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MSI「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」レビュー。Twin Frozr VIクーラー搭載のオリジナルデザイン版カードが持つ価値とは
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印刷2016/06/11 16:01

レビュー

「Twin Frozr VI」クーラー搭載のMSI独自デザイン版GTX 1080をテスト

MSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G

Text by 宮崎真一


GeForce GTX 1080 GAMING X 8G
メーカー:MSI
問い合わせ先:アスク(販売代理店)サポートセンター 03-5215-5652(平日10:00〜12:00および平日13:00〜16:00)
価格:未定(※2016年6月11日現在)
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 Pascal世代の新しいGPU「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)を搭載するグラフィックスカードは,高クロック動作を指向するリファレンスカード「Founders Edition」が先行して登場した。
 COMPUTEX TAIPEI 2016の取材を通じて,4Gamerでは,GTX 1080 Founders Editionの699ドル(税別)という北米市場におけるメーカー想定売価より,カードメーカー各社のオリジナルデザイン採用カードは(少なくとも北米市場におけるメーカー想定売価だと)同等か,安価になる可能性が高いということをお伝えしているが(関連記事),そんな各社のオリジナルデザイン採用モデルは,これから続々と登場の見込みだ。

 4Gamerでは今回,そんなカードメーカー独自モデルのなかから,MSI製の「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」(以下,GTX 1080 GAMING X 8G)を入手できたので,そのポテンシャルをテストにより明らかにしてみたいと思う。


Gaming APPにより3つの動作モードを切り替え可能。動作クロック設定は大人しめ!?


低負荷状況ではファンが停止する「Zero Frozr」仕様であることを示すシート,そして,各種端子の保護カバーが付いた状態で,GTX 1080 GAMING X 8Gは製品ボックスに入っていた
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 「GTX 1080とはどんなGPUか」という話はGPUレビュー記事を参照してもらうとして,まずはGTX 1080 GAMING X 8Gの立ち位置を確認しておこう。

 COMPUTEX TAIPEI 2016のレポートでもお伝えしているとおり,MSIは現在のところ,GTX 1080 GAMING X 8Gと,その上位モデルとなる「GeForce GTX GTX 1080 GAMING Z 8G」(以下,GTX 1080 GAMING Z 8G),そしてCorsair製簡易液冷クーラー搭載モデルとなる「GeForce GTX 1080 SEA HAWK」を日本市場へ展開予定だ。その意味でGTX 1080 GAMING X 8Gは,国内展開が決まっているMSI製GTX 1080カードのうち,最も大人しい独自デザイン版ということになるだろう。

 ただ,最近のMSI製グラフィックスカードということで,独自ユーティリティの「Gaming APP」(Version 6.0.0.04)から,「OCモード」と「ゲーミングモード」「サイレントモード」という,3つの動作モードを選択できるようになっている。Gaming APPを導入していない状態ではゲーミングモードで動作し,Gaming APPから残る2つの動作モードを選択可能で,それぞれ動作クロック設定は以下のとおりだ。

  • OCモード:ベース1708MHz,ブースト1847MHz,メモリ10108MHz相当
  • ゲーミングモード:ベース1683MHz,ブースト1822MHz,メモリ10108MHz相当
  • サイレントモード:ベース1607MHz,ブースト1733MHz,メモリ10108MHz相当

GTX 1080 GPU
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 OCモードはゲーミングモードに対してGPUのベース,ブーストクロックとも
25MHz引き上げた設定で,サイレントモードはGPUのベース,ブーストクロックをいずれもNVIDIAのリファレンスクロック相当まで下げたモードだ。ただ,3モードともメモリクロックは,NVIDIAのリファレンスである10010MHz相当(実クロック約1251MHz)と比べるとほんのわずかに高くなっている。
 なお,後述するテスト環境でコアクロックを追ったところ,最大動作クロックは順に1949MHz,1923MHz,1847MHzだった。MSIがそう言っているわけではないのだが,この数字から,「2GHz超えはGTX GTX 1080 GAMING Z 8Gで」といったことをMSIが考えていそうな気配は感じた。

Gaming APPでは,[OCモード][ゲーミングモード][サイレントモード]の各ボタンをクリックするだけで動作モードの変更が可能だ。いずれのモードでも,タコメーターで動作クロックがリアルタイム表示される。ここで示しているスクリーンショットは,いずれもテスト中の最大クロックにおけるものだ
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クーラーは新作「Twin Frozr VI」。基板は電源部に注力した豪華な作り


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 カード長は実測約278mm(※突起部除く)。GTX 1080のFounders Editionは同267mmだったので,それと比べると若干長い。また,マザーボードに差したときの垂直方向ではFounders Edition比で約34mm長くなっており,全体として,Founders Editionよりかなり大きな印象を受ける。

 付け加えると,Founders Editionから6ピン1系統が増えて8ピン×1+6ピン×1という仕様になった補助電源コネクタが,マザーボードに差したとき垂直方向に実装されているため,PCケース側はマザーボードの垂直方向に対して相応の余裕が必要だ。小さな筐体で運用しようという場合には,このサイズ感に注意が必要だろう。

リファレンスデザインと比べて大きな基板は,そのほぼ全体がGPUクーラーで覆われている。カード背面は補強板付き
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 GPUクーラーは今回が初採用となる「Twin Frozr VI」。100mm径相当のファンを2基搭載する2スロット仕様というのは,前世代モデルとなる「Twin Frozr V」の後期型と変わらないのだが(関連記事),エッジの傾斜が異なる2枚のブレードを交互に配置した構造「Torx Fan」(トルクスファン)はTwin Frozr VIで「Torx Fan 2.0」仕様となり,ファンの羽同士の隙間を小さくして,同じ回転数で比較したときに風圧を従来比で約22%向上できているという。

Twin Frozr VIは2スロット仕様。ファンの羽は2枚に1枚が変則仕様というのはTwin Frozr Vから変わらないが,そのファンの形状が従来から変更となり,羽と羽の隙間が小さくなった
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Gaming APP上部にあるファンのアイコンをクリックすると,Zero Frozrの有効/無効をユーザー側で任意に切り換えるためのスイッチにアクセスできる
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Gaming Appから「LED」と書かれたアイコンをクリックすると,MSIロゴと龍のLEDの色を変更できる
 また,GPUコア温度が60℃を下回る低負荷時にはファンの回転を止める「Zero Frozr」機能を搭載しつつ,本機能の有効/無効をGaming APPから切り換えることもできるようになった(※工場出荷時は有効)。静かに運用したいのか,冷却を優先するのか,ユーザーが選択できる点は素晴らしい。

 なお,GPUクーラー側面にあるMSIロゴと龍のイラスト部にはLEDが埋め込まれており,Gaming APPから色と光り方を設定できる。色は約1677万色からスライドで,光り方はゆっくり点滅する「呼吸」,早い点滅の「フラッシュ」,2回の点滅を繰り返す「ダブルフラッシュ」,そしてそれらの中からランダムとなる「ランダム」の4種類からそれぞれ選択可能だ。
 また,GPUクーラーに上にある,赤い稲妻のような意匠の部分も光るが,こちらは色が固定で,光り方のみ変更できるようになっている。

Gaming APPからMSIロゴと龍の色を赤色(左),青色(右)にそれぞれ設定したところ。クーラー上にある赤い稲妻のような意匠は,光り方の設定が反映されるものの,色は固定だ
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取り外したTwin Frozr VIクーラー
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 GPUクーラーの取り外しは自己責任であり,取り外した時点でメーカー保証は受けられなくなる。それを断ったうえで,今回はレビューのため特別にGPUクーラーを取り外してみると,Twin Frozr VIのさらなる特徴も確認できる。体的には,Twin Frozr VIでは8mm径が1本,6mm径が5本と従来よりもヒートパイプの本数を増やし,さらに,GPUの熱を受ける枕との接続面で隙間を少なくすることで熱抵抗を下げているのだ(関連記事)。

8mm径1本と6mm径5本のヒートパイプを採用。そのヒートパイプ平たくすることで,GPU用ベースプレートと接する面積を広げ,熱伝導率の向上を図っている
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こちらはカード背面側の補強板を外したところ。基板上に謎の接続端子が見えるが,MSIによると,これはGTX GTX 1080 GAMING Z 8Gでカード背面側のLEDを光らせるためのものだそうだ。GTX GTX 1080 GAMING X 8GとGTX GTX 1080 GAMING Z 8Gは同じ基板を採用しているため,「使わない端子」がGTX GTX 1080 GAMING X 8G側にあるというわけである
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メモリチップの熱はヒートスプレッダ兼補強板を通じて熱を拡散する仕様。電源部は放熱フィン付きのヒートシンクが覆っており,これらはいずれも,Twin Frozr VIクーラーのエアフローで冷却されることとなる。なお,MSIによれば,GPUと枕との間には特製のシリコングリスも採用しているという
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 基板側では,10+2フェーズ構成という,豪華な作りの電源部が目を引く。GTX 1080のFounders Editionだと5+1フェーズ構成なので,電源周りは圧倒的にリッチな仕様になっているわけだ。

 しかも,採用する部材はMSIが独自に定める品質規格「Military Class 4」に準拠したもので,エネルギー効率の高さが謳われる「Hi-c CAP」コンデンサや,日本メーカー製の固体コンデンサ,あるいは一般的なチョークと比べて電源効率が極めて高いという「Super Ferrite Choke」といった高耐性品が揃っている。

電源部全体が上段左。電源部には,GTX 1080 Founders Editionが搭載する「4C85N」より大電流に対応できるOn Semiconductor製のDual MOSFET「4C86N」をGPU用にずらりと並べるほか(上段中央),Sinopower Semiconductor製のDual MOSFET「SM7320」もおそらくメモリ用に搭載している(上段右)。デジタルPWMコントローラは「μP9511P」(下段中央)だ。メモリチップはMicron Technology製のGDDR5X「MT58K256M32JA-100」(※パッケージ上の刻印は「6IA77 D9TXS」)。10Gbps品で,チップ8枚で容量8GBを実現する
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Gaming APPに用意された3モードすべてでテストを実施。ドライバはテスト開始時点の最新版


GTX 1080 GAMING X 8Gの外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b×1,Dual-Link DVI-D×1。GTX 1070 Founders Editionとは並びも含めて同じである
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 今回,GTX 1080 GAMING X 8Gのテストにあたって,比較対象としてはGTX 1080 Founders Editionを用意した。これをリファレンスとして,以下,GTX 1080と表記する。また,主役であるGTX 1080 GAMING X 8Gは,Gaming APPに用意された3つの動作モードすべてでテストを行う。以下,グラフ中ではスペースの都合上,「GAMING X 8G(OC)」「GAMING X 8G(ゲーミング)」「GAMING X 8G(サイレント)」と書いて区別するので,この点はご了承のほどを。

 用いるグラフィックスドライバは,テスト開始時の最新バージョンとなる「GeForce 368.39 Driver」。そのほかのテスト環境はのとおりとなる。

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 テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0準拠。テスト解像度には,GTX 1080がハイエンド向けモデルであるため,3840×2160ドットと2560×1440ドットの2つを選択した。
 なお,テストにあたって,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。これは,テスト状況によってその効果に違いが生じる可能性を排除するためだ。


クロックアップにより対Founders Editionで若干のスコア向上を実現するGTX 1080 GAMING X 8G


 「3DMark」(Version 2.0.2067)の結果から順に見ていこう。グラフ1は3DMarkの総合スコアだが,GTX 1080のFounders Editionに対し,GTX 1080 GAMING X 8GのOCモードは6〜7%程度,ゲーミングモードは4〜5%程度,サイレントモードは約2%高いスコアを示した。OCモードとゲーミングモードにおいてメーカーレベルのクロックアップ効果は確実にあるといえる。
 なお,サイレントモードでもスコアが上がっているのは,Founders Editionに対してメモリクロック設定がわずかに高いうえ,GPUコアクロックもFounders Editionの最大1807MHzに対し,前述のとおりサイレントモードでは1847MHzまで上がるためだ。Twin Frozr VIクーラーを搭載することで,より高いブーストクロックを実現した効果といったところである。

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 続いて「Far Cry Primal」の結果がグラフ2,3となる。
 GTX 1080に対するGTX 1080 GAMING X 8Gのスコアは,OCモードで104〜106%程度,ゲーミングモードで103〜105%程度,サイレントモードで101〜104%程度で,スコア差はあるものの,3DMarkと比べると詰まり気味で,とくに「最高」プリセットでOCモードとゲーミングモードの違いがなくなっている点が目を引く。
 描画負荷が高まり,メモリ性能がスコアを左右するような局面になってくると,製品スペックにおける25MHz程度のGPUコアクロック差は,ほぼ無視できるレベルになるということなのだろう。

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 グラフ4,5は「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)の結果である。
 ARKにおいては「Low」プリセットの2560×1440ドットで相対的なCPUボトルネックによるスコアの頭打ちが見られ,スコア差が詰まりつつあるが,3840×2160ドットでは約12%,そして「High」プリセットでは24〜27%と,大きなスコア差を付けている。ベンチマークレギュレーションで合格ラインとする平均55fpsにGTX 1080がHighプリセットの2560×1440ドットで届かないのに対し,GTX 1080 GAMING X 8Gはゲーミングモード以上で余裕をもって超えてくる点にも注目したい。
 OCモードとゲーミングモードのスコア差がそれほどない理由は,Far Cry Primalと同じはずである。

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 「Tom Clancy’s The Division」(以下,The Division)の結果がグラフ6,7だ。ここでのスコア傾向は,「中」プリセットの2560×1440ドットを除けば3DMarkとよく似ており,「体感できるかと言うと怪しいが,GTX 1080 GAMING X 8GのスコアはGTX 1080 Founders Editionから確実に向上している」と評することができる。
 具体的には,OCモードとゲーミングモードで5〜7%程度,サイレントモードで2〜4%程度高い。

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 グラフ8,9は「Fallout 4」の結果で,一言でまとめるなら,スコア傾向はThe Divisionと同じだ。ただ,GTX 1080とのスコア差はOCモードとゲーミングモードで最大約11%に達しており,フレームレートで1割強の違いがあれば,局面次第では体感できる可能性もあるだろう。

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 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果がグラフ8,9だが,ここでのスコア傾向は3DMarkに似たものになった。
 もっとも,ここで重要なのは,GTX 1080 GAMING X 8Gがサイレントモードであっても,3840×2160ドットの「最高品質」におけるスコアが,スクウェア・エニックスの示すベンチマーク指標に最上位である「非常に快適」のライン,スコア7000を超えてきた点だ。
 平均フレームレートのスコアを見ると,平均60fpsには少し届いていないのだが,それでも,ついにシングルカードで4K最高品質のスコア7000超えが出てきたというのは,とても感慨深い。

グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのスコアを表示します
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 グラフ10,11の「Project CARS」では,「初期設定」の2560×1440ドットでスコアの頭打ちが見られる。そこでほかのスコアを見てみると,GTX 1080 GAMING X 8GのゲーミングモードはGTX 1080に対して4〜7%高いスコアを示しており,おおむね3DMarkなどと似た傾向になっている印象だ。OCモードとゲーミングモードのスコア差がほとんどない点も同様である。

グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのスコアを表示します
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電源部の強化により消費電力はかなり増大。Twin Frozr VIクーラーの静音性は見事


 さて,GTX 1080 GAMING X 8Gはクロックアップモデルであるだけでなく,6ピンの補助電源コネクタも増えており,消費電力の増大が懸念される。今回も,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定してみよう。

 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 その結果はグラフ14のとおり。アイドル時は3モードともGTX 1080から7Wほど増加しているのだが,それ以上に目を引くのがアリケーション実行時だ。GTX 1080 GAMING X 8Gは,OCモードで41〜82W,ゲーミングモードで36〜81W,サイレントモードでさえ27〜78Wも高い消費電力値を示しているのである。
 ただこれは,基板の豪華な作りを見るに,致し方ない部分もあるだろう。より高い動作クロックで安定的に動作するよう,リファレンスより150W(=6ピン×1)も多くの電力を供給できるようにし,それに合わせて電源フェーズ数を大幅に引き上げているのだから,当然といえば当然だ。

 ただ,今回は比較対象に入れていないが,ドライバ以外は同じテスト条件で実施したGTX 1080 Founders Editionのレビューと比較したとき,GTX 1080 GAMING X 8Gのスコアは「GeForce GTX TITAN X」並みだったりもするので,この点は押さえておくべき情報だとも感じている。

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 消費電力が大幅に上がったということで,その分の熱をきちんと冷却できているのかどうか,GPU温度も確認しておこう。ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども「GPU-Z」(Version 0.8.8)からGPU温度を取得することにした。
 なお,テスト時の室温は24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラックの状態に置いている。アイドル時のファン回転は止まる設定だ。

 GTX 1080 GAMING X 8GとGTX 1080 Founders Editionととで温度センサーの位置が同じとは断言できず,また,ファン回転数の制御方法ももちろん異なるので,横並びの比較はできない。その点は注意してほしいが,アイドル時に50℃というのは,ファン回転が止まっていることを考えればまずまずだろう。
 一方の高負荷時は70℃台後半と,まったく問題のないレベルに収まっている。自己責任を覚悟してのオーバークロックにも,Twin Frozr VIクーラーは耐えてくれそうな印象である。

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 では,気になる動作音はどうだろう?
 今回は,マイクをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の3840×2160ドットで4分間実行した,合計約5分間をビデオとしてYouTubeにアップしてみた。テスト時のGaming APP設定はデフォルトのゲーミングモードだ。

 テスト開始後最初の1分間はアイドル状態で,Twin Frozr VIクーラーのファンは停止しているため,周囲の環境音が聞こえるだけだが,60秒後にFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行すると,それから約20秒後(=ファイル冒頭から80秒後)にファンが回転を始める。なので,それ以降を注意して聞いてもらうといいのだが,ベンチマークの実行開始からしばらく経っても,ファンの動作音はあまり聞こえない。コイル鳴きがあるのは気になるものの,このクラスの製品として,静音性はかなり高いと断言していいと思う。



消費電力の大幅な増大がマイナス要素ながら,「Twin Frozr搭載のGTX 1080」として魅力的


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 GTX 1080 GAMING X 8Gは,体感できるレベルの違いが得られる条件は限られるものの,ベンチマークテストにおいて,GTX 1080 Founders Editionよりも確実に高いスコアを示すことができる。
 OCモードとゲーミングモードのクロック差が小さいため,Gaming APPによる動作モード切り替えのメリットはそれほどないこと,そして何より,豪華すぎる電源部のために消費電力がリファレンスデザインと比べて大幅に増大してしまっていることは懸念点であり,マイナス要素となるが,それでも,静かにしっかりと冷却できるクーラーを搭載したGTX 1080カードは,十分に魅力的だろう。

 価格は未定だが,米ドルでのメーカー想定売価がGTX 1080 Founders Editionと同等だとすれば,税込9万〜10万円程度での登場になるのではなかろうか。これから夏にかけてGTX 1080カードを購入する計画があるのであれば,GTX 1080 GAMING X 8Gの存在を憶えておきたい。

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MSIのGTX 1080 GAMING X 8G製品情報ページ

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