像度ほど大きく,Athlon GE勢はRyzen 3 2200Gに対して2560×1440ドットでは8184%程度の平均フレームレートを記録しているのに対して,1600×900ドットだと6568%程度に止まる。Core i3-8100比だと,2560×1440ドットでは7577%程度,1600×900ドットだと5254%程度という具合に,高解像度になるほどフレームレートの差も縮まっているのが分かる。
 差が縮まるとは言っても,平均フレームレートは上位CPUの8割未満にしかならない。上位CPUなら,フルHD解像度以下でプレイアブルな60fpsをクリアできているのに,Athlon GEではクリアできないというわけだ。

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 Athlon GEシリーズとGTX 1080の組み合わせを調べてきたが,この組み合わせはいささかアンバランスと言わざるをえないようだ。多くのタイトルで,上位CPUなら快適にプレイできる目安を超えるのに,Athlon GEだと超えられないという結果が出ているのは,やはり厳しい。GTX 1080クラスのGPUを使うのであれば,CPUにも相応の性能が必要になる分かりやすい実例と言ったところか。
 GTX 1080でも性能面で厳しいとなると,Athlon GE+高性能GPUという路線から方向転換し,描画負荷が低めのオンラインゲームに対象を限定したうえで,ローコストなエントリー市場向けGPUと組み合わせる方向性を狙ったほうが,バランスの取れたPCを作れるかもしれない。


統合型GPUはやはりゲーム用には厳しい性能


 Athlon GEシリーズに単体GPUを搭載した場合の実用性を調べてきたが,ここからは統合型GPUの性能を比較してみたい。AMDは,Athlon GEシリーズでも描画負荷の軽いタイトルであればプレイ可能とアピールしているので,実際にどうか調べた結果をまとめていく。
 なお,このパートでは計測対象の性能面により,必ずしもレギュレーションどおりのテストにはなっていないので,設定については各テストで説明していく。

 まずは3DMarkからだ。4Gamerでは通常,3DMarkのDirectX 11テストであるFire Strike系とDirectX 12テストのTime Spy系を使用しているが,Time Spyは統合型GPUには荷が重すぎるので,本稿では代わりに「Night Raid」を使用した。
 Night Raidは,2018年10月に登場した3DMarkのVersion 2.6.6174で導入となったテストである。DirectX 12のAPIを使用しながら,統合型GPUでも有意なスコアが得られるベンチマークだ。今回のテストにはうってつけだろう。

 というわけで,まずはFire Strikeの総合スコア(グラフ30)から見ていこう。
 Athlon GE 3製品における差は非常にわずかで,いずれのテストでもAthlon 240GE,Athlon 220GE,Athlon 200GEという製品のグレード順になった。
 同じアーキテクチャのRyzen 3 2200G比では,Athlon 240GEが4145%程度,Athlon 220GEと200GEが3945%程度となっている。GPUの規模が40%以下ということを考慮すれば,わりと健闘していると言っていいのではなかろうか。

 一方,Core i3-8100との比較では,Athlon 240GEが95108%程度,Athlon 220GEは91108%程度,Athlon 200GEが89108%程度となった。負荷が軽いFire StrikeではAthlon GE優位で,負荷が重いFire Strike UltraだとCore i3-8100が有利になる形だ。冒頭で述べたとおり,Radeon Vega 3 GraphicsはCore i3-8100のUHD 630 Graphicsとおおむね同規模なので,妥当な結果と言っていいのではないだろうか。

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 グラフ31は,Fire StrikeのGPUテストであるGraphics testのスコアを抜き出したものだが,総合スコアとほとんど変わらない傾向とまとめてしまっていいだろう。

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 Fire StrikeにおいてCPU性能を測る「Physics test」の結果を抜き出したものがグラフ32だ。Athlon GE 3製品の傾向や上位CPUとの比は,グラフ3とおおむね変わらない。CPUコアが同じなので当然だろう。

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 続く「Combined test」の結果がグラフ33である。スコアの傾向は,おおむね総合スコアと変わらないのだが,少し目を引くのがCore i3-8100との差だ。Fire StrikeとFire Strike Extremeでは,Athlon GE 3製品がCore i3-8100の116117%と有意に高いスコアを記録している。Combined testでは,Athlon GEの統合型GPUに分があるようだ。

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 さて,ここからはレギュレーションにないNight Raidのテストを進めていこう。グラフ34はNight Raidの総合スコアをまとめたものである。
 Athlon GE 3製品の順位はここでもAthlon 240GE,Athlon 220GE,Athlon 200GEとグレード順で順当だ。一方,上位CPUとの差はRyzen 3 2200G比でAthlon 240GEと220GEが約55%,Athlon 200GEが約54%となった。GPUの規模を考えると50%以上のスコアはかなり優秀と言えよう。
 一方,Core i3-8100のスコアは,Athlon GEシリーズを上回っているのも目に付く。Core i3-8100比だとAthlon 240GEは約85%,Atlon 220GEが約84%,Athlon 200GEは約83%となる。Core i3-8100よりも10%以上低いスコアだ。

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 AMDは,Radeon GPUにおけるDirectX 12の性能をアピールしているだけに意外な結果だ,Intelの統合グラフィックスも,DirectX 12に向けて最適化を進めたり,ドライバソフトの改善を進めたりしているので,その効果が出ているのかもしれない。

 続くグラフ35は,Night RaidのGPU性能テストにあたる「Graphics score」をまとめたものだ。Athlon GE 3製品のスコアは,ほぼ横並びといっていい。GPUが同じなので妥当だろう。
 上位CPUとの差は,Ryzen 3 2200G比で約50%,Core i3-8100比だと約91%となる。Ryzen 3 2200Gの統合型GPUに比べて,4割の規模しかないGPUで50%のスコアをマークできたのだから優秀と言えるが,Core i3-8100のUHD Graphics 630には及ばないようだ。

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 Night Raidの最後は,CPU性能をテストする「CPU score」をまとめたグラフ36である。Athlon GE 3製品の並びは,順当にAthlon 240GE,220GE,200GEとなった。動作クロックどおりである。

 上位CPUと比べた場合,Ryzen 3 2200G比でAthlon 240GEが約71%,Athlon 220GEは約68%,Athlon 200GEは約65%となる。コア数が半減していると考えれば優秀だが,Fire StrikeにおけるPhysics testほどではない。Night RaidのCPU scoreは,SMTが効きにくいといった可能性があるのかもしれない。なお,Core i3-8100比では順に約65%,約63%,約60%となっている。

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 3DMarkのFire StrikeとNight Raidを見る限り,Athlon GEシリーズの統合型GPUは,Ryzen 3 2200G比で40%以下という規模を考慮するとまずまずの性能を持つと言える。ただ,Ryzen 3 2200Gの統合型GPUであっても,主要なゲームをプレイするのに十分な性能を持つとは言い難いわけで,やや心もとない結果だろう。

 続いて実ゲームのテストに移ろう。まずは,「720pであればAthlon GEでプレイ可能」とAMDが主張しているFortniteからだ。
 Fortniteのテストは,レギュレーション22.1から低負荷寄りの設定であるグラフィック品質「中」設定を採用した。解像度は1920×1080ドット,1600×900ドット,1280×720ドットの3パターンだ。

 結果はグラフ3739にまとめたとおりで,どの解像度でもプレイアブルといえるフレームレートは得られなかった。Athlon GEには,中設定でさえ重すぎるようで,720pでプレイするには低設定まで落とすしかないだろう。
 上位CPUと比較してみると,Ryzen 3 2200G比でAthlon GE 3製品は4143%程度となる。一方,Core i3-8100に対しては95100%程度のフレームレートが得られており,おおむねAthlon GE 3製品とCore i3-8100のフレームレートは同等といってよさそうだ。GPUの規模が同程度だけに,妥当な結果である。

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 続いては,レギュレーション22.1の中では比較的描画負荷の軽いFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの結果をまとめてみよう。グラフィック品質には「標準画質(デスクトップPC)」を使い,解像度は1920×1080ドット,1600×900ドット,1280×720ドットの3パターンとした。

 総合スコアはグラフ40のとおり。Athlon 240GEとAthlon 220GEがほぼ横並びで,わずかにAthlon 200GEが低めとなった。
 スクウェア・エニックスの公式な指標だと,Athlon GE 3製品は1280×720ドットで「とても快適」,それ以上の解像度は「やや快適」でプレイ可能という判定だが,1280×720ドット以外の解像度でプレイするのは少々厳しいというのが現実だ。とはいえ,1280×720ドットなら何とかプレイ可能という判定が出たのはポジティブだろう。

 上位CPUとAthlon GE 3製品を比べると,Ryzen 3 2200G比で1920×1080ドット時は5657%程度,1600×900ドットで約59%,1280×720ドット時で6364%程度となる。低解像度ほど相対的に好成績というわけだ。
 一方,Core i3-8100比だと解像度順に9293%程度,約93%,9092%程度だ。Athlon GEのほうがCore i3-8100より低い結果だが,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチがIntel製CPUに最適化されていることが影響しているのだろう。

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 グラフ4142は,FXIV紅蓮のリベレーター ベンチの平均および最小フレームレートをまとめたものだ。とても快適の判定が出ている1280×720ドットでも,平均フレームレートは40fpsを切っていることからも,プレイはできるが快適と言えるかは正直疑問が残るということが分かると思う。

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 ここまでは,レギュレーション22.1におおむね沿ったテストを実施してきたが,最後にレギュレーションにはないゲームタイトルとして「バイオハザード RE:2」のフレームレートを調べてみたので,結果をまとめておきたい。

 バイオハザード RE:2は,カプコン独自の「RE ENGINE」を用いたタイトルだ。RE ENGINEは,スクリーンスペースリフレクションを用いたリアルな陰影表現,パーティクルを用いたモヤっぽいシーンの表現,コンタクトシャドウを用いた遠近表現などホラーゲームらしく,かつ美しい描写が可能なゲームエンジンだ。
 その割には描画負荷も軽めで,グラフィック品質の設定を落とせばRyzen Gの統合型GPUやエントリークラスのGPUでも十分にプレイできるという。そこで,Athlon GEの統合型GPUでもプレイできるかを調べてみたわけだ。
 グラフィック品質の設定は,Ryzen 3 2200Gの統合型GPUで「グラフィックス自動設定」を実行したパラメータを基準にした。設定項目が非常に多いので,ベンチマークに用いたグラフィックス設定(OPTION→Graphics)のスクリーンショットを掲載しておく。

テストにおけるバイオハザード RE:2のグラフィックス設定
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 バイオハザード RE:2にはベンチマークモードがないので,敵がいない警察署のロビーに入って中をぐるぐると走り回り,1分間の平均フレームレートを「Fraps」で測定する方法をとった。それを2回実行して,測定値の平均をスコアとして採用している。
 敵がいないためにフレームレートのブレは小さいが,実際のプレイ時よりはやや高めのフレームレートが出る。ロビー周回の平均フレームレートは50fps前後だが,敵が出てくると30fps前後までフレームレートが落ちるので,プレイするのなら平均50fpsはほしいというのが目安になろう。

テスト時のスクリーンショット
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 結果はグラフ4446のとおり。残念ながら,Athlon GEシリーズでは,プレイ可能なフレームレートが得られなかった。軽めというRE ENGINEも,Athlon GEの統合型GPUでプレイするのは無理のようだ。本稿で使った設定は,映像品質をかなり低めにした状態であり,さらに品質を下げたとしても,プレイ可能なレベルにするのは厳しいだろう。

 上位CPUとの比較では,Ryzen 3 2200G比でAthlon GE 3製品の平均フレームレートは4446%程度となった。Fire Strikeなどの結果からすると妥当だろう。むしろ非常に興味深いのは,Core i3-8100比で,Athlon GE 3製品は130150%以上という有意に高い平均フレームレートを記録した点だ。これまでのタイトルだと,Core i3-8100とAthlon GEシリーズのスコアは同程度だったので,かなり突出した印象を受ける。
 原因ははっきりしないが,使用したRadeon Softwareはバイオハザード RE:2に対する最適化が済んでいるバージョンなので,それが奏功しているのかもしれない。

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 さて,統合型GPUを使った場合のAthlon GEのゲーム性能を見てきた。FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの結果からすると,非常に軽いゲームならプレイできる可能性を感じさせる。とはいえ,快適にプレイできるタイトルは相当限られるだろう。
 グラフィックスカードを買うまでのつなぎとしてゲーマーが使うのには厳しい性能なので,あまり期待しないほうがいいのではないかと思う。


ゲーム以外の用途でAthlon GEはなかなか優秀


 Athlon GEがそんなゲーム以外の用途でどの程度の性能を持つのかをUL製の総合ベンチマークソフト「PCMark10」(version 1.1.1739)で調べてみた。

 テスト対象機で実行したのは,「PCMark 10 Extended」テストである。ただ,当該バージョンのPCMark 10は,「Digital Content Creation」テストグループに含まれる「Rendering and Visualization」ワークロードが実行できないという不具合を抱えていた。この問題はVersion 1.1.1761で解消されたが,テストを行ったタイミングはリリース前だったので利用できていない。そのため,今回のテストではPCMark 10 Extendedで「Custom Run」を選び,Rendering and Visualizationのみオフにして実行している。その他の設定は初期値のままだ。

 Digital Content Creationを除く3項目の結果を先にみていこう。グラフ47は,GTX 1080を使用した場合,グラフ48は統合型GPUを使った場合のスコアだ。
 GTX 1080を搭載したAthlon GE 3製品のスコアは,あまり芳しくない印象を受ける。Fire Strikeをウインドウモードで実行する「Gaming」テストグループは,当然ながらすでに掲載したFire Strikeの結果とおおむね変わらず,Webブラウザの実行速度やアプリケーションの起動速度を測る「Essentials」テストグループ,オフィスアプリケーションの実行速度を測る「Productivity」テストグループなどは,上位CPUに差をつけられるといった具合だ。

 一方で,統合型GPUを使った場合におけるAthlon GE 3製品のスコアは,注目に値する。3製品とも,EssentialsではCore i3-8100を下回るが,ProductivityではCore i3-8100を有意に上回るスコアを記録しているのだ。
 ProductivityのスコアでAthlon GEシリーズが高い結果を残したのは,テストに使用されているLibreOfficeでOpenCLが使われているからだろう。Athlon GE 3製品に統合されているRadeon Vega 3 GraphicsのOpenCL性能はそこそこ高いと考えられる。

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 次はDigital Content Creationテストグループから,「Photo Editing」ワークロードと「Video Editing」ワークロードの結果をグラフ49,50にまとめている。グラフ49がGTX 1080を搭載した場合の,グラフ50が統合型GPUでのスコアだ。

 ここでもGTX 1080を搭載したAthlon GE 3製品のスコアは今ひとつで,どちらのテストでも上位のCPUに優位な差を付けられた。しかし,統合型GPUを使用した場合,Athlon GE 3製品はとくにPhoto Editingのスコアが優秀で,Core i3-8100の1.5倍というスコアを叩き出しているのだ。
 Photo Editingワークロードには,オープンソースのOpenCL対応画像処理ツールセット「ImageMagic」が使われている。つまり,Athlon GE 3製品とRyzen 3 2200Gの成績が優秀なのは,OpenCLのおかげと見て間違いない。
 また,Video Editingも,統合型GPUを使用したAthlon GEはかなり優秀といえ,動画のアクセラレーションがうまく機能しているようだ。

画像集 No.074のサムネイル画像 / AMD製APU「Athlon GE 240/220/200」レビュー。1万円以下で買えるAPUはゲームPCに使えるのか
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 以上のように,OpenCLや動画アクセラレーションといったGPUを使用するアプリケーションに関して,Athlon GEはそこそこ優秀で,ときとしてCore i3-8100を上回る性能をみせる。作業の内容によるという前提条件はつくが,APUとして使うのであれば,Athlon GEはコストパフォーマンスが高いと評価していいだろう。


Athlon GEの消費電力はおとなしめ


 最後に消費電力を計測してみよう。
 4Gamerでは,ベンチマークレギュレーション20以降,EPS12Vの電流を測った値に12をかけて,電力換算する方法を採用している。この方法なら,CPU単体のおおまかな消費電力を推測できるからだ。
 ただ,電気代という現実的な運用コストに関わるシステム全体の消費電力も目安として知りたい読者は多いだろう。そこで,システム全体の最大消費電力もあわせて掲載している。

 グラフ51はGTX 1080を搭載した状態で計測したCPU単体の消費電力における中央値をまとめたものだ。「CPUでアプリケーションを実行したときの典型的な消費電力」という理解でいい。
 Athlon 240GEの中央値は最大約20Wで,Athlon 220GEが約18W,Athlon 200GEは約15Wと,きれいにグレード順に並んでいる。35Wという公称TDPからみて,十分に低い値に収まっていると言えよう。一方,Ryzen 3 2200Gは約36W,Core i3-8100は約25Wを記録している。

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 無操作時にディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OS起動後30分間放置した時点(以下,アイドル時)におけるEPS12Vの最大値をまとめたものがグラフ52だ。
 Athlon GE 3製品は,3DMark実行時の最大値で8893W程度を記録してしまった。一瞬であればノイズの可能性が出てくるのだが,ログを見ると2秒程度続いており,3製品揃ってほぼ同程度の値を記録したことから,測定系の異常ではないと判断して掲載している。
 原因は分からないのだが,約90W近い消費電力を記録した直後には約20W前後まで落ちているので,異常に消費電力を跳ね上げる何らかのイベントが3DMark中に発生したようだ。

 しかし,3DMarkを除くと最大値も極端に高いものはなく,Athlon 240GEで最大約23W,Athlon 220GEは約21W,Athlon 200GEに至っては最大でも約17Wに収まっている。Ryzen 3 2200GやCore i3-8100と比べると,CPUの最大消費電力もかなり低いと言っていいだろう。

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 なお,アイドル時の消費電力は,Athlon 240GEが約5W,220GEが約4W,200GEが約3Wと,これもきれいにグレード順に並んだ。約3WのCore i3-8100に比べると2製品はやや高いとはいえ,アイドル時の消費電力も低く扱いやすいCPUと言えると思う。

 グラフ53は,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テスト実行時点におけるシステム全体の最大消費電力を記録したものである。
 Athlon GEシリーズは,Ryzen 3 2200Gに比べてざっくり1020W程度低いといった感じだ。アイドル時を除くシステムの消費電力の平均をとってみると,Athlon 240GEは約244W,Athlon 220GEが約242W,Athlon 200GEが約238Wだった。一方,Ryzen 3 2200Gは約260W,Core i3-8100が約267Wである。
 CPUの消費電力に比べると,Core i3-8100の結果が高いと思うだろうが,冒頭でも軽く触れたとおり,LED照明およびOLED標示まで搭載のマザーボードを使っているためである。それだけで数Wは消費しているだろうから,完全に対等な比較はできないので注意してほしい。

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 続いては,統合型GPUを用いた場合の消費電力を見ていこう。グラフ54は,CPU単体における消費電力の中央値をまとめたものだ。
 Athlon 240GEは最大約25W,Athlon 220GEが最大約23W,Athlon 200GEは約20Wという結果となった。GTX 1080使用時より少し高めだが,増加分が統合型GPUの取り分ということになる。妥当な値が出ているといっていいだろう。

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 統合型GPU使用時におけるCPUの最大消費電力とアイドル時の消費電力をまとめたものがグラフ55となる。Athlon 240GEは最大32W,Athlon 220GEが最大30W,Athlon 200GEは最大26Wだった。最大値も控えめだ。

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 グラフ56は,Watts up? PROを用いて測定したシステムの消費電力だ。アイドル時を除く平均を見ると,Athlon 240GEが約61W,Athlon 220GEは約60W,Athlon 200GEは約56Wとなっている。Ryzen 3 2200Gの約93W,Core i3-8100の約79Wに比べると,Athlon GEシリーズの低消費電力ぶりが際立っている。

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 GTX 1080クラスのGPUを搭載してしまうと,システム消費電力に占めるGPUの割合が極めて高くなるので,Athlon GEシリーズのような省電力タイプのCPUを使っても,目立った消費電力低減にはつながらない。しかし,統合型GPUを使う限りにおいて,Athlon GE 3製品は,かなり省電力なシステムを構築できることが分かった。PCMark 10の結果と合わせて考えると,コストを抑えた一般用途向けのPCに適していそうなCPUと言えるのではなかろうか。


Athlon GEは,自作PCにおけるバランスの重要さを再確認させてくれる


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 そろそろまとめに入ろう。
 1万円以下で買えるAthlon GEシリーズを評価してきたが,GPUとCPUのバランスの重要さを再確認する製品だったと言えよう。Athlon GEシリーズにハイエンドのGPUを組み合わせても,グラフィックス負荷が高い今どきのゲームタイトルを快適にプレイするレベルの性能を有するゲーム用PCにはならないということが,今回の結果からはっきりと分かる。
 やはり高性能なGPUには,それなりの性能を持つCPUが必要であり,CPUのコストを減らすのにも限りがあるわけだ。今回のテストから明らかになったように,フルHD解像度でゲームにおけるプレイアブルなフレームレートを確保するなら,選択すべきCPUの下限は,Ryzen 3 2200GやCore i3-8100あたりになると言っていいだろう。

 一方,Athlon GEシリーズ自体は,なかなか価格対性能比の良好なAPUであり,統合型GPUを使う限りにおいては,上位グレードのCPUに遜色のない性能を実現してくれる。1万円以下という価格も魅力があるので,ゲーム以外の用途であれば,面白いPCが作れるのではなかろうか。

AMDのAthlonシリーズ製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    Ryzen(Zen,Zen+)

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