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ARM,最大8コアのGPU「Mali-T658」を発表。従来比10倍の性能を実現
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印刷2011/11/10 10:55

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ARM,最大8コアのGPU「Mali-T658」を発表。従来比10倍の性能を実現

 2011年11月10日,ARMは報道関係者向け説明会を都内で開催し,GPU(グラフィックスIPコア)の新製品「Mali-T658」を発表した。併せて,Cortex+Maliベースのスマートフォンについて2016年までのロードマップも紹介されたので,今回はその概要をレポートしてみたい。

発表会では,ARM本社のプレジデントであるTuder Brown(チューダー・ブラウン)氏が登壇。「日本はモバイルグラフィックス製品において重要な市場であり,その日本で最初にMali-T658を発表できて嬉しい」と挨拶した。また,日本法人であるアームの西嶋貴史代表取締役社長が,Mali-T658に至るまでの歴史を紹介している


演算性能を向上させたMali-T658

3D性能は現行製品の10倍に


Kevin Smith氏(VP Strategic Marketing, Media Processing Division, ARM)
Mali
ARMのIPコア製品ラインナップ
 さて,Mali-T658のアーキテクチャに関しては,ARMでメディアプロセッシング部門の副社長を務めるKevin Smith(ケビン・スミス)氏が説明を行った。

 ARMにとって現行のハイエンドグラフィックスIPコアは「Mali-400MP」で,これはSamsung Electronics製スマートフォン「Galaxy S II」などで採用されているが,Smith氏は,その次世代品となる「Mali-T604」との比較を行いながら,Mali-T658の特徴を紹介した。
 Mali-T604は,2011年末以降のスマートフォンやタブレットで搭載される予定のグラフィックスIPコアで,最大4基までシェーダコアを拡張できるが,「Mali-T658は最大8シェーダコアまで拡張が可能。さらに,シェーダコアあたりの演算パイプライン数もMali-T604の2倍に引き上げたため,Mali-T604比で4倍の演算性能を持つことになる」(Smith氏)。

 Mali-T604はテクスチャパイプラインとロードストアパイプライン,そして2基の演算パイプライン(≒ALU)を持つ,「Tri-Pipe」と呼ばれるパイプライン構成を採用している。それに対してMali-T658では,下の図で示したとおり,演算パイプラインが2基追加されているのだ。コアの数が2倍,ALUが2倍なので,演算性能は4倍というわけである。

Mali-T658のパイプライン。「Arithmetic Pipeline」(演算パイプライン)が2本増えて4本になったため,シェーダコアあたりの演算能力が2倍になっているという
Mali

Mali
Mali-200からMali-400までの固定シェーダアーキテクチャ「Utgard Architecture」(ウットガルドアーキテクチャ)で,多くの顧客を得たARMが,統合型シェーダアーキテクチャも投入し,グラフィックスIPの選択肢を増やす
Mali
Mali-T658の内部に組み込まれたJob Managerが複数のシェーダコアへと負荷を適切に分散。それにより,高い電力効率とソフトウェアの互換性を実現できているという
 GPUコアアーキテクチャは,Mali-600シリーズで共通の「Midgard Architecture」(ミッドガルドアーキテクチャ)が採用される。Mali-T604の紹介記事でもお伝えしたとおり,Midgard Architectureでは,ARM初の統合型シェーダ(Unified Shader)仕様となるほか,演算パイプラインがIEEE 準拠の高精度64bit浮動小数点演算に対応し,DirectComputeやGoogle RenderScript,OpenCLといったGPUコンピューティング言語をサポートするのも大きな特徴だ。

 ここまでの拡張を行うと消費電力が気になるところだが,Smith氏によれば,Mali-T658では「Job Manager」によって負荷を複数のコアへ分散できるようになっており,これにより,高い効率を実現できるという。同時に,下位モデルたるMali-T604とのソフトウェア互換性も保てているとのことだった。

 なお,ゲームにおいてキモとなる3Dグラフィックス性能は,Mali-T604比で最大2倍,Mali-400MP比では最大10倍に達すると,Smith氏は説明している。

Mali-T658ではGPU Compute性能に焦点が当たっており,そのためSmith氏も,演算性能がMali-T604に対して4倍に達していることを繰り返し強調していた
Mali

 また,「システムレベルでGPUコンピューティングを提供することもMali-T658の強み」で,さらに「先に発表された64bitの命令セットアーキテクチャ『ARMv8』との親和性も高い」と,Smith氏はMali-T658の特徴をまとめていた。

ARMの発表を基に4Gamerで作成したMali-T658のブロック図。2つのクラスタで構成され,クラスタごとにシェーダコアを4基まで拡張できるようになっている。各クラスタやCPUコアはARMのオンチップインターコネクト「AMBA 4 ACE-Lite」を介してCPUコアと接続される形になる。なお,「ACE-Lite」というのは,キャッシュコヒーレンシ(cache coherency,キャッシュの一貫性)を取るための拡張プロトコル。インターコネクトの機能によってCPUとGPUのキャッシュコヒーレンシが保たれるのもMaliの特徴といえる


Mali-T658搭載のモバイル端末は

2014年ごろ主流の座へ


 では,Mali-T658搭載のスマートフォンやタブレットはいつ頃登場するのか。Smith氏はここで,CortexとMali搭載製品のロードマップを以下のとおり披露した。それによると,Mali-T658搭載機が登場するのは,2013年後半から2014年にかけてのこととなるようだ。

Smith氏が示したARM製品の“採用ロードマップ”。2011年のところに「Dual Cortex-A9」「Quad Mali-400MP」とあるが,これがGalaxy S II(など)のこと。2012年になると,クアッドCortex-A9にクアッドMali-T604がハイエンド端末の主流となり,そして2013年後半から2014年にかけてデュアル「Cortex-A15」とクアッドMali-T658が登場してくる見込み。Mali-T658の8コアモデルは2015年以降となる
Mali

 IPコアは通常,発表から1年〜1年半以上経ってから――最近では1年弱という例も報告され始めているが――最終製品に載るのが普通で,そのため,今回発表されたMali-T658を搭載するスマートフォンやタブレットが登場するのはまだ先の話。スライドにあるとおり,2014年頃になると,国内で流通するハイエンドモバイル端末で,Mali-T658や,その競合製品が採用されることになるわけだ。

Mali-T658では,big.LITTLE処理されるCPUコア部と連携し,さらなる高性能と高効率を実現すると予告される
Mali
 Smith氏はここで,「『将来の高性能』を低消費電力で実現することこそが重要」だと強調し,GPUやCPU,インターコネクト技術を持つことで,包括的な消費電力対策を行えることが,競合他社に対するARMの大きな強みになっているとする。
 たとえば,Maliシリーズは,CPUに頼ることなく,インターコネクト経由で自立的にメモリからデータを取り出せるようになっているという。Mali-T658が搭載される将来のSoC製品では,高性能なCortex-A15と,より低消費電力での動作にフォーカスしたCortex-A7とによる「big.LITTLE Processing」(big.LITTLE処理)が組み合わされることになるが(関連記事),「そこにGPU Compute性能に優れたMali-T658が加わることで,Cortex-A15をフルパワーで稼働させる必要が大部分でなくなるため,高性能と高効率が実現される」と,Smith氏は予告する。


 氏は最後に,「今回のMali-T658で,ARMはグラフィックス分野において大きな前進ができた。64bit対応のMali-T658とMali-T604,そして64bitアーキテクチャであるARMv8によって、OEMにハイエンドのロードマップを提供していくことができると確信している」と,説明会を締めていた。
 いずれにせよ,実際の搭載製品が登場するのは,2013年かそれ以降と見ておくべくだろう。2〜3年後,モバイル端末のグラフィックス性能は相当なレベルに達しそうだと期待しておくのがよさそうだ。


ARM公式Webサイト内のMali公式ページ



####以下,リリースより####

GPUコンピュート性能により、
高性能アプリケーションに対応

高効率でスマートなシステム・レベルの手法により、
モバイル機器やスマート・テレビ向けCPU/GPU設計を最適化

 英ARM社(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:横浜市港北区、以下ARM)は、Midgardアーキテクチャをベースとし、スーパーフォンやタブレット、スマート・テレビなどの高性能機器をターゲットとしたGPUファミリの最新製品、ARMMali-T658グラフィックス・プロセシング・ユニット(GPU)を発表しました。
 Mali-T658 GPUは、マルチコア設計にARM独自のシステムレベル・アプローチを採用し、性能とエネルギー効率の両方を最適化しています。ハイエンド機器に対する消費者ニーズに対応するため、Mali-T658 GPUは、現在の主流コンシューマ製品に幅広く使用されているMali-400 MP GPUに比べ、最大10倍のグラフィックス性能を提供します。また、Mali-T604 GPUの4倍のGPUコンピュート性能により、画像処理、拡張現実(AR)など、従来グラフィックス処理を使用していなかった分野で、多数の新しい用途を可能にします。

 グラフィックス・スペシャリストおよびリサーチ・コンサルタンシーである米Jon Peddie Research社の社長、Jon Peddie氏は、次のように述べています。「最近のbig.LITTLE処理およびARMv8アーキテクチャの発表に続き、Mali-T658の発表も、ARMが組み込み分野の異種コンピューティングの進化を追求していることを示しています。これにより、低消費電力アプリケーションに対応する高性能グラフィックス/コンピュート・システムが実現するでしょう。」

 富士通セミコンダクター社、LGエレクトロニクス社、Beijing Nufront社、Samsung社などのARMのリードパートナーに支持されているMali-T658 GPUは、「常時オン、常時接続」に対応する多様な機器にハイクオリティのグラフィカル・インタフェースを提供するよう設計されています。これには、高性能で消費エネルギー重視型のスーパーフォン、スマートフォン、タブレットなどがあります。Mali-T604 GPUの人気を踏まえたMali-T658は、最大8個のコアに対応するスケーラビリティを備え、各コアの演算パイプライン数を2倍にすることにより、ARMの性能上の優位を強化します。また、最新のARMv8アーキテクチャと互換性があります。

 中国Beijing Nufront社のVP MarketingのRock Yang氏は、次のように述べています。「ARMは、CPU、GPU、インタコネクト・テクノロジーを、最適化したコヒーレントなシステムに統合するとともに、それによって性能とデータ共有効率を向上させる独自の立場にあります。これにより、Beijing Nufront社のようなパートナーは、各システム・コンポーネントの優れた機能を最大限に活用し、ARMテクノロジー・ベースのコンピュート・サブシステムにおけるスループットを最大化できます。」

 MidgardアーキテクチャをベースとしたすべてのMali GPUに対応する共通ドライバ群の同時提供は、製品化期間を短縮するだけでなく、将来における実装に対するソフトウェアのアップグレードコストを最小限に抑えます。ARM Mali-T658 GPUは、Microsoft DirectX 11, Khronos OpenGL ES, OpenVG, Khronos OpenCL, Google Renderscript そしてMicrosoft DirectComputeなど、幅広いグラフィックス/コンピュートAPIをサポートします。

 Mali-T658は、スタンドアロン・モードまたはbig.LITTLE処理モードで、ARM Cortex-A15、Cortex-A7プロセッサとシームレスに協調するよう設計されています。Mali Job Managerは、自律性を持ち、少ないCPU負荷でグラフィックス処理を実行するため、big.LITTLE CPUシステムとの併用に非常に適しています。Mali-T658は、適切なタスクに適切なプロセッサを使用することにより、常時オン、常時接続タスクを処理するCPUと並行して、GPUコンピュート・タスクを処理できます。最大8個までのコアに対応するMali-T658 GPUは、1つのコヒーレントなインタフェースを通じ、CPUとGPUの性能レベルを一致させるかつてない電力効率と柔軟性、スケーラビリティを提供します。

 ARMのメディア・プロセシング部門ジェネラル・マネージャであるPete Huttonは、次のように述べています。「Mali-T658 GPUを搭載した次世代のコンシューマ機器は、美しいユーザ・インタフェースとデスクトップ並みのグラフィックスに対するユーザの期待に応えます。ユーザ・インタフェースがわかりやすいことは、消費者が接続した機器の機能を最大限に利用し、高度なユーザ・エクスペリエンスを得られることを意味します。これには、HDゲームのほか、拡張現実など、演算処理を多用する新しいアプリケーションも含まれます。」

■マルチコアCPU/GPU設計におけるキャッシュ・コヒーレンシの重要性

 キャッシュ・コヒーレンシは、マルチコア・コンピューティング機器がローカル・キャッシュに保存したデータの一貫性を維持する上で欠かせません。キャッシュ・コヒーレンシは、複雑な異種SoC設計の性能とエネルギー効率を最適化し、次世代の高性能コンピューティング機器の登場を可能にします。最新のCoreLinkなどのARMシステムIPは、Cortex-A15 MPCoreプロセッサ、Mali-T658グラフィックス・プロセッサなど、マルチコア・プロセッサのクラスタにわたってシステム・レベルのキャッシュ・コヒーレンシを可能にします。

Editor's Note:
公開済みのクロノス仕様をベースとするMali GPUは、クロノス適合性試験
プロセス(Khronos Conformance Testing Process)に適合または今後の
適合が見込まれています。詳細については以下リンクをご覧ください。
http://www.khronos.org/conformance


※ARMはARM社の登録商標です。CortexはARM社の商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーの所有物です。
「ARM」とは、ARM Holdings plc、その事業会社であるARM Limited、各地域の子会社であるARM Inc.; ARM KK; ARM Korea Limited.;ARM Taiwan Limited; ARM France SAS; ARM Consulting (Shanghai) Co. Ltd.;ARM Germany GmbH; ARM Embedded Technologies Pvt. Ltd.; ARM Norway,AS and ARM Sweden ABの全部または一部を意味します。
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