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人と人ならざる者は共存できるのか。「放課後ライトノベル」第87回は『グロリアスハーツ』でクール系美少女に罵られながら旅をしよう
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印刷2012/04/07 10:00

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人と人ならざる者は共存できるのか。「放課後ライトノベル」第87回は『グロリアスハーツ』でクール系美少女に罵られながら旅をしよう



 ピカピカぴかりんじゃんけんポン♪(挨拶)
 どうも,最近日曜朝にはテレビの前で全裸待機している筆者です。世間ではキュアピースこと黄瀬やよいちゃんが人気みたいですが,筆者の一押しはキュアビューティこと青木れいかちゃん。クール系の美少女でちょっと天然入ってるという俺得ぶりは,もはや全力プッシュせざるを得ない勢い。プリキュア,スマイルチャージ!

 もっとも,5人ともいいところがあるし,何よりもその絆の固さにぐっとくる。いいなあプリキュア。俺もれいか様に踏まれたいプリキュアになりたいなあ。とか思ってたら,どうもこの春にはみんなプリキュアになれるらしいじゃないですか。わーいやったー! えっ,“女の子はみんな”なの? そんな……俺はプリキュアにはなれないの……。

 そんな,絶望のあまり白紙の未来を黒く塗りつぶしたくなっている筆者が贈る「放課後ライトノベル」第87回は,桃色でも橙でも黄色でも緑でも青でもない銀色の髪のヒロインが活躍する『グロリアスハーツ』を紹介する。筆者にも5つの光に導かれた輝く未来が待ってますよーに。

人と人ならざる者は共存できるのか。「放課後ライトノベル」第87回は『グロリアスハーツ』でクール系美少女に罵られながら旅をしよう
『グロリアスハーツ』

著者:淡路帆希
イラストレーター:文倉十
出版社/レーベル:富士見書房/富士見ファンタジア文庫
価格:609円(税込)
ISBN:978-4-8291-3737-6-C0193

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●すべては,人になるために。少年と少女の切なる願い


 パルティシオン暦1899年,少年アルトゥールは炎と瓦礫の中で,2人の少女と出会った――。
 それから7年後。アルトゥールは少女の片割れユズカと共に「ブリザード特急便」という冷蔵宅配業を営んでいた。町から町へ渡り歩きながら,日々荷物を運ぶ彼らだったが,本当の目的はほかにあった。

 贋人(ギニョル)。大陸の外からやってくる異形の生物・怪精(ファンタズマ)の脅威を退けるため,隣国シローフォノで密かに研究されていた,怪異の力を持った人型の兵器。ユズカはその1人であり,アルトゥールは彼女を普通の人間にするために,その鍵を握ると目される人物を探しているのだ。

 贋人は存在自体が一般に秘匿されており,軍の監視下から逃亡したユズカのような贋人は,見つかれば軍に命を狙われる運命にある。兵器として生まれた悲しみを断ち切り,人としての生をまっとうする……これは,そんなささやかな願いを抱く少年少女の物語である。


●能力もツッコミも極寒!? クール&お姫様系ヒロイン・ユズカ


 切実な願いを胸に,兄妹のように肩を寄せ合って旅をするアルトゥールとユズカ。もっとも普段は,アルトゥールの不用意な言動にユズカが極寒のツッコミを入れるというのがお決まりのパターン。ブリザード特急便が成り立つのは,氷と冷気を操るユズカの能力《氷姫(グラス・レーヌ)》あってのものであり,彼女に仕事を任せて情報収集する(=一見遊びまわっているようにも見える)アルトゥールがヒモ扱いされることも。

 さらに作中では,ふとしたことから知り合った情報屋ミヌーが2人の関係を引っ掻き回してくれる。なにかとアルトゥールを惑わし,しかも胸が大きいミヌーは,胸がないユズカにとってはまさに天敵。ページを追うごとに高まっていくユズカの苛立ちは,当然のことながらアルトゥールに向けられることになる。クール系の美少女に冷たい目で罵られるのに,えも言われぬ感情を覚える筆者のような読者には,まさにご褒美といえる一作なのだ。

 とはいえ先に書いたとおり,ユズカは潜在的に命を狙われる立場にあり,実際作中では大きな危機に見舞われる。そんなとき,人間でありながらなぜか贋人と同じような能力を使えるアルトゥールは,その力,《炎龍(ヴィーヴル)》を用いて敢然と敵に立ち向かう。炎の剣を手に敵と渡り合うアルトゥールに,普段のちょっと抜けたところは微塵も見られず,まさに“兄”の面目躍如といえる。


●人と人ならざる者は,果たして共存できるのか


 この『グロリアスハーツ』が抱えるテーマの一つに,「人間と贋人の共存」というものがある。人の姿を持ち,人と変わりない感情を持つ贋人は,黙っていれば人の中に紛れて暮らすこともできる。だがその能力は,ひとたび表に出てしまえば人を恐怖させるものだ。作中で登場するひと組の男女の姿とその結末は,そうした人と贋人の断絶を否応なくこちらに突きつけてくる。

 加えて贋人は,ある程度まで育つとそれ以上歳を取らなくなる。怪我をしてもすぐに治り,身体的にはほとんど不老不死に近い。作中では,そんな贋人と人が肩を並べて生きていけるのか,という問題も呈されている。

 能力の違い,時間の流れの違い,そしてそもそも贋人の存在は極秘であり,表立って世の中で暮らしていくことを許されていないという事実。こうしたいくつもの壁を乗り越え,アルトゥールはユズカと共に生きていこうとする。その胸中には,かつて姉と慕い,ユズカと3人で暮らしていたもう1人の少女・メリッサへの想いがあった。そんな彼の想いに気づきつつ,自らもアルトゥールへのひそかな想いを抱くユズカ……。
 果たしてユズカは人になれるのか。そして,アルトゥールの持つ力の正体とは。いくつもの謎を抱えた物語は,まだ幕を開けたばかりだ。

■ほかにもある,人ならざる者との関係を描いたライトノベル

『ダブルブリッド』(著者:中村恵里加,イラスト:藤倉和音/電撃文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
人と人ならざる者は共存できるのか。「放課後ライトノベル」第87回は『グロリアスハーツ』でクール系美少女に罵られながら旅をしよう
 人と,人の姿をした存在との(恋愛を含めた)関係を描くというのは,昔から数多く取り上げられてきた,物語のテーマとしては定番のものだ。ライトノベルもその例外ではなく,本連載でこれまで紹介してきた中でも『狼と香辛料』(人と賢狼),『聖剣の刀鍛冶』(人と魔剣)などでそうしたテーマが描かれている。今回のコラムでは,同様の作品の中の極北として,3年ちょっと前に完結した作品になるが,中村恵里加の『ダブルブリッド』を紹介したい。
 「怪(アヤカシ)」と呼ばれる,人とは異なる生物が各地で発見された世界。人間に害をなす怪に対処するため,警察内に創設された特殊部隊に所属する山崎太一朗(やまざきたいちろう)は,あるきっかけから怪のみで構成された「第六課」に出向することになり,そこで怪の片倉優樹(かたくらゆうき)と出会う。任務を共にする中で,人と怪という立場を超えて心を通わせる2人だったが,彼らを取り巻く状況は2人の心を,そして肉体を次第に変質させていく。よくあるラブコメとは一線を画す心理描写や,読んでいるこちらまで痛みを感じるような表現が,今でも唯一無二の読後感を残す,異種恋愛ものの異色作だ。

■■宇佐見尚也(キュアライター)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。「勇気リンリン締切突破!」とわめきながら原稿を送ってきた宇佐見氏。おまけに何を言い出すかと思えば「前フリの続きですが,最近はキュアマーチこと緑川なおちゃんもいいなあと思ってます。一本筋が通ってて。あ,でもそうなると最初はキャラかぶりを心配してたあかねちゃんとか,もちろんあざとイエロー……じゃなくて,やよいちゃんも嫌いじゃないし……(以下略)」と聞いてもいないことを延々と口走る始末。誰かこの男を止めてください。今すぐ。
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