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[GDC 2015]制約によって無駄を省く。「Hitman GO」のディレクターが語るゲームデザイン
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印刷2015/03/07 17:48

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[GDC 2015]制約によって無駄を省く。「Hitman GO」のディレクターが語るゲームデザイン

Hitman GO
 スマートフォン向けタイトル「Hitman GO」iPhone / Android)を手がけた Square Enix MontrealのDaniel Lutz(ダニエル・ルッツ)氏が,北米時間の2015年3月5日,Game Developers Conference 2015で「Design by Constraints: Hitman GO Design Postmortem」(制約によるデザイン:Hitman Goのデザイン回顧録)と題したセッションを行った。

 Hitmanシリーズといえば,暗殺者「47」を主人公にした3Dステルスアクションゲームとして日本でも知られているが,Hitman GOは,47と敵がマス目上を交互に動くという,パズル性が強調されたゲームになっている。ジオラマ風のグラフィックスも特徴だ。

 シリーズ初のスマートフォン向けタイトルとはいえ,かなり大胆なアレンジが施された本作は,どのようにして生まれたのか。それが語られたセッションの内容をレポートしよう。

Daniel Lutz氏(Game Director,Square Enix Montreal)
 ルッツ氏は,Hitman GOを開発することになった経緯の説明からセッションを始めた。
 ルッツ氏は2011年の冬頃からIO Interactiveで40人ほどのチームを率い,コンシューマゲーム機向けのHitmanシリーズ最新作を開発していたのだという。しかし,1年後にそれがキャンセルされ,代わりにスマートフォン向けのHitmanを開発するよう指示されたそうだ。

 誰もやったことがないスマートフォン向けのHitmanなら,自由に開発できると喜んだものの,与えられた時間は少なく,またチーム内に「コンシューマ向けを開発してきた自分達なら,スマートフォン向けなんて簡単」という,開発を甘く見る雰囲気を感じたルッツ氏は,「自分達には制約が必要だ」と感じたそうだ。

 ここでルッツ氏は,「イームズチェア」で知られるデザイナー,Charles Eames(チャールズ・イームズ)氏の「Design depends largely on constraints」(デザインは制約に依るところが大きい)という言葉を紹介し,Hitman Goの開発を,椅子作りになぞらえて聴衆に説明し始めた。

Hitman GO Hitman GO

Hitman GO
 椅子ならば「価格」「サイズ」「強度」「バランス」「表面の加工」「制作時間」といった制約がある。ルッツ氏はHitman Goの制約として「価格」「制作時間」「ブランド」「ジャンル」「プラットフォーム」「プレイヤー(の評価)」といったものを挙げた。これらの制約をしっかり設定すれば,間違ったゲーム作りにストップがかかり,作るべきものは自然と見えてくるという。

 例えば,スマートフォン向けゲームの人気ジャンルだからといって,ランニングゲーム「Hitman endless runner」といったものを作れば,Hitmanのブランドイメージは崩れるし,プレイヤーの評価も得られそうにない。逆に既存のシリーズ作品を意識して,仮想ゲームパッドでプレイするアクションゲームにしても,プラットフォームに合わず,遊びづらいものになる。


 この制約によるゲーム作りにあたって,ルッツ氏はアイデアをしっかりと分析して評価するトップ型の思考と,とにかくさまざまなアイデアを提案するボトムアップ型の思考の両方を意識したといい,それらを順に「SMART」「STUPID」と呼んだ。「STUPID」には「馬鹿な,愚かな」といった意味もあるが,ここでは失敗を恐れずに挑戦する,といった意味合いで使われている。

Hitman GO
「STUPIDは失敗するかもしれないが,SMARTは挑戦することすらしない」という広告のキャッチコピーが紹介された

Hitman GO
 こうやってスタートしたHitman GOの開発だが,ルッツ氏は,友人から聞いたという「スマホゲームで作る価値があるのは,1ステージが短時間で終わるようなゲームか,ターン制のゲームだけ」という言葉を受けて,開発スタッフに「シンプル化されたターン制のHitman」を提案し,それによって現在のHitman GOの原型が生まれることになった。ルッツ氏は「今考えれば浅はかだった」と振り返ったが,いかにも「STUPID」らしい提案だ。

 開発チームには「4人が2週間で1つのプロトタイプを作る」というルールが設けられ,さまざまな改善が行われていった。とくに変化が見られたのが,47と敵が動き回るマス目の配置と,敵の視野だ。
 初期はマス目がランダムに配置され,敵の視野も左右に広がりがあったが,これだと,移動したときに敵に見つかるのかどうかが分かりづらい。したがってマス目は規則的に配置するようにし,敵の視野も真っ正面のみに修正した。

これはマスの配置と敵の視野を図式化したもので,左が初期,右が修正後のもの。修正前だと「A」や「B」が敵の視野に入るのかどうかが分かりづらい
Hitman GO Hitman GO

 そしてルッツ氏は,このプロトタイプを見て,本作にボードゲームのテイストを取り入れることをひらめいたという。47や敵を駒にしてしまえば,キャラクターのアニメーションがいらなくなるし,必要以上にリアルな背景を描く必要もないというわけで,スマートフォン向けタイトルとしてはぴったりというわけだ。

 続いてはアートディレクションの様子が紹介された。ボードゲームという指示を受けて,下の写真のようなデザイン案が上がってきたが,ルッツ氏はここでもHitmanらしさを出せないかと悩むことになる。このあたりは「SMART」の思考だろう。

Hitman GO Hitman GO

 そこでルッツ氏は,Hitmanシリーズのコアな要素を抽出し,イメージを探ることにした。スーツをビシッと着こなした47に代表される「渋くて格好いい」ところは建築モデルが近く,ステルスゲームならではの「のぞき見感覚」は,スケールモデルの雰囲気が合っているかもしれない,合理的なプレイが必要なのはチェスのようなボードゲームに似ている……といった感じでイメージを出す作業を繰り返して,独特の無機質なジオラマモデルができあがったそうだ。


 そして,ルッツ氏は,マスが規則正しく並ぶゲームシステムと,ジオラマのようなグラフィックスに「生産性」という制約を加えて,「モジュール化」というアイデアを生み出した。細かいパーツを組み合わせる形でステージを作るようにすれば,新たなステージを作るごとにアートワークの作業をしなくていいし,見た目も統一されていいことづくめというわけだ。

Hitman GO Hitman GO
Hitman GO Hitman GO

 その後も「STUPID」と「SMART」の作業が繰り返されたHitamn Goは,当初の2013年クリスマスという予定からは若干遅れたものの,2014年2月にリリースされた。プレイヤーからの反応も,発表時こそ「何を考えているんだ」といったものが多かったが,リリース後は高評価が多く,ストアのエディターズチョイスにも選ばれたとのこと。ルッツ氏は「本当にHitmanシリーズのゲームなのだと分かってもらえたし,シリーズに新たな層のプレイヤーを引き込むこともできた」と振り返っている。

Hitman GO

 ゲームシステムやグラフィックスがとことんまでシンプルにされながら,Hitmanのテイストを残している本作は,制約によって無駄が省かれたからこそ完成したものなのだろう。手本としたのだから当たり前かもしれないが,「シンプルなのに良い」と評価されるところで,イームズチェアと似ているのも面白い。
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