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八咫烏は「ArcheAge」に実在した!? 謎の怪鳥「リーウー」の正体をめぐって行われた月刊ムー編集長との緊急共同記者会見をレポート
そのアップデートを数日後に控えたある日,ArcheAge日本運営プロデューサーである石元一輝氏から,「会見を行いたい」という緊急の呼び出しを受けた。アップデートに関する不具合でも発見し,スケジュールが大幅に狂うという報告だろうか? それとも,何かサプライズが……。
何事かと思いゲームオンを訪ねてみると,通された部屋にはArcheAgeのロゴの隣に,怪しいロゴが赤く輝いていた。
嫌な予感がする。
思い返せば2016年のArcheAgeは,「ArcheAge3.0」アップデートに向けて,数々のアプローチを行ってきた。刀鍛冶を体験したり,リアルドワーフやウォーボーンを招いたり,過去記事一覧を眺めてみると,わりと謎の記事が並んでいるのだ。「何をやっているんだろう,この人達?」という疑問とともにファンの記憶に残っているのではないか。それも,2016年が過ぎて落ち着いたかと思っていたのだが,その考えは甘すぎたようだ。
――まさか,こうくるとは思わなかった。
記者会見場には,石元氏とサングラスをかけた怪しい人物が現れた。石元氏によると,今回のアップデート「蒼翼の咆哮」に登場するレイドボス「リーウー」が普通ではないことに運営スタッフが気づいたという。それは「足が3本もある」ということだ。
ArcheAgeには,これまでも空を飛ぶモンスター,つまりUMA(未確認動物)は登場していたが,「このような特徴を持ったUMAは初めてだ」と石元氏は話す。
黒い姿に雷をまとい,足が3本ある巨大な怪鳥「リーウー」は,レッドドラゴンやクラーケン,リヴァイアサンなどに匹敵する,神話クラスのUMAかもしれないとスタッフは騒然となったが,残念ながらそれを確信するほどの知識を持ち合わせていない。ならば専門家の知恵を借りようと,日本が誇るミステリーマガジン「月刊ムー」の編集長である三上丈晴氏を招き,「リーウー」の正体に迫ることにしたと,会見の意図を説明した。
あ,そういう話なんですね……と納得しつつ,本稿では,ArcheAgeと月刊ムーによる異色のコラボが実現した記者会見の模様をお伝えしよう。
蒼穹に羽ばたく3本足の怪鳥は八咫烏の再来か!? 巨大怪鳥リーウーを追う!!
まず,リーウーを目撃した石元氏が,三上氏にその特徴を説明した。やはりポイントとなるのは「足が3本あること」のようだ。これについて三上氏は,足が3本あると言えば日本の霊鳥で,日本サッカー協会のエンブレムにもなっている八咫烏(やたがらす)を挙げ,その謂われを紹介した。
天照大神(あまてらすおおみかみ)を祖神に持ち,初代天皇とされる神武天皇(じんむてんのう)は,九州から瀬戸内海を越えた東征の末に大和朝廷を開いた人物だ。だが,畿内に入ったとき,先住民である長髄彦(ながすねひこ)ら地元の大豪族との戦いで苦戦し,先に進めなくなってしまう。やむなく紀伊半島(現在の熊野)を迂回して大和を目指すことになったが,道に迷ってしまう。そこに颯爽と現れたのが巨大な烏,八咫烏だ。
この説明を受けて石元氏は,八咫烏が巨大であるという点に注目した。三上氏によれば,八咫烏の「咫」は古代中国の長さの単位であり,大きさを示しているのだという。「咫」自体は約18cmほどらしいが「八咫」とすることで「非常に大きい」という意味になるそうだ。三種の神器である「八咫鏡(やたのかがみ)」も,同様の意味を有しているという。
3本足であることに加え,巨大な鳥だということで,その正体に迫ったと確信した石元氏。だが,三上氏の説明は,これからが本番だった。
霊鳥としての烏は,日本のみならず東アジア全域で語られているという。その代表的なものとして,古代中国の地理書「山海経(せんがいきょう)」や思想書「淮南子(えなんじ)」に登場する足が3本ある金色の烏「金烏(きんう)」がある。これは太陽の中に住んでいる烏として伝説が残っていて,太陽の黒点を烏と見立てたのではないかと言われている。
足が3本という点については,陰陽思想が関わっているのではないかと,三上氏は続けた。すべてが陰と陽で成り立っているという陰陽思想は数字にも及んでおり,陰は偶数,陽が奇数となっている。太陽は陽に属するもので,そこに住む烏の足が陰である偶数,つまり2本では都合が悪いことから3本になったのではないかという説だ。
そのほかにも「山海経」や「淮南子」には,東の果てにある巨大な樹木「扶桑(ふそう)」の背に10の太陽を乗せて天を回る烏が10羽いるだとか,扶桑の頂上には最初に朝を告げる「天鶏(てんけい)」がいるだとか,太陽と鳥には密接な関係があり,数多くの伝説が残されているのだという。
道に迷った神武天皇を八咫烏が案内したという伝承もルーツを辿っていくと,同じような伝説が紀元前4世紀頃のアレキサンダー大王の時代にもあると,三上氏は話す。
さらに遡ると,旧約聖書にあるノアの箱船の伝説にいきつくという。アララト山に漂着した箱船からノアが放った鳥としては鳩が有名だが,最初に放ったのは“鳩”である前に“烏”なのである。
このように「導くもの」としての烏は古代から伝わる伝説と密接なつながりがあり,それらの逸話が中東から中国に渡り,そして渡来人の手を経て日本に入ってきたのだろうということだった。
ちなみに,韓国にも烏の名を持った夫婦神がいて,夫婦神が日本に行ってしまったために韓国は真っ暗になったなんて伝説もあるらしい。古墳に残された壁画にも,3本足の鳥が描かれているというのだから驚きだ。
八咫烏とそれにまつわる数々の話に感銘を受けた石元氏は,名前こそ知っていたものの妖怪や霊鳥といったイメージを抱いており,これほど古くから日本のみならず世界中に浸透していたものだったのかと,驚きを隠せないようだった。
現場に本物のリーウー現る!? 三上氏が目撃したリーウーの正体とは!
ひとしきり八咫烏の説明を受けた石元氏は,改めてゲームに登場するリーウーについて説明を始めた。
3000年ほど前に主を失ったリーウーは,その復讐のために仇である種族「イフナ」に戦いを挑むのだが,返り討ちにあってしまう。それから2000年ほどあとに力を得る機会に恵まれたが暴走してしまい,旧大陸を崩壊させてしまったのだという。暴走時に負った傷が癒え,復活した――というのが,リーウーのストーリーだ。
開発元の韓国では三本鳥という名前だったそうだが,それをそのまま持ってくるのもイメージが違う。だからといって,三本足つながりで八咫烏と付けるのも違和感がある。そこで,日本では「リーウー」と名付けたのだという。
それを聞いて三上氏は,どのような漢字を当てたのかと興味を抱いていた。石元氏はとくに漢字表記は考えていなかったようだが,三上氏は「霊烏」でリーウーと読ませているのではないかと思ったそうだ。事実,金烏の別名として「日烏(読みは“にちう”だが,リーウーと発音する)」が存在する。これは偶然なのだろうか……。
ともあれ,石元氏はゲームを進め,リーウーの召喚に成功する。その全容を見た三上氏は,その大きさに驚きながらも「烏というよりは,始祖鳥という感じですね」と,その印象を述べた。
太陽に関わる霊鳥,妖鳥として鳳凰や朱雀などもいる。鳳凰は首が長く全長もかなりのものになるとのことだが,リーウーとは異なるようだ。ちなみに3本足の鳳凰もいるらしく,やはり陽の鳥ということで3本足にされてしまったのだろうと語った。
確かに足が3本あるものの,どことなくドラゴンのような鱗もあるリーウー。三上氏はその見た目の姿と,ArcheAgeというゲームのタイトルから,Archaeopteryx(アーケオプテリクス)という学名を持つ始祖鳥を思い浮かべたのだという。
リーウーは烏と呼ぶには青すぎる印象があり,もっと黒に寄っていれば八咫烏としてのイメージに近づくかもしれないと石元氏が話すと,三上氏からは白い烏もいれば赤い烏,青い烏もいるという指摘が飛ぶ。「淮南子」の地形訓にある5色5方に結びつけられた五方竜王と同様に,陰陽五行説にある木火土金水に対応した色の八咫烏も存在しているのだという。
リーウーと戦うプレイヤー達は,背中に翼を生やすという奇跡を持って対峙することになるが,石元氏は八咫烏が起こした奇跡があるのかと三上氏に尋ねた。すると,道案内の逸話のほかに,変身するという逸話も残っているというではないか。
先ほど紹介した神武天皇と八咫烏との逸話では,長髄彦らと戦う。この戦いで神武天皇はかなりの苦戦に陥いるが,終盤に神武天皇の弓矢の先に天空からやってきた光る鵄(とび)が止まり,その体から発する光で長髄彦の軍兵は総崩れとなり,神武天皇は勝利した。
この鵄は金鵄(きんし)と呼ばれ,八咫烏と同一視されている。現在でも天皇の即位の礼に使用されている大錦旛(だいきんばん)のモチーフでもある(ちなみに大錦旛は2つが対になっていて,1つが金鵄でもう1つが八咫烏である)。
このように説明したあと三上氏は,光を発するなどの攻撃的な面を考えると,リーウーは八咫烏よりも金鵄のほうが近いかもしれないと付け加えた。
残念ながら,リーウーは八咫烏ではなかったようだ。しかし,神として称えられたとしてもおかしくないほどの荘厳な姿と,圧倒的な力を感じさせる存在であることは確認できた。
八咫烏にしても金鵄にしても,めでたいことの前兆として姿を現す瑞鳥としての側面を持つとも言われている。リーウーの正体は未だ謎に包まれたままだが,その謎はプレイヤーの手で解き明かすチャンスが与えられたとも言える。瑞鳥を倒してしまうことは,ちょっと恐れ多い気がしないでもないが,それはそれ。「こちら」の先行プレイ記事を確認して,戦いに臨んでほしい。
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