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魔王さま,免許取得を目指す! 「放課後ライトノベル」第138回は『はたらく魔王さま!』で世界征服への一歩を踏み出そう
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印刷2013/04/20 10:00

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魔王さま,免許取得を目指す! 「放課後ライトノベル」第138回は『はたらく魔王さま!』で世界征服への一歩を踏み出そう



 魔王。それは現代に生きる日本人なら誰でも一度は耳にし,誰もがイメージできる存在である。たぶん。今ではほとんど一般的な言葉として通じる魔王だが,魔王と聞いて多くの人が想像するのはシューベルトの楽曲ではなく,世界の半分をくれたり,逃げようとしても逃げられなかったりするアレのことだろう。そう考えると,ゲームの一用語から,ここまで世間一般に浸透しているわけで,やっぱり堀井先生は凄いや!

 そして,それだけ有名になれば,いろいろと変わり種も出てくる。ライトノベルでも懐かしいものでは『今日からマのつく自由業!』というのがあったし,『まおゆう』では経済学を使って世の中を変えようしていた。

 だがしかし,そんなさまざまな魔王の中でも,今回紹介するこの方は,かなり異色な部類に入るだろう。そんなわけで,「放課後ライトノベル」の第138回は,現在TVアニメも放映中の『はたらく魔王さま!』をご紹介。魔王でも働かなきゃいけないなんて,現代社会は辛く厳しい……と思ったら意外と楽しそうに働いてますね,魔王さま。

魔王さま,免許取得を目指す! 「放課後ライトノベル」第138回は『はたらく魔王さま!』で世界征服への一歩を踏み出そう
『はたらく魔王さま!8』

著者:和ヶ原聡司
イラストレーター:029
出版社/レーベル:アスキー・メディアワークス/電撃文庫
価格:620円(税込)
ISBN:978-4-0489-1580-9

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●新たに訪れた世界で,魔王の世界征服が再び始まる!


 世界征服を目指し,聖十字大陸エンテ・イスラに侵攻した魔王サタン。破竹の勢いで進軍し,征服まであと一歩というところまで計画を進めた彼だったが,その野望は突如現れた一人の人間によって阻まれる。彼女の名はエミリア。勇者である彼女によって,魔王軍はあっさり壊滅し,魔王本人も止めを刺されそうになる。その寸前,魔王は異世界へのゲートを開くと,悪魔大元帥アルシエルと共に,別の世界へとすたこら逃げていった。

 そんな彼らがたどり着いた場所はチキュウという星のニホンという島国。ここで新たに征服計画を練ろうとするも,肝心の魔力を蓄えられず,魔法を行使することもできない。力による支配も,元の世界に戻ることもできず,人間のルールに則って暮らしていくしかなくなった2人は,わずかに残った魔力でそれぞれ真奥貞夫(まおうさだお)芦屋四郎(あしやしろう)という戸籍を作って仕事を探し始める。そして一年の月日が経ち――魔王は悲しいぐらいに人間社会に順応していた

 ファーストフード店のバイトを見つけ,そこで順調に昇給を重ねた魔王は,正社員への採用を目指して真面目に働いていた。これこそ新世界での世界征服の第一歩である。そんな順風満帆(?)な彼の前に一人の女性が現れる。彼女の名は遊佐恵美(ゆさえみ)。その正体は魔王を追って日本にやってきた勇者エミリアである。しかし,彼女もまた法力を補給することができず,生活費を稼ぐため労働の日々を送っていた。

 お互い本来の力を発揮できないうえに,慣れない異世界での暮らしということもあり,表立って争うことはなく,魔王たちはそれなりに平穏な日常を過ごしていた――。


●生活感に溢れた,細やかな日常描写に注目!


 とはいえ,元々は敵対する魔王と勇者。一歩間違えれば,すぐに険悪な雰囲気になってしまう。そんな彼らのあいだを取り持つのが,魔王のバイト先の後輩である佐々木千穂(ささきちほ)。彼女は普通の人間でありながら,魔王に仕事を教わり,一所懸命な仕事っぷりを間近で見たことで,恋に落ちてしまう。こうして別世界でも新たな人間関係を築き始めた魔王だが,やがて次々に彼とエミリアの過去を知る者たちが現れて……。

 ファンタジー作品の完成度は,どれだけディテールを作り込めるかによって決まる。作者の筆が未知の世界を丁寧に描くことで,読者はその世界の手触りや空気を感じ取ることができるのだ。そして,魔王と勇者を題材にしたファンタジーである本作は,その細やかな描写が実に素晴らしい
 男2人が住む六畳一間のしなびた感じ,外から見ただけでは分からないファーストフード店での勤務風景,仕事から帰ってきてレトルト食品を温める一人暮らしの女性の寂しさ。そういった生活感溢れる日常風景が作品にリアリティを……って,あれ? ファンタジーとあんまり関係ないぞ,これ。

 ともかく,舞台となる渋谷区笹塚を中心とした京王線沿線を始め,後楽園にある某遊園地や,千葉県を走る銚子電鉄の描写など,現実の日本の風景がしっかり描写されており,作品世界をより身近に感じられるようになっている。店長代理を任され張り切る魔王,予定外の出費にため息を漏らす悪魔大元帥,財布を落として落ち込む勇者など,大げさな肩書きとは裏腹に,日常の小さな出来事に一喜一憂する彼らの姿に愛おしさを感じずにはいられない。


●ついに迎えた新展開。勇者のいない笹塚で起こる事件とは?


 そんなふうに,日々の仕事や家事に奔走しているように見える魔王たちだが,そればかりではない。魔王たちを狙って次々とやってくるエンテ・イスラの住人は,教会の審問官に,天使に悪魔。そして時には赤ん坊と実にバリエーション豊かだ。しかし,刺客の目的は魔王の命だけとは限らない。中にはエミリアが持つ聖剣を奪おうとする者もいるし,さらには悪魔と人間が手を組む事態が発生するなど,水面下ではいろいろと複雑な動きが起こっている。

 それらゴタゴタの謎を解明するため,この最新巻ではエミリアがエンテ・イスラの実家に一時帰省することに。一方,魔王は勤務しているファーストフード店でデリバリーサービスが開始されるため,原付免許を取るための勉強に励んでいた。免許の取得にかかる費用は会社が負担してくれる(ただし初回のみ)ので家計にも優しい!

 しかし,帰ってくる予定の日が過ぎてもエミリアは戻らず,すでに2週間が経過。そのことに動揺し,よりにもよって筆記試験に落ちる魔王……。泣く泣く再チャレンジする魔王だが,彼は運転免許試験場で怪しい2人組に出会う。片言の日本語に,日本人離れした外見,しかも彼らは魔王のことを知っているという。
 さらに時を同じくして,千穂の学校が何者かによって襲撃される事件が発生する。勇者不在の笹塚で起こる謎の動き。なぜエミリアは帰ってこないのか,2人組の正体は何者か,学校を襲った人物の目的は? さまざまな事件が同時に起こり,物語は大きく動き出す。

 本作は笹塚を中心とした日常パートと,魔王と勇者を追ってくる刺客との戦闘パートが組み合わさった,まさに日常系ファンタジーとでも言うべき内容だが,最新巻では物語世界が大きく広がり,ファンタジー要素が強めな展開に。無事,これまでのような日常は戻ってくるのか? 始まったばかりで依然として平和なアニメ版「はたらく魔王さま!」を眺めながら,次なる展開に期待したい。

■ライトノベルに登場する,個性豊かな魔王たち

『魔王が家賃を払ってくれない』(著者:伊藤ヒロ,イラスト:魚/ガガガ文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
魔王さま,免許取得を目指す! 「放課後ライトノベル」第138回は『はたらく魔王さま!』で世界征服への一歩を踏み出そう
 今回取り上げた『はたらく魔王さま!』に限らず,近頃はタイトルに魔王と入っている作品が多い。そうかそうか,みんなそんなに魔王が好きか,ということで,今回は個性豊かな魔王たちをご紹介。
 まず最初に紹介するのは,『アンチ・マジカル 〜魔法少女禁止法〜』の作者・伊藤ヒロによる『魔王が家賃を払ってくれない』。本作の魔王,アーザ十四世は勇者に敗れた結果,日本で悠々自適のニート生活を送るはめに。見た目は金髪幼女でありながら,パンツ丸出し,洗濯物からキノコが生える,傍らには謎の液体が入ったペットボトルなど,いろいろと残念。また,メタネタやパロディネタが満載なのだが,中にはあまりにマイナーなネタも入っており,誰をターゲットにしているのかも少々怪しい。「名匠 左甚五郎」とか北海道のローカルラジオ局のCMネタを出してこられても……。
 次に紹介する魔王は,日日日の『反抗期の妹を魔王の力で支配してみた。』(GA文庫)。魔王の血筋を引く主人公が,学校の講師として義妹を含む4人の少女たちを育成していく物語。タイトルから,魔王の力で女の子相手にやりたい放題なお話かと思ったら,意外としっかり少女たちの成長を描いた学園ファンタジーだ。
 最後に紹介するのは,みみとミミによる『魔王な使い魔と魔法少女な』(スーパーダッシュ文庫)。流行の魔王に,さらに魔法少女も追加! これで勝つる! と言わんばかりのタイトルだ。魔法少女に変身できる朝霧瑞希(男子)が,ダンボールの中に捨てられていた少女と契約をしたら,彼女は実は魔王だったという,いろいろ盛り込みすぎなストーリー。だが,さらに尖っているのは主人公の一人称視点で語られる癖の強い文体。キャラクターたちの会話も尖っており,少し変わったライトノベルが読みたい人にオススメです。

■■柿崎憲(はたらかないライターさま!)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。「魔王もいいけど,今気になるのは,電王,すなわち将棋の電王戦です」と語る柿崎氏。「これが掲載される頃には第5戦が行われているはずですが,人間が勝つのか,コンピュータが勝つのか,大変気になるところですね。ところで来週,重大発表があるとかないとか聞いたのですが……」と,気もそぞろな様子でした。ええ,実は来週……。
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