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MSI「GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO」ミニレビュー。高付加価値路線のRTX 2080にはどれだけの魅力があるのか
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印刷2018/11/14 12:00

レビュー

高付加価値路線のRTX 2080にはどれだけの魅力があるのか

MSI GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO

Text by 宮崎真一


 2018年9月20日の「GeForce RTX 2080」(以下,RTX 2080)および「GeForce RTX 2080 Ti」(以下,RTX 2080 Ti)のデビューから約1か月半が経過し,主要なグラフィックスカードメーカーからはさまざまなモデルが市場投入されるに至っている。流通量,そして国内価格の両面でゲーマーの期待に応えられているとは言いがたいものの,少なくとも選択肢自体は増えてきていると言っていいだろう。
 今回取り上げるMSI製のRTX 2080カード「GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO」(以下,MSI 2080 GAMING X TRIO)は,そんな選択肢の中にあって,RTX 2080搭載の高級モデルという位置づけだ。

GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン MSIお客様ご相談窓口 supportjp@msi.com
税込実勢価格:12万8900〜13万4800円程度(※2018年11月14日現在)
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 ではこのMSI 2080 GAMING X TRIOにゲーマーは何をどれくらい期待できるだろうか。ミニレビューでその実力に迫ってみたい。


RTX 2080 Tiの「GAMING X TRIO」モデルと同じ,巨大なGPUクーラーを搭載。カード長は30cm超級に


 RTX 2080というプロセッサがどんな製品なのかはGPUレビュー記事を参照してもらうとして,さっそくMSI 2080 GAMING X TRIOのカードそのものを見ていこう。

カード長は実測約328mm。基板長自体も同306mmなので,堂々の30cm超級である
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 MSI 2080 GAMING X TRIOは,MSI独自のGPUクーラー「Tri Frozr」(トライフローザー)を採用する,同社独自デザインのカードである。その長さは実測で約328mm(※突起部除く)なので,RTX 2080「Founders Edition」の同267mmと比べて60mm以上も長尺ということになる。
 さらに言えば,マザーボードへ差したときの垂直方向へ向かってブラケット部から実測約33mm(※突起部除く)もはみ出ているので,その外観は端的に述べて巨大だ。

カードを別の角度から。クーラーと背面カバーが基板のほぼすべてを覆うという,最近の高級グラフィックスカードによくあるデザインになっている
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3スロット仕様であることは真横から見るとよく分かる
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 Tri Frozrクーラーは3スロット占有タイプ。サイズの異なるRTX 2080カードとの間でもNVLinkベースのSLIを実現できるようにすべく,専用インタフェースに近いところだけファンを90mm角相当にし,それ以外のところでは100mm角相当のファンを搭載する仕様だが,実のところこのあたりは,同じGAMING X TRIOの名を冠するRTX 2080 Ti搭載カード「GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO」(以下,MSI 2080 Ti GAMING X TRIO)とまったく同じだ。

NVLinkインタフェースに近いところのファンは残る2基のファンよりも直径が短く,かつ,GPUクーラーの一部が取り外せるようになっている
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 付け加えると,搭載するファンが2種類の異なる羽を交互に組み合わせた「Torx Fan 3.0」(トルクスファン3.0)仕様になっていたり,GPU温度が60℃を下回ったときにファンの回転を止める機能「Zero Frozr」(ゼロフローザー)を採用していたり,付属アプリケーション「Mystic Light 3」(ミスティックライト3)からクーラー上に搭載するLEDの色や光り方を制御できたりする点も,MSI 2080 GAMING X TRIOとMSI 2080 Ti GAMING X TRIOとで完全に同じである。

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搭載するファンはサイズにかかわらずTorx Fan 3.0仕様。途中からひねりを設けた羽で風圧を,2つの突起がある羽でエアの拡散力をそれぞれ高めているとMSIはアピールしている
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専用の統合アプリケーション「Dragon Center」にある「Tools」から,Zero Frozrの有効/無効を切り換えられる。標準では有効だ
Mystic Light 3を使うことで,ファンを挟む部分とMSIロゴ,MSIが「Gaming Dragon」と呼ぶ竜のロゴ,そしてバーのところに埋め込んであるLEDの制御が可能。今回試したのはバージョン3.0.0.31だが,設定できる内容はMSI 2080 Ti GAMING X TRIOのレビュー時と変わらなかった。工場出荷時設定だと7色にアニメーションするのも変わらずである
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 外部出力インタフェースも同じなので,唯一の違いは,MSI 2080 Ti GAMING X TRIOだと8ピン×2+6ピン×1だった補助電源コネクタが今回は8ピン×2へとスケールダウンしている点くらい。それでもRTX 2080 Founders Editionの8ピン×1+6ピン×1よりは75W分の強化を実現できている計算になる。

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外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.0b Type-A×1,USB 3.1 Gen.2 Type-C×1という構成
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電源コネクタは8ピン×2。空きパターンのようなものは見えないため,基板デザインはMSI 2080 Ti GAMING X TRIOと異なるようだ

 ここで,MSI 2080 GAMING X TRIOの動作クロックを整理しておこう。
 高級モデルという説明で察した読者も多いと思うが,本製品はメーカーレベルで動作クロックを引き上げた,いわゆるクロックアップ(Factory Overclocked)モデルである。
 動作モードが「OC」「Performance」「Silent」と3つあり,前出のDragon Centerから切り換えられる点はMSI 2080 Ti GAMING X TRIOと同じ。また,現状のDragon Centerは「工場出荷時設定のPerformanceモード以外を利用するためには常駐させる必要があり,常駐させるとCPUリソースを消費する」不具合を抱えているところも同じだ。

 3モードの動作クロックとテスト中のGPUコア最大クロック,Power Target(電力目標)は下にまとめたとおりだが,現時点ではPerformanceモード以外は使えないと判断すべきだろう。「性能がどの程度下がるか」は後述するが,MSIには早急な対策を求めたい。

  • OCモード:GPUベース1530MHz,GPUブースト1875MHz,メモリ1.428GHz相当,Power Target 100%
  • Performanceモード:GPUベース1515MHz,GPUブースト1860MHz,メモリ1.4GHz相当,Power Target 100%
  • Silentモード:GPUベース1365MHz,GPUブースト1710MHz,メモリ1.4GHz相当,Power Target 100%

 なお,後述するテスト環境において,テスト中の動作クロックをMSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.0 Beta 9)で追ってみたところ,OCモードで1980MHz,Performanceモードで1965MHz,Silentモードで1815MHzまで,それぞれGPUコアクロックが上がっているのを確認できた。

3モードにおけるテスト中の動作クロックをAfterburnerから追った結果
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 付け加えると,Afterburnerを使えば,

  • GPUコア電圧:動作モードごとの定格に対する増分を0〜100%の範囲で1刻み
  • メモリクロック:−502〜+1000MHz相当の範囲を1刻み
  • ファン回転数:25〜100%の範囲を1刻み

AfterburnerからVoltage/Frequency curve editorを開いたところ。右上に「OC Scanner」という項目が用意されているのだが,クリックしてもNVIDIA Scannerを実行できなかった
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も自己責任を覚悟することで変更可能だ。ただ,「Voltage/Frequency curve editor」からオーバークロック補助機能「NVIDIA Scanner」を利用できるはずなのだが,今回はうまく動作しなかった。このあたりも要改善だろう。


大型クーラーの下にはFounders Editionより充実した電源部あり


 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為である。それをお断りしつつ,今回はレビューのため特別に取り外し,GPUクーラーと基板をチェックしてみよう。

背面のバックプレートを外したところ。熱伝導シールがGPUやメモリチップが実装されている箇所の背面に装着されており,補強と冷却の両方を行っているのが見てとれる
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 というわけでクーラーを外してみると,まずそのクーラーはMSI 2080 Ti GAMING X TRIOが搭載していたのとほぼ同じものであることが分かる。「まったく」ではなく「ほぼ」なのは,補助電源コネクタに近いほうの電源部から熱を受けるプレートの形状が異なっているからだが,8mm径1本,6mm径6本のヒートパイプが2か所ある放熱フィンブロックをつなぐ基本構造は同じものだと言ってしまっていいのではなかろうか。

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Tri Frozrクーラーを取り外したところ。写真右上部分のプレート形状が異なるものの,それ以外の仕様はMSI 2080 Ti GAMING X TRIOが搭載するものと同じようだ
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メモリチップ,そして外部インタフェース側に近い電源部用のヒートシンク兼補強板を外したところ。これで基板へアクセスできるようになる

 一方,基板デザインのほうはMSI 2080 GAMING X TRIO独自のものになっている。

基板の表面と背面。MSI 2080 Ti GAMING X TRIOと比べるとGPUの規模に合わせて電源部が小さくなったことで,全体的にスッキリした印象を受ける
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基板背面には電圧および電流モニタリングチップであるOn Semiconductor製「NCP45491」を2基搭載する
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 電源部は,補助電源コネクタに近い10+2フェーズがGPU用,外部出力インタフェースに近い3フェーズがメモリチップ用。2か所に散った電源部がGPUを挟み込むようなレイアウトはRTX 2080 Founders Editionと共通だ。ただ,Founders EditionだとGPU用が8+2フェーズ構成だったので,MSIは2フェーズ分強化していることになる。

GPU用の電源部(左)。MOSFETにはドライバICとの1パッケージ化を果たしているOn Semiconductor製の「FDMF3170」を採用している。また,チョークコイルにプリントされたGaming Dragonのロゴが印象的だ。写真で電源部の右上(※補助電源コネクタの左側)ではuPI Semiconductor製のPWMコントローラ「uP9512P」も確認できよう
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Founders Editionとの比較を実施


 テスト環境の構築に話を移したい。今回,比較対象にはRTX 2080 Founders Editionを用意した。要するに,クロックアップモデルであるMSI 2080 GAMING X TRIOが,Founders Editionに対してどれだけアドバンテージがあるかを確認しようというわけである。
 用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時の最新版となる「GeForce Hotfix Driver Version 416.64」。とくに断りのない限り,Windows 10の電源プランは最大性能を期待できる「高パフォーマンス」で統一する。

 そのほかテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1準拠。ただし,今回はミニレビューということで,「Far Cry 5」「Middle-earth: Shadow of War」「Project CARS 2」のテストは割愛している。
 解像度はRTX 2080が4K環境を想定していることもあり,3840×2160ドットと2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択した。


Founders Editionとのスコア差は数%程度ながら,最小フレームレートで違いが出る傾向に


 Dragon Centerを常駐させたうえで動作モードを変更すると性能が下がるという件については,「3DMark」(Version 2.6.6174)でOCモードを選択したときの結果を掲載することで説明する点と,グラフ中に限り,スペースの都合でMSI 2080 GAMING X TRIOを「MSI 2080 GX」と表記する点をお断りしつつ,その3DMarkから順にスコアを見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。MSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionとのスコア差は「Fire Strike Ultimate」時に最大の約2%となった。これは,より描画負荷の低いテスト条件ではRTX 2080にとって負荷がそれほど大きくなく,MSI 2080 GAMING X TRIOが持つ「GPUコアクロックが高い」という優位性を発揮しにくいということなのだと思われる。
 なお,OCモードはFire Strike“無印”でPerformanceモードを下回っているが,それ以外のテスト条件では約1%高いスコアを示した。

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 続いてグラフ2はそのFire Strikeから,GPUテストである「Graphics test」のスコアを抜き出したものだが,ほぼ総合スコアを踏襲する結果となっている。OCモードのスコアは全テスト条件でPerformanceモードを1〜2%程度上回った。

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 CPUテストである「Physics test」のスコアをグラフ3にまとめたが,テストではCPUが揃っているため,MSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionとでスコアに大きな違いは見られない。ただそれだけに,OCモードでPerformanceモード比約97%に留まり,「Dragon CenterによるCPUのリソース消費」がスコアから読み取れるのは気になるところだ。

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 GPUとCPU両方の性能がスコアに影響を及ぼす「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ4だが,ここでもMSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionの位置関係は変わらない。両者のスコア差は最大でも約2%となっている。
 OCモードはFire Strike“無印”においてCPUの影響が大きいようで,Performanceモード比で約85%にまでスコアを落としてしまった。

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 3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」,その総合スコアがグラフ5だ。MSI 2080 GAMING X TRIOはRTX 2080 Founders Editionに対して約2%高いスコアを示している。Time Spyの描画負荷はFire Strikeより高いため,クロックアップ効果が出やすいということなのだろう。
 OCモードはPerformanceモードに対して約1%高いスコアを示した。

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 Time SpyにおけるGPUテスト結果がグラフ6で,ここだとMSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionのスコア差は2〜3%程度へとわずかに開いたが,基本的には総合スコアを踏襲するものだと評していいだろう。

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 同じくTime SpyからCPUテストの結果を抜き出したものがグラフ7で,ここだとMSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionは横並び。OCモードだと若干スコアを落としている。

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 グラフ8〜10は「Overwatch」の結果になる。
 ゲームの仕様上,300fpsがフレームレート上限となるため,1920×1080ドット条件ではスコアの頭打ちが確認できる。そこで,2560×1440ドット以上の解像度を見ていくと,MSI 2080 GAMING X TRIOはRTX 2080 Founders Editionに対して平均フレームレートで4〜5%程度,最小フレームレートで2〜6%程度高いスコアを示すのが確認できた。高負荷状況ではFire Strike以上のスコア差をもたらすこともあるようだ。

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 ベンチマークレギュレーション22.1でテスト方法を変更した「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)の結果がグラフ11〜13となる。
 MSI 2080 GAMING X TRIOは,RTX 2080 Founders Editionに平均フレームレートで2〜4%程度のスコア差を付けた。また,最小フレームレートだとRTX 2080 Founders Editionから4〜5%程度高い。これだけ違いが出れば惹かれる人もいるのではなかろうか。

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 グラフ14〜16は「Fortnite」の結果だが,ここでのMSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionとの平均フレームレート差は2〜4%程度。ただ,OverwatchやPUBGと同様,最小フレームレートだとギャップはやや広がって3〜5%程度になる。
 動作クロックを引き上げてあるMSI 2080 GAMING X TRIOでは,より高いクロックで動作することがFounders Editionと比べて多くなり,その結果が最小フレームレートの向上につながっているのではなかろうか。

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 グラフ17は,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)のスコアをまとめたものとなる。
 ここでは,CPUのボトルネックが近いためか,1920×1080ドットで両者のスコアが並んだものの,解像度が高くなるにつれてGPU性能がスコアを左右するようになり,3840×2160ドット条件では約3%の違いが生じるに至っている。

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 そのFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートの結果がグラフ18〜20だ。
 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲する形となっており,2560×1440ドット以上の解像度でMSI 2080 GAMING X TRIOはRTX 2080 Founders Editionに対して2〜3%程度高いスコアを示している。
 FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの最小フレームレートはCPU性能の影響を受けやすいため,スコアは並びつつあるが,3840×2160ドットのみ約12%の開きが見られた。

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消費電力を見るに,クロックアップの代償は少なくない。GPUの冷却性能と静音性は良好


 MSI 2080 GAMING X TRIOはクロックアップモデルであるため,消費電力の増加が懸念される。そこで,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いてFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力を測定し,Founders Editionと比較してみることにした。

 その結果がグラフ21となる。RTX 2080 Founders Editionだと350Wを超える場面が1回きりで,400Wに届くことはまったくないのに対し,MSI 2080 GAMING X TRIOは350W超を45回記録し,うち10回は400Wを超えてしまっている。MSI 2080 GAMING X TRIOの消費電力がFounders Editionをかなり上回ってしまっているのは明らかだ。

グラフ画像をクリックすると横に引き伸ばした拡大版を表示します
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 グラフ22は,グラフ21で得たデータの中央値を求めたものだが,両者の違いは34Wと,MSI 2080 GAMING X TRIOでクロックを引き上げた代償は消費電力の増大としてきっちり払わされている印象がある。

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 参考として,ログが取得可能なワットチェッカーである「Watts up? PRO」でシステム全体の最大消費電力も比較してみよう。
 テストにあたっては,Windows 10の電源プランを標準の「バランス」に戻したうえで,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されるように設定。そして,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分間放置した時点を「アイドル時」としている。

 その結果がグラフ23だが,各アプリケーション実行時におけるMSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionとの差は14〜43W。ほぼグラフ22の結果を踏襲したと言っていいのではなかろうか。

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 GPUの温度もチェックしておきたい。ここでは室温を約24℃に保った環境で,システムをPCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態に置く。そのうえで,3DMarkを30分間連続実行した時点を「高負荷時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 2.14.0)からGPUの温度を取得した。
 その結果をグラフ24に示す。MSI 2080 GAMING X TRIOとRTX 2080 Founders Editionでは温度センサーの位置が同じとは言い切れず,そもそも温度の制御法とGPUクーラーも異なるため,横並びの評価にあまり意味はない。それを踏まえて見てみると,MSI 2080 GAMING X TRIOは高負荷時でも65℃と,消費電力の割には低い温度を保てている。Tri Frozrクーラーは相応に高い冷却性能を持っていると言ってよさそうだ。
 なお,アイドル時にMSI 2080 GAMING X TRIOのGPUの温度が高めなのは,Zero Frozr機能によってファンの回転が停止するためである。

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 Tri Frozrの動作音も確認しておきたい。今回は,カメラをカードと正対する形で30cm離した地点に置き,PCをアイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを最高品質の3840×2160ドットで4分間実行した,合計約5分間をビデオとして用意してみた。
 最初の1分間はファンが停止するため,聞こえるのは周りの環境音だ。ベンチマークを実行すると20秒(=ファイル冒頭から80秒)ほどでファンが回転を始めるが,面白いのは,画面左端の90mm角相当のファンだけ止まったままという点だろう。このファンはベンチマーク実行後40秒(=ファイル冒頭から100秒)を過ぎてからようやく回り始めているのだが,MSI 2080 Ti GAMING X TRIOだとこうした挙動は確認できていないので,MSI 2080 GAMING X TRIOではファンの制御方針を変えてある可能性が高そうだ。


 ベンチマーク実行3分後(=ファイル冒頭から4分後)になるとファンの回転数は最大に達しているが,その動作音はMSI 2080 Ti GAMING X TRIOと大して変わらないレベル。ただ,MSI 2080 Ti GAMING X TRIOだとファンの風切り音に高い周波数のものが混じっている印象を受けたが,MSI 2080 GAMING X TRIOではそれがなかった。このあたりはファンの回転数制御方針の違いによると思われる。


コストパフォーマンス的に褒められないが,電源部とGPUクーラーは魅力的


製品ボックス
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 MSI 2080 GAMING X TRIOの実勢価格は12万8900〜13万4800円程度(※2018年11月14日現在)だ。ブランドやグレードを選ばなければ11万円以下の選択肢もある現状にあって,この値段はさすがに高いと言わざるを得ない。とくに,「これだけ高価であるにもかかわらず,発売から1か月以上も経過して,今なおDragon Centerなど周辺ソフトウェアに不具合を抱えている」というのは大きなマイナス要素だ。

 とはいえ,Founders Editionと比べてゲームにおける最小フレームレート向上を期待できるという点や,しっかりした電源部,そしてカードの大きさがもたらす冷却性能および静音性の高さという魅力はある。
 総じて,少なくとも現時点だと万人に勧められるものではないものの,ハードウェアレベルでの高い品質を求めるのであれば選択肢になり得る存在だろう。より多くのゲーマーに勧められるようになるためにも,MSIにはソフトウェアの早急な改善を求めたい。

画像集 No.053のサムネイル画像 / MSI「GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO」ミニレビュー。高付加価値路線のRTX 2080にはどれだけの魅力があるのか

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