鉄を産する帝国「イフリア」と塩を独占する教国「オルディア」,そして両国を結ぶ諸国連合「セントリア」の3勢力を軸に,各国の思惑が絡み合う物語が展開。プレイヤーはセントリアの盟主・ヴァルシオン家の領主ゴードンの義理の息子,レオニスとなり,貴重な塩をめぐる盗難・密輸事件をきっかけに,大陸の均衡を左右する戦いに巻き込まれていく。
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物語はスクエアマップで展開する戦闘パートと,戦闘に要する資源を管理する軍需管理パート,買い物やキャラクターとの交流,さらにフリーシナリオなどを楽しめる拠点パートの組み合わせによって進行。その合間にイベントシーンを挟みながら,戦いとそれを支える補給,そして仲間たちとの関係が描かれていく。
骨太で歯ごたえのある戦闘システム
まずはシミュレーションRPGの華である戦闘からみていこう。
本作の戦闘には,自軍と敵軍が交互に行動するオーソドックスなターン制が採用されている。剣・斧・槍による3すくみや戦技(スキル)による戦術,また,敵を挟み込んだときに仲間が追撃する仕組みなど,シミュレーションRPGでおなじみの要素はひととおり押さえられている。
なかでも印象的なのが,ユニットの行動終了時に選択できる待機オプションだ。
「構える」を選ぶと次の攻撃が強化され,「防御」だと次に攻撃を受けたとき,一度だけ強化効果を得られる。これにより,敵を誘い出して防御で攻撃を受け止め,後衛の火力で一気に仕留めるといった戦術が可能で,決まると実に爽快なのだ。
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また,敵の行動パターンを見極めることも重要だ。味方ユニットを狙って突撃してくる敵,決められた目的地へ進む敵,一定範囲内に入ると攻撃を仕掛けてくる敵など,それぞれのパターンを把握しておけば,戦線を組み立てやすくなる。
どこで敵を受け止め,どのタイミングで攻勢に転じるか。戦線ごとに攻守を使い分けながら,進軍のリズムを作っていくのが本作の戦闘の醍醐味といえるだろう。
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難度はCasual,Standard,Classicの3段階が用意されている。
シミュレーションRPGを遊び込んでいるとまではいえない筆者はStandardを選択したが,それでも油断は禁物だ。うっかり前に出過ぎた騎士が敵の攻撃を受け,撤退を余儀なくされることもあった。手堅く戦線を維持する必要があり,気を抜けない歯ごたえが楽しめる。
チュートリアルが充実している点も好印象だ。序盤から覚えることは多いが,新たな要素が登場するたびに基本から説明してくれるため,システムを理解しながら進められる。初心者も安心だろう。
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戦闘に勝つだけでは足りない。軍を支える資源管理
戦闘が終われば,次は軍需管理の時間だ。
本作には塩,鉱石,食糧の3種類の資源が登場する。このうち塩と食糧は戦闘中にランダムで消費され,戦闘後にはランダムで資源が入手できる。しかし,入手量と消費量のバランスは自然と偏るため,戦い続けているだけでは限界がある。
そこで活用したいのが,各国の商隊との取引だ。手持ちの資源を交換して,偏った備蓄を調整していく。戦闘に備えて装備や軍備を整えるだけでなく,部隊を維持するための資源を確保するのだ。
とくに注意したいのが,食糧と塩の不足である。食糧が足りなくなると,各キャラクターの能力値にマイナス補正がかかる「飢餓」状態となる。一方,塩が不足すると継続的にダメージを受ける「塩欠病」が発生する。どちらも戦闘を不利にする要因なので,資源の残量には常に気を配りたい。
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戦闘で勝利するだけでなく,次の戦いでも部隊が十分に力を発揮できるよう,戦場の外で準備を整える。目先の戦果と長期的な軍の維持,その両方が求められるプレイフィールは,本作のユニークなポイントの1つといえるだろう。
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仲間との交流か,部隊の強化か。悩ましい拠点パート
拠点では,Sol(お金)や戦闘で獲得した戦績点を使ってアイテムの購入や交換ができる。なかでも戦績点で入手できる能力値強化アイテムやスキル開放アイテムは,部隊を強化するうえで重要な存在だ。
一方,戦績点はキャラクターとの交流にも使用される。ボイス付きの「支援会話」を開放するには専用のアイテムが要るのだが,この購入に戦績点が必要なのだ。1周目のプレイですべての支援会話を開放するのは難しいこともあって,戦力の充実を優先するか,仲間たちの関係性を掘り下げるかは,実に悩ましい。
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また,支援会話とは別に,キャラクターとの日常的なやりとりを楽しめる「交流会話」も用意されている。こちらはボイスこそないものの,戦場では見られない一面に触れられるのが魅力だ。キャラクターとの何気ないやりとりを通じて,仲間たちをより身近に感じられるようになるだろう。
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選択によって変化する属性と,40時間超の長編シナリオ
本作では,イベント中の選択肢や出撃ユニットなどによって,主人公レオニスの属性が変化する。教国寄りの「オーダー」,帝国寄りの「リベリオン」,そしてどちらにも属さない「バランス」の3属性があり,ゲーム開始時の属性はバランスだ。
この属性はシナリオの分岐に関わるだけでなく,プレイアブルキャラクターの能力値にも影響するという。どの勢力に寄った選択を重ねるかによって,物語だけでなく部隊の編成も変化する。初回プレイで選ばなかった道を次の周回で選び,異なる展開を確かめるのも,本作の楽しみ方の1つなのだ。
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本作は,本編とフリーシナリオを合わせて90以上のマップを収録し,想定プレイ時間は40時間以上とされている。複数のルートを通して国家や宗教,資源をめぐる対立を描く長編シナリオだけに,腰を据えて遊びたい人に向いたタイトルだろう。
一方で,キャラクターの立ち絵やイベントのアニメーションは,リッチではあるものの,少々好みが分かれるところかもしれない。とはいえ,これだけのボリュームの演出が盛り込まれているのは,生成AIの助けがあったとしても尋常なことではない。
開発者の熱意とこだわりを感じる部分であると同時に,個人開発でここまでできるようになったのかと,時代の移り変わりを感じた次第だ。
1つだけ難点を挙げるなら,現時点ではSteam Inputに未対応な点だ。一応,JoyToKeyなどの外部ツールを利用すればゲームパッドでの操作は可能なものの,できれば標準で対応してほしいところである。実際,ゲームパッドで遊んでみると快適だったので,今後のアップデートに期待したい。
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戦場の外まで見据える,骨太な戦記SRPG
まとめよう。「Verdant Requiem」はターン制の戦闘に加えて,塩や食糧をはじめとする資源管理を戦略の一部に組み込んだシミュレーションRPGだ。
敵の行動を読み,ユニット同士の連携を考える戦闘の面白さに加えて,軍をどう維持するかという視点にも独特の味がある。さらに,主人公の属性によって変化するシナリオや,仲間との交流など,やりこみ要素も充実している。
紹介しきれなかった要素もまだあるが,1周あたり14〜18時間×3ルートのボリュームは,この秋を費やしてどっぷりハマるのに最適な一本といえる。
Steamでは9章エンディングまでプレイできる体験版(10月19日にアップデート済)も配信されている。また,Med.y.m氏のポストによれば,リリース後はDLCや設定資料集の販売も予定しているとのことなので,この記事で本作が気になった人は,Med.y.m氏のXアカウントもフォローしつつ,体験版をプレイして,来たる11月3日を楽しみに待っていてほしい。
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