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早くも“最恐”の予感!? Wii用ソフト「恐怖体感 呪怨」の先行恐怖体感イベントをレポート
本作は,数多く存在する国産ホラー映画の中でも“最恐”と評され,日本のみならず世界中で話題となった映画,「呪怨」の初ゲーム化となる作品。Wiiリモコンを懐中電灯に見立てて,呪われた廃墟を探索するというホラーアドベンチャーだ。「呪怨」の産みの親である清水崇監督が“恐怖アドバイザー”として制作に参加していることも,大きな話題となっている。
会場では,本作をいち早く体験できたのはもちろんのこと,開発者であるAQインタラクティブのエグゼクティブプロデューサー,ビル・リッチ氏と,広報の平塚浩志氏によるプレゼンや質疑応答も行われた。本稿ではその模様をお伝えしていこう。
まずはイベントのオープニングとして,6月27日に公開される映画シリーズ最新作,「呪怨 白い老女」と「呪怨 黒い少女」のプロモーション映像が流された(関連記事は「こちら」)。
続いて,恐怖体感 呪怨の開発者であるビル・リッチ氏と,広報の平塚氏がスクリーン前に立ち,本作の見どころや操作について説明を行った。
平塚氏は,Wiiリモコンを持ちながらプレゼンを行い「これはWiiリモコンではありません。懐中電灯です(笑)」と,説明。
恐怖体感 呪怨のエグゼクティブプロデューサー,ビル・リッチ氏 |
同作広報の平塚浩志氏 |
その様子からも,Wiiリモコン=懐中電灯という設定の重要さが伝わってくる。Wiiリモコンを懐中電灯に見立てるという仕組みが効果的に盛り込まれた作品としては,Wii「FRAGILE〜さよなら月の廃墟〜」がまず思い出されるが,本作はどのようなゲーム体験を我々に提供してくれるのだろうか。
ちなみに,本イベントで試遊できたバージョンは開発中のものなので,製品版では細かな仕様が異なる可能性があることを,ご了承いただきたい。
「呪怨」ファンなら思わずにニヤリ
まさに呪怨の世界観をそのままゲームにした内容
試遊バージョンでは,ステージの一つである廃工場がプレイできた。ゲームを開始する前には,プレイヤーの性別と星座の設定が可能で,これがプレイにどのような影響をもたらすのかは現時点で不明だが,ゲームをプレイするときには若干意識しておいても損はなさそうだ。
また本作は,ステージごとに違うキャラクターでのプレイが楽しめるのも特徴。すべてのキャラクターでプレイして初めて浮かび上がってくる真実や,断片的なものだった情報が,一つの真実につながっていくといった映画版的な要素もあると思われるので,恐怖に怯えつつも,各キャラクターのストーリーをしっかりとチェックしておいたほうがいいだろう。
先述したが,本作はWiiリモコンを懐中電灯代わりにしてステージを進んでいくゲームとなっており,Wiiリモコンの向きに合わせて,懐中電灯の灯りに照らされた画面がスクロールする仕様となっている。
またアイテムを入手する際は,画面上で光っているアイコンをポイントし,Aボタンを押す。Wiiリモコンでの操作はなかなか快適で,移動もアイテムの入手もスムースに行えた。これは,こういった館内探索型のゲームにおいては非常にありがたいことである。
なお,懐中電灯を使うには電池が必要で,電池がなくなると灯りが消えてしまい,キャラクター=プレイヤーは暗闇に包まれてしまう。電池はさまざまな場所に落ちているので,少なくとも序盤ですぐに電池切れになるケースはあまりないだろうが,電力の消耗が意外と激しいので,ストックがあってもかなり焦ってしまう。
まさに「一寸先は闇」という状況において,プレイヤーは慎重な行動を取らざるを得ない。しかしあまりのんびりしていると,頼みの綱である懐中電灯の電池が切れてしまう。そんなピリピリした緊張感が,少し試遊しただけでもしっかりと感じ取れた。
また,本作の見どころである恐怖の演出については,清水崇監督が参加しているということもあり,「さすが」の一言につきる。
館内を探索中に,どこからともなく「アアア……アアアアアア」という,ファンにはおなじみの伽椰子の声が聞こえてきたり,突然目の前を,タターッっと俊雄が走り抜けていったりと,映画中によく見られる恐怖の演出が効果的に取り入れられているのは,映画ファンには堪らない要素である。映画ファンでなくても,まず確実に恐怖を感じられるはずだ。
ほかにも,ドアを開けると結構な確率で伽椰子が襲いかかってくる(!)という点も見逃せない。
伽椰子に襲われたら,画面に表示される矢印の方向にWiiリモコンを振って,ピンチを回避しなければならない。もし入力に成功しても,それは一時的な回避でしかないので,「また伽椰子が出てくるんじゃないか……」という恐怖感から,扉を開けるという行為さえもが恐ろしく思えてくる。そのあたりの演出は,やはり清水監督が参加したことによる恩恵が,如実に出ていると感じた部分だ。
なお,伽椰子に襲われたときに,Wiiリモコンによる操作が間に合わなかった場合はジ・エンド。ゲームオーバーになってしまうので,注意が必要だ。
ちなみに筆者は,初回プレイ時には,リモコンを振ってピンチを回避するということに気付かず,あえなく伽椰子のえじきになってしまった。チーン。
また,ゲームオーバーになると,ビビリ度判定画面が表示され,プレイヤーのビビリ度とヘタレ度を突きつけられる。参考までに筆者の判定結果は「お話にならないビビリですね!」だった。
なお本作では,ダッシュ機能がなかったり,敵(本作では伽椰子と俊雄)が倒せない仕様になっていたりと,既存のアクションアドベンチャーでは一般的な要素がバサッと取り払われている。行動に関する自由度が低いということが,ある意味恐怖を助長する演出として機能しており,“恐怖”がテーマの本作ならではのゲーム性といえるのではないだろうか。
そういった点を踏まえてみると,「呪怨」という作品の恐怖を,ゲームでうまく表現しようとしている姿勢が強く感じられる。清水監督の参加はその最たる部分だと思うし,恐怖を際だたせるため,あえて不自由な要素を盛り込むという点にも,開発者の深いこだわりを感じる。
操作性も非常にシンプルで,余計な操作はほとんど要求されない。極端な話,説明書を読まなくてもプレイできそうな印象だ。そういった意味では,ゲームに不慣れなホラーファンにもオススメできるタイトルに仕上がりそうだ。
筆者の個人的な感想としては,本作は今までプレイしてきたゲームの中でも,トップクラスに怖く,トップクラスに“原作に忠実”なゲームになりそうな予感がひしひしとする。今年の夏は,本作のおかげで涼しく過ごすことができそうだ。
最後に,開発者/広報による本作のアピールコメントを掲載しておこう。「恐怖体験 呪怨」に込められたこだわりの一端を確認してほしい。
ゲーム性に関してはシンプルな感じに仕上がっています。ゲーマーはもちろん,カップルでも気楽に遊べたり,家族で遊べたり……あっ,ファミリーで遊ぶにはちょっと怖すぎますかね(笑)。ともあれ,Wiiというハードの特性を活かして気軽に遊べるという部分には気を使いました。
また怖さに関しては,清水監督にも最初からどっぷり関わってもらっているので,「どういった演出が一番怖いのか」という部分には注力しています。
ただビックリするだけではなく,ジャパニーズホラーのゾクゾクする奇妙な怖さというものを表現できたらなといいなと思いますね。
平塚氏:
「呪怨」は,「夜道を歩く怖さ」を再現するというコンセプトのもと,作られた作品だと清水監督はおっしゃっていました。ゲーム版のほうも,夜道や廃墟といった,いかにも怖そうなところを一人でじっくりと歩く恐怖を感じてもらえたら嬉しいです。
- 関連タイトル:
恐怖体感 呪怨
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