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サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた
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印刷2010/12/24 12:27

インタビュー

サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた

画像集#008のサムネイル/サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた
 ガーラジャパンは,同社がサービス中のMMORPG「IRIS Online」において,コンテンツ拡充のスピードアップやセキュリティ対策などを通じて,プレイヤーの満足度を高めていくことに尽力するための「運営改革宣言」を行う。
 4Gamerでは,この宣言の意図や具体的な施策などを,ガーラジャパン 取締役 COOの羽二生博志氏と,同 第3ゲーム事業部の郭 智恩氏に聞いてきた。

画像集#007のサムネイル/サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた

 羽二生氏は,「IRIS Online」が正式サービスを開始した2010年5月当初,登録会員数は3万人以上,平均同時接続者数3000人以上と,極めて好調なスタートを切ったと話す。しかし,“善良な”プレイヤーだけではなく,RMT業者にも注目されてしまい,ゲーム内はBOTや宣伝シャウトが多数見受けられるような状況となってしまった。
 また,不正アクセスによるアカウントハックが発生したこともあり,結果,多くのプレイヤーがゲームを去ってしまった。なおガーラジャパンでは,総当り式のログインアタック(※特定回数の認証エラー防止ロジックは実装済み)や,別サービスでアカウントハックに成功したIDとパスワードの転用などが,その主な原因だったと分析している。

ガーラジャパン取締役 COOの羽二生博志氏
画像集#001のサムネイル/サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた
我々が業者対策やハッキングへの対応に追われて本来の運営業務を疎かにしてしまったために,多くの皆様が『IRIS Online』から離れてしまったと認識しています。当時,BOTの排除や海外IPの規制などをスタッフ総出で行ったのですが,イタチごっこになり,手が追いつかないという状況でした。結果として,きちんとゲームを遊んでくださっているプレイヤーの皆様に多大な迷惑をおかけしてしまいました」(羽二生氏)

どの事業でもそうですが,一度信頼を失ってしまうと回復するのは大変困難です。特にオンラインゲームはその傾向が強いです。ガーラジャパンでは,今後,『IRIS Online』を主力タイトルとして展開していくにあたり,皆様の信頼を取り戻すべく尽力していきます。そこで弊社の姿勢を皆様にご理解していただくべく,今回,運営改革を宣言させていただいたわけです」(郭氏)

 「IRIS Online」では,失われたプレイヤーの信頼を回復するための第一歩として,大幅なセキュリティ強化を図る。具体的には「セキュリティカード」システムの実装である。
 現在「IRIS Online」では,キャラクターのインベントリ/アイテムボックスを利用する際に,4桁の数字をログイン1回ごとに1回入力する必要がある「セキュリティコード」システムを実装している。実装当初は選択制だったが,現在は登録が必須となった。
 これに加えて新たに導入されるのが,「セキュリティカード」である。これは,銀行のオンライン取引などで利用されるものと同等のシステムで,プレイヤーにはあらかじめランダムな数字の羅列がメールで渡され,ゲームのログイン時には,ログインIDとパスワードに加え,その数字を入力することになる,というわけだ。
 セキュリティカードとセキュリティコードを併用するとなると,煩わしさを覚える人も少なからず出てきそうだが,「二重三重の入力が必要となり,プレイヤーの皆さんには不便を強いることになってしまいますが,大事なアイテムを守るための施策ですので,ぜひご理解ください」と,郭氏は説明する。
 なお,このセキュリティカードシステムの開発はすでに完了しており,ポリシーなどの改訂といった手続きが完了次第,実装されるとのことだ。

画像集#003のサムネイル/サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた
RMT業者やBOTに関しては,ゲーム内での巡回を増やす,同一IPからの大量接続を弾くといった対応をより強化していきます。システム的にシャットアウトするだけではどうしても漏れが出てしまいますから,結局,最後は人的リソース頼みとなります」(羽二生氏)

 また郭氏は,開発元の韓国EyaSoftとの連携を密にし,今まで以上にプレイヤーの要望や日本市場の傾向に沿ったコンテンツを,より迅速に実現していくと述べる。そのため運営チーム内に,ローカライズおよび開発との折衝を専門に担当する部署を設けたとのこと。
 一口にローカライズといっても,韓国語を日本語に翻訳して文章として意味の通るものにするだけでなく,さらに踏み込んでより自然な日本語表現に直していくという,いわば“2次ローカライズ”を行っていくそうだ。なおこの取り組みは,今後実装されるものに留まらず,既存のコンテンツも対象となり,その成果は12月中をお目にかけられる予定だとのこと。
 続けて郭氏は,新しいイベントやコンテンツに,これまで以上に日本のプレイヤーの要望を取り入れた提案を行っていくと述べる。例えば今後登場するコスチュームに関しては,日本でデザインを起こしたものを開発元に提案し,採用してもらうよう積極的に働きかけていくそうだ。

 ただ,ここで気になるのが,海外産のオンラインゲームタイトルを扱う日本の運営チームにおいては,そのほとんどが同様の取り組みを行っている──少なくとも対外的にはそう発言している──が,実際のところ,運営チームがそうした努力を重ねていることが,プレイヤーから今一つ評価されない例は数多く存在するという点だ。

実際に韓国EyaSoftの開発スタッフとやり取りしているのですが,彼らは皆,日本のゲームを遊んで育っていますし,また日本で通用するゲームを作れば世界展開も夢ではないと捉えています。そのため,彼らも日本市場を理解しようと日々努力しています。しかしそれには限界があり,やはり日本で生活していなければ分からないことがあります。
 例えば,同じ“可愛いもの”でも,日本でリアルタイムにアニメや漫画から刺激を受けたものと,韓国で『日本ではこういうものが流行っている』と分析してから作ったものでは,感覚的にも時間的にもズレが生じます。ズレたもの……いってしまえば,流行から外れたものを提供しても仕方がありません。そこで弊社が,日本でより迅速かつ正確に皆様のニーズを把握し,開発に届けるというわけです。
 具体的な成果については,この12月以降の展開を見守っていただくしかないのですが,今回,こうして宣言することで責任の所在を明確にし,皆様を失望させないよう運営・開発ともども頑張っていきます
」(郭氏)

 「IRIS Online」のサービスは,ガーラグループによってワールドワイドに展開されており,大型アップデートは3か月に1回,小規模のものは随時行っていくとのこと。基本的な部分は世界共通だが,今後はコンテンツやアイテムの内容に応じて,各国の市場に合わせた調整を行っていくとのこと。
 そうした取り組みは,日本で11月16日に実装されたばかりの「Episode II The Chariot」でも実践されており,郭氏によれば,これまでにプレイヤーから寄せられた要望の70%ほどを実現できたそうである。
 その中でも,最も多くの要望を集めていたのが「勢力戦」の見直しだ。この見直しにより,従来の勢力による制限は撤廃,レベルによる区分制限が緩和され1〜29/30〜60の二つになるなど,参加がしやすくなった。また,勢力戦参加中はステータスと使用可能スキルに補整がかかる調整もなされており,例えばレベル1のプレイヤーキャラクターなら,勢力戦中はレベル20台のプレイヤーキャラクターとほぼ同等の戦闘を楽しめる。

以前の仕様だと,参加者が少ないために勢力戦を開催できないレベル帯も少なからずあったんです。新しい仕様は,実装されてから日が浅いのでまだ正確なデータはないのですが,『変更されてよかった』という声をいただいています。
 また,レベルの低い参加者の方が,勢力戦に参加して未習得のスキルを使った結果,普段のプレイでレベルを上げることに対するモチベーションが上がったという声もいただきました
」(郭氏)

 またギルドでは,レベルの概念を持たせるとともに,「ギルドレベル」「ギルドスキル」「ギルド倉庫」といった新機能が追加された。中でも「ギルドスキル」についてはプレイヤーからの反応が非常によいそうで,これについて郭氏は,「ただ一緒にギルド戦に挑むだけでなく,より具体的に皆で何かを成し遂げる要素が必要とされていた」と説明する。
 実際,ギルドに関する問い合わせは増えており,中でも「ギルドマスターがログインしなくなってしまったので,どうにかしてほしい」というものが多いそうだ。
 なお,そうしたケースでは現在システムとしての対応は難しいため,ギルドマスターの権限を別のプレイヤーに委譲したり,あるいは新たに作ったギルドに資産を移したりといった形で,個別対応しているとのこと。
 そのほか,ゲーム内イベントでは,日本人は対戦よりも協力を好む傾向にあるため,今後は協力プレイの要素を強めていくと,郭氏は話す。また,過去数回実施してきたゲーム内の座談会イベントを今後も定期的に開催し,プレイヤーの声を汲み上げていくといった,直接のコミュニケーション施策も積極的に取り組んでいくとのこと。

座談会でリリース前のコスチュームのお披露目をやったこともあるのですが,はっきりと『コレはダメ』といってくださるんです。そのときには少しショックですが,直接意見をいただけるというのは,やはりありがたいですね。また,『こういうイベントをやってほしい』といった建設的な意見もたくさんいただきます。座談会のあと,もう一度,丁寧にメールを下さる方もいらっしゃいます」(郭氏)

 ここまでの話で気にかかるのが,人的リソースについてだ。ギルドマスター権限の移管といった個別対応は,きめ細やかではあるが人的リソースを大いに割く必要があるのは,想像に難くない。そもそも,先に十分なサービスを提供できなくなっていた原因として挙げられたのが,RMT業者などへの対応に追われて手が回らなくなったということである。再び,人手不足に陥る可能性はないのだろうか。

画像集#002のサムネイル/サービス開始から半年,「IRIS Online」がプレイヤーに向けて発する「運営改革宣言」とは。ガーラジャパンにその内容を聞いてきた
例えばBOTなどの不正やハッキングに関しては,サーバ構成から見直して,11月に新体制を構築しています。これで100%大丈夫とまではいい切れないのですが,少なくともサービス開始当初ほど不正が蔓延する可能性は低いです。仮に蔓延したとしても,緊急対策として全社的に取り組む体制を整えましたので,以前のようなことにはならないはずです」(羽二生氏)

ギルドなどの個別対応にしても,数件を扱っているうちにノウハウが蓄積されていきます。例えばギルドマスターの変更にしても,誰に権限を持たせたいのか,あるいは新しいギルドを作りたいのかというプレイヤーさんの意思がはっきりしていれば,あまり負担にならずに対応できるんです。したがってお問い合わせに対しても,意思や方針を示していただきやすいような返答をしています」(郭氏)

 海外産のオンラインゲームを日本でサービスする場合に,運営・開発スタッフが「プレイヤーの要望を反映し,日本の市場に合わせた内容にしていく」ということはよく聞く常套句だが,それを実現できていないケースは多い。
 開発とプレイヤーとの感覚的・時間的な認識のズレであったり,開発予算を確保できないというような現実的な事情であったりと,原因はさまざまだが,プレイヤーにはそうした運営・開発の事情は関係ない。
 プレイヤーの嗜好とはズレたものが実装されたり,あるいは一度公式に発言したことがいつまでも実現されなかったりすれば,「できもしないのに大きなことばかりいう」「空手形を掴まされた」と感じ,そのタイトルからは離れていくだろう。まして現在は,代替となる基本無料のMMORPGやオンラインゲームは山ほど存在する。ごく一部の唯一無二の内容を誇るものを除けば,不満やストレスを感じながら同じタイトルを継続してプレイする理由などどこにもないのだ。
 そうした状況の中,「IRIS Online」,ひいてはガーラジャパンは,わざわざ「運営改革宣言」をするという大きなチャレンジをした。羽二生氏と郭氏は「宣言すれば,あとに引くことはできない。やるしかない」と強い意気込みを見せるが,果たしてそれがきちんと結実しプレイヤーの心を掴むか,それとも「結局,ほかと同じか……」と思わせてしまうか,今後の展開を見守りたいところだ。
 最後に羽二生氏から「IRIS Online」のプレイヤー,および同タイトルに期待する人にメッセージをもらったので,掲載しておこう。

これまで半年,『IRIS Online』のサービスを行ってきましたが,その間,ずっとプレイヤーの皆様にはご迷惑をおかけしました。その事態を反省し,皆様の信頼を回復すべく,お話してきた通り,新たな運営体制を構築しました。今後は,弊社の掲げる“お客様第一主義”をモットーに,より皆様の声を『IRIS Online』に反映すべく,まい進していきます」(羽二生氏)

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