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東芝「レグザ」,パナソニック「ビエラ」など,最新テレビの映像エンジンを支えるARMのCPUコア
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印刷2011/11/15 00:00

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東芝「レグザ」,パナソニック「ビエラ」など,最新テレビの映像エンジンを支えるARMのCPUコア

 ARMプロセッサは家電製品にも多く使用されており,テレビの映像エンジンに使われている例もある。2011年11月11日に開催された「ARM Technical Symposia 2011 Japan」では,ARM製プロセッサを採用する日本のテレビメーカーの東芝とパナソニックが,ARMプロセッサを自社映像エンジンにどのように応用しているかについての解説が行われた。ここでは,2社のセッションをまとめて,最新テレビの映像作りでARMプロセッサコアがどのように使われているかを紹介してみたい。

コスト効率が重視されるデジタルテレビ製品


東芝製テレビにおける映像エンジンハードウェアについて語った佐久間 毅氏(東芝 デジタルプロダクツ&サービス エンベディッドシステム技術開発部 部長)
 東芝は,ブラウン管(CRT)時代のテレビ製品は一定の成功を収めていたものの,薄型テレビ時代になった当初は低迷していた。しかし,その後「半導体のチカラが美しさを変える」をキャッチコピーにした「レグザ」ブランドを立ち上げ,今では高画質な薄型テレビのブランドとして広く認知されるまでに復活している。
 東芝によるセッションでは,やや低迷していた2000年代から,現在に至るまでの,東芝製テレビで使われた映像エンジン部のハードウェア技術の移り変わりが語られた。

 まず,720p解像度のテレビが主流の時代からフルHDの60Hz駆動になった2003年〜2005年前後までは,CPU(映像エンジン)は200M〜400MHzのもの,メモリもDDR SDRAMが利用されていた。続く,フルHD全盛時代,それも120Hzや240Hzといった2倍速/4倍速駆動が主流の2006年以降では,CPUは500MHz以上,メモリもDDR2 SDRAMが利用されるようになったという。

デジタルテレビの映像エンジン部におけるハードウェアスペックの推移
Cortex-A

 こうして見てみると,その時期の最新のPCハードウェアと比較して,1世代から数世代以上前の古い技術のハードウェアが使われているように見える。とくにメモリシステムなどはその傾向が顕著だ。これは,テレビ製品では常にコスト効率を優先して設計しなければならず,いわば枯れた世代の技術を利用することが多いためだ。ただ,東芝がここ数年続けてきた“100万円テレビ”のトップエンド「Cellレグザ」シリーズのようなモデルには,しばしばコストを度外視した部材が選択される場合もあるとのこと。

テレビに採用されてきたメモリシステム。CellレグザにはXDRメモリ(Rambusの高速メモリ)が採用された
Cortex-A


CEVOにはデュアルコア版ARM Cortex-A9を採用


 テレビ製品の映像エンジンを,機能ブロックに切り分けて考えると「入力処理→基本処理→映像音声処理→表示処理」となる。
 「入力処理」は,電波としてやってきた放送波をデジタルデータへデコードするような処理系だ。最近では,ここにIPTVサービスのデコード処理も含まれる。国外仕様の製品ならば,その国ごとの仕様の違いを吸収する処理などもここに含まれる。こうした一連の処理系は「ローカル化」プロセスと呼ばれる。
 「基本処理」はデジタルデータを映像データへとデコードする処理系だ。これを経ることで,映像信号は再生するコンテンツの基本形(映像ならば表示する映像フレーム)の状態になる。ここまではメーカー独自の工夫というよりは,定められた標準規格に則ってデータを処理することが中心になるため,この部分は「標準化」プロセスと呼ばれる。
 「映像音声処理」はメーカー独自の映像処理がメインとなる処理系だ。補間フレーム処理,超解像処理……といったメーカー独自の高画質ロジックはここに組み込まれる。出力される映像や音声は標準状態から姿を変えること,および競合メーカーとの差別化の意味合いもあるため,この処理系は「差異化」プロセスと呼ばれる。
 最後の「表示処理」は映像パネルの駆動回路部分に相当する。

デジタルテレビのシステム設計
Cortex-A

 映像エンジン部分は,この中の「入力処理→基本処理→映像音声処理」までに相当し,これらが1チップのSoC(System on a Chip:1チップコンピュータ)LSIへとまとめ上げられる。
 しかし,最初から全機能を1チップに集約したSoCが設計できるわけはなく,開発された新機能の最初の世代は,機能ブロックごとに1プロセッサ(1チップ)として構成され,後の世代でそうした機能ブロックが1つのSoCへと集約されていく。
 東芝レグザの場合は,機能密度が上がるたびに,採用メモリは世代交代を果たし,高度なネット機能やスマートテレビ化への対応に伴って,アプリケーションプロセッサの搭載にまで至ることとなった。

 ちなみに,現在の最新映像エンジンは第3世代だが,その途中にCellレグザが存在している。Cellレグザでは,多くの機能がCellプロセッサ(PlayStation 3と同系列のPowerPC系プロセッサ)上で動作するソフトウェアとして提供され,第3世代映像エンジンでは,その際に培ったソフトウェア技術をハードウェア化し,SoCに集約させているとのこと。

Cortex-A Cortex-A
東芝製テレビにおけるSoCの進化
Cortex-A

Cortex-A
 Cellプロセッサは,テレビ向けのプロセッサとして見た場合,かなり高性能であったが,コストも高く,東芝では2世代目CellレグザX2を最後に採用を取りやめている。型番的にはCellレグザの直系であるはずのX3型番のハイエンドレグザは,4K2Kパネル採用の裸眼立体視対応の3Dテレビとして2011年12月に発売予定となっているが,Cellプロセッサは搭載されていない。
 なお,最新世代の東芝レグザ用の映像エンジンは「レグザエンジンCEVO」と命名されており,これは「Cell Evolution」の略だとのと。

 CEVOに搭載されているCPUはARM Cortex-A9のデュアルコア版とのことで,レクザ上位機には,このデュアルコアCortex-A9プロセッサ搭載のCEVOを2基搭載したCEVO DUOが搭載される。
 Cellプロセッサで実現したすべての機能がデュアルコアCortex-A9×2のシステムで実現できたかというと,実はそうでもないという。CellレグザX1/X2でウリの機能となっていた,8チャンネル分の放送波を同時デコードして8分割した画面に同時表示するマルチチャンネルビュー機能はCEVO DUOベースの55X3では実現できなかったとのこと。
 55X3は,4K2Kパネル採用の裸眼立体視3Dテレビでありながら,値段を従来のCellレグザの価格レンジ(90〜100万円)に抑え込みたかったため,高価なCellプロセッサシステムを使わない方針で作られており,この部分は妥協するしかなかったようだ。
 今後の進化方針としては,映像エンジンにGPUを搭載し,グラフィックス描画に役立てること以外に,OpenCLなどを活用して高速化と省電力化の両立を目指したい……といったことを挙げていた。

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パナソニック独自のプラットフォームUniPhierとは?


UniPhierについて講演を行った磯野貴亘氏(パナソニック,デジタルコア開発センター)
 パナソニックも「ビエラ」ブランドで有名なテレビメーカーとして知られるが,最近のビエラの上級機では「スマートテレビ」というキーワードを前面に押し出してきている。
 パナソニックが考えるスマートテレビとは,具体的には,テレビ上で,多彩なアプリケーションソフトが動作できる製品のことである。将来的にはパナソニックが提供している多彩な家電製品との相互連携までを視野に入れてプラットフォームの開発が進められている。

 パナソニックは,携帯電話,AV機器,カーナビ,パソコンから住宅,ホームセキュリティといったものまで手がけているため,各製品の単体価値だけでなく,パナソニック製品を組み合わせたことで生まれるバリューチェーンを新たな商品力として育て上げたいという戦略があるのだ。
 そのプラットフォームとなるのが,パナソニックが自社開発した「UniPhier」だ。UniPhierはUniversal Platform for High-quality Image Enhancing Revolutionの略だ。英語のUnifier(統一者:ユニファイア)を語源としているようだが,日本語読みでは「ユニフィエ」とされている。

 さまざまな家電製品がデジタル化していくなかで,各製品ジャンルごとに個別開発していたのでは,各部門で生まれたソフトウェア技術,ハードウェア技術を共有するのが難しい。そこで製品開発の際に過去の技術資産を効率的に利用できるようにしようと,パナソニックは統合プラットフォームのプロジェクトをスタートさせた。それが形となったのがUniPhierだ。

UniPhierのコンセプト
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 UniPhierベースの製品が提供されたのは2005年頃からで,全社的な取り組みによって,現在までに主要製品のほとんどがUniPhierベースになっているという。2011年9月20日時点までで152シリーズ,514機種がUniPhierベースとなっており,近年ではパナソニック社内だけでなく,グループ内の関連企業での採用も進んでいるという。

採用の進むUniPhierベースの製品
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新UniPhierはデュアルコア版Cortex-A9とパナソニック製プロセッサの異種混合システムへ


 すでにUniPhierが浸透しているパナソニックの製品群だが,前述したスマートテレビの実現に際しては,これまで以上に高性能なプロセッサ環境を整備する必要に迫られているという。
 これまで「先進的なテレビ製品」といわれていたネットワーク(インターネット)対応テレビであっても,ユーザーが楽しみたいことを「1つ」選択して,それを画面に映し出すというスタイルで機能が提供されてきた。
 しかし,今後は,さまざまな種類の家電製品との相互連携を図ったり,同時に複数の機能を利用することが求められてくる。そうした近未来では,現行のプロセッサパワーを大きく超えた処理能力が求められるというのだ。磯野氏によれば,今世代のテレビでは400MHz〜600MHzで駆動されるプロセッサがUniPhierのコアを動かしていたが,今後はGHzオーダーのプロセッサが必要になるとのこと。

スマートテレビの進化に合わせて求められるより高いプロセッサパワー
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新世代UniPhierにはARM Cortex-A9のデュアルコア版を採用
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 こうした見通しを受けて,現在実用化に向けて開発中なのが新UniPhierシステムLSIで,今回から初めてデュアルコアのARM Cortex-A9がメインCPUコアとして搭載される。
 その動作クロックは,テレビ向け組み込み仕様としてはトップクラスの1.4GHz駆動となる予定だ。メモリシステムはDDR3 SDRAMを採用。コンパニオンコアとして,パナソニックのオリジナルとなる800MHz駆動の旧UniPhierプロセッサ相当コアも搭載される。
 新UniPhierプロセッサは,多様なコーデック処理,グラフィックス処理,インタフェース処理といった,多くのテレビ関連機能の実現のために利用される。2D/3Dそれぞれに対応した映像エンジンもここに統合され,テレビの処理に必要なあらゆる機能が,文字通り1チップのSoCに集約される。これにより,搭載LSI数や基板上の実装面積を削減することに成功し,さらには消費電力までが抑えられたという。

旧UniPhierプロセッサコアは,各種テレビ関連機能の実現以外に,補助的なCPUとしても利用が可能
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 磯野氏が新UniPhierプロセッサの要素技術解説でとくに強調していたのは,統合型メモリアーキテクチャを採用している点だ。これまでは各機能が専用プロセッサで独自のメモリシステムを持っていたため,各機能ブロックが別の機能ブロックの処理結果を流用する際にはデータコピーが必要になり,最大パフォーマンスが得られにくかったのだが,新UniPhierシステムでは,1つの物理メモリ空間にデータが配置されるため,そうしたコピー作業が省かれてパフォーマンスが大幅に向上するというのだ。

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パフォーマンスの向上と共に,部品点数の削減,実装面積の削減,そして消費電力の削減までを実現
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 なお,新UniPhierにおけるデュアルコア版ARM Cortex-A9の実際の役割は,Android OSの処理がメインとなるようだ。ただ,Cortex-A9と旧UniPhierコアではメモリシステムだけでなく,L2キャッシュも共有化されており,相互連携処理はできると説明されている。
 「Androidもサポートできて,パナソニックのUniPhierプラットフォームの機能も同時に利用できる」……この部分こそが,新UniPhierプラットフォームのウリということなのだろう。
 新世代UniPhierは,現在エンジニアリングサンプルの段階で,2011年第4四半期より量産化予定だという。2012年以降に登場するビエラの新製品にはこの新UniPhierシステムが搭載されてくるに違いない。

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新世代UniPhierは2011年第4四半期より量産化予定だという
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グラフィックスに関してはOpen GL ES2.0,Open VGに対応し,AV表示とグラフィックスをブレンドするような高品位かつハイパフォーマンスなグラフィックス表現も提供される

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UniPhierプロセッサが担当する機能
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Cortex-A9とUniPhierプロセッサを搭載する新Unihierシステムをパナソニックは「ヘテロジニアスプロセッサシステム」と呼称する
新UniPhierプラットフォームにおける,Cortex-A9とUniPhierのそれぞれの役割
Cortex-A Cortex-A
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    Cortex-A

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