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今,ゲームを売るために必要なことを考える――「パタポン3」がどうすればメジャーなれるのかを開発陣と話し合ってきた
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印刷2011/04/28 00:00

インタビュー

今,ゲームを売るために必要なことを考える――「パタポン3」がどうすればメジャーなれるのかを開発陣と話し合ってきた

子供に「カッケー!」って言ってもらいたい


パタポン 3
吉澤氏:
 あとは3を作るにあたって,もっと興味を持ってもらえるゲームにするために小谷が言い出したのが,ヒーローをかっこよくしたいってことですね。

4Gamer:
 今回のヒーローって,今までのパタポンとは雰囲気の異なるキャラですよね。

吉澤氏:
 パタポン,とくに初代パタポンって,尖ったところが好きな層と,カジュアルな層の2極を取ってる感じなんですよ。RTS好きと音ゲー好きがいたりとか,戦略性にハマる人とキャラクターが大好きって人がいたりとか。

4Gamer:
 言い方は悪いですけど,マーケットとしては小さいところを取る形になってますね。

吉澤氏:
 ええ,実際にはその真ん中に多くの人がいるんです。パタポンをおもしろいゲームって認めてもらうには,その人達にも手にとってもらう必要があると思うんですよ。

小谷氏:
 そこで,今回マルチプレイにも力が入っている以上,いわゆるアバター性みたいなものが必要だと思ったんです。すんげーイカス武器とか,クールなポーズとか,超カッコイイ必殺技とか。自分のヒーローが,目玉に手足が付いたものから抜け出て,それでいて今までにないようなキャラクターでないと,きっと自分でもマルチプレイを遊ばないだろうなって。

4Gamer:
 ヒーローのデザイン考えたのって小谷さんなんですか?

小谷氏:
 そうですよ。最初は,近所の子供達に見せていた落書きでした。子供達に「カッケー!」って言ってもらえるようなのを描きたくて,2の流れで仮面をつけた,なんとなくワルっぽい雰囲気の黒い戦士を考えたんです。

4Gamer:
 たしかに,ヒーローかっこいいですけど,正義の味方っぽいイメージではないかも。

小谷氏:
 落書き段階では,タバコ吸ってたり,腕組んだりしてましたね。ただ,パタポンってRolitoさんのキャラクターなので,なかなか実装に踏み切れずにいました。これを登場させてウケるのか,自信が持てない部分もありましたし。でも飯さんに見せたらすごい反応してくれて,それで僕も調子付いて,実現してみようかなって。

吉澤氏:
 ヒーローをゲーム内に落とし込むとしたら,クラスのバリエーションを設けて,RPGとして遊べるようにするのが,パタポンに合うんじゃないかって結論になりました。僕らなりに,こういうフックになる部分は考えてますね。

4Gamer:
 なるほど。フックとしては,キャラクターやコラボで引っ張ってくるっていうのもありますよね。
 例えば「初音ミク -Project DIVA- 2nd」は,キャラクター性を生かして30万本以上売れた音楽ゲームです。パタポンをメジャーにするために,そういう露出をしていこうって話はないんですか?

吉澤氏:
 コラボやってみようって議論はもちろんありますよ。ただパタポンの場合,選定先が難しいんですよね。
 コラボっていくつかパターンがあるんですよ。まず,「マリオ&ソニック」のようなビッグネーム同士のコラボ。
 次に,マーケットが活性化するような,同じジャンル内でのコラボ。代表的な例でいけば,「ストリートファイター」と「鉄拳」のコラボなんかですね。

4Gamer:
 どちらのパターンも,インパクトのあるコラボですよね。

吉澤氏:
 ええ。ほかには,「ガンダム無双」みたいなキャラクターとシステムを組み合わせるコラボがあります。そういった中から,パタポンに合ったものがあるならやるべきだと思いますけど,いいケースが見当たらないというのか正直なところです。

飯氏:
 それと,パタポンは絶対的にCERO Aを目指してるんですよ。だから,キャラクターで引っ張るにしても,できることに限りはありますよね。頭にパンツ被せられない。

小谷氏:
 いやいやいや(笑)。

4Gamer:
 パンツ被せてどうするんですか(笑)。

飯氏:
 まあそれはおいとくにしても,何より我々はRolitoさんが作る世界観が好きなんですよ。その一定の法則というか,ビジュアルアイデンティティを崩したくないんですよね。だから,コラボとかであえて異物を入れるっていうのはものすごい抵抗があるんですね。

4Gamer:
 独特の世界観ですからね,抵抗があるというのも分かります。

飯氏:
 ヒーローキャラクター入れるってだけでも抵抗があって,大変だったんですよ。マスクを被せるだけでも,周りからむちゃくちゃ言われましたし。「アイデンティティの目玉を隠すとは何事だ」とか,「それパタポンである必要ないですよね」とか。そしたら吉澤さんが「目玉のマスク作ったらいけるんじゃないですか?」って言い出したりして,ワケの分からないことやってましたよ。

4Gamer:
 マスクだけでもそこまでの議論が……。パタポンの世界に何かを入れるのはハードル高そうだ。

飯氏:
 そういう部分で,なんかもうニッチでいいやって割り切ってる部分があるんですよ。この座談会の場でいうのもおかしな話ですけど,みんな正直そういうのあるでしょ? そこは認めないとダメだと思うんだよね。

吉澤氏:
 うーん,でも次回があれば,僕はコラボチャレンジしてみたいって気持ちはありますよ。

飯氏:
 ほほう,それはどういうことやるの? 松屋とか,ローソンとか?

吉澤氏:
 パタポンが牛丼持ってみたり?

飯氏:
 ローソンの制服着せてみちゃう?

4Gamer:
 効果はあるんですか,そのコラボ(笑)。

吉澤氏:
 どうだろう(笑)。もしやるとすれば,このターゲットが好んでいるコンテンツとコラボするから意味がある,意味がないって議論は必要ですよね。そこで効果的だと結論が出れば実施する可能性はありますけど,それには相応のリソースを投下しなければならない。だったら,ゲームのクオリティアップにスタッフを割きたいという判断にはなりがちかもしれないです。



ゲームシステムは後付けだった? パタポン誕生秘話


4Gamer:
 そういえば,そもそも「パタポン」という独特のゲームは,どういうきっかけで作られたんですか? いきなりずいぶん昔の話に飛んでしまいますけど。

小谷氏:
 うーん,着想なんて大それた話はなかったりするんですけど……本当にインスピレーションから始まっているような企画なんですね。パタポンって目玉のキャラと出会ったのが5年前ぐらいかな。
 仕事の付き合いで,「パラッパラッパー」のキャラクターデザインに関わっているインターリンクプランニングさんの事務所をうかがったとき,こういうデザイナーがいるんですって紹介していただいたんですよ。その中にパタポンのRolitoさんがいらっしゃいまして,彼のWebページとかアートワークを見た瞬間に,これは人の心を捉えて離さない何かがあるなと直感しました。

4Gamer:
 基本的にシステムありきで入っていったっていうよりは,最初からキャラクターのデザインがあって,それに合わせて制作されたということですか?

小谷氏:
 そうですね。そのときにインスピレーションしたのが,槍を持ったちょっと原始的なキャラと,そこに何かが響いているような空気感だったんです。そこで,彼らがいっぱいワラワラ動いてるのをゲームにしたらおもしろいだろうと思いつきました。
 当時PSPのゲームを作る立場にいたので,じゃあ誰に相談したらいいんだろうって考えたとき,以前挨拶をしたことがある飯さんのことが浮かんだんです。まったく理由も理屈もなく,「この人なら,こういうインスピレーションを分かってくれる」と思って。

4Gamer:
 そこで理由なく,というのもすごいですね。完全に小谷さんの感性から動き出した企画なんですか。

小谷氏:
 でも,飯さんに連絡したのは正解で,「おもしろいですね,やりましょう!」という返事がきたんですよ。そこから,一歩一歩作っていきました。

飯氏:
 試作の期間がすごく長くて,1年ぐらいは試作をずっと作ってましたね。2回ぐらい試作を潰した覚えがあります。

4Gamer:
 パタポンは,最初からリズムアクションとして作られていたんですか?

飯氏:
 ボタンを押して太鼓を叩いてっていうのは,最初から決まってました。ただ,リズムコマンドみたいなのは,開発を始めて8か月ぐらい経ってから,小谷さんの提案で決まったことです。
 いろいろ作り続けてるんで,迷走するというか,泥沼にはまっていくみたいなところもあって,開発はなかなか難航しましたよ。

4Gamer:
 リズムコマンドがなかったころのパタポンって,どんなゲームだったんでしょうか。

飯氏:
 一番最初に作ったのは,ボタン4つによるコマンドではなく,右上にコマンドを喋るキャラがいて,そのとおり入力すれば必ずクリアできるってやつでした。でも,自分でアドリブでコマンドを入力することもできて,そのコマンドを覚えればアレンジして遊べるみたいな内容です。

4Gamer:
 うーん,必ずクリアできるというのは分かりやすいかもしれませんが,ゲームとしては今のパタポンのほうがおもしろそうに思えますね。

飯氏:
 実は当時,小谷さんがSCEの中でプレゼンを行ったときに,たしかパラッパラッパーの開発スタッフの方だったと思うんですけど,「コマンドを覚えて遊ぶゲームにしたほうがおもしろいよね」みたいなことを言われたんです。これはすごい記憶に残ってる思い出なんですが,こういったことから,必ずクリアできるようなコマンド表示は消してしまいましたね。試行錯誤を繰り返して,ようやく今のパタポンが生まれたんです。

4Gamer:
 次にやるコマンドが明確に表示されると,先ほどの話題で出た「発見する面白さ」がなくなりますしねぇ……。

吉澤氏:
 これも繰り返しになりますけど,分かりにくさがあってこそパタポンの面白さがある,そうである以上は,そのわかりにくさを売る/作る側も受け入れて考えないと駄目なんでしょうね。


真剣に「誰にでも遊んで貰えるゲーム」を目指している


4Gamer:
 そんなパタポンですが,1,2,3とシリーズを積み重ねていくなかで,今回のパタポン3は,具体的にどういったプレイヤー層を狙って作られているんですか。

飯氏:
 全部です。

4Gamer:
 サラっと大変なことを言い切りましたね。

飯氏:
 本当ですよ。パタポン3は,ひたすら多様性を考えて作られてるんです。シングルプレイはもちろん,協力とか対戦みたいなマルチプレイまで,とにかくすべてを内包して,どんなプレイヤーでも遊べるように設計しています。

4Gamer:
 それは単純に,シングルプレイとマルチプレイがシステム的に搭載されているってことではないんですか?

飯氏:
 いえ,どんなプレイヤーでも,どこかに住み分けできるような構造になっているんです。
 今回,体験版なんかでけっこうマルチプレイ押し出してますけど,当然シングルプレイでもしっかり遊びこめるゲームになってます。でもゲームを進めていけば,当然難度の高いコンテンツって出てきますよね。もしシングルのどこかで,1人で遊ぶのきついなって思ったら,どこからでもマルチプレイを楽しめるようになってるわけですよ。

4Gamer:
 でも,シングルプレイしか遊ばないってプレイヤーもいますよね。体験版ではマルチプレイ用のコンテンツってありましたけど,そういう面で「今回はマルチ重視だから,楽しめないのかな」って思う人もいるのでは?

飯氏:
 そりゃあ,一部はマルチプレイ用ってしているコンテンツはありますよ。でも体験版の話でいけば,ソロでやりこんだ結果,マルチプレイ用のコンテンツを1人でクリアしちゃうなんて人も存在するんです。かといって,1人でできるならマルチプレイいらないのかっていうと,そんなことはない。人と役割分担して遊べばまた違う楽しさがありますよね。

4Gamer:
 ソロでやりこむのも,協力して進めていくのも自由な作りになっているわけですね。

飯氏:
 ええ。しかも,協力する中で固定面子ができたら,チームを組んで遊んだりもできます。そこで遊びこんだ先に,対戦でチームごとに勝敗を競うなんてコンテンツも用意されているんです。極端な話,人間より強い相手なんていないので,対戦っていうマルチプレイのハイエンドコンテンツまで,パタポン3は全部をカバーできているんですよ。

4Gamer:
 なるほど。では,難度的にどのぐらいのプレイヤーを想定しているとかってあります? パタポンに触れたことがない人だと,「リズムゲームは苦手だから無理」って声もあるじゃないですか。

飯氏:
 うーん,たしかに的確な指示を出して敵を倒したりするって部分で,ピリ辛なチューニングはしてますよ。でも今回RPGって要素も内包してるんで,キャラクターを育てていけば,リズムゲームをやったことがなくたって楽しく遊べるはずなんです。

4Gamer:
 ああ,RPGってジャンル自体に「キャラクターを育てれば誰でも最終的にクリアできる」懐の深さみたいなのはありますね。

飯氏:
 僕の後輩の話なんですけど,お母さんに自分の会社で作ったゲームだよってパタポン渡した人がいるんですよ。そしたら,お母さんゲームなんてプレイしたことないのに,クリアしたっていうんです。

4Gamer:
 興味深いですね。個人的に,パタポンはRTSっぽいゲーム性の部分で魅力を感じていたんですが,初めてゲームを触った人でもちゃんと遊べるというのはおもしろい話です。

飯氏:
 あとは,プレイ時間だって人によって違いますけど,いろんな遊び方に応えられるように考えてあります。1回5分10分ぐらいのをサクっと遊んで,よし寝よみたいなライトなものから,ずっとオンラインに繋ぎっぱなしにするようなものまでできるんですよ。今回,PSPを複数台もってる人なら,1台をサーバーとして使うなんてこともできますし。

4Gamer:
 あまり聞かない仕様ですね。そのサーバーって何をするためのものなんですか?

パタポン 3
飯氏:
 チームの管理をするためだけのアカウントとしてオンラインに繋いでおけば,チームメンバーが入ってくるとデータが更新されるんです。ヘビーに遊びたい人は,オンラインゲームのギルドシステムみたいなのがPSPのゲームで使えるわけですよ。
 いろんな面で,どんな人だろうとすっぽりはまる間口の広さみたいなのが,パタポン3にはあります。なんでもアリなんです。

4Gamer:
 なんでもアリといっても中途半端なわけではなく,誰でも遊べるよう対応するというのは,珍しい作りな気がしますね。

飯氏:
 僕が知る限り,そんな作りをしているのは「World of Warcraft」ぐらいしかないです。だから,そんなのがコンシューマゲームに存在するわけがない。

4Gamer:
 今までにないものだから,魅力が伝わりにくいって部分があるのかもしれません。

飯氏:
 普通ゲーム作るときって,何かを切り捨てて,どこかしらのターゲットにフォーカスしていくじゃないですか。でも僕は,1人で遊ぶことを否定したくないし,マルチを軽い気持ちで,ソロの延長で遊んだらちょっと楽しそうだからやってみようって人も受け入れたい。役割分担して無理ゲーと思えるようなのに挑戦して,自分たちの力で攻略するってことに燃えるみたいのも否定しちゃいけない。やりこんだ先で対戦したい人だって,否定しない。
 パタポンってのは1,2,3ってシリーズ続いていく中で,そういうのを全部抱き込んできて,今があるんです。

4Gamer:
 多様性を考えた結果,今の形に進化したんですね。
 ただ,メジャーになる,もっと手にとってもらうって方向に進むとすれば,マルチプレイに力を入れざるを得ないみたいな現状もありますよね。もはやPSPのトレンドみたいになっていますから。やはりヒットを狙うならマルチだよね,みたいな議論はあったんですか?

吉澤氏:
 それはありましたね。
 パタポンの続編を考えたときに,シングルで遊びこめるゲームっていうのが,いわゆる正統派の進化の仕方だと思います。しかし多くのタイトルでは,プレイヤーの予想できる形で正統な進化をしていくと,売り上げが減少していくんですよ。

4Gamer:
 どうしても,縮小再生産を繰り返すような形になりやすいですね。

吉澤氏:
 はい。それを続けていくと,最終的にそのシリーズはある意味役割が終わってしまいます。そうでなくて,常に進化し続けていくタイトルであるにはどうしたらいいんだろうと考えると,マルチプレイは一つの要素なんです。

4Gamer:
 パタポンのプレイヤーからも,マルチプレイのニーズはあるんですか?

吉澤氏:
 実際,アンケートなんかでもマルチやりたいって要望はいっぱいありましたよ。パタポンでは,2からアドホックのマルチプレイに対応したから買ったって人も多かったんです。

4Gamer:
 その結果,パタポン2って売り上げも伸びたんですか?

吉澤氏:
 伸びましたよ。結果的には,マルチ方向に進化したのは正解だったんじゃないかと思っています。

  • 関連タイトル:

    パタポン 3

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