ディースリー・パブリッシャーから,ニンテンドーDS用ソフト「
SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員 〜1つの真実、6つの答え〜」が発売される。発売は5月末の予定で,価格は2800円(税込)。
本作は,5月21日よりスタートする裁判員制度をテーマにしたアドベンチャーゲームで,法廷にうずまくさまざまな思惑,人々のドラマが,全5話のストーリーで描かれる。本作の脚本・監督を務めるのは,デジタルドラマ「
セツの火」で,その個性豊かな語り口から多くの支持を得た遠藤正二朗氏。まずはそんな本作のプロローグと登場人物を紹介しよう。
<プロローグ>
二月二十七日 金曜日 午後十時二十五分 東京都中野区沼袋
彼が最後に感じたのは、冷たいアスファルトの手触りだった。
首筋から絶え間なく漏れる、生暖かさだった。
彼が最後に見たのは、男の目だった。
じっと見つめる目。なにかを“確かめる”様な目だった。
身体の芯から、熱が失われていくのがよくわかった。
寒い。とてつもない寒さだった。
命が失われていくのだろう。彼にはよくわかった。
だから、悔しかった。
なんでだよ……なんで……こうなる……?
やりたいこと、やるべきことのすべてが遠ざかる。
親父……おふくろ……
望……
だから、彼は悔しかった。
雪の夜、五條誠司の生涯は閉ざされた。
<登場キャラクター紹介>
五條誠司
本作の主人公。商社に勤務していた25歳。仕事も順調、結婚を前提にした恋人もおり、順風満帆な人生を送っていたが、ある雪の日の夜、通り魔に襲われ理不尽にも、その命を奪われる。
死後は成仏できず、ある理由から因縁の深い西東京地方裁判所(通称、ニットー)に居座る浮遊霊となる。
地獄の廷吏である“ヤマヤマ”と出会い、自らが成仏するため、また“間違った裁判”を止めるため、生身の裁判員に憑依することを選ぶ。
ヤマヤマ
死者の魂を天国行きと地獄行きに仕分けする“当局”の官吏。非常に口が悪い。
いつまでも成仏しない五條を“あの世”に連れて行くため“この世”に現れる。
人の嘘を見抜く能力を持ち、その能力で五條の手助けをする。
ウサギのような、ネコのような姿をしているが・・・
というわけで,なんとビックリ,主人公の五條はゲームが始まる前から死んでいるのだ。そしてゲームでは,
裁判員の一人に憑依して裁判に参加し,被告人の有罪/無罪を見抜いて“正しい”判決を導き出すことになる。参加した裁判で情報を集め,自分以外の裁判員達を説得し,真実を突き止めなくてはならない。
裁判を真実に導くためには,まずは裁判に立ち会わなければ始まらない。裁判中は検察官や弁護士などが事件に関わる情報を話すので,その中で重要と思う情報を選んでいく。ヤマヤマが,被告人が本当のことを言っているのか,それともウソつきなのかを教えてくれるので,被告人が有罪か無罪かを判断し,それを証明している情報を選ぶのが大切だ。特定の証拠は,尋問などで証人にぶつけると,より説得効果の高い情報に修正され,ほかの裁判員の説得に役立つ。
裁判で被告人のウソを見抜いても,ほかの裁判員や裁判官がそのことに気づかなければ意味がない。そこで行うのが,裁判員の一人に憑依して,ほかの裁判員/裁判官を説得する
“評議”だ。一つの事件で少なくとも3回,評議のチャンスがあるので,裁判中に手に入れた情報を突きつけて周囲を説得しよう。
評議のあとは,いよいよ
“評決”だ。簡単に言うと,“被告人が無罪か有罪か,多数決で決めること”だが,評議でできる限り多くの人を説得していないと,ここで真実とは違う評決がなされてしまう。
無罪評決を得るには,裁判官3名,裁判員6名のうち,計5名の無罪投票が必要。ただし,主人公が憑依している裁判員を除くため,実質計4名の完全説得が必要となる。また,有罪評決を得るには,裁判官を最低1名含む,計5名の有罪投票が必要。主人公が憑依している裁判員を除くため,この場合も実質,裁判官1名の有罪投票を含む,計4名の完全説得が必要だ。ヤマヤマと力を合わせて,“間違った判決”にならないように裁判を導こう。
五條達と関わる裁判官
秋月芽衣子
本作のヒロイン。西東京地方裁判所の左陪席裁判官。
挙動がのろく、おっとりした人物。
軽はずみな断罪は決してしないが、何故か毎回、真相とは逆の結論を導き出してしまう。
五條誠司からの法律的な質問にも親切に答えてくれる、優しい性格の持ち主。
裁判マニアにはファンも多く、“ニットーのめいこたん”との愛称で、親しまれているらしい。
土居宗達
刑事第三部、部総括判事。三年後に定年を控えたベテラン。迅速な裁判を信条としているが、焦って真相究明をするようなことは決してしない。
秋月の良き先輩であり、父親のような感情とともに彼女の成長を見守っている。
仙波鉄弥
刑事第三部、判事。西東京地方裁判所の右陪席裁判官。
性悪説を支持する厳罰指向の裁判官。そのため、秋月との対立も絶えない。見ようによっては二枚目だが、それを上塗るほど表情が険しく、常に苛立っているような印象を他者に与えることも。自覚はないが、霊感が強い。